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ウェスタナーズ・クロニクル 〜西部瓦版〜 No.63
マリオ・バーヴァ「ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック」(Roy Colt e WInchester Jack, 1970)の巻
マリオ・バーヴァによるコメディー・ウェスタン。ロイ(ブレット・ハルセー)とジャック(チャールズ・サウスウッド)はじゃれあうような殴り合いに明け暮れる悪友どうし。ロイは更生して保安官となり、強盗団を率いるジャックと敵同士になる。二人は押し付けられた婚約者を殺して逃げてきた先住民のじゃじゃ馬娘(マリルー・トロ)をめぐって張り合うが、『続・夕陽のガンマン』のイーライ・ウォーラックも真っ青の欲の張った狸オヤジ(テオドロ・コッラ)への敵対関係によってふたたびタッグを組む。狸オヤジが勝手に自爆して果てたあと、最後は金をじゃじゃ馬に持ち逃げされたのも気にならないかの体で、もとのようにじゃれあうように取っ組み合ってホモソーシャルな絆をたしかめあう二人であった。めでたしめでたし。
ジャックが計算高いじゃじゃ馬娘と寝たいばかりに翻弄されまくるマゾヒスティックな一幕。娼館でのいつ終わるともしれないどたばたシーン。スカトロジックなエピソード。ペキンパーふうの銃撃戦。ズームや手持ちキャメラの風変わりな使用がちらほら。何の変哲もないチープなマカロニ・ウェスタンであるが、霧深い森のショットや丘の上の男らを逆光で捉える仰角のショット、画面手前で焚き火を囲む人物らと画面奥で見張りに立つ人物を暖色と寒色で対比的に捉えるショットなどにバーヴァらしい美学がうかがえる。
バーヴァはこれに先立ち La strada per Fort Alamo (1964) というやはりスターの出ていないウェスタンを撮っている。
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