Negative Space

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春の新作映画回顧:『ライフ・オブ・パイ』から『ハッシュパピー』まで

2013-04-22 | その他
満点は☆☆☆☆☆。

「ライフ・オブ・パイ」☆☆
 3Dもそろそろ見納めか。きれいな落ちだね。

「ゼロ・ダーク・サーティー」☆☆☆
 それと知らずに見に行ったらジェシカ・チャステン主演だったので「お、ラッキー」。かのじょのショーケースとしてたのしんだ。例の、ホワイトハウスでビンラディン暗殺場面を見守るスタッフたちの映像(ジャンパー姿のオバマ、口を覆って目玉剥くヒラリー)は、それじたいが傑作映画だった。それのいわば切り返しショットを再現しようという狙いそのものはおもしろい。

「世界にひとつのプレイブック」☆☆☆☆
 ジェニファー・ローレンスにはどことなくミリアム・ホプキンスの面影があるとおもわない? 相手役は精神を病むほどの繊細さがまるで感じられない超薄味俳優。

「千年の愉楽」☆☆☆
 オリュウノオバって単なる菩薩? 寺島さんもさすがに演じ方に困っている体。高良はそこそこ美しいが、高岡には高貴なところがなく、ただのチンピラ。染谷にいたってはただのばか面したデブ。神話世界から世俗世界へという演出なのか?あそこからアイヌの話になって舞台が突然北海道に飛んで終わったりすればおもしろかったのにね。原作のハードな性愛描写を一切省いたのは正解だろう。ピンクを期待すると肩すかしを食らいますぜ、ダンナ。

「愛、アムール」☆☆☆☆
 風景画のモンタージュに尽きるでしょ。

「ジャンゴ 繋がれざる者」☆☆☆☆☆
 髑髏を弄びつつのレオの長口舌に舌鼓。「J・エドガー」の女装シーンで演技をきわめたと思いきや、はやくも(しかも軽々と)こんな超名演を見せてくれるなんて!完全にクリストフ・ヴァルツ食ってたな。

「フライト」☆☆☆
 病院の階段の踊り場のシーンはちょっとベルイマンふう(?)でわるくない。ラストの息子の一言は蛇足。それを言っちゃあおしめえよ。てか。なんで機体逆さにしたのか、いまだにわからん。

「ザ・マスター」☆☆☆☆☆
 一皮剥けたねPTA。

「コズモポリス」☆☆☆☆
 初期のエログロから『イースタンプロミス』のノスタルジーまで、クローネンバーグ大感謝祭。会話場面が長々とつづくたび、「おまえはタランティーノか!?」と思わずつっこみを入れたくなった。サラ・ガドンのたたずまいがいいですな。かのじょが出てるシーンはたえず緊張感がはりつめている。カナダ人にはオーラがあるね。いずれにしてもたんなるお人形さんじゃないと見た。買い。
 ジュリエット・ビノシュ(48)、醜態晒してんじゃねえ。

「ハッシュパピー バスタブ島の少女」☆
 テレンス・マリック、アピチャッポン・ウィーラセタクン等々のエコ=スローライフ映画ブームにちゃっかり便乗?「キュート」なカーリーヘアーの「健気」な少女キャラにたよろうとする意図見え見え。しつこいアップのインサートが鼻につく。「映像詩」の一言で括ってでもおけば十分な駄作。