べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

月夜のメリーゴーラウンド

2006年12月25日 21時41分15秒 | 夢想

黄金の月の光が
まるで蜜かなにかのように
広場をとろりとみたしています

あたりはしんと静まりかえり
人影ひとつない広場の真ん中には
年代ものの古びた回転木馬が
ぽつんと取り残されておりました

と、どこから聴こえてくるのやら
懐かしいジンタの音色があたりに漂いはじめ
夜の闇にしっとり染みてゆくのと同時に
木馬がゆうるり廻りはじめます

ゆうるりと ゆうるりと

こみあげるやるせなさを
胸につのるせつなさを
両手でそっと
すくいとろうとこころみますが

たとえようもない愛しさが
はぁらり はらりと
こぼれ落ちてゆくのです
わずかな指のすき間から

月影にめくるめく回転木馬に揺られながら
あるがままをうけいれましょう
なすがままにまかせましょう
金色(こんじき)のとろけるような月あかりに抱かれて




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