べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

糸でんわ

2007年02月05日 22時00分14秒 | 夢想

ぴんと糸のはった紙コップを
そっと耳にあててみる
と、
風の音にまじって
どこか遠くのほうから
かすかにくぐもった声が聴こえてきたのです

もしもし
なにをいっているの?

はるか遠くへつながる糸は
小さな振動をつたえてはくるものの
かんじんな声は聴きとれません

もしもし、もしもし
いったいどうしたというの?

かぼそい糸は
遠いどこかへつながってはいても
やっぱり声は聴きとれないのです

ぴんと糸のはった紙コップを
そっと耳からはずして中をのぞくと
コップの底のキャベツ畑のうえを
真っ白な蝶がひとひら
やわらかな風にのって
ゆらりふわりと舞っているのが見えました





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