飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの乗りこなし術 その7

2014-05-25 20:03:28 | ハング(hangglider)

前回では静止点法についてご説明しましたが、この静止点法さえマスターしていれば、ポーラーカーブをとって面倒な作業をしなくても、最良滑空速度を正確に求めることが出来ます。

しかしながら、この静止点法は実際行うとなかなかうまく出来ず、マスターするにはそれなりに訓練が必要となります。

しかし、現在ではそのような熟練を要する方法以外にも、実はGPSバリオの表示する対地滑空比を見る方法があるのです!

これはどのようなものかというと、今までならば、たとえば向かい風の時の最良滑空比を求めようとした場合、

Photo

ポーラーカーブを使って、グラフ上の速度の軸をシフトさせてその速度を求めていました。

これはそもそも地面に対してどれだけ遠くに飛べるかを知るためにやっていた行為で あり、もしGPSで正確な位置情報が計れるのであれば、なにもポーラーカーブという小難しいものを使わなくてもGPSだけでも正確に滑空比を求めることが可能なはずです

Photo_2

つまり、 GPSを使えばどんな風の中でも正確な滑空比が求められるわけであり、言ってみれば、静止点法を正確に数値にしてくれていると言えるので、GPSが表示してくれる滑空比が最良となる速度に調整すれば、最良滑空速度になってしまい、ポーラーカーブは全く不要になってしまうのです!

はっきり言って、これは革命だと思います。

このGPSによる滑空比の表示機能は、最近では上級バリオに結構備わってきています。

つまり、よりグライダーの性能を引き出したいのであればGPSによる滑空比が表示されるバリオを使え!ということですね。

ただし、問題なのはGPSは平面での位置は正確に表示できますが、高度情報についてはイマイチ精度が出ていないことです。

だからまだこの方法については、一般化されていないと言えます。

しかし、

もし、

GPSの高度情報が正確になったら‥。

とんでもないことになります!

なぜならば、今のバリオは圧力センサーで空気の圧力を計ることでアルチやバリオを機能させていますが、GPSの高度情報が正確になるとすべてGPSで機能させることが出来るため、

今までよりも更に高精度で使いやすく、しかも、値段も安いバリオが出来る可能性が十分にあると私には思えるのです‥。

たとえば、大会の時のゴールに突っ込む高度を計算するファイナルグライドカリュキュレート機能など、今までは不確かなポーラーカーブに不確かな風向き情報を入力して、誤差が出る分を見越してマージン高度まで入力していましたが、これが、大幅に精度を上げることが出来るため、マージン高度も少なく見積もれ、結果的に今までよりもずっとタイムを縮められる可能性があると思えるのです‥。

いずれにしろ、これから未来に向けて、GPSによるバリオに変わっていくのではないか‥。

ちょっとした予言になりますが、それだけGPSバリオには可能性があると私には思えます‥。

 

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ハンググライダーの乗りこなし術 その6

2014-05-17 19:28:33 | ハング(hangglider)

前回では小難しいポーラーカーブの使い方についてご説明しました。

しかし、そのような小難しい理論が分からなくても野性的?な方法で、前回ご説明したポーラーカーブから算出されるベスト滑空速度を一発で見極められる方法がありますので、それについてご説明します!

その野性的方法とは‥。

「静止点法」という方法です。

これはどのようなものかというと‥。

2

上の写真をご覧ください。

あなたは今滑空しながらこの太い線に向かって真っすぐに進んでいます。

この時、あなたの見ている視界にどのようなことが起こるかというと‥。

上の細いライン。

このライン上の景色は、あなたが前へ進むほどに「上方」へ移動していってしまいます。

逆に、下の細いライン。

このライン上にある景色は、進むほどに下の方へ動いて行ってしまいます。

あなたがまっすぐ進んでいる太いライン。

このライン上の景色だけが、いつまでたっても同じ目線、角度に見えてしまうのです。

この方法で自分のグライダーの滑空比を読み取るのが静止点法なのです。

そして、この静止点法を使って、出来るだけ静止点となる場所が遠くになるように速度を調整すれば、その速度が最良滑空速度になってしまうのです!

どうです?

いちいち手間のかかるポーラーカーブをとって小難しいことをしなくても、この方法ならば分かりやすいでしょ?

しかも、にくいことにこの静止点法を使えば、ヘッドウインドだろうとフォローだろうとどんな風向きでもベストな滑空速度を割り出すことが出来るのです!

常に一番遠くに静止点がなるように速度を調整するだけ‥。

これだけなんです!

が、実はこの静止点法。結構使いこなせるまでは訓練が必要なんです‥。

グライドの途中では当然リフトがあったりシンクがあったり‥。

一生懸命静止点を見つけようと速度を調整しても、結構上下動があるので、なかなか本当の最良滑空速度を見つけるのは難しいことなのです‥。

ちなみに‥。

偉そうに説明している私も、実はこの静止点法が大の苦手‥。

いつも大会などでは、きっちりこの静止点法が使えていないので、ゴールするときはみっともないくらい高い高度を余らせてしまいます‥。

(ちなみに鈴木H司氏などは、じつにこの静止点法がウマい選手だと思います)

このように、静止点法はフライトコンピュータやポーラーカーブなどを使わなくても、ベストなグライド速度が見つけられる方法ではあるのですが、その反面、使いこなすのは結構な訓練が必要であることも事実です‥。

が。

が!

実は、小難しいポーラーカーブや、熟練を要する静止点法を使わなくても、誰でも簡単に最良滑空速度を直ぐに見つけてしまえる方法が、現在ではあるのです!!

次回はそんな魔法のような方法についてご説明いたしますね!

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工夫してまだまだ焚きます!

2014-05-09 22:23:49 | 薪ストーブってどんなもの?(what's woodstove)

ゴールデンウィークも過ぎた今日この頃。

我が家はまだまだ薪ストーブを焚いています!

こちろん、まともに焚いてしまうと家の中は灼熱地獄‥と、なってしまいます。

そこで、昨年までは特別な焚き方をしていました。

それは、炎が立ち上がっている間はダンパーを開けておき、熾火になってからダンパーを閉める方法でした。つまり、二次燃焼には敢えて入れずに焚いていました。

このようにすれば、二次燃焼まではしていないので、ストーブの過熱を抑えて焚くことが出来ます。

しかし‥。

当然この焚き方は効率が悪く、煙も出しやすくなるので、少しですが煙突に煤もつきやすくなってしまいます。

そこで‥。

今年はちょっと進化させました!!!

その方法とは‥。

薪ストーブが少ない薪でも二次燃焼しやすい条件を作ってあげて、出来るだけ少ない薪で効率よく焚いてしまう方法です。

具体的にどうするかというと‥。

我が家の薪ストーブ、バーモントキャスティングス社のアクレイムはエバーバーン方式という燃焼方式を使っています。

これはどのようなものかというと‥。

Everburn_2

上にあるバイパスダンパーを閉めることにより、ストーブ内の未燃焼ガスが燃焼室下部から、二次燃焼室に吸い込まれ、再燃焼するという方式です。

この燃焼方式の場合、ストーブが十分に暖まり、そして、再燃焼するのに十分なまでに加熱された未燃焼ガスが二次燃焼室へと入って、そこでフレッシュエアーが加わって初めて二次燃焼することが出来ます。

このような理屈があるため、もし少量の薪で無理に二次燃焼させようとした場合、二次燃焼室に入る未燃焼ガスが、熱量が少ないために低温になってしまうので、普通ならば二次燃焼させることは出来ない‥。のですが‥。

これを少ない薪でも、ちゃんと高温のままで二次燃焼室に未燃焼ガスを送り込む方法があるのです!

それは、

薪を一次燃焼室の奥にある、二次燃焼室の入り口に積み上げてしまう方法です!

Photo_2

こうすると、少ない薪でも二次燃焼室に入る未燃焼ガスも、一次燃焼室の奥に積み上げられた熾火などで高温に再加熱されるため、高い温度のまま二次燃焼室に入ることが出来るので、少ない薪でも二次燃焼させることが出来るのです!!

002_2

これはその時の写真ですが、あらかじめストーブを暖めるために燃やしておいた、針葉樹の焚きつけ材が熾火になったものと、細薪が3本だけですが、ちゃんと二次燃焼しています。

この方法ですと、基本的に燃やす薪が少ないので、それほど部屋も暑くなりませんし、ちゃんと二次燃焼しているので、薪も効率よく燃やすことが出来ます!

が‥。

この方法は経験と勘が必要です!!

うまくこの方法を 行うには、二次燃焼させるのに必要最小限の薪の量を見極められ、更に、ダンパーを閉める(二次燃焼に入れる)タイミングで、本焚きの薪(この場合、3本の細薪)が一番炎がたつ(言い換えると薪から未燃焼ガスが一番出ている状態)に燃えていることが必要だからです。

更にいうと‥。

ダンパーを閉める、つまり、二次燃焼に入るときに、本焚きの薪(3本の細薪)をひっくり返してより炎がたちやすい状態を作ってやると、確実に二次燃焼へと入れることが出来るのですが‥。

はっきり言って‥。

そこまで頑張って、なんでそんなに寒くもないのに薪ストーブの炊き方の工夫をしてんだよ!!!

ということですね!(笑)

でも、やっぱり焚きたいんです!!!

この気持ち、薪ストーバーでないと分かりませんよね。(笑)

 

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ハンググライダーの乗りこなし術 その5

2014-05-08 20:53:32 | ハング(hangglider)

ハンググライダーの性能を分かりやすく表すために、ポーラーカーブというものが用いられます。

これは、横軸に速度、縦軸に沈下速度を表示していったもので、以下のような表になります。

Photo_2

0から引っ張った線がポーラーカーブに接したところが「最良滑空速度」とその時の沈下速度を表している訳ですね!

ちなみにこのポーラーカーブで風がある場合の最良滑空速度までも知ることが出来ます。

たとえば向かい風が5m/sのとき。

Photo

速度の軸を5m/s前に移動して、同じように接線を引けばいいわけですね!

同じように、追い風の場合

Photo_5

そして、2m/sの下降風の場合は

Photo_6

そして、2m/sの上昇風の場合

Photo_7

これらはポラーカーブを使ってその時のベストグライド速度を算出するときによく使われるもので、高度なバリオなどに機能としてつけられているフライトコンピュータがおこなってくれる計算でもあります。

しかし、しかし‥。

これらは、基本となるポーラーカーブがちゃんと正確に測れていなければ、、まったく意味がありません!

で、そのポーラーカーブなんですが、これ、正確に測ることって実はとても難しいことなんです‥。

結論を言いますと、どんなに頑張っても正確には計れません!!!

と、言い切ってしまうと元も子もないのですが、頑張って測定するとしたら、早朝の接地逆転層がしっかり形成されている時などを狙ってやってみるしかないと思います‥。

バリオによっては一度飛ぶだけでデータをとってしまえる機種もあるので、そんな機能は生かしたいところですよね!

また、ポーラーカーブを数値としてバリオに入力しなければならないタイプの機種の場合、

はっきり言って全速度域のデータを正確に測定するのは不可能なので、以前ご説明した最小沈下速度、そして、最良滑空速度、更には高速域の任意の地点のデータの3か所を測定し、

その3点をエイや!っとだいたいの線でつないだものの方が、かえって正確に出来たりするものです。(笑)

ここで大事なのは、バリオの表示する数値は実はとてもいい加減であることを念頭に入れておくことです。

バリオの表示している数値なんて、はっきり言ってなんの信頼性もありません。

バリオ個々の個体差で、結構表示値は変わります。

ですから、たとえ同じグライダーでも、人がとったデータは全く使い物になりません‥。

ポーラーカーブのデータをとってみたいならば、必ずご自分のバリオで取ってくださいね!

今回は小難しいポーラーカーブの使いこなしについてご説明しましたが、実は、こんな手間のかかることをしなくても、一発でどんな条件でもグライダーのベストグライド速度を知る方法があります。

次回はそれご紹介しましょうね!

 

 

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