飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

鎧とM2 その1

2009-06-29 19:38:25 | ハーネス(HG harness)

あれは10年前の春の出来事だった。

私は板垣氏と共に、ドイツのガーミッシュと言う町で開かれている、スカイスポーツイベント「フリーフライト」を訪れていた。

フリーフライトは、主にパラ、ハング関係の新商品を紹介することを目的としたイベントだ。

私は以前より興味のあったATOSをみる目的もあったが、他にも、既にハーネスメーカーを立ち上げることも考えていたので、それに使われる部品関係のメーカーの関係者に、部品の売買に関する契約をつける目的もあったため、一通りのブースに目を通し、いろいろと話を聞いて回っていた。

そんなことをしていたときである。

日本でも話題になっていたハーネス、M2のブースで足が止まった。

もともとM2ハーネスは、三分割形式のフレームをもつハーネスで日本でも話題になったが、実は、少々ランディング時起きづらい欠点を持っていた。

しかし、そのときM2のブースに展示していたハーネスは、今までの三分割とは違う構造のハーネスだったのである。

名前はACER。

私はそのハーネスが気になり、手にとって見はじめた。すると、近くにいた青年が私に話しかけてきた。

「良かったら試してみないか?」

私は早速そのハーネスを試させてもらった。

そのハーネスは、今までの三分割形式と違い、フレームが2分割に分かれ、メインラインがスライドする機構が持たされていた。そして、そのメインラインには、旧型M2と同じ様に、飛びながらパイロットのアタックアングルが変更できるピッチトリマーが取り付けられていた。

私はその構造から、説明を聞かずとも、ピッチラインを緩めればピッチ角が変わるのだろうと、直ぐに扱い方が分かったので、プローン姿勢からピッチラインを弛め、頭を上げたり下げたりしてピッチトリマーの調子を試してみた。

その様子をみていたM2ブースの青年は、「お前、よくこのハーネスの使い方が分かるな」というので、私は、

「実は俺も新しいハーネスが作れないかと、いろいろ試作してるんだよ。ただ、今は日本の輸入業者で働いているから、まだ、自分のブランドのハーネスは売ってないけどね」と答えた。

このとき私に話し掛けた青年。実はこの青年がArmin。あのM2ハーネスの開発者だったのである。

私はその後もArminと話し、そして、彼も私と同じ様に新しいハーネスが作れないかと、その可能性を模索していることを話してくれた。

私は、彼のハーネスに関する知識の正確さを知り、初めて、ハーネスに関して「同じ言語」で話が出来る人間に会えたことに感謝した。

彼は非常にハーネスを熟知していた。そして、ハーネスはどのような改良をしていくべきか私に語ってくれた。その話の内容は、まさに私が目指しているものと全く同じものだったのだ。

Arminの方も、いろいろとマニアックな質問をする私に、どうやら興味が沸いてきたようである。

二人はこの後、新しいタイプのハーネスについて、お互いの意見を交換し始めたのである。

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ディーラー問題 その2

2009-06-22 19:21:15 | ハング(hangglider)

私は、以前よりインストラクターとは学び続けなければいけないものだと考えていた。

人にハンググライダーの乗り方を教えるのは、インストラクターという仕事を続ける上での第一段階に過ぎないと思っている。

インストラクターはハンググライダーの乗り方を教えながら、お客様により良いハングライフを楽しんでもらうために、機体の調子を整えるチューニングや、機材の扱い方をより正確にレクチャーしたり、安全管理についてスクール生に教えたり、更には、機材の改良点をメーカーに指示したりとか、本当に実力がつけば海外に出てハンググライダーの開発に参加したりと、どんどん自分をステップアップしていかなければならない存在であると思っている。

しかし、現実に日本のインストラクターを見て見ると、失礼なことではあるが、実は第一段階であるハンググライダーを教えるところで止まってしまっているのではないであろうか?

そう思えて仕方ないのである。

かく言う私自身は、もちろん、れっきとしたインストラクター。

私自身は、この業界の発展をはじめから念頭においてこの商売をはじめていたために、上に述べたように、グライダーのチューニングはもちろん、ハードウェアーの詳細や機材の取扱いの詳細などを勉強し、さらには短期間であったが、米ウイルスウイング社にてスモールサイズのハンググライダーの開発にも携わったりした。

とにかくこの業界で生きていくために、できる限りの勉強をしてきた。

そして、現実的に日本にはハングの乗り方を教えるインストラクターは沢山いるが、しかし、ハードウェアーの製造や修理はほとんど誰も出来ないことに気づき、同時にそのことに日本のハング界の将来に危機感を覚え、メーカーを立ち上げることを決意したのである。

しかし、メーカーを立ち上げて見ると、予想していた以上にディーラー、つまり、インストラクターの知識が乏しいため、なかなか、同レベルで話が出来ず、困ってしまっている現状がある。

機材の改良点を聞いてみても、まったく的外れな回答ばかり返ってきてしまい、安全管理に関しても、完璧な答は返ってこない。

これでは、メーカーはインストラクターの言うことを素直に聞くことが出来ないのである。

そのために、現在は完全に「壁」が出来てしまい、メーカーはメーカーで独自で開発を進めざるを得ないのが現状である。

こうなったのも、やはり、インストラクターの知識不足が原因であると言わざるを得ない。

私はもともとこの業界には「挑戦」することを目的として飛び込んだ。

しかし、失礼な言い方ではあるが、多くのインストラクターは努力を怠っているようにしか私には見えないのである。

それは、もともとこの業界に入った理由が「挑戦」ではなく、きついことを言ってしまうが「現実逃避」だからではないであろうか?

現在、多くのインストラクターは50代に入ってしまった。

男の50代とうものは、今までやってきたことが現われてくる年代であるといわれている。

この年代になって、仕事の上で成功していなければ、やはり、それまでの生き方に問題があったといわれても仕方ないと思う。

私は、そのようなことにならないよう、これからも努力を続けていきたい。

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ディーラー問題 その1

2009-06-15 19:13:51 | ハング(hangglider)

以前より、私は日本のハング界に於いて、大きな問題があることを感じ続けてきました。

それは「ディーラー問題」です。

皆さんもご存知の様に、ハンググライディングに必用な用品は全てディーラー、つまり、ショップを通して買うことになっています。

メーカーは、ショップを信用し、納品後お客様に適切なレクチャーやアフターフォローをおまかせする替わりに、ショップに対してマージンをお渡しする仕組みになっています。

しかし、現在の日本のハング界を冷静にみて見ると、このシステムがほとんど機能していないケースが目立つのです。

そればかりか、お客様に対して、ウソやインストラクターの思い込みによる指導、ひどいときには、メーカーに相談無く、お客様へ納品する商品を、勝手に改造してしまったりするケースも少なくありません。

その結果、お客様は混乱してしまい、商品の使用にあたり、適切に使えなくなったり、あるいは事故につながったりするケースも、悲しいことですが現在多く発生し始めました。

このような状況に陥った理由は、はっきり申しまして「インストラクターの勉強不足、及び、プロ意識の欠如」に他なりません。

これは重大な問題であると、EXEは考えております。

このような状況ならば、むしろ、ディーラーはメーカーにとって必要なものではなく、直接、お客様とのやり取りを行った方が、将来的に日本のハング界にとっては良いことであると考えざるを得ません。

しかし、これは今までは、皆さんもご存知の様に「タブー」とされてきました。

しかし、状況があまりにもひど過ぎるのです。

そもそも、なぜ、ディーラーはそのような無責任なことをするようになったのでしょうか?

「注文書を書いてFAXだけしたら、マージンがもらえる」。そんな安直な考えがあるからなのでしょうか?

ディーラー、つまりインストラクターはプロとしてお客様に接する責任があるはずです。

だからこそ、ディーラーマージンがもらえるはずなのです。

現在のような状況を続けていけば、将来的に、メーカーはショップを通さずにお客様に直に商品を販売していく可能性もでてくると、正直私は分析しています。

そうなると、誰が一番打撃を受けるでしょうか?ディーラーではないでしょうか?

つまり、現在ディーラーが行っている無責任な行為は、自分で自分の首をしめていることになっていことに、ディーラー自身が気がついていないように私は思うのです。

これは、将来的に日本のハング界にとって大きな問題に発展していくように私は思います。

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