飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハーネスの真実1

2010-11-29 20:59:53 | ハーネス(HG harness)

現在のレーサーハーネスは、今までのハーネスにもう一枚表面に生地をかぶせて凹凸を無くす構造になっています。

しかし、私自身の個人的意見を述べさせてもらうと、まだまだこの種のハーネスは完成形にはなっていないと思っています。

新しく生地を表面にかぶせることにより、いろいろな問題も発生し始めましたが、中でも問題なのは「パラシュートの取り出し」です。

表面に生地がある分、パラシュートコンテナの構造が複雑になり、パラシュートの取り出しに不確実さが生じ始めたのです。

初期のころは、ファスナーがはじけることによりパラシュートを取り出せるようにしていました。

しかし、この方法だと、パラシュート収納時にファスナースライダーを使ってファスナーを閉じる作業が発生し、これだとわずらわしさが生じました。

この問題を解決するために、はじめからファスナースライダーがハーネスにつけっぱなしになったタイプのものが開発されました。今から5年ほど前のことですね。

しかし、これにも私は問題があると考えています。Cimg0383 この写真はそのタイプ(弊社ではRXC-R3)になるのですが、ファスナーは開きやすいという先入観があるのですが、実はこのような使い方をした場合、意外とファスナーは開いてくれず、パラシュートの取出しが困難になってしまうのです。

これはヨーロッパスタイルの小型のパラシュートではそれほど問題にはならないのですが、大型のアメリカスタイルのパラシュートなどは、てきめんにパラシュートの取出しが遅れてしまうのです。

Cimg0384 そのため、弊社の最新型RFでは、ファスナーは途中までしかなく、パラシュートトグルを引くと同時に扉が開くシステムに改良しました。そして、上記の問題を解決することが出来ました。

さて、今回私が皆さんにお知らせしたいのは、前者のタイプのハーネスの取扱についてです。

この種のスライダーが下までおろされるタイプのハーネスは、前述のようにパラシュートの取出しが困難になる傾向にあります。

これについて、私自身いろいろ実験しましたが、もっともよい解決方法は、

あえて、スライダーを下までおろしてしまわないことでした。

見た目にはスライダーが下まで降りておらず気持ちが悪いのですが、構造的にはこの種のシステムをとるハーネスは、全て内部にしっかりしたコンテナが内蔵されているわけであり、まったく問題がないのです。

そのため、私はあえて、この種のハーネスではファスナーは下まで閉めず、5センチくらいはあけておく様に指導しています。

この件に関し、同じようなハーネスを扱われているオーパさん、ウインドスポーツさんにも確認したのですが…。

オーパ桂氏。「ウチではテナックス2がこれに該当しますが、やはり下までファスナーを閉めてしまうと、パラシュートの出は悪くなりますね。そのため、テナックス3では改良されました」。

ウインド安東氏。「やっぱり全部閉めるとパラシュートの出は悪くなってしまうね。カッコつけないで、ちょっと開いておいた方が絶対いいよ」。

でした。

やはり、皆さん同じことを感じておられたんですね。

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新連載!ハーネスの真実

2010-11-20 19:25:23 | ハーネス(HG harness)

あれはまだ私が高校生の時の出来事でした。

当時、エンジンに興味があったため、私はエンジンに関する書物を読みあさっていました。

そんなある日、いつのもようにエンジンに関する書物を読んでいる私を見て、私の父親は一言つぶやきました。

「本を読むのもええけど、やっぱり実物を見んと話にならんで…」。

私はそれならばと、実際にバイク屋から壊れたバイクをもらってきてバラしに入ったのですが…。しかし、錆び付いたボルトがはずせなかったのです。ブレーキパッドのはずし方、バルブのコッターピンのはずし方…。本を読んで知っていたつもりになっていたのですが、実際には出来なかったのです。

このとき、私は父親がつぶやいた一言の意味の大きさに気がつきました。

いくら知識があっても、実際に出来なければ何の役にも立たないのです。

それ以後、私はそれを教訓に、何でも実際に試して体験していくことを大切にしてきました。

実は、弊社のEXEの意味は、EXECUTEつまり「実行」の意味で、理屈ばかり言っているのではなく、何でもまず試して結果を見てみるという意味です。

私はこれをモットーに、何でも実験してみました。

いまのハーネスに問題があるなら、違う観点から違うアイデアを生み出していく必要があるわけであり、それには思いついたものを何でも試してみなければいけないのです。

そんな多くの実験の中で、ハーネスはどんどん進化していきました。

これは弊社だけではなく、他のメーカーさんもまったく同じことを繰り返して現在に至っていると思います。

しかし、そんなハーネスの進化に対して新しい問題を感じるようになりました。

それは、機材やグライダーの進化に対して、ユーザー側がそれらの情報を知る手立てがなく、誤った扱い方をする例が増え始めたことです。

この問題を解決すべく、私はしばらく最新のハーネスのことについて、その扱い方はもちろん、なぜそのような構造、機構になっているのか、そして、それらをどのように扱えばその性能を引き出すことが出来るのか。そんなことを連載してみることにしました。

次回からしばらくお付き合いください。

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ハング界を活性化するには!とりあえずの最終回

2010-11-16 22:16:58 | ハング(hangglider)

先週の週末、懐かしい人からお誘いがあった。

私が西富士エリアを飛んでいたころの友人I筒氏。

彼は今は飛んでいないが、自分が持つクルーザー(ヨット)のレースにクルーが必要だったため、私に声をかけてきたのだ。

クルーザーは大型のヨットのため、クルーが5人くらいは必要なのである。

I筒氏が私のほかにも声をかけたのは、みんなかつての仲間のハングフライヤーばかりだった…。

当日、現地に行ってみると、そこには懐かしい顔が並んでいた。

I筒氏をはじめ、その奥さんの里美さん(旧姓中村。ハングが長い人はわかる人は多いと思います。)、S本君、それにOK田氏夫妻…。

私の女房は元セーラーだったため、当然目を輝かせながらついてきていたので、とりあえず皆さんに女房を紹介。私たちはクルーザーへと乗り込んだ…。

レース当日、私たちはかつてみなが西富士を飛んでいたときと同じように声を掛け合い、クルーザーを操っていた。

何度か忙しいタックを繰り返し、私たちの艇はゴール…。

にわか作りのチームが上位に入れるわけでもなかったが、しかし、私たちにはとてもうれしかった。

スピン(スピネーカー)セールを広げ、操舵をオートに切り替え、私たちはマリーナーに向う。

おもむろにI筒氏が冷蔵庫からビールを取り出し、みなに配る。

ビールを開けながら、私たちの話の話題は、自然と西富士で飛んでいたころの話題となった。

それぞれがそれぞれの人生を歩みながら生きていたが、しかし、この時間だけはみなが同じ思いの中でいた。

ゆっくり流れていく景色。たそがれの美しい空と海…。

昔話に花を咲かせながら、いつしか私たちの艇はマリーナの近くに。

でも、あまりに心地が良かったので、私たちはそのまま風に流されてマリーナを通り過ぎていった…。

ハンググライダーをいままで続けてきて、私はこんな仲間からとても大事な事を学んだ気がする。

そして、それを教えてくれた「仲間」は、きれい事ではなく、本当に私にとって、生涯のなかで一番の宝になったような気がする。

「空を飛ぶ」という特殊なスポーツ。そこには危険もあり、時にはつらいこともあるかも知れない。しかし、だからこそ、ハンググライダーは人と人とを強く結びつけてくれ様に思う。

私は、ハングを続けながら、このスポーツをもっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになった。

それは、ただ単純に空を飛ぶという夢をかなえるだけでなく、大切な人にもめぐり合え、そして、自分自身の人生を充実させてくれるものを持っていると思うからだ。

だからこそ、一人でも多くの方に、私と同じように自分自身の人生を充実させてほしい…。私はそう思う。

長らくお付き合いありがとうございました。

また、何か新しくハングを普及させる提案がありましたら、このグログに載せていきます。

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競技委員会の皆様へ。一つの提案

2010-11-05 21:54:45 | ハング(hangglider)

今日は、競技委員会の皆様に、一つ私の提案を聞いていただきたく記載いたします。

先日女房と話していたのですが、ヨット(クルーザー)の世界では、新しい艇はやはり性能が良いため、旧型のものとは勝負にならないので、みなが楽しんで競技できるよう、旧型には係数をかけて点数を割り増しにし、旧型の艇の方も楽しめるように工夫されているそうです。

ゴルフのハンディみたいなものでしょうか。

ちょっと思ったのですが、これをハングの競技に応用したら、競技界の活性化につながるのではないでしょうか?

現在のハング競技は、とりあえずツノなしでなければ勝負にならない!という常識で動いています。

しかし、これだと、競技に参加するのはお金と体力がある一部の競技マニアだけになってしまいます。

これでは参加する方がおのずと限られてしまいます。

しかし、ヨットと同じように係数をかけて、競技に不利なグライダーにも妥当な点数をあげてあげれば、とても面白いと思うのです。

たとえば学生。

お金がなくてツノなしが買えない方が結構いますが、そういう方でも競技に参加して、ツノなしと対等に競技することが出来ます。

また、年配のフライヤーなどでツノなしの機体には乗れなくなった方。

そんな方でも、若い人たちに混じって堂々と競技を楽しむことが出来ます。

そうなってくると、現在のハング競技がより多くの方に楽しまれるようになり、活性化するのではないかと私は思うのです。

今まではツノありの機体は、競技しても話にならない!ということで、学生や年配の方、そして、ツノなしにのれない女性等は競技をあきらめていましたが、このような方にも対等に点数がつくことにより、より、多くの方が競技を楽しめ、ハング界全体のレベルアップにつながると私は思うのです。

点数に係数が掛け合わされる様になれば、ツノありで一生懸命トップクラスのレーサーを追いかけながらも、機体の性能差でおいていかれてしまっても、今まではそれでトップ争いから「脱落」でしたが、少々遅れても係数が上乗せされることを知っていれば、あきらめずに先を狙えば、「ひょっとしてまくれるのでは?」と、希望が持てるようになると思うのです。

そして、若い人にこのような考えを持ってもらえれば、上達が早くなるのではないでしょうか?

ですから、私はこの考えは結構いい様に思えるのです。

もちろん、世界選手権の選手の選考等には、この制度で浮上してくる選手は加えることは出来ないでしょう。

そして、この制度を実施するに当たり、実際にツノありの機体に掛けられる係数ですが、これは単純にツノなしと比べた滑空比の比率を逆数にしたもの、つまり、ひっくり返したもの等、アバウトでも良いように思えるのです。

なぜならば、そのような選手は最初から世界選手権に参加することは考えていないだろうし、

あくまで、一流の選手と共に競技を楽しめることが面白い!と考えると思うのです。

これは私の希望ですが、私が敬愛する西富士のタケさん(ツノありでフライトを楽しんでおられますが、競技の世界にも興味をもたれている)なんかが、大門氏の隣で表彰台に立っているのなんて、とても素敵に思えるのです…。

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もっとも気を使うハーネス?

2010-11-03 18:00:34 | ハーネス(HG harness)

Cimg0372 本日、女房の誕生日祝いにプレゼントしたハーネスを、本人に試着させました。

もちろん、私が製作。

本人に希望カラーを聞いてみれば、ランディングにはバッチリの自身がある人のみが許されている色。

シロでした…。

汚れる前のワンショット。(女房に失礼!)

今まで300着ほどのハーネスを作りましたが、シロは初めて(でも、確かにかっこいい)だったので、ブログに載せておきます。

ランディングに自身のある方は参考にしてください?

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