飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

鎧が出来るまで その32

2009-09-30 09:45:45 | ハーネス(HG harness)

Dscf0020 ジョイント製作の一番最初の工程は、実は、ジョイント固定用の穴をあける事から。

この段階で、六角棒にはたくさんの穴があけられます。

ちょっと考えでは一番最後の工程のようですが、短く切断した後では穴あけ作業がやりづらく危険も伴うため、この段階であけてしまいます。

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鎧が出来るまで その31

2009-09-29 19:43:24 | ハーネス(HG harness)

Dscf0019 前回ご紹介したジョイントは、初めはご覧のような六角棒から削りだして製作していきます。

精度的には、旋盤を使用しなくても、キャスト(鋳物)の方が安価に出来るのですが、年間の生産量が中途半端な数(200個ほど)のため、少量生産が効く削りだしで作っています。

少々オーバークオリティーなのですが、現状はこの方が効率的です。

この六角棒は7N01アルミの押し出し成型品で、もともとはオートバイのフレーム用として生産されていたものを流用しました。

7N01材は、強度は7075にはかないませんが、衝撃を受けても曲がって力を吸収し、折れることが極めて少ない、信頼性のある材質です。

RXCハーネスには、この7N01材が他にもピッチトリマーと、スライドレール台座の角パイプに使用されています。

航空用の材料は、強度や軽さはもちろん大事なのですが、重要な箇所については、たとえ衝撃を受けても材料が「アメ」のように曲がってくれ、決して破断せず、重大な破壊を防ぐような、信頼性の高い材料が多く使われています。

ハンググライダ-に多く使用されているANボルトも、まさにこの例で、衝撃を受けても、曲がって破断することを防いでくれています。

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鎧が出来るまで その30

2009-09-28 19:00:29 | ハーネス(HG harness)

Dscf0023 次は、分割フレームをつなぐジョイント部の製作をご紹介します。

RXCシリーズのハーネスには、写真のような二つのバックプレートをつなぐジョイントが使用されています。

このジョイントには、二つの形があり、一つは先端がボール形状、もう一つはお皿の形になっていおり、この二つのジョイントをスプリングが覆ってフレームをつないでいます。

この形は、一般の工場用にはあまり使われてないもので、むしろ、生物の関節部に近い構造をしています。

このような特徴的なジョイントを使用したのには、もちろん、大きな理由があります。

一つは、構造が単純で壊れないこと。この形式ならば、無理な力がかかっても、スプリングがその力を逃がしてくれます。

もう一つの理由なのですが、皆さん、ちょっと考えてみてください。

ある程度の厚みのある「板」を二枚用意します。そして、その板をピッタリと包み込むように袋をかぶせたとします。

さて、この二つの板が入った袋を、スムーズに曲げることが出来るでしょうか?

答はノー。曲がるとき、曲がりの外側の袋の部分が無理やり引き伸ばされてしまい、スムーズには曲がらないはずです。

鎧シリーズ、RXCのジョイントにスプリングを使っているのはこのためなのです。

二つの間のジョイントに、縮むことができるスプリングを使えば、バックプレートがハーネスの袋の中に入っていてもスムーズに曲がることが出来るのです。

弊社以外にも二分割フレームを使うハーネスはありますが、このことを考慮しジョイントを工夫しているのはRXCシリーズのハーネスのみ。

私は、二分割フレームのハーネスは、このジョイント部の構造がスムーズに曲がるようなものになっていてこそ、二分割フレームは完成した形とは言えないと思います。

スペインの有名な建築家、アントニオ ガウディ-はすばらしい言葉を残しています。

「お手本は自然の中にある。設計者はそれを真似るだけ…」。

まさにその通り。自然界には淘汰された上の、完成された形が存在しているのです。

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鎧が出来るまで その29

2009-09-26 20:48:24 | ハーネス(HG harness)

Dscf0015 前回では、スライドレールの固定を、ボルトを使って行うことについて紹介しました。

しかし、そのボルトも、スライドレール台座の角アルミパイプの奥にある、小さな穴に入れなければボルトは挿入できません。

さて、それでは角パイプの奥の穴にどうやってボルトを入れるのか?

正解は、写真のちょっとした工夫です。

ドライバーの先にビニールチューブをかぶせ、それにボルトを挿入しているのです。

ちょっとしたアイデアなのですが、狭い場所にボルトを入れるときは大助かり!

ちょくちょく使える方法なので、覚えておいて損はないですよ。

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鎧が出来るまで その28

2009-09-26 09:43:11 | ハーネス(HG harness)

Dscf0018 ネジ穴を切ったスライドレール心棒に、ステンレスパイプをかぶせて、スライドレール台座に差し込みます。

その後、後方のスライドレール固定のため、前回あけたネジ穴に6ミリネジを差し込みます。

そして前方のスライドレールの固定。これについては「技」を使っています。

同じ方法で固定しようとしても、ネジを回すと心棒も一緒に回るためネジが入らず、心棒が回らない方法で固定する必要があります。

コストをかけずに、確実に、手早く固定するため私が考えたのは、台座の中でスライドレールにボルトを貫通させる方法です。

実は、スライドレールが台座に隠れている部分には「穴」があけられています。

普通に考えれば、この穴にボルトを通してナットで固定ですが、台座の角パイプの奥のボルトにナットを通すのは至難の業。

そこで、私はボルトの径よりわずかに狭い穴をあけ、そこにボルトを通し、ネジを新しくきりながらボルトを貫通させる方法を取りました。

この方法ならば、スライドレールの固定にはボルト一本で済み、新しくネジをきりながらボルトが入るので、ボルトが弛むことはありません。

滅多にはずすことがない箇所には、この方法が使えると思います。

工業的にも応用が出来そうな方法なので、もし、この方法が使えそうであれば使ってください。

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