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飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

フラットスピンからの復帰 その2

2018-01-28 12:00:23 | ハング(hangglider)
現在のハンググライダーは、安全面でとても良く出来ています。

この記事で取り上げているフラットスピンは、基本的には市販されているハンググライダーでは、まず、入ることはありません。

メーカーが開発時に、そのような危険な症状に陥る機体があれば、調整をして、フラットスピンに入らないようにしているからです。

だから、ほとんどのハングフライヤーの方は、翼端失速やフラットスピンは経験したことがない筈です。

しかし…。

まれにですが、条件が合うとフラットスピンに入ってしまうこともあり得ます。

その条件とは…。

一つは、

リーディングエッジに「ルミラー」が入っていない、シングルサーフェイス機で、セールがくたびれてしまったもの。

もう一つは、

固定翼機で、機体のサイズに対し、軽い体重で乗ってしまった場合。

私の経験では、この二つの条件があると、翼端失速からフラットスピンに入ってしまう可能性があります。


まず、最初のルミラーが入っていないシングルサーフェイス機の場合は、適正なセールの状態が維持されていればよく、古くなったら早々に機体、あるいは、セールを変えましょう。

もっとも、最近はルミラーが入っていない機体というのも無くなってしまいましたね!

二つ目の、固定翼機で機体サイズに対し軽い体重で乗ってしまった場合ですが、まさに私のケースがそうでした。

固定翼機の場合、機体サイズに対し軽い体重で乗ってしまった場合、そのバランスから重心位置が後ろ気味になります。

その結果、機体の安定性が少なくなりフラットスピンに入りやすくなるのです。

ちなみに…。

一般的なフレキシブルウイング機ならば、これは反対になります。

機体サイズに対し軽い体重で乗ってしまった場合は、逆に重心位置が前になります。

これは、ハンググライダーは風圧中心位置、重心位置、そして、機体自体の重心位置がほとんど同じようなところにあるために起こる現象です。



さて、ハード的には上記のような条件にならないようにすれば、フラットスピンに入らないのですが、もしも、もしも入ってしまった場合…。

普通の方ならば、びっくりして、まずは反射的にフラットスピンの回転を止めようと回転の逆側に体重移動します。

そして…。

すごい勢いで降下するので、ベースバーを押してしまいます。

…。

…。

実はコレ、両方とも大きな間違いで、絶対にやってはならぬもので、この操作の結果、フラットスピンは更に激しくなって墜落してしまうのです。

これは過去、不幸にしてフラットスピンに入ってしまい墜落した方が、共通してやってしまっています。

なぜ、フラットスピンに入ったとき、上記のことをやってはいけないのか…。

下の図をご覧ください。



フラットスピンに入っているときの翼端の状態を表していますが、ただでさえ失速しているのに、これに更にあて舵を当ててしまっても、失速が大きくなって抵抗が増えるだけで、余計に回転してしまうだけなんで

す。


そして、ベースバーを押してしまうことも同じ…。

更に失速を激しくしてしまうだけです。


ここまで説明してしまうと、フラットスピンに入ったときの対処法はもうお分かりになりますよね!

そう。

決してフラットスピンを止めようとあて舵を打ってはならず、ベースバーのセンターの位置に体を維持する。

更に、

ベースバーを軽く引き、重心位置を前にする。

ことなのです。


言葉で説明すると簡単なのですが、いざフラットスピンに入ってしまうと、上にも書いたように、恐怖でどうしても反対のことをしてしまうものです。

しかし、「知識」として、フラットスピンの対処法を知っていれば、この危険な状態から、あなたは復帰できるかもしれないでしょう…。
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フラットスピンからの復帰

2018-01-20 09:55:12 | ハング(hangglider)
私は今まで数多くのハンググライダーのテストをしてきました。

メーカーさんのグライダー開発のお手伝いが主でしたが、中には雑誌のレポート記事の作成のためなどもありました。

そんなハンググライダーのテストは、どうしても危険を伴います。

だから、いつも私は慎重には慎重を重ね、それらのテストを進めてきました。

しかし…。

その中で、唯一、大きなミスをしでかしたことがあるんです。

それが、今回ご紹介するフラットスピンだったのです。

今回はそんな、唯一私がヤバい思いをしたお話をいたしましょう。


今から15年以上前のことです。

私は雑誌社のレポート作成の依頼を受け、当時最新型だった固定翼機のレポートを書くために、テスト飛行を行いました。

固定翼機とは、一般的なアルミパイプとセールで出来たハンググライダーとは違い、形は似通っているものの、その構造が飛行機と同じような機体のことです。

この最新型の固定翼機は、ある特徴を持っていました。

リトラクタブル フラップです。

通常、固定翼機にはフラップは常識的に付いていますが、この最新型固定翼機は、そのフラップが高速飛行時に翼内に収納することができたのです。

これにより、空気抵抗を少なくすることができ、より、高速での滑空が可能だったのです。



私はこの機体の性能を限界まで見てやろうと、飛び立った後、筑波山の上空まで移動。

そこで、筑波山山頂から安定して出るサーマル(上昇風)を使って、この機体の性能を繰り返し確かめ始めました。

最高速度、その時の安定度。低速性能。操縦性…。

雑誌のレポートとして不足のないように、あらゆるテストを繰り返していたのですが…。

最後に、完全失速にてどのような挙動が出るかテストしてみることにしました。

念のために、高度を海抜1500メートルまで上げて、まずは、軽く失速テスト…。

割と穏やかながらも、ちょっと気になる挙動が出ました。

少し、翼端の方が先に失速するような、翼が片翼だけ後ろに引っ張られるような挙動が出たのです。

「少しこの挙動気になるな…。もうちょっと掘り下げてテストしてやろう!」

そんな変な色気を出してしまい、今度は、この機体の特徴である「リトラクタブルフラップ」を、全部収納した状態で、完全失速に入れてみました。

それが大きな失敗だったのです。

風の音が消え、機速を失った機体は…。

翼端失速から、いきなり、フラットスピンに入ってしまったのです。

これはもう、かなり極端な入り方をしてしまいました。

スピン…。というよりは、いきなり左側の翼か無理やり後ろに引っ張られたというか…。

機体がグルグル回るというよりは、独楽のように機体の中心を軸としてそのままその場で回り始めたという感じでした。

非常に危険な状態です。

それまで経験したことのない、極端なフラットスピン…。



ヤバい!これは緊急パラシュートの射出か!?

と、思いましたが、ピッチの安定がわずかながら残っていることに気が付きました。

安定性がわずかながらも残っているということは、翼の一部はまだ揚力が生きているということです。

「これは何とかなるかもしれない…。」

そう思った私は、緊急パラシュートの射出をやめ、とりあえず回復動作を試みてみました。

フラットスピンの回復動作は…。

決して機体の回転を止めるようなあて舵はとってはいけない。

それと、

重心を前に保って静かに待つ。

最後に、

祈る!ことです。

私は上記のフラットスピン回復動作を試みて、最後は「頼む!直れ!!」と祈りました。

そうすると…。

機体は3回グルグルと回った後、機種を下に向けしばらくほぼ垂直に落下した後、バン!っと、いきなり回復したのです。

回復した瞬間、かなりのGを感じました。

…。

…。

心臓バクバクです。

時間にしたらわずかなものでしたが、高度計を見たら200m近く落下していました。

しばらくは放心状態で飛んでいましたが、とりあえず助かったようです!



コレが、唯一、私がヤバイことになってしまった事例です。


フライト後、私は自分の軽はずみな判断を、大いに反省しました。

そして、なぜ自分が危険なフラットスピンに入ってしまったのかを、考えてみたのです。


次回は、私自信の反省点について、並びに、ハンググライダーにとってとても危険な、この「フラットスピン」に入ってしまったらどうすべきかを、詳しく解説したいと思います。



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車中泊車に暖炉がつけられるか!

2018-01-04 22:14:44 | 旅(freedom person)
最近、ちょっと気になるアイテムがあります。

それがコレ!



バイオエタノール暖炉といいます。

燃料はエタノール。

電源などが不要で、燃料のエタノールを入れて火をつけるだけで、暖炉が楽しめます。

煙突などの工事もいらず、ただ置くだけで直ぐに使用できます。

これ、車中泊の暖房として楽しむことができるのではないか?って、いま考えているんです。

もちろん、狭い車の中では、酸欠になることは十分考慮に入れなくてはいけません。

また、裸火をそのまま車中で焚いては危険なので、何らかの防火処置は必要でしょう。

でも、電源もいらず音もせず、しかも美しい炎が楽しめてしまうこの道具に、私は冬でも車中泊で快適に過ごせる、新しい可能性を感じているのです。


現在、車中泊の最高の暖房といえば、おそらくFFヒーターになると思います。

これは、ファンヒーターを車用に使いやすくしたようなもので、車の燃料を暖房にそのまま使うことができます。

FFヒーターの良いところは…。

・車の燃料がそのまま暖房に使える。

・汚れた空気は外に出すので安全。

・現在、車中泊暖房としては最強の暖かさがある。

などの長所がありますが…。

欠点として、

・車の改造が必要で、結構お金がかかる。

・外部に音が漏れるので、近隣の車中泊車の方に気を使わなければならない。

などがあります。

このバイオエタノール暖炉では、上記のFFヒーターの欠点が二つとも無くすことができるのです。

おそらく、うまく作れば、暖房効果もそれなりには期待できると思っています。



我が家は薪ストーブを楽しんでいます。

薪ストーブは本当に暖かく、心地よい暖房器具です。

そして、炎がとても美しく、見ていて飽きることがありません。

薪ストーブにはそんな魅力があるのですが…。

薪ストーブが心地よいが故に、冬に車中泊旅行に出かけることが無くなってしまったんです…。

でも、もし車中泊で薪ストーブと同じような「炎」が楽しめるのであれば、冬の車中泊でも楽しく過ごせそうです。

そんな理由で、私は今、このバイオエタノール暖炉に注目しているのです。


このバイオエタノール暖炉を車中泊用に適したものにする方法を考えてみると…。

・バイオエタノール暖炉の周りは鉄で覆い、炎の熱を鉄に伝えて「遠赤外線」を作り出し、薪ストーブと同じ理屈で体の芯まで暖まれるようにする。

・小さな煙突を取り付け、車中の空気を汚さないようにする。

・熱効率を高めるために、ストーブ上部にバッフル(炎返し)を設ける。

・バイオエタノール暖炉の周りは、「ケイカル板」などの不燃材で覆い、その外は熱が伝わらないように空気層を設ける。

などの工夫を今考えています。

薪ストーブに詳しい方なら分かると思いますが、上に紹介した工夫は、すべて薪ストーブの技術です。



確か、本当の暖炉が付いた、最高級のキャンピングカーというものがドイツ製であったと思います。

価格はなんと3億円!!!

しかし、このバイオエタノール暖炉をうまく使いこなせば、3億円のキャンピングカーと同じように、車中泊で炎が楽しめるかも知れないのです。


これはトライしてみるだけの価値はあるでしょう!








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