前回に引き続き、我が家の薪ストーブの炉台を紹介いたします。
我が家の炉台は、軽くて加工性が良く、しかも、素晴らしい断熱性と耐火性を持っているALC(発砲コンクリート)を使って作りました。
しかしながら、頭を悩ませたのは「炭化火災」という現象です。
これはどういうものかというと、高温でなくても、長時間木材等に熱が加えられると、まず「炭化」が起こり、次にそれほど高温にならなくても、その炭化した「炭」に引火して火事になるという現象で、薪ストーブにとって最も恐ろしいものです。
ウチの薪ストーブは、下の部分はあまり熱が出ないため、炉台部分はそれほど気を使う必要がないのですが、問題は「炉壁」の方でした。
炉壁にはかなりの熱が加わることが予想できていたのです。
ALCを使用した炉壁の場合、一般的に自作で用いられている方法は下の図の方法でした。
まずALCと壁との間に空気層を作るため、木材を壁に打ち込みます。
そして、その木材にALCをスクリューで取り付けるという方法です。
しかし、この場合、スクリューから木材に熱が伝わり、炭化火災の可能性があると私は考えました。
あまり回りが熱くならない薪ストーブならばそれでも良いのでしょうが、ウチの薪ストーブは、二次燃焼室が背後にあるタイプで、後ろが驚くほど熱くなります。
だから一般的なALCによる上の工法は使いたくなかったのです。
と、言っても、ALCは切ったり貼り付けたりは容易ですが、基本的に「ボロボロ崩れる軽石」のような素材ですから、それの強度をあてにした作り方ではすぐに壊れてしまいます。
さんざん考えて、パッと私の頭の中でひらめきました!
「アルミをサンドしてやればいいじゃないか!」
で、考えたのが下の図の方法です。
しかし、このままだとスペーサーのALCにはスクリューが効いてくれませんから、アルミの板を挟み込んだのです。
こうすれば、炉壁を押さえるスクリューの熱は、熱伝導率のよいアルミ材に分散され、壁の中の柱へはほとんど伝わりません。
図ではスクリュー同士の位置はかなり近いようですが、実際には上下の距離があります。
そのようにして、実際に作った炉壁の断面です。
この方法ならば、表面のALCはスクリューによりアルミ材にしっかり固定され、そして、そのアルミ材は別のスクリューで壁に固定出来るわけです。
この考えで、上の写真の「枠」を作り、それに炉壁となるALCを固定したのです。
この方法は「大成功」でした。
炉壁はしっかり固定でき、しかも、薪ストーブにとって一番恐ろしい炭化火災の心配もありません。
自画自賛になりますが、ALCを使用した自作の炉壁を作る場合、この方法が最も安全ではないかと思っています。