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飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの乗りこなし術 その6

2014-05-17 19:28:33 | ハング(hangglider)

前回では小難しいポーラーカーブの使い方についてご説明しました。

しかし、そのような小難しい理論が分からなくても野性的?な方法で、前回ご説明したポーラーカーブから算出されるベスト滑空速度を一発で見極められる方法がありますので、それについてご説明します!

その野性的方法とは‥。

「静止点法」という方法です。

これはどのようなものかというと‥。

2

上の写真をご覧ください。

あなたは今滑空しながらこの太い線に向かって真っすぐに進んでいます。

この時、あなたの見ている視界にどのようなことが起こるかというと‥。

上の細いライン。

このライン上の景色は、あなたが前へ進むほどに「上方」へ移動していってしまいます。

逆に、下の細いライン。

このライン上にある景色は、進むほどに下の方へ動いて行ってしまいます。

あなたがまっすぐ進んでいる太いライン。

このライン上の景色だけが、いつまでたっても同じ目線、角度に見えてしまうのです。

この方法で自分のグライダーの滑空比を読み取るのが静止点法なのです。

そして、この静止点法を使って、出来るだけ静止点となる場所が遠くになるように速度を調整すれば、その速度が最良滑空速度になってしまうのです!

どうです?

いちいち手間のかかるポーラーカーブをとって小難しいことをしなくても、この方法ならば分かりやすいでしょ?

しかも、にくいことにこの静止点法を使えば、ヘッドウインドだろうとフォローだろうとどんな風向きでもベストな滑空速度を割り出すことが出来るのです!

常に一番遠くに静止点がなるように速度を調整するだけ‥。

これだけなんです!

が、実はこの静止点法。結構使いこなせるまでは訓練が必要なんです‥。

グライドの途中では当然リフトがあったりシンクがあったり‥。

一生懸命静止点を見つけようと速度を調整しても、結構上下動があるので、なかなか本当の最良滑空速度を見つけるのは難しいことなのです‥。

ちなみに‥。

偉そうに説明している私も、実はこの静止点法が大の苦手‥。

いつも大会などでは、きっちりこの静止点法が使えていないので、ゴールするときはみっともないくらい高い高度を余らせてしまいます‥。

(ちなみに鈴木H司氏などは、じつにこの静止点法がウマい選手だと思います)

このように、静止点法はフライトコンピュータやポーラーカーブなどを使わなくても、ベストなグライド速度が見つけられる方法ではあるのですが、その反面、使いこなすのは結構な訓練が必要であることも事実です‥。

が。

が!

実は、小難しいポーラーカーブや、熟練を要する静止点法を使わなくても、誰でも簡単に最良滑空速度を直ぐに見つけてしまえる方法が、現在ではあるのです!!

次回はそんな魔法のような方法についてご説明いたしますね!

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ハンググライダーの乗りこなし術 その5

2014-05-08 20:53:32 | ハング(hangglider)

ハンググライダーの性能を分かりやすく表すために、ポーラーカーブというものが用いられます。

これは、横軸に速度、縦軸に沈下速度を表示していったもので、以下のような表になります。

Photo_2

0から引っ張った線がポーラーカーブに接したところが「最良滑空速度」とその時の沈下速度を表している訳ですね!

ちなみにこのポーラーカーブで風がある場合の最良滑空速度までも知ることが出来ます。

たとえば向かい風が5m/sのとき。

Photo

速度の軸を5m/s前に移動して、同じように接線を引けばいいわけですね!

同じように、追い風の場合

Photo_5

そして、2m/sの下降風の場合は

Photo_6

そして、2m/sの上昇風の場合

Photo_7

これらはポラーカーブを使ってその時のベストグライド速度を算出するときによく使われるもので、高度なバリオなどに機能としてつけられているフライトコンピュータがおこなってくれる計算でもあります。

しかし、しかし‥。

これらは、基本となるポーラーカーブがちゃんと正確に測れていなければ、、まったく意味がありません!

で、そのポーラーカーブなんですが、これ、正確に測ることって実はとても難しいことなんです‥。

結論を言いますと、どんなに頑張っても正確には計れません!!!

と、言い切ってしまうと元も子もないのですが、頑張って測定するとしたら、早朝の接地逆転層がしっかり形成されている時などを狙ってやってみるしかないと思います‥。

バリオによっては一度飛ぶだけでデータをとってしまえる機種もあるので、そんな機能は生かしたいところですよね!

また、ポーラーカーブを数値としてバリオに入力しなければならないタイプの機種の場合、

はっきり言って全速度域のデータを正確に測定するのは不可能なので、以前ご説明した最小沈下速度、そして、最良滑空速度、更には高速域の任意の地点のデータの3か所を測定し、

その3点をエイや!っとだいたいの線でつないだものの方が、かえって正確に出来たりするものです。(笑)

ここで大事なのは、バリオの表示する数値は実はとてもいい加減であることを念頭に入れておくことです。

バリオの表示している数値なんて、はっきり言ってなんの信頼性もありません。

バリオ個々の個体差で、結構表示値は変わります。

ですから、たとえ同じグライダーでも、人がとったデータは全く使い物になりません‥。

ポーラーカーブのデータをとってみたいならば、必ずご自分のバリオで取ってくださいね!

今回は小難しいポーラーカーブの使いこなしについてご説明しましたが、実は、こんな手間のかかることをしなくても、一発でどんな条件でもグライダーのベストグライド速度を知る方法があります。

次回はそれご紹介しましょうね!

 

 

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ハンググライダーの乗りこなし術 その4

2014-03-17 20:23:47 | ハング(hangglider)

前回はハンググライダーの最小沈下速度の探し方についてご説明しました。

そして、今回はそれを元にして、ハンググライダーをもっとも遠くに飛ばすことが出来るスピード「最良滑空速度」を求める方法についてご説明します。

その前にですが、まず、前回ご説明したグライダーの最小沈下速度について、出来るだけ正確に求めることが必要になってきます。

あなたのグライダーの最小沈下速度は、前回でもご説明したようにハンドリングが重くなり、アドバースヨーが出る直前のスピード、そして、バリオの針が静かな気流の中で、その沈下速度が最小を示しているかどうかしっかりと確認して、その時のスピードを覚えてください。

それでは、最小沈下速度から最良沈下速度を求める方法をご説明します。

それは‥。

‥1.3を掛けるだけ。‥‥です。

そう。単純に1.3を掛けるだけ‥。

実は、これは理論的に証明されているものであり、どのようなグライダーでも、最小沈下速度を1.3倍した速度が最良滑空速度になるのです!

たとえば、あなたのグライダーの最小沈下速度が30Km/hならば、

30×1.3=39Km/h

これが最良滑空速度になるのです!

とても簡単!

これは、逆に言うと「最良滑空速度」が分かれば、そのスピードに1.3の逆数の0.76を掛けてあげると「最小沈下速度」が求められるということにもなります。

この方法ならば、最小沈下速度さえ正確に分かれば、飛びながらでも暗算で最良滑空速度が求められるので、グライダーを乗りこなすうえではきわめて短い時間でそのグライダーの飛ばせ方をマスターすることが出来るのです!

この講座の「その1」で説明したフレアーのタイミングから始まり、最小沈下速度の求め方、そして、今回の最良滑空速度を求める方法‥。

ここまですべてが、実は極めて短い時間で知ることが出来るのです!

もちろんこれらの方法は「おおざっぱ」ではありますが、グライダーを乗りこなすうえではベースになるデータとして十分に使えると思います。

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ハンググライダーの乗りこなし術 その3

2014-03-10 20:15:48 | ハング(hangglider)

前回フレアーのタイミングの説明で、「最小沈下速度」というものをご紹介しましたが、今回はこの最小沈下速度について、もっと掘り下げて考えてみたいと思います。

まず皆さんは、ご自分のグライダーの最小沈下速度を知ろうとしたとき、どのような方法をとるでしょうか?

多くはバリオの針とにらめっこし、最小沈下となった時の速度をスピードメーターで読む方法をとると思います。

しかし、実はもう一つ最小沈下速度を知る方法があるのです。

その方法とは‥。

まずゆっくりとベースバーを前へと移動して行ってください。

グライダーは速度をゆっくり失いながら、徐々にロールのコントロールが重くなっていくことが分かると思います。

更に速度を落とすと、グライダーは最小沈下速度に入ります。

この時翼はどのような状態になっているかというと、揚力係数が最大となっており、まだ翼のどこも失速していない状態になっていますが、この速度から少しでも遅くなると、まず翼の中央の後縁部分から失速が始まってしまいます。

この失速が始まった速度からもっと速度を落とすと、実は面白い現象が翼に現れ始めます。それは、アドバースヨーなのです!

Photo

アドバースヨーとは、旋回のために体重移動したときに、ノーズが旋回したい方向とは反対の向きに向いてしまう何とも厄介な現象です。

大昔のハンググライダーではよくこのアドバースヨーが発生していましたが、しかし、現在のハンググライダーはよくチューニングされており、まずこのアドバースヨーで悩むようなことはありません。

しかし、最小沈下速度を下回る速度で飛行したときに、現在のハンググライダーでもアドバースヨーを体験することが出来るのです!

ベースバーを押し出して行って最小沈下速度を過ぎたあたりから、グライダーがブカブカとしはじめて、アドバースヨーの発生で思うように方向が定まらなくなり始めます。

この状態をマッシングといい、この速度域ではグライダーのコントロールは困難になります。

このような状態になる理由は、翼に失速が始まるため、翼としての機能が失われ始めるからです。

つまり、このアドバースヨーが始まる直前のスピードが最小沈下速度と判断することが出来るのです。

実際の感覚としては、スピードを落としていくうちにロールのコントロールが重くなりながら

、やがて体重移動した方向にノーズが向かなくなり始めたその時の速度!と考えればだいたい正解であると思います。

この方法でグライダーの最小沈下速度を求める場合、空気の上下動に左右されず、バリオの針の振れで最小沈下速度を知るよりも早くその速度が分かるため、私の場合はもっぱらこちらの方法で調べていますが、バリオの振れと併用すれば、より正確に最小沈下速度を知ることが出来ると思います。

このような方法を用いれば、最小沈下速度をより正確に知ることが出来るため、前回のフレアーのタイミングも、より正確に知ることが出来ると思います!

更に‥。

もし、あなたがご自分のグライダーの最小沈下速度を正確に知ることが出来ると、実は、グライダーをもっとも遠くに飛ばすことが出来る最良滑空速度も、簡単に知ることが出来るのです!

その方法については次回ご説明いたします!

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ハンググライダーの乗りこなし術 その2

2014-03-05 21:28:55 | ハング(hangglider)

前回ではフレアーのタイミングは、グライダーのピッチバープレッシャーがニュートラルの時であることをご説明しました。

しかし、それはあなたの乗るグライダーのニュートラルポジションが「最小 沈下速度」にあっているときにのみいえることです‥。

それでは、あなたのグライダ-のニュートラルポジションが最小沈下速度にあっているかどうか‥。今回はそれについてご説明します。

まず、現在のハンググライダーのニュートラルポジションは、ほとんどの機体は最小沈下速度

に設定されています。

これはフライト中もっとも多い時間はサーマリング中であり、この時のバースバーのポジションが「最小沈下速度」の時の速度に設定していると、丁度釣り合いが取れ肩の力を抜いて飛んでいられること。そして、サーマリング中力が抜けることにより、より風の微妙な変化も感じ取ることが出来るため、サーマルの様子が分かりやすくなるためです。

さて、それではどのようにすれば、あなたのグライダーのニュートラルポジションが「最小沈下速度」にあっていると判断できるのか‥。

それには、風の穏やかな空域でフライトしているときに、バースバーから手を離してみてください。

ゆっくりとベースバーが前に出て、しばらくの間ではありますが、ブカブカとそのまま安定して飛んでいるようであれば、だいたいですがあなたのグライダーのニュートラルポジションは最小沈下速度にあっていると判断できます。

これが手を離した途端、失速するか、あるいはノーズをあげながら左右どちらかにとられて横滑りに入るようならば、あなたのグライダーのニュートラル速度は遅すぎます。

逆に、手を離してもスーとそのままスムーズに飛び続けるようであれば、ニュートラル速度は最小沈下速度よりも早い設定になっていると判断できます。

この方法で、だいたいですがニュートラル速度が適正かどうかは判断できます。

さて、これでグライダーのニュートラル速度が最小沈下速度になっているかどうか分かるので、あとは前回ご説明した要領で、フレアーのタイミングを計れば良いわけです。

ここで、フレアーのタイミングの練習は、フライト中ランディングの時の一発だけ!と、思われている方は多いと思います。

しかし、よく考えてください。

フレアーのタイミングはアップライトから伝わるバープレッシャーがゼロになった時!ならば、これは上空でも疑似体験が出来るのではないでしょうか?

具体的には、上空でスタンディング姿勢をとり、アップライトを引き気味に飛びながら次第にその力をゆるめて行き、バープレッシャーがなくなるニュートラルポジションを実際に体験してしまえば良いわけです。

この方法ならば、何度でも気が住むまでフレアーのタイミングをつかむ練習が出来るのです!

お分かりと思いますが、この時は当然本当にはフレアーをかけないように!

あくまで疑似体験です。

あなたのグライダーのニュートラル速度が最小沈下速度にちゃんとあっているならば、この方法であなたは極めて短い時間でフレアーのタイミングをマスターできるはずです!!

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