脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

前年度覇者の力見せつける -EC4回戦 VS鳥栖-

2009年11月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 天皇杯は4回戦に突入し、この週末でベスト8進出を懸けた戦いが始まった。連覇を狙うG大阪は広島ビッグアーチでJ2・鳥栖と対戦。ルーカス、ペドロ、明神の得点で3-1と快勝を収め、ベスト8進出を決めた。

 

 時に強い日差しを受けながらも、雲が太陽を遮れば冷たい風が空席の目立つスタンドに吹き込んでくる。G大阪は代表で不在の遠藤の代わりに橋本が明神とボランチコンビを形成。右MFには佐々木が入るお決まりの布陣。一方の鳥栖は、ボランチの高橋、左MFの島田、FWハーフナーと主力は健在。J2で5位と健闘する実力をJ1屈指の攻撃的チームにぶつけたいところだ。

 
 岸野体制もあとわずか。
 鳥栖はJ屈指の熱血監督を男にすべくサポーターも熱い。

 前半からG大阪がパスワークで格の違いを見せながら、鳥栖ゴールに揺さぶりをかける。4分に明神のパスを受けた佐々木のミドルシュートで戦いの幕は上がった。的確なスライディングでボールを奪いに来る鳥栖の守備陣の気迫は立ち上がりから目立ったが、それでも先制したのは前年度王者のG大阪。9分に橋本がエリア内に侵入したところを鳥栖DF渡邉に倒され、PKのチャンスを得る。このPKをルーカスが決めて先制すると、ペドロとの連携を試合ごとに高めているルーカスが40分には左サイドから巧みに折り返してフリーのペドロのゴールをお膳立て。この場面では直前にルーカスに相手のチャージを受けながらもパスを出した佐々木のインターセプトと速攻への意識が効いていたことも付け加えたい。

 
 9分に橋本が倒され、PKのチャンスを得るG大阪。

 
 代表の南アフリカ遠征で遠藤が不在。
 このPKを蹴るのはルーカス。しっかり決める。

 後半開始直後に1点を鳥栖に返されながらも、その直後に明神が強烈なシュートを決めて3点目を奪い勝負をつけた。後半も通してG大阪のペースは保たれ、56分、62分には橋本、武井がゴールに肉薄。71分にはペドロのシュートがバーを叩くなど、少し追加点が遠かったが、75分に播戸が交代出場するとスタンドは盛り上がった。特に87分にはヘッドで鮮やかに合わせてゴールかと思うシーンがあったが、これはオフサイドの判定。もちろん播戸の演じたこのシーンにG大阪サポーターが大いに沸いたのは言うまでもない。

 
 終始安定したプレーを見せた加地が山瀬とマッチアップ。

 
 明神の守備エリアの広さには舌を巻く。
 どこにでも顔を出し、3点目のゴールを決める活躍も。

 
 遠藤不在時にはやはり二川の存在感が際立つ。

 
 ルーカスとの好連携が光ったペドロ。
 本領発揮は21日の清水戦からといきたい。

 
 MVPは文句なしでルーカスだろう。
 1得点2アシストと全得点に絡む大活躍。ペドロも活かした。

 
 残り少ないG大阪でのプレー時間。
 播戸は15分間のプレーにも関わらずスタンドを沸かした。

 鳥栖はG大阪から度々ボールを奪ってカウンターに繋げるものの、横パスが効果的に繋がらずG大阪のポゼッションを逆に高めることに。しかしながら、後半開始直後のハーフナーの得点は見事で、左サイドから島田のクロスを上手く左足で合わせて一矢を報いた。

 
 パスが繋がらない戦況の中、鳥栖はハーフナーが奮闘。
 得意の左足で渾身の1得点を返しアピール。

 
 左サイドからゲームを作る鳥栖の司令塔・島田。
 ハーフナーのゴールをお膳立てするもG大阪のプレスに苦しむ。

 
 岸野監督が試合を終えた選手たちを一人一人労う。
 鳥栖はまだJ1昇格の可能性をわずかに残す。切り替えたい。

 天皇杯連覇に向けて順調にベスト8まで勝ち上がってきたG大阪。来月12日の準々決勝ではJの舞台でも優勝争いをする鹿島とのマッチアップが決定。既にリーグは決着がついた後にはなるが、非常に大事な一戦となることは間違いなさそうだ。しかし、今回の鳥栖との試合は来週末に控えた4位・清水との対戦にも良い風を吹かせてくれることを予感させる内容だったといえる。