脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

完敗、立ちはだかった鹿島

2009年11月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1はラスト2試合を迎え、優勝争いも降格争いもクライマックス。逆転優勝の望みを繋いで、首位・鹿島との大一番に挑んだG大阪だったが、1-5という完敗を喫して今季の優勝は夢と消えた。

 強い。ただただ鹿島のその強さに感服するばかりだった。後半だけを振り返ると0-0で折り返したのが不思議に思えた。前半の序盤こそ鹿島のペースで試合は進められたが、この大一番で舞台は大観衆の詰めかけたアウェイのカシマ。まずは相手の得点を許さないことが鉄則だったが、それに則して言えば前半のG大阪は相手のチャンスを良くしのいでいた。相変わらず前線のマルキーニョスは縦横無尽に動き、ボールの受け方が上手い。その背後から野沢や本山、内田といった選手たちが飛び出してくるその分厚い攻撃は脅威だった。
 
 開始1分から野沢のFKに興梠、マルキーニョスが合わせてくる。10分には個人技からゴールライン際よりマルキーニョスがクロスを入れ、興梠が合わせるなどやはりこのコンビが恐い印象を与えてくれていた。26分にはG大阪もペドロがエリア手前で倒されFKのチャンスを得る。このFKこそ遠藤が決められなかったが、その1分後にもペドロが相手エリア内に深くドリブルで攻め込むなど、少しずつ攻撃のリズムは乗りつつあった。37分には野沢の際どいシュートを藤ヶ谷がファインセーブするなど、後半先に1点を狙うG大阪にとってスコアレスで終われたことは想定内だったといえる。

 しかし、後半その考えがいかに甘かったかを思い知った。56分に鹿島は小笠原のパスに反応した興梠が2度の切り返しを仕掛けて先制点となるシュートを決める。58分には興梠のエリア手前のシュートから野沢がループ気味に追加点を決める。一気に2点を奪われたG大阪は、その1分後に二川が1点を返すものの、62分に再び興梠に3点目のワンタッチシュートを決められる。直後にルーカスを退場で失ってしまったこともあり、85分には途中出場したばかりの田代、終了間際にはダニーロにまで決められて5失点。鹿島の重戦車のような攻撃を弾き返すことができず、G大阪はカシマで力尽きることになった。

 ここまでリーグ9試合無敗という流れは鹿島が相手では通用しなかった。確かに加地や中澤、山口ら守備陣が負傷がちで万全ではなかったこともあるが、前半をスコアレスで折り返せただけに、僅差の勝負になるだろうと、またそこでG大阪の勝負強さに期待が持てた。しかしながら、後半の45分間でチーム力の差が残念なほどに出てしまった。特にルーカスの退場の場面は、まだ2点差だっただけに避けたかったところ。それ以上に立て続けに失点を許したことが相当なダメージにもなっていたのだろう。

 この時期、このタイミングでの鹿島との直接勝負は最も嫌なシチュエーション。しかし、ここを自力で突破できないと優勝には手が届かない。例え鹿島が自ら連敗を重ねて順位を落とそうとも、終盤での勝負強さは相手の方が遙かに上だと感じさせられた一戦だった。なんとも悔しい。一時は優勝の二文字も見えない位置まで沈んでいたことを考えれば、ここでこれだけ巻き返せたことは今後の大きな糧にはなるだろう。3位以内を決定させて来季のACLの切符は掴んだ。とにかく愕然とするスコアの前に、今はただただその切符の重みを噛みしめながらホーム最終戦を勝利で終わってもらいたいと思うばかりである。