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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

08'ACLアウェイ道中膝栗毛③ チョンブリFC戦inバンコク

2008年05月08日 | ACLアウェイ道中膝栗毛
 
 G大阪が2008年ACLグループリーグにてチョンブリFCをアウェイバンコクにて2-0と撃破し、最終節を待たずに決勝トーナメントへの進出を決めた。うだるような現地の蒸し暑さの中、ピッチで戦う選手とスタンドに駆けつけたサポーター及び、日本で声援を送ったサポーター皆で掴んだ歴史的勝利だった。

 筆者がこの度駆けつけたのは弾丸ツアーとなる0泊2日の行程によるもの。6日の深夜(7日午前1:25発)に関空を発つTG673便にてバンコク入り。市内で時間を費やした後にスパチャラサイ国立競技場へと入る。試合を観戦後、すぐさま空港へ向かい、当日の23:59発TG672便で帰国するという強行日程だった。
 現地に到着すると、日本より遥かに高い湿度が体にまとわりつく。まだ早朝ともあって幾分かマシであったが、待機場所となるホテルに着いた頃には日差しが照りつけ、気温は上がっていた。文字通りの“暑さ”。これだけでも東南アジアでの“アウェイ”を感じずにはいられない。
 しばらく付近を散策して、行程に含まれている市内観光に繰り出す。自身4度目となるバンコク訪来だけにこの時間は少し余計だったと今更ながら思うが、数人で王宮に入らず、路地裏など周辺を散策できたのは現地の風情を楽しめたので良かった。散策中にぶらりと寄った大衆食堂で地元料理に舌鼓を打つ。炊いた米に適当に惣菜をかけて食べるのだが、独特の辛さに今まで大人しかった汗が一気に吹き出る。機内食しかロクに収めていなかった胃袋をわずか30タイバーツ(日本円で100円弱)の地元料理が満たしてくれた。

 通常は水上ボートを使って、暁の寺(ワット・アルン)→エメラルド寺院→王宮という行程が一般的だが、この日は対岸にある暁の寺に行く際にのみ水上ボートを利用。いつ乗っても、船内に吹き込む風と風景が心地良い。まるで、今夜大事な一戦を控えている緊張感は無かった。
 その後、ツインタワーホテルでの昼食を経て、ホテルへと戻った。ツアーお決まりの土産物店、免税店という行程を回避して、4人で待機場所のホテルまでトゥクトゥク(バンコク市内ではメジャーな三輪バイクタクシー)で戻ろうということに。これがかなり面白かった。距離もあってか、1人100バーツと予想以上の金額を言い出すドライバーをよそに出発。このドライバー、リスタートの際は必ずウイリー走行をするわ、かなりの走り狂らしく、右車線にはみ出して前方車を抜こうとするわで我々の肝を冷やしてくれる。そのエンターテイメント性を買って、全員が一人100バーツと奮発してやった。
 その後、ホテルで観光組の帰着をうたた寝などしてマッタリした時間を過ごしながら待つ。ホテルを出発してスタジアムに向かったのはキックオフ3時間前であった。

 スパチャラサイ競技場に着くと、都市部の中心街ともあって、周辺は既にチョンブリサポーターで溢れ返っていた。スタジアム前は彼らのお祭り騒ぎ。至る所で声を掛けられるものの、そのどれもが友好的で時にジョークに満ちた憎めないものだった。彼らの大半がユニフォームやチームウェアを身につけ、マフラーも常備している。被り物をした者までいた。日本のサポーターとその点では変わらないが、やはり単純に比較しても、日本人の方が遥かにシャイだなと感じた。ここまで他国からやって来た敵サポーターに声をかけ、時には写真まで一緒に撮って欲しいとねだられる有様。本当に彼らとの交流は面白かった。
 G大阪サポは万博ゴール裏常連組を中心に40名ほどの顔なじみが揃っていた。遠い東南アジアの地だと言うのに、今から迎える一戦がどれだけ重要なものかを物語るこの参戦率。まるで久々の再会を果たしたかのようなテンションが弾け、自然と輪が広がる。
 スタジアムに入る際には、再入場用のスタンプを押してくれた。日本ではライブハウスなどに言った際に押してもらうようなもの。ペットボトルのキャップはNG。チョンブリはメインスタンドとバックスタンドに分かれて、試合前から応援合戦を繰り広げていた。観客の出足は遅かったが、光陽での全南戦を思えば比べものにならない。ここでは確かにサッカーが根付いている。それは試合が始まれば再び実感することになった。

 G大阪は遠藤が別メニューの調整を続けていたこともあり、スタメンを外れた。明神が名古屋戦の休息を挟み戦列に復帰。橋本と明神というコンビ以外名古屋戦とは変わらない布陣。すっかり日が暮れ照明に灯が入ったキックオフ時でも気温は35度と暑い。その変わらない湿度の高さも手伝ってか、試合はチョンブリのペースで試合が進んだ。
 サポーターの熱狂度もさることながら、コンディションの差を差し引いてもやはりチョンブリの選手たちは上手いなというのが率直な印象だった。万博での1戦目と違いベストメンバーを揃えてきたようだったが、チョンブリは再三フィニッシュの精度に欠けた。逆を返せば、GK松代を中心にG大阪は良く集中して守っていたと言えるだろう。遠藤不在の中盤はオーガナイズ力には欠けたものの、前述した前線の決定力で明暗を決めることができた。
 G大阪は長めの芝とその悪しきコンディションに苦しんでいたようだが、それはスタンドから観ていても良く分かった。セカンドボールを拾われてからのアプローチも含め、マイボールからのボールロストも多々見受けられた。そんなことも含めて前半は大人しい印象のG大阪だったが、後半のラッシュを狙っての戦い方なのかなとも予測できた。
 前線のタメが全く機能していなかった中で、後半途中の山崎の投入は見事にハマッた。サイドでもボールを受けることができる彼がその役割を見せる前に“先制点”というこれ以上ない仕事ファーストプレーで見せてくれた。灼熱のアウェイの地でいつもより遠く感じられた1点は我々の心にも完全に火をつけた。
 1点を取られた後がいつも問題ではあったが、この日は良く踏ん張った。76分にはルーカスが追加点を奪い、見事に勝利を手繰り寄せた。

 終わってみれば、2年前の戦績がウソのようなアウェイ全勝でのACLグループリーグ突破。試合後の歓喜を分かつ我々の下に指揮官は一人で挨拶に来てくれた。試合後のコメントにもあったように、チーム、サポーター共に“日本を代表して戦う”その姿がG大阪にも構築されたのだなと感じる。その共通意識を日本から遠く離れたバンコクの地で最高の結果として具現化できたことに西野監督も誇りを感じて、我々の下に歩み寄ってくれたのだろう。
 さあ、ここからは未踏のフィールド。9月からまだ経験し得ぬ決勝トーナメントの戦いが始まる。昨年の浦和の躍進に刺激される面は大きい。彼らと違ったG大阪の色でG大阪の歴史を作る時が来た。これが大成した時に必ずアジアの頂点は手中にできているはずだ。帰り際にチョンブリサポーターの一人からこんなことを言われた。「俺たちに勝ったその強さを必ずアジアチャンピオンになって世界に見せてくれ。それは俺たちの誇りにもなるんだ!ガンバ大阪!」と。これは本当に深く胸に響いた言葉だった。
 そんな最高の勝利とこれからのワクワクした期待感を胸に弾丸ツアーの帰国に向けて足早のスパチャラサイ競技場を後にしたのだった。

 追記:帰り際にも散々言われたことなのだが、チョンブリサポの皆さん、ユニフォーム交換できなくてごめんなさい。本当に友好ムードのあなた方に感謝します。改めて世界におけるサッカー文化の素晴らしさとタイのサッカー文化の発展を実感しました。本当にありがとう!チョンブリFC!

 


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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弾丸お疲れさまでした (マーチン)
2008-05-08 22:25:46
超強行スケジュールでの参戦、ご苦労様でした。
私は夕方に上海に戻りました。
昨日は勝利でGL突破出来て、本当に良かった。
初めての海外アウェイ遠征でしたが、最高でした。
行って本当に良かったです。ますますACL海外遠征
にハマリそうです。これから先が勝負です。頑張っていきましょう。
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Unknown ()
2008-05-09 01:15:08
>マーチンさん
コメントありがとうございます。

バンコクお疲れ様でした!
とりあえず、喜びもひとしお。
週末の横浜FM戦(昨年は勝てず)、埼スタでの浦和戦に絶対勝利できっちり休みに入りましょう!
ここらでACL気分を吹き飛ばして、リーグも安定した戦いぶりが見たいですね。

しかし、昨日の遠征組は史上最高の勝ち組ですよ!
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お帰りなさい! (ジョゼ)
2008-05-09 12:04:37
遠征お疲れ様でした。
GL突破を目の前で見れて羨ましい限りです。もしかしたら、脚さんはテレビに映ってたかもしれませんねw

タイでの出来事も楽しく読ませてもらいました!

全南戦は若手中心になりますかね?
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Unknown ()
2008-05-09 14:24:30
>ジョゼさん
コメントありがとうございます。

テレビ、めちゃめちゃ映ってましたw
今回のタイのレビューは次の「MG」にも掲載予定です。

全南戦は、逆にバックアップメンバーや若手が奮起しないとマズいでしょう。
西野監督ならそのあたりよく分かっていると思いますけどね。
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