脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

三冠の夢潰える... -G大阪vs浦和-

2011年10月10日 | 脚で語るガンバ大阪
 Jリーグヤマザキナビスコカップは水曜に行われた準々決勝に続き、9日に準決勝2試合が行われ、埼玉スタジアムではG大阪と浦和が対戦。浦和が2-1でこの試合に競り勝ち決勝戦への切符を掴んだ。決勝戦は10月29日に名古屋に勝利した鹿島を相手に行われる。

 

 先週のリーグ戦で顔を合わせたばかりの2チーム。しかしながら、両者陣容は異なっており、G大阪に至っては遠藤、イ・グノを代表招集で欠く他、加地、明神を故障離脱で欠くという状況。それでも地力を発揮して水曜の磐田戦は逆転勝利してこの準決勝に駒を進めた。この日は、磐田戦で見事な逆転勝利へのアプローチを描いたアフォンソを先発で起用。中盤にも磐田戦に続いて佐々木を起用し、その穴を埋めようとした。
 対する浦和は、先週のG大阪の対戦時と違って、代表招集で原口を欠きながらも、エスクデロが前線で先発。加えて梅崎、鈴木、濱田が先発に名を揃えた。

 
 久々に足を運んだ埼玉スタジアム。
 しかしながら、ホームゴール裏以外は空席が目立った。

 試合が始まると、序盤から浦和のペース。エスクデロがキレのあるドリブルで自陣からボールを運びリズムを作る。開始6分に強烈なシュートを放つと、G大阪はこれをGK藤ヶ谷がかろうじてセーブ。立ち上がりからリーグの不調を吹き飛ばすほどの浦和の執念が伝わる攻勢だった。

 
 キレキレだった浦和・エスクデロ。
 2日の万博での試合では出番すらなかったのだが…

 
 中澤がデスポトビッチと競り合う。
 この雰囲気に一番燃える男は彼だったが…

 17分には浦和は梅崎がG大阪ゴールを強烈なシュートで強襲。これはバーの上だったが、エスクデロだけでなく先週は先発でなかったこの梅崎も真価を発揮するプレーぶりで浦和を牽引。21分には藤ヶ谷がエスクデロのシュートを弾いたところをこの梅崎が決めて浦和が先制に成功する。
 対するG大阪は驚くほど見せ場が作れない。よく水曜は磐田に勝てたなという沈黙ぶりで浦和の前にほとんどシュートまでという場面を作れない。挙句には38分に梅崎のシュートをエスクデロが触る形で追加点を決められる。前半だけでまさかの2失点。それどころかリーグ最多得点のチームがまさかのシュート0本で終わってしまう。そこで戦う2チームの姿は7日前のそれとは全く対照的な出来となっていた。

 
 マルシオ・リシャルデスは周囲を活かすプレー。
 相変わらず技巧派だ。

 
 この数試合、出色のパフォーマンスを見せていた二川。
 無念の途中交代…これには疑問。

 
 今季初の先発出場となったアフォンソだが、見せ場を作れず。

 0-2で後半へ折り返したG大阪は、後半の頭から高木に代えて大塚を投入。武井をボランチから右サイドバックへ移動させ、中盤をダイヤモンド型にしてリトライ。そのトップ下の位置に入った大塚が積極的にボールに絡んでリズムを引き寄せようとする。後半開始直後には中澤のヘッドが惜しくもゴール右隅へという場面が。しかし、点差は2点。1発勝負のこの試合をひっくり返すためには3点が必要。これが大きくのしかかる。57分にはエスクデロのシュートがG大阪ゴールを襲う。62分にもマルシオ・リシャルデスの折り返しに梅崎があわやゴールというシュートもポストに当たるという場面。後半も未だ浦和のペースで試合は進んだ。

 
 中澤がシュートを決められず、この悔しがり様。

 
 後半から出場した大塚。
 ボールキープの面で力を発揮。得点も。

 
 佐々木の裏を狙う飛び出しもほとんどハマらず…

 この展開に指揮官も焦りを隠せなかったのか、70分に二川に代えて平井を投入する不可思議な采配を執ると、80分にはアフォンソに代えて川西を投入。ラフィーニャ、川西、平井の3トップへ。敗色濃厚となったアディショナルタイムにラフィーニャのキープからボールを受けた大塚がシュートを決めるが時すでに遅し。1-2で浦和の前に12試合ぶりに敗戦を喫することになった。

 
 ラフィーニャもなかなかシュートまで持ち込めない。

 
 
 平井、川西を入れるFW投入策も勝利には繋がらなかった。

 
 試合終了。G大阪の三冠の夢は潰えた…

 リーグ戦で驚愕の得点力を発揮するG大阪もさすがに主力4人を抜いての連勝は厳しかった。それ以上に浦和のこの試合にかける執念を随所に感じた試合で、特にエスクデロや梅崎など先週の万博の試合で控えに甘んじていた選手の奮起が凄まじかった。G大阪も交代策に決定打がなかったのは痛い。強いて言えば、大塚が堂々たるプレーで得点まで生み出したのは収穫だろう。
 決勝は、浦和と鹿島という対戦カードになった。しかしながら、浦和のホームゲームとしての埼玉スタジアムに3年ぶりに足を運んだが、入場者数が23,879人というのは本当に寂しいものがあった。2階席はほとんどが空席。かつてはこのカードに6万近い入場者が入っていたことを考えると、今季の浦和のリーグ戦績は観客動員に大きく影響していることを実感する光景だった。例年に比べ、少し早く決勝が行われるナビスコカップ。降格回避へこの大会の優勝で弾みをつけたい浦和にとっては大きな勝利だっただろう。