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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

完敗、立ちはだかった鹿島

2009年11月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1はラスト2試合を迎え、優勝争いも降格争いもクライマックス。逆転優勝の望みを繋いで、首位・鹿島との大一番に挑んだG大阪だったが、1-5という完敗を喫して今季の優勝は夢と消えた。

 強い。ただただ鹿島のその強さに感服するばかりだった。後半だけを振り返ると0-0で折り返したのが不思議に思えた。前半の序盤こそ鹿島のペースで試合は進められたが、この大一番で舞台は大観衆の詰めかけたアウェイのカシマ。まずは相手の得点を許さないことが鉄則だったが、それに則して言えば前半のG大阪は相手のチャンスを良くしのいでいた。相変わらず前線のマルキーニョスは縦横無尽に動き、ボールの受け方が上手い。その背後から野沢や本山、内田といった選手たちが飛び出してくるその分厚い攻撃は脅威だった。
 
 開始1分から野沢のFKに興梠、マルキーニョスが合わせてくる。10分には個人技からゴールライン際よりマルキーニョスがクロスを入れ、興梠が合わせるなどやはりこのコンビが恐い印象を与えてくれていた。26分にはG大阪もペドロがエリア手前で倒されFKのチャンスを得る。このFKこそ遠藤が決められなかったが、その1分後にもペドロが相手エリア内に深くドリブルで攻め込むなど、少しずつ攻撃のリズムは乗りつつあった。37分には野沢の際どいシュートを藤ヶ谷がファインセーブするなど、後半先に1点を狙うG大阪にとってスコアレスで終われたことは想定内だったといえる。

 しかし、後半その考えがいかに甘かったかを思い知った。56分に鹿島は小笠原のパスに反応した興梠が2度の切り返しを仕掛けて先制点となるシュートを決める。58分には興梠のエリア手前のシュートから野沢がループ気味に追加点を決める。一気に2点を奪われたG大阪は、その1分後に二川が1点を返すものの、62分に再び興梠に3点目のワンタッチシュートを決められる。直後にルーカスを退場で失ってしまったこともあり、85分には途中出場したばかりの田代、終了間際にはダニーロにまで決められて5失点。鹿島の重戦車のような攻撃を弾き返すことができず、G大阪はカシマで力尽きることになった。

 ここまでリーグ9試合無敗という流れは鹿島が相手では通用しなかった。確かに加地や中澤、山口ら守備陣が負傷がちで万全ではなかったこともあるが、前半をスコアレスで折り返せただけに、僅差の勝負になるだろうと、またそこでG大阪の勝負強さに期待が持てた。しかしながら、後半の45分間でチーム力の差が残念なほどに出てしまった。特にルーカスの退場の場面は、まだ2点差だっただけに避けたかったところ。それ以上に立て続けに失点を許したことが相当なダメージにもなっていたのだろう。

 この時期、このタイミングでの鹿島との直接勝負は最も嫌なシチュエーション。しかし、ここを自力で突破できないと優勝には手が届かない。例え鹿島が自ら連敗を重ねて順位を落とそうとも、終盤での勝負強さは相手の方が遙かに上だと感じさせられた一戦だった。なんとも悔しい。一時は優勝の二文字も見えない位置まで沈んでいたことを考えれば、ここでこれだけ巻き返せたことは今後の大きな糧にはなるだろう。3位以内を決定させて来季のACLの切符は掴んだ。とにかく愕然とするスコアの前に、今はただただその切符の重みを噛みしめながらホーム最終戦を勝利で終わってもらいたいと思うばかりである。

西野監督続投に思う

2009年11月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 オフィシャルでも発表されていたが、G大阪の西野監督の来季以降の契約更新がクラブと基本合意に至ったようだ。まだ今季のリーグも2試合が残っており、優勝する可能性も残っている。天皇杯もベスト8進出を果たしており、その連覇も期待される中、J最長となる長期政権は、来季以降も更なる高みを目指していくことが決まった。

 監督の続投に関しては十分に想定内。むしろ西野監督しかいないとすら思える。しかしながら、一抹の不安は拭えない。ここ数年、もはやこの不安が恒例となっている。絶対的な若手の底上げ、特に中盤に関して懸念されるべき部分は大きい。

 思い起こせば、監督解任要望にまで及んだ今季中盤の公式戦における失墜ぶりは遥か昔のことのようだ。8月23日の名古屋戦(金沢)以降リーグでは9試合負けなし。泥沼を抜け出した7月19日の日立台での柏戦から数えれば4カ月強、公式戦で1敗しかしていない。あまりに極端な落差が見られた今季の戦いだったが、首位を走っていた鹿島が大きくつまづいたことによってもたらされた現在のリーグ状況を差し引いても、ここまで持ち直した成果はある程度評価できるはず。結局自明だったのは、ACLやナビスコ杯といった他のタイトルをリーグと並走して狙う総合力にはまだ一歩及ばぬということであった。

 さすがにマンネリ気分をどう解消していくかということが近年の契約更改時の口癖となっている気さえする西野監督だが、ここまで来るとこの人でないと現在のG大阪は成り立たない。仮に西野監督がチームを離れたとしても、この人の後で易々とリセットボタンを押せる度胸と器量を持った人物はそういないのではないだろうか。しかし、あえてこれまでの形をぶち壊す何かをチームにもたらさないと、このままで2010年から2シーズンを終えてしまうのではないかということも思えてならない。
 つまり、チーム主力選手の高齢化が大きな問題であることをもう少し考えるべきだ。守備の要である山口で来季の4月には32歳、加地も遠藤も年明けには30歳を迎え、明神も同じ1月で32歳を迎える。二川も6月には30歳になり、橋本も来季で31歳となる。こうなると、現状では中盤のスタメン候補で20代は佐々木だけとなる状況が考えられる訳で、先日の清水戦のスタメンを引き合いに出せば、1年後には20代の先発フィールドプレイヤーはペドロと佐々木、中澤の3名しか該当しなくなってしまうのである。これはさすがにそろそろまずいのではないだろうか。

 確かに02年に西野監督が就任して以降、遠藤、橋本、二川、明神(06年より加入)の牙城を決定的に崩せる若手選手は結局現れなかった。佐々木が昨季より加入してそのスピードあるドリブルを武器にスーパーサブともいえる活躍を果たしたが、それでも前述の4人を大きく上回るには及ばない。つまり、当ブログでも再三提起してきた問題だが、多くの若手選手たちが前述の4人の突き上げにすらならず、サテライトで燻ぶり続けるという構図が近年の典型的パターンである。前線も然りで、西野監督がいたく気に入っているという平井からはその気配すら感じないほど、今季はトップでの出場機会に恵まれていない。

 05年のアラウージョ以降、Jリーグで十分実績のある外国籍フィニッシャーを前線に据え、前述の4人によってG大阪の醍醐味である攻撃の舵取りが成されてきた。しかし、長丁場のリーグでぶっちぎって優勝を果たせたことはない。05年が自力優勝ではなかったことを考えると、ここを総合力で優勝までこぎ着ける若手を含めたバランスに優れたチーム編成がそろそろ構築されて然るべきだ。自慢の下部組織も上野山氏が離れ、ユースにいたってはプリンスリーグ2部に降格するなど近年は芳しくない。
 そのためには、誰か若手の育成に定評のある人物を首脳陣に組み込むべきではないだろうか。西野監督を補佐するだけでなく、確実に若手を育て上げられる強い指導力を有した人物を。

 優勝まであとわずかながら、結局絶対的不利である状況を考えると、リーグを独走できる西野ガンバの完成がなおさら重要だとこの時期にいつも感じてしまうのである。

前年度覇者の力見せつける -EC4回戦 VS鳥栖-

2009年11月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 天皇杯は4回戦に突入し、この週末でベスト8進出を懸けた戦いが始まった。連覇を狙うG大阪は広島ビッグアーチでJ2・鳥栖と対戦。ルーカス、ペドロ、明神の得点で3-1と快勝を収め、ベスト8進出を決めた。

 

 時に強い日差しを受けながらも、雲が太陽を遮れば冷たい風が空席の目立つスタンドに吹き込んでくる。G大阪は代表で不在の遠藤の代わりに橋本が明神とボランチコンビを形成。右MFには佐々木が入るお決まりの布陣。一方の鳥栖は、ボランチの高橋、左MFの島田、FWハーフナーと主力は健在。J2で5位と健闘する実力をJ1屈指の攻撃的チームにぶつけたいところだ。

 
 岸野体制もあとわずか。
 鳥栖はJ屈指の熱血監督を男にすべくサポーターも熱い。

 前半からG大阪がパスワークで格の違いを見せながら、鳥栖ゴールに揺さぶりをかける。4分に明神のパスを受けた佐々木のミドルシュートで戦いの幕は上がった。的確なスライディングでボールを奪いに来る鳥栖の守備陣の気迫は立ち上がりから目立ったが、それでも先制したのは前年度王者のG大阪。9分に橋本がエリア内に侵入したところを鳥栖DF渡邉に倒され、PKのチャンスを得る。このPKをルーカスが決めて先制すると、ペドロとの連携を試合ごとに高めているルーカスが40分には左サイドから巧みに折り返してフリーのペドロのゴールをお膳立て。この場面では直前にルーカスに相手のチャージを受けながらもパスを出した佐々木のインターセプトと速攻への意識が効いていたことも付け加えたい。

 
 9分に橋本が倒され、PKのチャンスを得るG大阪。

 
 代表の南アフリカ遠征で遠藤が不在。
 このPKを蹴るのはルーカス。しっかり決める。

 後半開始直後に1点を鳥栖に返されながらも、その直後に明神が強烈なシュートを決めて3点目を奪い勝負をつけた。後半も通してG大阪のペースは保たれ、56分、62分には橋本、武井がゴールに肉薄。71分にはペドロのシュートがバーを叩くなど、少し追加点が遠かったが、75分に播戸が交代出場するとスタンドは盛り上がった。特に87分にはヘッドで鮮やかに合わせてゴールかと思うシーンがあったが、これはオフサイドの判定。もちろん播戸の演じたこのシーンにG大阪サポーターが大いに沸いたのは言うまでもない。

 
 終始安定したプレーを見せた加地が山瀬とマッチアップ。

 
 明神の守備エリアの広さには舌を巻く。
 どこにでも顔を出し、3点目のゴールを決める活躍も。

 
 遠藤不在時にはやはり二川の存在感が際立つ。

 
 ルーカスとの好連携が光ったペドロ。
 本領発揮は21日の清水戦からといきたい。

 
 MVPは文句なしでルーカスだろう。
 1得点2アシストと全得点に絡む大活躍。ペドロも活かした。

 
 残り少ないG大阪でのプレー時間。
 播戸は15分間のプレーにも関わらずスタンドを沸かした。

 鳥栖はG大阪から度々ボールを奪ってカウンターに繋げるものの、横パスが効果的に繋がらずG大阪のポゼッションを逆に高めることに。しかしながら、後半開始直後のハーフナーの得点は見事で、左サイドから島田のクロスを上手く左足で合わせて一矢を報いた。

 
 パスが繋がらない戦況の中、鳥栖はハーフナーが奮闘。
 得意の左足で渾身の1得点を返しアピール。

 
 左サイドからゲームを作る鳥栖の司令塔・島田。
 ハーフナーのゴールをお膳立てするもG大阪のプレスに苦しむ。

 
 岸野監督が試合を終えた選手たちを一人一人労う。
 鳥栖はまだJ1昇格の可能性をわずかに残す。切り替えたい。

 天皇杯連覇に向けて順調にベスト8まで勝ち上がってきたG大阪。来月12日の準々決勝ではJの舞台でも優勝争いをする鹿島とのマッチアップが決定。既にリーグは決着がついた後にはなるが、非常に大事な一戦となることは間違いなさそうだ。しかし、今回の鳥栖との試合は来週末に控えた4位・清水との対戦にも良い風を吹かせてくれることを予感させる内容だったといえる。

はまったラストピース -31節VS京都-

2009年11月10日 | 脚で語るガンバ大阪
 ラスト4試合を迎えたJ1も優勝争いがいよいよ大詰め。ホーム万博に京都を迎えたG大阪は終始試合を優勢に進め4-1と快勝し、上位3枠をがっちりキープ。4位・清水が柏に敗戦を喫したことで、実質の優勝争いは川崎、鹿島、G大阪の上位3チームに絞られた。

 

 G大阪は前日練習で負傷した中澤に代わってCBに高木、左SBに安田理を起用。ボランチは明神と遠藤で橋本を右のMFに配置する布陣。最も注目すべきは2トップのルーカスとペドロで、加入後なかなか連携が合わず1得点を振るわないペドロの本領発揮が待たれる。
 一方の京都はここ5試合勝利がない。この試合から中盤に佐藤が復帰。守備面よりも攻撃面でいち早く先手を打ちたいところ。

 

 前半こそ京都にパス回しを許し、チャンスをいくつか作られるものの、山口、高木、明神らで得点を与える隙を作らないG大阪。しかしながら攻撃陣に焦りはなく、橋本のボレーやペドロのミドルシュートなどで果敢に京都ゴールを脅かす。特に前半こそ相手のライン設定に苦しんでいたペドロだったが、この試合はルーカスとの縦の関係を保持しながら、良いタイミングで飛び出し、ボールを受けている場面が多かった。前述の29分の勢いのあるミドルシュートの場面は彼の爆発の布石となるシーンだった。

 
 G大阪は高木が本職のCBでプレー。
 安定感のある仕事ぶりで存在感をアピール。

 
 前回対戦時にはイジョンスのヘッドにやられたG大阪。
 この試合でもイジョンスが京都のゴール前に立ちはだかる。

 
 
 試合を動かしたのはG大阪・FWペドロのシュート。
 約1ヵ月ぶりのゴールに喜びを爆発させる。

 34分に遠藤からの縦パスを受けたペドロが巧くヒールでルーカスに繋ぎ、パスアンドゴーでエリア内に入ると、相手DFを振り切ってシュートを決める。加入後、連携面でナーバスになっていたペドロの素晴らしいプレーでの先制点に誰もが安堵感を得ただろう。今最もゴールを決めてもらいたい選手に火が着いた瞬間だった。

 
 得点は無かったが、きっちり2アシスト。
 散らし役ながら、前線でも遠藤は一気に戦況を変える男だ。

 
 ルーカスはペドロと息の合ったプレーを披露。
 アシストだけでなく、72分にはチームの4点目を叩き出す活躍。

 後半に入り、ペースは一層G大阪に傾く。57分に京都・シジクレイの縦パスを明神がカット、そのボールをルーカスが持ち込み、走り込んだペドロへ。ペドロは勢いよくシュートを叩き込んで追加点となる得点を決める。一目散にホームゴール裏のサポーターへ駆け寄るペドロの姿は呪縛から解き放たれた頼もしいエースの姿だった。結果的にこのゴールがG大阪チーム1,000ゴールというメモリアルゴールになる。
 61分には遠藤からのパスを受けた橋本が3点目となるシュートを決める。ボールを受ける際に、瞬時にサイドへボールをコントロールして相手DFをかわした橋本。この試合では右サイドのMFとしてチャンスに絡んでおり、ここ数試合、中盤の得点力を見せつけるG大阪の象徴的な場面だった。

 
 3点目を決めた橋本は攻守に貢献。
 運動量とプレーエリアの広さで随所に好プレーを見せてくれた。

 
 遠藤が積極的に前に顔を出せるのも明神がいてこそ。
 試合後にはインタビューで2連勝して万博への帰還を約束。

 72分には遠藤のパスからルーカスがダイレクトでミドルシュートを決めて4-0に。試合終了間際に1点を京都に返されるが4-1で試合を締め括った。

 
 加地、高木、山口は守備面でも危なげないプレー。
 最後尾がしっかりしているからこそ前線で得点が量産できる。

 
 京都は終了間際に柳沢が一矢報いる。
 しかしながら、これで6戦連続で勝利に見放される展開に。

 燻っていたペドロの爆発で、レアンドロ退団以降ネックだった問題が解消されたといえる。まさに優勝争いの中で1試合も落とせないG大阪としては、待望のラストピースがはまったという印象だ。勝点差1ポイントで川崎と鹿島が覇権を争う中でG大阪は2位・鹿島に3ポイント差。ここからは1試合も落とせぬ正念場となる。ペドロの引き続きのゴールラッシュはG大阪優勝への大きな牽引力になりそうだ。

 そして、今季一番の観客動員を記録した万博の雰囲気は素晴らしかった。これは5年ぶりにメインスタンドに座って初めて気付いたことなのかもしれないが、現在のホーム側のA席、SB席、SM席を含めた声援の一体感は壮観の一言だ。本当に声が押し寄せてくる感じが伝わるし、ハンズアップの一体感も迫力に満ちている。すっかりキャパ的には古いスタジアムに数えられる万博だが、その雰囲気はどこにも負けていないことを改めて実感した夜だった。この声は間違いなくG大阪の逆転優勝を大きく後押しするに違いない。

示した貫禄 -EC3回戦 VS福岡大-

2009年10月31日 | 脚で語るガンバ大阪
 前年度王者のG大阪が天皇杯3回戦で迎えた相手は、今季の総理大臣杯を制して夏の大学王者に輝いた福岡大。2戦連続で大学勢を迎えたG大阪は“王者の貫禄”をしっかり誇示する6-1の快勝劇を演じてみせた。

 

 松代を新型インフルエンザで、明神を体調不良で欠くG大阪は、右MFに佐々木を起用。遠藤と橋本の2ボランチで臨んだ。左SBはリーグでもこの2試合定位置となっている高木。福岡大はU-20日本代表FWの永井を中心に攻撃を仕掛けたいところ。しかしながら、試合は特にメンバーを落とすことなく挑んだG大阪の一方的な展開となった。

 
 大学生相手に抜かりなくメンバーを揃えたG大阪。
 リーグ終盤戦を見据えてFWペドロの連携構築が急務だ。

 
 試合は終始G大阪ペース。
 ルーカスがボールを運びチャンスを量産する。

 
 幾度か決定機を逸し続けていたG大阪。
 21分に遠藤が直接FKを鮮やかに決めて先制する。

 
 再三サイドからクロスを供給し続けた佐々木。
 71分に足を痛めて途中交代するも先発の期待に応える。

 遠藤のFKで先制したG大阪は、序盤から何度も決定機を作っていたルーカスが33分に追加点を決めて試合の流れを決めてしまう。リーグ優勝を狙うG大阪として急務課題の一つであるFWペドロとのコンビネーションで相手DFを完全に崩した。

 
 夏の大学王者の意地が後半序盤に爆発。
 50分に永井がエリア内でボールを持ち込んで1点を返す。

 
 1-2と追い上げ、盛り上がる福岡大イレブン。
 しかし、この後は手も足も出ない展開に・・・

 福岡大はゴールを挙げられるとすれば永井しかいなかった。セットプレーからの展開から一矢を報いたが、G大阪に対して前半のうちにFW高橋を投入し、前がかりに挑んだ福岡大のミッションが結実した瞬間だった。しかし、その4分後にG大阪はルーカスがこの日2点目となるミドルシュートを難なく決めて突き放す。

 
 58分にはルーカスが落としたところに右サイドから加地が加点。
 福岡大・永井とのマッチアップが多かったが、守備でも貢献。

 
 この日も左SBで先発出場だった高木。
 64分に下平の投入でCBへシフトしたが、安定感では断然CB。

 加地が久々の得点を挙げれば、64分にはルーカスがハットトリックとなる得点で更に点差を広げる。福岡大も前半の藤田のFKや後半の宮本のミドルなどチャンスを迎えることはできるが、GK藤ヶ谷のセーブに阻まれ続けた。

 
 ペドロに代わって後半から出場のチョジェジン。
 イージーな決定機を決められないなど少々精彩を欠いた。

 
 87分に途中出場の下平がチームの6点目となる追加点。
 悠々と攻撃参加する姿が非常に印象に残った。

 
 圧勝は想定内か、リーグラスト4試合に備えたい西野監督。
 藤田、末吉・・・彼の心を射貫いた選手はいただろうか。

 
 大学生相手に2試合で11得点。格の違いを見せるG大阪。
 4回戦の相手は鳥栖に決定。狙うはリーグとの二冠しかない。

トップへ食い込め -SL VS京都-

2009年09月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 G大阪が戦う今季のサテライトリーグは第12日(6試合目)の京都戦で全日程が終了。初戦から3連敗と振るわなかったサテライトの公式戦だったが、東城陽で行われたこの京都戦では6-1と完勝。逆転優勝を狙うトップチームの勢いがサテライトにも良い形でフィードバックされていたようだ。

 
 この日の主役はハットトリックの播戸。
 決してサテライトでも手を抜かない男がしっかり結果を出す。

 
 平井もチームの2点目と先制点のアシストと奮闘。
 今季ほとんど掴めていないトップでの出番を手繰り寄せたい。

 
 効果的なサイドアタック、好配球と上々だった寺田。
 先制点もマークし、その存在感をアピール。

 
 同年代対決となった宇佐美と宮吉のマッチアップ。
 もはや2人とも高校生とは思えない堂々としたプレー。

 
 体を張った守備で魅せた武井。
 リーグ終盤戦、厳しい舞台で少しでもトップ出場を期待。

 
 右足の状態が思わしくない中で奮闘した倉田。
 この日は決定機になかなか絡めず。

 
 京都・宮吉とG大阪・安田理のマッチアップ。
 再三サイドで火花を散らした。

 
 G大阪の完勝劇の中で衝撃を与えたのはハウバート・ダン。
 来季の京都加入が内定している愛知学院大のプレイヤー。
 交代出場早々に強烈なシュートで1点を返す。

 
 京都のルーキー・上里も劣勢の中で好プレーを披露。
 非常に攻撃センスのある19歳だ。

 
 下平の後塵を拝し、苦しい状況の安田理。
 この日は1得点で攻撃面でアピールした。

 
 CK時に攻め上がるCB菅沼。
 その落ち着きと対人の強さは成長の証か。

 
 藤ヶ谷もゴールを死守して全快ぶりをアピール。
 松代からレギュラーを奪い返せるか。

 
 少ない時間ながら出番を与えられた大塚(右)。
 宇佐美には負けていられない。

 試合開始から効率良く得点を重ねていったG大阪。後半開始早々からの数的有利も手伝って好守ともにブレることなく試合を支配した。当初は低調ぶりが著しかったサテライトチーム。ようやく活気が見えた試合だったが、この戦いぶりが西野監督にはどう伝わったか。これから佳境を迎えるトップの戦いに食い込める選手は出てくるのか、最後の公式戦だけに選手の表情からもシビアさが窺えた試合だった。

失速は許されない、総力戦の始まり

2009年09月27日 | 脚で語るガンバ大阪
 鹿島のまさかの失速で、上位陣が一層肉薄する展開になってきたJ1。その上位陣の直接対決となった大一番G大阪と川崎の対戦は2-1でG大阪が逃げ切った。

 先日のACLとの連戦をこなす川崎を相手にG大阪が狡猾に結果を出した。この日は佐々木を先発起用し、ルーカスを1トップ気味で起用。遠藤を中盤の底に据える4-2-3-1ともいえる布陣。前節のFC東京戦で後半から投入した佐々木に可能性を感じたのか、疲れの残っているであろう川崎を突く絶妙なタイミングでの先発起用。
 じっくりボールを動かしながらチャンスを見出すG大阪は、16分に中澤のロングパスを受けた二川が振り向きざまに飛び出した遠藤に絶妙なラストパス。オフサイドぎりぎりで走り込んだ遠藤がこれを難なく決め、幸先良く試合の主導権を握った。「FW」の呼び名が相応しいほどの見事な飛び出し。二川が中央でスペースのある中ボールを受けられたのが幸いだったが、川崎の最終ラインも高い位置でプレーしていた遠藤を捕まえきれなかった。

 前半終了間際に川崎・谷口に見事なミドルを決められて一時は追いつかれるが、75分に遠藤が自身で得た直接FKを鮮やかに決めて決勝点を奪った。水曜日のACLで同じくFKを直接決めた中村憲の前で本職の本領発揮。見事な軌道を描いたボールはGK川島も捉えきれなかった。
 佐々木の負傷交代で、後半こそ劣勢を強いられる場面も多かったが、今の川崎を相手にしっかり勝利を掴めたことは最大の収穫。特に今季は「完敗」ともいえる内容でACLのベスト8を譲っている。同じ万博でしっかりリベンジできたことはチームにも勢いを与えてくれそうだ。

 こうなってくると、前節のFC東京戦で引き分けたことは悔やまれる。それだけでなく、完勝できた試合も幾度か落としている。明日試合を控える清水が勝利すれば、首位・鹿島との勝点差はなんと1ポイント。一時は鹿島が圧倒的なリードを誇っていただけに、例年団子状態のJ1は今季も同様の展開。再びチャンスの生まれてきたG大阪、相変わらず波のある試合ぶりだが、直近10試合だけを見ればわずかに1敗という強さ。2位に位置する清水も11試合負けなしの状態だけに、ここからは我慢比べ。今季のG大阪にとって、32節清水戦(A)、33節鹿島戦(A)のアウェイ2連戦は“大山場”になるだろう。そこまで現在の調子を持続できるか。総力戦の時は来た。

歯痒い90分

2009年09月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 26節を迎えたJ1の戦い。G大阪はアウェイでFC東京と対戦。相性の悪い味の素スタジアムでの試合を制したいところだったが、攻撃陣の足取りは重く1点の遠い試合はそのまま0-0のスコアレスドローで終了。上位争いに食らいつきたいG大阪としては痛い引き分けとなってしまった。

 しかし、前半からどうも低調な内容だった。立ち上がりこそ両者が積極的にゴール前に攻め込む場面が見られたが、決定的なパスチャンスにミスが多く、G大阪はこれといった決定機を見出せない。遠藤やルーカス、明神にもそういったミスが目立ち、ほとんどリズムを作れなかった。対するFC東京はキャリア最高潮のパフォーマンスを見せる石川が果敢に決定機に絡んでいく。2分と44分にはその石川のシュートにヒヤリとさせられる場面も。両者共に互いのプレーエリアを潰し合う戦いを見せるが、イニシアチヴを握っていたのはホームのFC東京だった。

 守備面では失点をゼロに防いだことは評価できるが、ほとんど仕事のできなかった攻撃陣の低調ぶりは気がかりだ。古巣のホームに移籍後初めて足を踏み入れたルーカスをはじめ、チョジェジンもほとんど脅威にはなっていない。ここはFC東京のCB今野やボランチ米本の仕事ぶりを褒めるべきだろう。中盤で自らリズムを崩していくG大阪は今のFC東京にとっては怖くなかったはずだ。
 71分に佐々木と播戸を同時投入、79分には山崎を投入して均衡を破ろうとするが、及ばなかった。遠藤をボランチの位置に下げ、佐々木を右サイドに配置することで、多少は攻撃にもアクセントが加えられたが、あれだけパスをことごとくFC東京守備陣にインターセプトされている状況ではスコアを動かせない。どうにもこうにも久々に歯痒い90分間を見せてもらった気分だ。

 一人前半から輝きを放っていたのは左SBの下平。攻撃参加とシュートの意識はかつての彼を大きくブラッシュアップさせている。安田理の出る幕がないのは当然。攻撃参加という武器をものにしつつある下平、あとはその精度が上がれば若い選手だけに心強い。

 この無得点に終わった状況をいかに次の川崎戦に繋げるか。今季はACLで苦杯を喫した前歴もあるだけに、もう一度“点を取るG大阪”をそこで見せてもらいたいところだ。

陰の功労者・橋本英郎

2009年09月13日 | 脚で語るガンバ大阪
 雨中の万博で行われた25節・神戸戦。ここ数年ですっかり神戸への相性が悪くなっていたG大阪だが、二川の2得点の活躍もあり、3-2で逃げ切った。

 ペドロ・ジュニオールが加入後初お目見え、そして神戸の宮本が久々の古巣万博凱旋と見どころの多い試合。遠藤と橋本を日本代表のオランダ遠征に送り込んでいたG大阪はその2人のコンディションとペドロ・ジュニオールの連携が一つの課題であった。
 しかし、その問題の一つは杞憂に終わる。15分、代表帰りの橋本が加地からのパスを受けて遠藤との見事なパスアンドゴーでゴール前へ。折り返しをフリーの二川が決めて幸先良く先制する。なんでも橋本は代表の遠征から帰還した木曜の夜にそのままユースの練習に参加し、2時間ほど体を動かしていたという。欧州で出番が無かっただけに、この日に向けてしっかり体を作っているというのは堅実な彼らしいエピソード。この日は体のキレも良さそうだった。

 22分にはルーカスの狙いすましたシュートで追加点。この際も下平の攻め上がりに対して橋本がエリア手前で神戸のキムナミルを巧く引き寄せ、スペースを作り出している。ポジショニングが中途半端になった神戸・宮本もボールを受けたルーカスには対処できず。さり気ない橋本のお膳立てが効いていた得点シーンだった。加えてG大阪はやはりルーカスが点を取ってくれると頼もしい。

 2点のリードを得てからのG大阪はパッとせず。4分後に神戸・石櫃のクロスに走り込んだ茂木のマークを空けてしまい易々と1点を返されると、後半には松代がPKを与えてしまい、これを大久保に決められてしまう。この場面も明神が珍しく激高していたが、“ガンバキラー”と呼ぶべきこの2人にしっかり決められるあたりは「相性の悪さ」を引きずりやすいG大阪の悪癖か。スコアを振り出しに戻されたG大阪はゲームプランの再構築を強いられた。
 
 それでもこの日のG大阪は粘りを見せた。64分にペドロ・ジュニオールに代わって入った佐々木のクロスをファーで中澤が折り返すと、二川がジャンピングボレー一閃。インパクトある勝ち越し弾を決める。そのまま試合をきっちりクロージングし、久々に神戸戦の勝利をモノにした。

 この試合は、橋本と二川の活躍が非常に目立った試合だった。特に橋本は運動量が豊富で、攻撃面での貢献は大きく、二川は久々の2得点でコンディションの好調ぶりをアピール。対戦相手の神戸も三浦監督就任以降、調子の良い戦いぶりを見せているが、今回はそれ以上の勢いをプレーで見せたG大阪に軍配が上がった。あとは新加入のペドロ・ジュニオールの連携が課題となってくるところだろう。

 とにかく、代表の欧州遠征を経験し、出番はなくとも帰還後すぐにチームのために仕事のできる橋本。彼の存在に尽きる試合だった。