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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

赤鯱のリベンジで開幕 ‐VS名古屋‐

2010年03月06日 | 脚で語るガンバ大阪
 いよいよ2010年シーズンのJリーグが開幕。万博記念競技場では元旦の天皇杯決勝の再現となるG大阪と名古屋が激突。互いに譲らぬ優勝候補同士の戦いは、名古屋が2-1と勝利。G大阪は前線の閉塞感が否めず、スコア以上に厳しい開幕戦を強いられた印象だ。

 

 既にACLとゼロックス杯と公式戦を戦っているG大阪。負傷で離脱していた中澤、明神が戦列に復帰。ここまで2戦で1分1敗(実質2分)という戦績に光明を見出すべく、開幕戦の勝利が欲しいところ。対する名古屋は、闘莉王、金崎らというビッグネームの補強と昨季までの布陣がどうミックスされるのかが見所となった。

 
 1993年5月16日、浦和を迎えた開幕戦から約17年。
 2010年の万博もサポーターの熱狂で幕は開かれる。

 
 その想いは名古屋も同じ。
 それほど遠くないこともあってアウェイスタンドもぎっしり。

 
 山口の不在が最終ラインには痛手。この日は中澤と高木。
 前線はチョジェジンとルーカスがコンビを組む。

 
 今季も名古屋の暴れん坊として健在のマギヌン。
 遠藤に対するチェックも執拗かつ徹底していた。

 
 加地とマッチアップする金崎。
 先制点を導くクロスを生み出した金崎は積極的に仕掛ける。

 
 名古屋の先制点は14分。
 左からの金崎のクロスをケネディが頭で落とし・・・

 
 
 玉田が決める。ゴール前の一瞬の反応は屈指。
 W杯本大会を控えて代表FWが先制点を生み出した。

 
 
 対するG大阪は21分に二川がミドルを決めて同点に。
 3連続CKで攻勢に転じた場面からこぼれ球を逃さなかった。

 
 1-1で迎えた68分、遠藤の守備ミスから金崎が突破。
 最後はケネディが押し込んで名古屋が突き放す展開に。

 
 1点を追いかけるG大阪は二川を中心に反撃に転じたい。
 再三ミドルを狙うなど依然コンディションは良さそうだ。

 
 後半途中から佐々木、そして終盤にドドを投入。
 しかしながらゴールが遠いG大阪。

 
 チョジェジンはこの日もノーゴール。
 チャンスが無いわけではないが、手薄のFW陣を引っ張りたい。

 
 金崎と共に随所に好プレーを見せた闘莉王。
 周囲との連携を上げれば、やはり長いリーグでは怖い選手。

 
 W杯イヤーで自身も4度目の本大会に臨むであろう楢崎。
 G大阪は彼を脅かすシュートをあまり打てなかった。

 
 西野長期政権9年目のスタートは苦戦する結果に。
 ACLと並走するシーズンはまた苦戦の連続になるのだろうか。

 中盤の連携はここまで積み上げたベースメントである程度計算できるにも関わらず、前線があまりに不甲斐ない。ここまで3試合でFWの得点はゼロ。この日は先発出場のルーカスとチョジェジンが封じられ、途中出場の平井はミスが目立ち、ドドはほとんど仕事ができなかった。これまでの「取られたら倍取り返す」スタイルが影を潜めつつある今のG大阪。この試合のように守備のミスが出れば、それを補完する得点力が絶対的に物足りないだけに、今季はスロースタートを強いられそうな予感がする。

蹴春到来 ‐ゼロックススーパーカップ‐

2010年02月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 Jリーグの新たなシーズンの訪れを告げる最大のプレシーズンマッチ・ゼロックススーパーカップがJリーグ王者の鹿島と天皇杯王者であるG大阪の両者によって国立競技場で行われた。1-1のままPK戦に突入した試合は5-3で鹿島が勝利。G大阪は残念ながらシーズン最初のタイトルを手中にできず、宿敵の前に悔しさを噛みしめる結果となった。

 
 両チーム指揮官を先頭に入場。
 今季もJリーグがゼロックスから始まりの合図を告げる。

 
 日本を背負う盟主同士、名手同士の戦い。
 小笠原と遠藤が激しく中盤でマッチアップ。

 
 試合は20分に鹿島がマルキーニョスのPKで先制する。

 
 西野監督の期待を背負う平井は先発出場。
 しかしながら、決定的な仕事ができず、宇佐美と途中交代。

 
 マルキーニョスは今季もリーグを席巻する存在になりそう。
 相変わらず貪欲にそのテクニックでゴールを狙い続ける。

 
 明神に代わってキャプテンマークを巻いたルーカス。
 イジョンスの厳しいマークを受けながらもチャンスを作る。

 
 岩政がゴールを狙う。
 鹿島はセットプレーから再三G大阪ゴールを脅かした。

 
 水曜の水原戦に続き出場の菅沼。
 この日は先発で出番を射止め、試合度胸を強烈にアピール。

 
 前半終了間際のロスタイム、加地のシュートが決まり同点に。
 珍しい加地の左足の見事な得点に会場は沸いた。

 
 先日の東アジア選手権韓国戦では悔しい思いをした岩政。
 W杯本大会メンバーに残るためにも重要なシーズンとなる。

 
 最終ラインで危なげないプレーを見せた高木。
 昨季サテライトで何度もコンビを組んだ菅沼との相性は良好。

 
 豪快なボレーを試みるなど積極性が見えたチョジェジン。
 今季はレギュラーポジションを確保したい。

 
 現在のG大阪で最もキレている男・二川。
 この日も再三好パスを披露。強烈なミドルを狙う場面も。

 昨季から何度もリーグを沸かせたG大阪と鹿島の一戦。互いに譲らぬ見応えのある試合になった。そういう意味でもPK戦での試合終了は残念だったが、負傷者を多く抱えながらも今季への可能性を提示してくれたG大阪と依然変わらぬ強さと連携を見せた鹿島の姿に国立に詰めかけた観客だけでなく、日本のサッカーファンがそのシーズンの到来を感じたはずだ。

【AOQLO企画】2009年MVP

2010年02月20日 | 脚で語るガンバ大阪
 AOQLO PEOPLEのオフ企画は本日が締切ということで、遅まきながらこの企画最後のMVPをエントリー。

 2009年シーズンのG大阪のMVPを挙げるとするならば、遠藤、ルーカス、明神の3選手に焦点が絞られるだろう。おそらくこの企画でもこの3選手は絶大な支持を集めているはずだ。こちらではその中からやはり遠藤保仁をMVPに推したい。

 

 この数シーズンの中でも特にキャリア全盛期を感じさせるプレーを遠藤は09年シーズンに見せてくれたと思う。個人成績ではリーグ優勝した05年シーズン以来2度目となるシーズン二桁得点(10得点)を記録。7年連続のJリーグベストイレブンに選出されるどころか、遂には一昨年届かなかったAFC選出アジア最優秀選手にも選ばれるという充実したシーズンとなった。既知の通り、元旦に行われた天皇杯決勝では、2得点1アシストの大活躍でG大阪の大会連覇に貢献。その試合での彼の活躍ぶりは、W杯予選やクラブでの熾烈なスケジュールの中で、日本を代表する「クラッキ」であることを見事なまでに総括するプレーであったといえよう。今やこれほどまでに指揮官が信頼するゲームメイカーは希有なのかもしれない。「G大阪に遠藤在り」を改めて強く印象付ける試合、そして昨シーズンだったと思う。

 

 今年は南アフリカW杯を控える重要なシーズン。前回大会では唯一出場機会に恵まれない本大会メンバーだったこともあり、彼のW杯に懸ける思いは人一倍強いはずだ。海外チャレンジを望んでいるという報道も一部であり、日本代表にも欠かせないプレイヤーとしてキャリア全盛期の遠藤の動向にも注目が集まるはず。昨季のようなプレーを引き続き見せて欲しいところだ。

 ただ、今回のMVPにはもう一人最後まで迷った選手がいた。それは松代直樹だ。何とか彼を並列でMVPに推したい。

 

 おそらく、昨季の名古屋戦2試合における彼のミスが敗戦の直接的な原因となったことを考えると、多くの異論があるかもしれない。しかしながら、そういった理屈抜きで彼に思いを馳せた個人的な感情移入があった。奈良県出身の選手として97年にG大阪入団以来、13年間に及ぶ現役生活をG大阪1本で貫いた。昨季を最後に現役引退したが、かつて都築(現浦和)と並んでG大阪のゴールマウスを守るMade in NARAの2人の守護神の存在は、決して魅力的な強豪チームとはお世辞にも形容できなかった当時のG大阪において、個人的には大きかったと回顧できる。楢崎や都築と違って「高校時代からGKを始めた」という彼はその上牧高→天理大というキャリアからもノンエリートともいえる選手だった。その松代がリーグ優勝、ナビスコ優勝、ACL優勝、天皇杯優勝という全てのタイトルに居合わせられたことがこの上なく感慨深いのだ。昨季はリーグ優勝を果たした05年シーズン以来、10試合以上(13試合出場)でその信頼感の高さを窺わせた。最後までG大阪を引っ張り続けた「努力の選手」にささやかな賛辞を今改めて送りたいと思う。個人的にはまさに陰のMVPだと誇っている。

西野ガンバ9年目の冒険へ

2010年02月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 新シーズン開幕を控え、Jでは各クラブが仕上げの最終段階に突入しているだろう。G大阪も来週のミッドウィークにACL水原戦、週末にはいよいよゼロックススーパーカップが近づいており、数少ない時間で最終仕上げに励まなければならない。リーグタイトルを渇望する西野監督もJ最長9年目に突入。そんな直前の段階に相応しく、今季から関西育成リーグに参戦する関西学生選抜チームとの練習試合が万博ガンバグラウンドで行われた。

 変則的に行われた試合は45分、30分、45分の計3本。最初の2本をG大阪は主力組で臨み、3本目にバックアップ主体のメンバーという形式。対する関西学生選抜もG大阪ユース出身の田中裕(関西大1年)を中心に、田中雄、金園(ともに関西大3年)など主力組が中心だった模様。試合開始から積極的に試合の主導権を握った関西学生選抜、今一つピリッとしないG大阪に牙を剥き、主力組との1本目を勝利した(結果は1-2、0-0、1-0)。彼らが関西のJクラブと育成リーグを戦うのは非常に楽しみだと思わせてくれた。なお、試合球にはACL直前ということもあって、大会使用のNIKE製ボールが使われている。

 
 1本目にルーカスとFWでコンビを組んだ平井。
 先取点となる得点を決めてアピール。今季は勝負の年。

 
 おそらく現在のG大阪では最も体のキレている二川。
 視野の広さと柔らかいボールタッチで時折学生たちを翻弄。

 
 シュートにクロスに積極性の目立った下平。監督の信頼は厚い。
 今季もスタートからライバル・安田理に一歩リードの様子。

 
 山口の不在で中澤と最終ラインでコンビを組んだ高木。
 しかし、失点の要因となる突破を許しアピールならず。

 
 橋本も時折攻撃面で効果的に絡むも、相手のチェックに苦しむ。
 しかしながら、コンディションは悪くなさそう。

 
 今季より副主将を担うルーカス。
 決定機を決められないなど「らしくない」場面も。

 
 東アジア選手権を戦い終えたばかりの遠藤。
 1本目のみ出場でコンディションを整えた。

 
 チョジェジンとドドは終始別メニュー。
 ランニングに徹しながら戦況を見守る。

 
 2本目はFW、3本目では左MFで出場の宇佐美。
 もう遠慮は要らない。爆発すべきシーズン。

 
 3本目にて左サイドを宇佐美と共に崩し続けた安田晃。
 3本目のメンバーでは最も印象に残った活躍。

 
 2本目から出場した河田に続き、内田も3本目から出場。
 菅沼とともに完封に貢献。ボディバランスに長けた印象。

 
 ゼ・カルロスは報道通り精彩を欠くプレーに終始。
 PKを外し、運動量に難がありフォアチェックの起点になれず。
 ため息と失笑を現場にもたらしてしまった・・・
 果たして彼の本領が発揮される日は来るのだろうか。

 ACLグループリーグ開幕まであと1週間を切った。クローズアップされたのはチームとしてのG大阪の物足りなさだった。昨季のチームから決定的なイノベーションは見られない。おそらくこの日のギャラリーの皆さんも不安要素を抱いただろう。これが杞憂に終わるのか。西野ガンバ、9年目の冒険がまもなく始まろうとしている。

【AOQLO企画】2009年ベストマッチ

2010年02月02日 | 脚で語るガンバ大阪
 AOQLO PEOPLEオフ企画、次は2009年ベストマッチ。このエントリーに関しては、唯一のタイトルである天皇杯決勝戦が挙がることは予想されるが、個人的には昨季の天皇杯はJ2勢と2度、そして大学勢と2度当たるなど組み合わせで恵まれた感が個人的には否めない。本エントリーでは、その試合の拮抗度や印象、両チームの実力、歴史的背景を考慮して第21節・万博で行われた浦和戦を是非推挙したい。

 

 実はG大阪がJリーグ開幕以来、16年に渡る通算戦績で最も拮抗した戦いを演じているチームのひとつが浦和である。2009年シーズンを終えてその通算対戦戦績はG大阪の15勝7分16敗(同様に柏、清水、広島とも非常に拮抗した対戦戦績である)。「ナショナルダービー」と称された昨今では、Jリーグ屈指の名カードして注目を浴びている。
 昨季の1度目の対決は埼玉スタジアムで0-0と引き分けに終わる。無論、両チームがリーグタイトルを争う盟主として激しくぶつかるのは想像に難くない。しかし、2度目の対戦となった万博での試合は、昨季のG大阪にとってその意味は大きかったように思う。

 ちょうどお盆の8月15日、満員の万博で迎えたこの試合。G大阪は泥沼の連敗トンネルを抜け出し、タイトル奪取への挽回に燃える時期であり、対する浦和はリーグ戦3連勝の後の3連敗で、軌道修正を図るべくライバルに挑んでくるという構図であった。試合は近年そのライバルとして火花を散らす両チームにとって予想通りの拮抗した展開を見せる。

 

 この試合は浦和GK・都築の前になかなかゴールを割れず、対して相手に押し込まれる展開もあり、非常にジリジリした試合だったが、個人的にはこの試合の勝利が後に退団するレアンドロ離脱の後遺症を最小限に抑えるための処方箋になったような気もする。
 87分にここまで3試合得点のなかったレアンドロに見切りをつけ、播戸を投入するG大阪。実は西野監督は、この浦和戦までのリーグ戦で得点を奪えていない状況下においてレアンドロを諦めることはなかった(12節の浦和戦で負傷による前半での交代あり)。最後の最後まで彼の決定力にすがってもおかしくない状況(実際彼の得点力は凄まじかったが)でのこの判断に結果論だが、昨季のG大阪の最初の分岐点を感じる。

 試合はその播戸が劇的な決勝点をロスタイムに叩き込み、万博を熱狂の渦へと導いた。最初のシュートがギリギリでクリアされたのにも諦めずボールに食らいつき、冷静にシュートを決めた。相手が浦和ということ以前に、この2シーズン苦しんでいた播戸に神様がチャンスを与えたような奇跡的な場面は、09年元旦の天皇杯決勝を思わせる感動的な場面だった。

 
 

 実力が拮抗したチーム、特に鹿島や浦和を迎えての万博での試合は、非常に印象に残る試合が多い。個人的には、万博で行われた00年シーズン1stステージ第14節・鹿島戦(●1-2)と05年シーズン第25節の鹿島戦(△3-3)に並ぶ強烈な印象を与えてくれた試合だと思う。そしてこの2試合と違って、勝利をしっかり収めることができたこの浦和戦をベストゲームとして天皇杯連覇の布石となったと考えたい。

【AOQLO企画】2009年ベストゴール

2010年02月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 2月に入ったので、AOQLO PEOPLEのオフ企画である2009年シーズンMVP、ベストマッチ、ベストゴールをそろそろ。まずは、G大阪の2009年シーズンベストゴール。

 今季から新設されたこのベストゴール。なかなか選出が難しい。アーティスティックなゴールか、劇的なゴール、または試合運びの中で重要な1点となったゴールか。個人的にはやはりアーティスティックなゴールを持ってきたいところ。
 昨季のG大阪はシーズンを二分した際に前半戦はレアンドロ、チョジェジン。後半戦はルーカス、ペドロとコンスタントに在籍外国人選手が得点を量産している。その中でもシーズン通して遠藤の得点力は凄まじかったが。本エントリーでは、あえてチョジェジンを推したい。4節の万博で行われた広島戦、25分に見せた超絶なロングシュートだ。

 0-0で迎えた25分、G大阪が自陣からゆっくりパスを回し、右サイドライン際で橋本、寺田、レアンドロがパスをやり取りした後にハーフライン付近の遠藤へ。遠藤は前線のチョへ一気にパスを送る。その際に相手選手の遠藤に対するアプローチが甘く、おまけにチョに対してもほぼノープレッシャー。ストヤノフがアプローチに行くかと思いきや、中途半端な形でプレッシャーを止めてしまった。そんなことも相まってチョは悠々とターン。確実に狙えるとの公算があったのだろう。左足を一閃。鮮やかなシュートラインを描いたボールは相手GKの横っ跳びを尻目にゴールへ収まった。

 

 彼がまだ先発起用され、その好調さを発揮していた頃の得点で、開幕戦に続く2点目だったこともあり、印象深い。どちらかというとターゲットマンとして空中戦にその長所を発揮し、ポストプレーから相棒の得点をお膳立てするタイプのFW。シーズン前はどういう形でG大阪にフィットするのかという疑心暗鬼な部分も多かったことから、個人的にもスッキリした記憶がある。何しろ見ていて爽快そのものだ。しかしながら、シーズン通してこの活躍が彼から見られなかったのは何とも残念なところだが。

 おそらく、現在のG大阪においてはチーム一、二を争うイケメンプレイヤー。特に晴天の練習場でフォーカスに収まる彼の写真映えは群を抜いている。彼の残留を喜ぶ黄色い声援も多いのでは。それは別の要素として置いておくにしてもこの得点を昨季のベストゴールに推したい。不完全燃焼に終わった彼の真意が問われる2010年シーズンになろう。

旅立ちの時期

2010年01月06日 | 脚で語るガンバ大阪
 天皇杯を制し、名古屋と共に国内では最も長いシーズンを過ごしたG大阪。退団が決まっていた播戸に続き山崎と倉田のレンタル移籍が発表された。

 

 昨年の末に自身のブログにて昨季限りでの退団を発表した播戸はC大阪への完全移籍が決定。この4年間を過ごしたG大阪を後にして関西で3クラブ目となる新天地でのプレーに挑戦する。今季、久々に行われる大阪ダービーが彼の存在もあってかなり盛り上がることになるだろう。
 06年に再加入したG大阪では、かつての在籍時と比べて明らかに若手選手に慕われる見本ともいえる選手になり、日本代表にも選出された。神戸でカズと共にプレーした経験が大きかったのだろう。出番に恵まれなくてもいつでもストイックに準備を怠らず、サテライトでも手を抜かなかった姿は非常に印象的だ。この2シーズンが得点数が激減したが、昨年の天皇杯決勝の劇的な得点も含め、印象深いゴールが多い。個人的には08年シーズンの韓国・光陽での全南戦の2得点が脳裏に焼き付いている。移籍先のC大阪では最年長選手となるようだが、チームの盛り上げ役として変わらないスタイルを貫くだろう。頑張ってほしい。

 

 貴重な場面での得点力はピカイチだった山崎も広島への期限付き移籍が決定。播戸のお株を奪うその得点力は何度もG大阪を救った。特に08年のACLではグループステージで3得点、アルカラマとの準々決勝では2戦ともに得点を決めてチームの優勝に大きく貢献したことが印象的。一昨年のアウェイ・千葉戦や昨年末の天皇杯準々決勝鹿島戦の得点など勝利に直結する得点も多かった。今年晴れてACLに臨むことになった広島でもそういった活躍ができれば心強い選手のはず。1年後に帰還するかは微妙なところだが、安定して出番さえ与えられれば本領を発揮してくれるはずだ。

 

 今季は不本意ながらサテライトでシーズンの大半を過ごすことになってしまった倉田も出場機会を求めて千葉への期限付き移籍が決定。ボール捌きに長け、決定機にも絡むことができる選手だけにJ2でどれだけ活躍できるか非常に興味深い。個人的には出番をよく与えられていた08年シーズンの終盤を思い出す。国立で行われた31節FC東京戦で非常に惜しいシュートチャンスを決められず、フィールドに顔をうずめた場面が昨日のことのように思い出される。新天地で思う存分実力を発揮してほしい。

ありがとう松代直樹 ‐イヤーブックで振り返る‐

2010年01月02日 | 脚で語るガンバ大阪
 昨日のエントリーで少し触れていた松代の件がより正式にオフィシャルサイト「引退」ということで発表された。97年からG大阪に在籍し、言わずと知れたチーム最古参の守護神がその選手生活に幕を閉じる。本当にお疲れ様でした。

 

 奈良県出身ということもあり、松代を応援する奈良県在住ファンは多かったはずだ。「GK大国」と称される奈良からJリーグ入りを果たしたプレイヤーとして代表のゴールを守る楢崎(名古屋)に知名度は劣るものの、唯一同じチームで13年間もプレーしていた。上牧高校から天理大を経て、まだ弱小チームだったG大阪に入団。当時は不動だった岡中やその後を継いだ都築(現浦和)の陰に隠れて活躍の場は限られていたが、契機となったのは2002年8月7日、当時まだ2ステージだったJリーグのファーストステージ第13節・東京V戦だった。ステージ優勝も見えた前節の磐田戦(8月3日・磐田)にて4-2でリードしながら残り15分で4-5にひっくり返された。この敗戦を機に西野監督は当時の守護神だった都築に代えて松代を起用しだした。その後リーグでは、藤ヶ谷が加入した05年シーズンの18節・C大阪戦まで1試合を除き2年強に渡ってG大阪のゴールマウスを不動の守護神として守り続け、藤ヶ谷加入後も切磋琢磨しながら時折先発出場でその健在ぶりをアピールしていた。

 

 昨日の天皇杯決勝の中継の際に、テロップで「35歳」と表示され、「もうそんな年齢なのか」と思っていたところだった。右ひざのテーピングが痛々しく思えた。表彰式の前に楢崎と談笑していた姿も印象的で、前述の胴上げの件も含め、このリリースを示唆するかのような光景だった。試合が終わってからオフィシャルに紹介されているコメントにあるように、松代は決して将来を嘱望されたエリート選手ではなかった。奈良から輩出されるJリーガーの大半が奈良育英高からだったことを考えれば、当時、上牧高校(現在は統合により奈良西和清陵高校)から天理大学(天理大出身の元Jリーガーは水越、東など)というキャリアでJリーグに入り、リーグ優勝、アジアチャンピオンなど、これだけのタイトル獲得に長きに渡って貢献したことは特筆に値する。もちろんその人柄も大きく評価されていたのだろうが、そこに日々の努力があったことは言うまでもないだろう。チームキャプテンを務めるなど信頼感は抜群。近年は出番も限られていたが、時折繰り出す神懸ったセービングは何度も万博を沸かした。確か、03年シーズンに万博で行われたFC東京戦では、そのファインセーブが凄まじく、当時のサッカーダイジェストが「8.0」の高評価をしていたのを記憶している。
 
 では、過去のイヤーブックから振り返ってみよう。

 
 加入初年度97年シーズンのイヤーブックより

 
 98年シーズンのイヤーブックより(かつての馴染みは22番)

 
 99年シーズンのイヤーブックより

 
 00年シーズンのイヤーブックより

 
 01年シーズンイヤーブックより

 
 02年シーズンイヤーブックより(隣の朝比奈が懐かしい)

 
 03年イヤーブックより(このシーズンは初の見開き紹介)

 まだ、正式に去就が発表されていないが、一部報道によると下部組織のコーチとして後進の指導に当たるとのこと。間違いなく奈良が生み出した偉大なGK。今後もチームのために貢献をしてくれるはず。本当に長い現役生活お疲れ様でした。そして、ありがとう松代直樹。

2010年、G大阪の連覇で幕開け

2010年01月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 謹賀新年
 明けましておめでとうございます。

 第89回天皇杯全日本サッカー選手権大会は決勝戦が行われ、G大阪が4-1で名古屋を下し2年連続の優勝を果たした。これでACL出場をリーグ順位で決定させているG大阪に代わって、リーグ4位の広島がACL出場権を獲得することとなった。

 4年ぶりに年末年始の東京行きを決行せず、久々に奈良で年を越してのTV観戦となった今回の天皇杯決勝。画面の向こう、国立のピッチに躍動していたのは「強い」G大阪だった。今季リーグで勝つことができなかった名古屋から後半3得点の圧勝劇。西野体制の円熟ぶりを見せつける優勝となった。
 やはり印象的だったのは、1-1で迎えた77分。二川のパスを受けた遠藤が名古屋の吉田とバヤリッツァを華麗に抜いてPA手前からゴール左隅に完璧なシュートを叩き込む。G大阪が再び名古屋を突き放し、試合を決定づけたといっても良い1発は、卓越したボールコントロールとその落ち着きがゆえに、今季AFC最優秀選手に輝いた彼のキャリア全盛を物語る得点だった。更にその印象を色濃くしたのはその後の遠藤のパフォーマンス。準決勝の仙台戦からG大阪は、先日亡くなったパナソニックの松下副会長夫人のために喪章を左腕に巻いてプレーしていたが、その喪章を外してキスをし、右手の人差し指を天にかざしたのだった。彼のなかなかお目にかかれないこのパフォーマンスが元旦のこの舞台での1点の重みを意味づけた気がする。

 その後もロスタイムを含めた15分強で2得点を奪ったG大阪が連覇を達成したわけだが、試合後すぐのインタビューでは珍しく山口が涙を見せるなど、このタイトルに懸けていた意気込みが伝わってきた中継だった。名古屋のケネディの存在には終始苦しめられた感はあるが、松代が負傷をおして先発でゴールを守り続けたのも印象的で、名古屋を相手にリーグでのミスを清算する好守備を見せた。試合後には西野監督に続いて胴上げをされていたのも来季の去就を気にさせる場面であり、天皇杯ならではの光景だったといえる。しかしながら、最後まで播戸の出番が無かったのは寂しいところ。山口、松代に続いて表彰台でトロフィーをもらう播戸の姿はG大阪での最後の雄姿となった。

 改めてチームの熟成度を見せつけたG大阪。幸先良く2010年を迎えた。天皇杯では準々決勝の鹿島戦の勝利こそ大きな価値ある勝利あったが、4回戦までは大学勢と2戦連続、そして鳥栖というように対戦相手に恵まれた感は否めない。シーズン後半に持続されていたG大阪の勢いを考慮すれば当然の結果かもしれない。これで至上命題はJリーグ制覇しかないだろう。W杯イヤーを迎える今年は代表に名を連ねる遠藤らの負担も大きくなる。ACLと並走してリーグをいかに制するか、これこそ西野体制9シーズン目の現実的な目標となるだろう。

焔立つ、師走のガンバ

2009年12月12日 | 脚で語るガンバ大阪
 天皇杯準々決勝にてリーグ優勝の鹿島と2週間ぶりに対峙することになったG大阪。山崎の2得点で鹿島に2-1と勝利し、準決勝に進出(29日@国立)を決めた。

 リーグ優勝を逃したものの、天皇杯にしっかりと気持ちを切り替えたG大阪。夏からの勝負強さを取り戻した。先日のリーグ最終節で西野監督がJ1通算200勝に達したが、その千葉戦で光っていたのはチームの90分を通したバランス感覚。試合の流れを柔軟に選手が自分たちの戦いやすい形へと運んでいった。優勝を逃したショックを払拭するには十分な試合だったといえる。特にその千葉戦で存在感を発揮していた山崎がこの大事な鹿島戦で殊勲の2得点を挙げられたことは大きい。あと1試合勝てば2年連続での元旦・国立。狙うはもちろん連覇しかないだろう。

 それにしても、早いものでもう12月。遠藤がAFC選出アジアMVPに輝いたと思ったら、来季のACLの日程及び組み合わせが発表され、天皇杯は準々決勝を迎えている。メディアによって、Jの他のクラブにおけるチームスタッフ・選手の動向が毎日のように報じられ、G大阪もワシントン(元浦和)、ボルジェス(元仙台)の獲得に動いているとか。播戸以外の去就が流動的でなかなか見えてこないG大阪だが、そんな師走のバタバタぶりを忘れさせてくれる今日の快勝劇。鹿島がリーグ時とはあまりにチームとして違った感はあったものの、天皇杯への執念を示すことができた試合だったのではないだろうか。

 まだ、G大阪のシーズンは終わっていない。