aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

ハニーランド

2020-12-30 00:01:51 | 映画
アップリンクで「ハニーランド 永遠の谷」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

北マケドニアで暮らすヨーロッパ最後の自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリーです。この映画はなんと3年間、400時間以上の時間をかけて撮影されたのだとか。長い時間をかけただけのことがあって、フィクションとドキュメンタリーのあわいに漂うような不思議な作品になっています(以下、ネタバレ気味です)。

自然養蜂家のハティツェは北マケドニアの首都スコピエから20キロ離れた谷間で、盲目の母と二人で暮らしています。ここにはいまだ電気も水道もなく、夜は蝋燭の灯りで生活する日々。彼女は蜂蜜を市場で売って生計を立てていますが、「半分はかれらに、半分はわたしに」と言って、巣の半分を蜂たちに残し、半分を自分のものにしています。こうしないと、蜂たちがよその巣に行って、そこの蜂と殺し合いをしてしまったりするようです。慎ましい彼女の日々は、隣に7人の子を連れたトルコ人の一家が引っ越して来たことから一変します。彼女は大家族の子どもたちとも仲良くなり、酪農をしていた一家に養蜂のやり方を教えることになりますが、一家の主人が「巣の半分は残すように」という彼女の教えを守らず、全て自分のものにしてしまったことから、事態は思わぬ方向へ・・・。

厳しくも美しい大自然、存在感のある登場人物、寓話のような趣すらあるストーリー。驚くことにハティツェが蜂の巣を採取する時には素手で行い、蜂たちも彼女のことは襲ってきません。この姿を見ると、人間と自然との共生は可能なのか?と思えてきますが、それは予想外の要素によって覆されてしまうものでもありました。安楽な環境に身を置きながら自然の美しさを讃え、共生に憧れることはたやすいですが、この映画は自然の厳しさ、人生の厳しさも見せてくれます。いつしか隣人は去り、母も亡くなり、一人残された彼女はその後も蜂たちとともに生きていくのでしょう・・・。

ところでアップリンクといえば、例の件のその後が気になっていましたが、どうもよくわからない結末を迎えたようですね・・・もやもやした気持ちが続いている映画好きの方もまだまだいそうですし、皆がすっきりした気持ちで見られるような空間になるといいですよね・・・。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« STRAY SHEEP | トップ | 2020年ベスト »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事