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アートネタなど日々のあれこれ

アンゼルム

2024-09-09 01:18:00 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

こちらも公開を知った時から楽しみにしていた映画です。ヴィム・ヴェンダースが撮ったアンゼルム・キーファーの映画、なんて考えただけでわくわくしてしまいますよね。しかもなんと3D映画らしい…ということで、いそいそと行ってまいりました(以下、ネタバレ気味です)。

この映画はアンゼルム・キーファーの生涯と現在を追っていますが、ドキュメンタリーのような映像詩のような不思議な作品になっています。途中、再現ドラマもありますが、キーファーの青年期をキーファーの息子が、幼少期をヴェンダースの孫甥が演じています。映画は主にフランスのバルジャックにあるキーファーのアトリエで撮影されています。このアトリエが驚くほど広大…3Dで撮影されたのはこのためなのでしょうか。アトリエは作品の所蔵庫や図書館を兼ねており、キーファーはこの中を口笛を吹きながら自転車でスイスイと移動しています。キーファーの壮大な世界観を持つ膨大な作品群はこの壮大なアトリエから生まれたのですね。人間の傷と原罪、救済を圧倒的なスケールで描き出す、まさに不世出のアーティスト…。映画はキーファー自身とその作品の人間離れした様相を過去と現在、現実と幻想を織り交ぜながら、淡々と、そして美しくとらえています。

ところで、キーファーとヴェンダース監督は同じ1945年生まれ、旧知の仲だったそうです。実は映画監督になりたかったキーファーと、実は画家になりたかったヴェンダース。二人が一緒に映画を作ろう、と話したのは90年代のことでした。このお二人も運命の出会いですよね…そして、約30年前の構想が今、実現したということにも何らかの意味があるのかもしれません。

その後、表参道のファーガスマカフリー東京で開催されていたキーファーの個展「opus magnum」も見てきました(展示は既に終了しています)。ガラスケースの作品と水彩画、あわせて20点が展示されていましたが、廃墟をイメージさせるオブジェとは対照的な水彩画の瑞々しさが印象的でした。画家のパレットとともに展示されていた水彩画を見て青木繁の「朝日」を思い出しました…。キーファーの個展は実に26年ぶりだそうですが、そうか、あれから26年も経ってしまったのか…。

さて、例によってアートといえば美味しいもの…ということで、この日はギャラリー近くの「青山シャンウェイ」でランチにしました。日替わり定食をいただきましたが、とりわけ薬膳スープが美味しかったです…体も心も癒されるような、滋味あふれる一品でした。
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