企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

読みやすいが、なかなか深い

2006年05月25日 | 本の紹介(ビジネス)
著者の個人的な体験の中から、経営においてトップマネジメントがどんな数字を見てきたかということを著した本。それだけではなくて、決算書を単純化してどう見てきたか、とか、どうやってものごとの本質を見るかということを、著者自身が先の経営者から学んだこととしてあげている。(あえて自身の主張をそういう表現をして紹介しているのかもしれないが)
紹介されている内容が理解しやすいことと、難しいことが書かれていないことによりたいへん読みやすい本と言えるだろう。しかし、一つ一つのエピソードについて自分が置かれていたら、と考えてみると、なかなかじっくり読める本でもあるなという感じ。これから経営陣を目指す(もしくは期待されている)人に、気軽に読んでもらいたい本だ。


さて、この本の中で、特に印象に残った指摘がある。できる社長は、自分のボスは株主だ、と考えていること。これは、必ずしも株主を意識しすぎるという意味ではなくて、社内では最終決定者であることにより全責任を負うが、その決定においては株主という存在の視点を以て、客観視すべき、という指摘だ。
自分がマネジメントコンサルや株主という側で、企業経営にかかわってきて思うのは、ずばりそのこと。決して、株主の意向ばかり気にして欲しいということは思わない。だが、社長だからと言って、会社のものは全て自分のもの、と勘違いしている人にはろくな社長がいないと感じている。(決して付き合いのある人が全て勘違いしていると言っているわけではなくて・・・素晴らしい方も中には居られます)
このご時世、「私は社長なんだから、口出しするな」とか「所有と経営は分離されるべきで、変な動きをしてもらっては困る」とか言う、勘違い雇われ社長は、正直どうしたものか、と感じてしまう。村上ファンドを見ても分かるように、株主が客観的に会社の将来を見て、経営に口を出すのは当然のこと。中にいると分からない視点で指摘しているのだから。
そんな人に、この本を読んでもらいたいと思うのだけれど。。たいていそんな人々は、自分は完成された経営者だとか思っているのか、経営書の類は読もうとしない。読んでも、宗教系か、自己啓発系、そして歴史系。そういう人は、人の話を聞くのも下手で、自分の考えを押しつけてくる。

自戒も込めて、再度読み直したいと思う本。ぜひご一読を。
なお、内容は素晴らしいが、新書でなくて文庫で出してもいいくらいの分量。読者は、本の体裁を気にはしていないと思う。これはやっぱり商売なのかな?日経ビジネス人文庫みたいな、文庫サイズの本を増やして欲しいのだけれど。


「できる社長」だけが知っている数字の読み方

PHP研究所

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