あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

脱原発を決断したドイツ政府

2011-06-09 08:41:00 | インポート

ドイツ政府が,17基ある原子力発電所を2022年までに段階的に閉鎖することを閣議決定しました。福島第一原発の事故後に急速に高まった脱原発の世論に応える形で,決断したようです。メルケル首相は,「未来への巨大なチャンスだ」と,語っています。

以前から環境問題に国民全体の関心が高く,そのための政策も先進的で,世界の範になるほど進んでいるドイツだからこそ,脱原発を方向づけることができたのかもしれません。

今の子どもたちに何を残してあげられるか。そう考えた時に思い浮かぶのは,誰もが幸せを享受できる社会の実現を図り,平和で緑豊かな環境を残すことです。メルケル首相の言葉は,未来社会を視野に入れ,かけがえのない大切なものを後世に残す「巨大なチャンス」と語っているように思えます。

現在のドイツでの電力依存の割合は,原子力が23%を占めています。当面は天然ガスや石炭火力を増強し,現在17%ある再生可能エネルギーによる発電を2020年までに35%に倍増させる計画です。ドイツは日本と同様に世界でも有数な工業国ですから,電力そのものの需要が減るわけではありません。国民生活を維持する電力も,節電の考えのもとにあっても常に一定量が必要とされます。こういった必要な電力を満たしながら,原子力に頼らないクリーンエネルギーを活用する発電施設を充実させていかなければなりません。そのために莫大な費用が必要となるでしょうし,国民は増税や電気料金の値上げに対する理解や負担も求められることになるでしょう。

しかしそうであっても,原発のない社会をつくることは,未来に生きる人々に残すことのできる最高の贈りものでもあるように思います。

原発の事故以来,福島の人たちは故郷を離れることを余儀なくされています。子どもたちにとって楽しいはずの学校生活も,放射能汚染が懸念され,外で活動したり遊んだりすることが制限される不自由な生活を強いられています。食べる物・飲む物・空気・地面・海・川・水・そこで生きる動物・植物まで放射能汚染が心配されます。風評被害のために,農・林・水産業で働く人たちの生活も成り立たない状況が生まれています。汚染された自然が,元に戻るまでにはたくさんの年月が必要とされます。

地震や津波は,人間の手でなくすことはできませんが,原発はなくすことができます。今回の原発事故で失ったものの大きさを考えるならば,今だからこそ廃止に向けた一歩を踏み出す必要があるのではないかと考えます。

想定外の地震と津波であり,そして原発事故であった。しかし原発事故については,さまざまな事態に対する想定と危機管理上の対策に欠陥があったことを東電も政府も認めています。想定することさえ怠って来たための人災とも言えるのではないかと思います。地震と津波の多い日本の海岸線に沿って,現在も原発が設置され動いています。他の国に比べ,想定外の事故は今後も起こる可能性があります。

ドイツは,10年のスタンスで,原発全廃に向けた取り組みを実践していくことになります。日本とドイツとでは環境問題に対するこれまでの取り組みや国民の問題意識がことなるため,ドイツと同様な取り組みは難しいのではないかと思います。

しかし,原発のない未来社会の理想的な在り方をしっかりと見通し,時間がかかっても日本なりの取り組みが推進できるのではないかと考えます。何を子どもたちに残してやれるのかと考えた時,お金では買えない安心して暮らせる地球環境を残すことなのではないかと改めて思います。そのために必要とされる負担は,未来への建設的な投資と考えることで理解されるのではないかと思います。

海も 山も 川も 空も 風も 光も 花も 木も 生き物も 

地球のすべてを きれいなままで 未来に引き継ぎたいものですね。