喋っては食べ、食べては喋り、
でも、台詞ははっきり、テンポは崩さず、
時間通りに食べ終わる!
好きな時間に好きなだけ食べる、というシーンなら、
さほど大変ではないんですが、
そんなシーンはまずありません。
食べながら台詞を喋ることに加えて、
この台詞までに、食べ終わる、
とか、
誰かがこの動きをした途端に、
全部食べ終わって「ごちそうさま」を言う、
とか。
「決まった時間内に食べきる」
という制約があるときが、
最も役者泣かせの消えものシーンになります。
そして、7、8年前。
それの典型のような芝居がありました。
時代劇で、シーンは、女郎屋の朝ごはん風景。
新米女郎が、とにかく底抜けに食べるという、
ま、言ってみれば、それを見せるだけの、
軽い、笑いを取るシーンでした。
なんですが、実際は、
メインの派手な立ち回りよりも、
神経を使ったんじゃないかと思います。
まず舞台上には朝食のセットが3人前。
ご飯、おかず、お汁にお茶。
当然、すべて本物です。
(そして当然、キャストたちが用意します)
これは用意する前の楽屋裏での写真。
(用意したときには、こっちもスタンバっていて写真は撮れない)
このセットを、芝居中に下男が運んできて、
女郎たちの朝ごはんが始まり、
みんながっつり食べます。
そうまでしなくても、と思われるかもしれませんが、
その時の劇場が小さい小屋だったので、
食べるマネなんかじゃバレバレ。
一気にお客様に引かれちゃいます。
それに、芝居をしながら、喋りながら、
食べ続ける姿っていうのは、
やっぱりリアルだし、
役者の必死さも伝わって(笑)
嘘がないから面白いんですね~。
しかし、
このときはそれどころじゃなかった。
なぜならば・・・、
<つづく>
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