机に開けた穴に、
スチーマーをぴったり合わせて置かない限り、
下から煙が漏れ出してしまう。
つまり、芝居の中で、
これをきっちり合わせて置く必要が出てきました。
その時の芝居の流れは、
彼女がスチーマーをポンと置いた後、
また仕事で呼ばれて、一度、舞台そでに入り、
「よっしゃぁ、これでやっとスチーマーができるぞ!」
と、ウキウキしながら戻ってきて、スイッチオン、
という流れでした。
つまり、彼女がそでに入った時に直せば、
それでうまくいくワケです。
そりゃね・・・。
確かに私が一番近くにいたし、
認知症の老人の役だったので、
スチーマーをもの珍しく眺めて、
位置を整える事は可能でした。
なんだけどね、だけどね。
今まで、この一部始終を見てきてるのよ、私は。
これ、よほど完璧に置かないと、
煙が少しずつ漏れてくる・・・って、わかってるのよね~。
それもほんの短い時間でやらなきゃいけないって、
も・の・す・ご・い・プレッシャーじゃないの
でも、これはやるしかないので、
「はい、私やります」ということになりました。
しかし、このシーンが近づいてきたら、
もう、気になること、気になること!
稽古場で最初にやった時など、
あまりに真剣になりすぎて、、
「認知症の老人、どっか行っちゃいましたねー」
と大笑いされたりして。
本番の時は、さすがにちゃんとやりましたが、
困ったことに、その前から、
気になって芝居に集中できない(笑)
袖にハケたあとも、心配で心配で、
毎公演、こっそり袖から、煙の具合を見ていました。
客席から見れば、本当に一瞬のシーン。
でも、こんな感じで、あーでもない、こ-でもないと、
稽古場で大騒ぎしていることって、
けっこうあるんです。
私が客席から見ていても、まるっきり気づかず、
後から出演者に聞いて、
「へぇ~」なんてこともありますし、
極端な話、同じ公演に出ていても、
自分が全く関わってないと、
知らないままで終わってしまうこともあったりするという、
まさに当事者たちだけの「見えない苦労」。
次回からは、違うパターンの「見えない苦労」を、
書いていきたいと思います。
<つづく>
ブログランキング参加中
よろしければクリックを