望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

舞台の裏のウラ話・その19

2010-02-21 10:12:46 | 舞台・ウラ話
いち、に、さん、と数える程度の時間で、
暗闇の中で繰り広がられる、つかみあい大会(笑)


暗転の時には、人の移動以外にも、

セットする道具が多いとか、
細かいもの、音のするもののセットなど、

気を遣う仕事がいろいろとあります。


暗転で動かさなければならない道具には、
あらかじめ蓄光シールを、
小さーく切って貼っておきます。

蓄光シールはその名の通り、
光を蓄えておいて、
暗転になったら光ってくれるシール

役者はこの光を頼りに、
道具を移動したり、自分がそでにハケたりします。

自転車なんかにも貼りますよね
あれと同じものです。

もちろん舞台の場合は、目立たないように、
ものすごく小さく切って使いますけど。


が、あんまり貼ると、
暗い中でキラキラ目立ってしまうので、
たくさんは貼れませんし、

小さすぎるものにも貼りにくいし、
お客様の目が集中するようなものにも貼りにくい。


では、貼れない場合は暗い中でどう探すか


というと、

暗転前に、一番近くの人が、さりげなく、
物の位置をきっちり確認しておいて、

暗転になった途端、自分の記憶を頼りに、
さっと握ってハケます。


たとえば、

お金の入った封筒を渡され、
「こんなもの! 馬鹿にしないでよっ!」
と床にたたきつける。
・・・なーんて、よくあるシーンですが、
(最近はあまりないか)


この後、暗転になった途端、
たたきつけたご本人が、床に這いつくばって探します。
コンタクトを落とした、あの状態です。

普通、暗転の稽古って、劇場に入らないとできないんですが、
この「拾う練習」だけは、稽古場でもできるんですね。

つまり、暗転になったと仮定して、
自分だけ目をつぶって、手探りでつかむ練習をするんです。

もちろん本人は真剣だし、
誰でもやる練習なんですけど、

明るいところで1人、
目をつぶって這いつくばって探している図というのは、

なんか本当に間が抜けてるというか何というか。
「何やってるんだか」って気分になることも確かです。



でも、こうやって練習しておくせいか、

暗転の寸前までブツを見て確認できるためか、

この手の本番中のトラブルは、あまりなくて、
たいがい問題なくハケられます。


ただ、

ハプニング・・・はどんなときにもおこるもので・・・
 


それはトランプをハケる仕事でした。

あっ、これは私じゃありません。
ベテランの役者さんが、
自分の使ったトランプをハケる役目だったんですね。

最後にトランプを重ねて、ポンと置いて暗転。
そのまま、握ってハケることになっていたんですが、

その人が握ろうとした瞬間、

誰かがトランプを置いていたテーブルにぶつかって、

その勢いで、

重ねてあったトランプが、ザッと崩れて広がって、


バサ、バサバサ・・・と、

52枚がバラバラに! 


 
(つづく)
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