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画家と警官のアートな刑事バディドラマ『猟罪図鑑』(猎罪图鉴)~檀健次が大ブレイク

2022年04月26日 | エンタメの日記
3月から配信スタートした刑事ドラマ『猟罪図鑑』(猎罪图鉴)をきっかけに、檀健次(タン・ジェンズ)が大ブレイクしています。
10年近く前に「MIC男団」というボーイズグループのメンバーとしてデビューした檀健次は現在31歳。中国はヒット作に恵まれることをきっかけに30歳近くになってブレイクする俳優が少なくありませんが、檀健次もそのケースに該当するといえます。



タイトル:『猟罪図鑑』(猎罪图鉴) 英文名:Under the Skin  全20話(1話約45分)
主演:檀健次(タン・ジェンズ)、金世佳(ジン・シージャー)、秦海璐(チン・ハイルー)
放送媒体:テンセントビデオ、IQIYI(愛奇芸)  放送開始日:2022年3月6日
監督:邢鍵鈞  総監:張暁波
制作:檸萌影業ほか  撮影地:厦門(アモイ)ほか
ドラマレビューサイト豆瓣(ドウバン)評価:7.5点/10点

あらすじ
7年前、一人の警察官が何者かに殺害された。新米の警官だった杜城(ドゥ・チェン)は参考人として取調べを受ける若き天才画家・沈翊(シェン・イー)に詰め寄る。警察官が殺されたきっかけを作ったのは、沈翊が描いた似顔絵だった。
沈翊は容疑者の顔を見たにもかかわらず、容疑者の似顔絵を描くことができない。杜城は沈翊を罵倒する「お前の絵は人を不幸にするだけだ」と。
7年後、アート界から姿を消した沈翊は警察学校の教官として教壇に立っていた。ある事件をきっかけに、沈翊は刑事課に配属され、似顔絵師として杜城とともに犯罪の解明に立ち向かう。

という切り出しから始まるドラマです。

沈翊(シェン・イー) 若き天才画家。28歳。
警察学校の教官兼刑事課の似顔絵師。イケメンとして認識されており、署内のあちこちにファンがいる。
一応警察官という身分だが、中性的でカジュアルな服装で出勤している。警察署内に自分専用のアトリエのような個室をあてがわれている。
捜査では犯人と異常な至近距離で接触する場面にたびたび遭遇する。人の心理を捉えることに長け、それが絵にも反映されている。


7年前の沈翊(シェン・イー)。アート界の寵児だった。


沈翊を演じる檀健次(タン・ジェンズ)は1990年生まれなので、撮影当時すでに30歳でしたが、すごく若く見えます。中国芸能人としては小柄で、KPOPアイドルのようなルックスの持ち主です。



檀健次(タン・ジェンズ)
1990年10月5日生まれ 広西壮族自治区北海市出身 漢民族 英語名:JC-T 身長:174 cm
日本人のような名前ですが中国人です。
2010年に中国ボーイズグループ「M.I.C男団」のメンバーとしてデビュー。グループの活動は2017年頃まで続いた。
しかし、当時の中国はKPOPグループが席巻しており、中国国産グループはプロデュース力が弱く、SNSも発達していなかったので露出の機会を作ることすら難しく、「M.I.C男団」はメジャーになりきれることなくフェードアウトしていきました。
檀健次はアイドル活動のほか、ドラマや舞台にも出演していましたが、最近になって芸能人の再ブレイクをかけるサバイバル番組に出演したことをきっかけに、知名度が飛躍的にアップしました。

2018年12月:俳優が演技を競うバラエティ番組『我就是演员』(米「I AM THE ACTOR」の中国版)第1シーズンに出演。
2020年12月:アラサー、アラフォー男性芸能人の再ブレイクをかけたバラエティ『追光吧!哥哥』(Shine! Super Brothers)に出演。
『追光吧!哥哥』は歌、ダンスを競うタイプの番組で、檀健次は21名の参加者の中で見事優勝を果たします。

2021年2月7日『追光吧!哥哥』公式Weibo 元々ダンスを学んでおり、番組ではダンス、歌ともに高く評価される。


もう一人の主人公、刑事・杜城(ドゥ・チェン)を演じるのは金世佳という長身の俳優です。
杜城(ドゥ・チェン):刑事課のリーダー。7年前に師匠として敬う警察官が殺されながらも犯人を逮捕できないことに深く苦しむ。
当初は事件に関与した沈翊(シェン・イー)にやりどころのない怒りをぶつけていた。


俳優 金世佳(ジン・シージャー) 
1986年11月10日生まれ、上海出身。英語名:Kim Scar 身長:189cm  体重:77kg
上海戯劇学院出身、大阪芸術大学の研究所に留学していた経験があるそうです。10代の頃は水泳選手としても活躍していた。
非常に背が高く体格に恵まれ、韓国俳優を思わせる顔立ちです。
檀健次と並ぶとかなりの身長差がありますが、金世佳は中国俳優の中でも長身です。
国立の有名演劇大学出身で、コンスタントにドラマ・映画に出演するキャリアの長い俳優の一人です。



中国で実際に起きた事件をモチーフにした犯罪ドラマ
『猟罪図鑑』は全20話のドラマで、約10個のエピソード(事件)が描かれます。2話で1つのエピソードを消化するペースです。
個々のエピソードで描かれる犯罪は、中国で実際に発生した事件をモチーフにしているものが多いです。
中盤に出てくるエピソードの一つは不自然に途切れています。後々伏線が回収されるのか?と思って見ていても、最後まで回収されません。
このエピソードで描かれる犯人像は、中国犯罪史上稀にみる凶悪犯罪を連想させるもので、しかもその事件が現在も公判中ということから、エピソードの核心部分が削除されたのではと言われています。

なお、原案となっている事件の中には20年近く前の事件も含まれており、20年前なら犯罪の手口として成り立ったかもしれないけれど、いまの時代では成り立たないのでは、と疑問を抱かせる部分もあります。

犯罪ミステリーとしてはロジックに矛盾がみられ、設定に無理がある部分も少なくありません。
しかし、現代アートをベースに、美しい街並みと個性的な建築物が次々と登場するリッチな映像のドラマです。
また、推理の面では緻密さを欠くのに対し、主人公の二人、画家・沈翊と警察官・杜城のバディ関係の進展は、すごくまともに描かれています。腐女子に媚びるような描写もなく好感が持てます。
犯罪ドラマではありますが、推理要素は30%程度で、アートやバディ要素、檀健次の美貌を楽しむドラマで、推理の追及はそれほど重要ではないと思います。


女性視点の犯罪ドラマ
男性主人公二人の警察バディもので、「ヒロイン」は存在しません。ですが、事件の中核にいるのは女性が多く、ドラマ全体でみると女性の視点に重心が置かれています。
捜査にはあまり参加しませんが、警察署(分署)の署長も女性です。署内の司法解剖医師、ITスペシャリスト、凶器鑑定のスペシャリストも女性で、女性キャラクターは決して少なくないのですが、男女の恋愛展開はほぼゼロです。
司法解剖医を演じる張柏嘉。美人でスタイルのよい女優がたくさんキャスティングされていますが恋愛要素はありません。


モダンアートに力を入れる中国
モダンアート、特にインスタレーションアートは広いスペースと新しい建築空間が必要とされます。
都市が大きく設計されている中国はモダンアートに向いており、人工的な都市空間も多く、モダンアートの作品を発表する機会に恵まれています。
『猟罪図鑑』のようなアートを題材にした犯罪ドラマというのは、アメリカ刑事ドラマにもあったような気がします。
もちろん、カメラワークなどは韓国ドラマの影響も見られます。ただ、最終話のヨットハーバーなど、中国ならではの圧倒的なスケールの都市空間が映像化されていることが、米国ドラマや韓国ドラマとの差別化に繫がっています。
ドラマの撮影地はまたしても厦門(アモイ)です。海岸、旧市街、高層ビル、メリハリのきいた映像の力で足りない部分を補うのが中国ドラマの特徴です。
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