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アイドルオーディション番組の今後~INTO1と卒業生たち

2021年05月16日 | 創造営2021
中国オーディション番組「青春有你第3季」の決勝戦は直前で放送中止となりましたが、その後番組側からの正式な追加告知はありません。ファイナルに残った練習生20名が沈黙を続けていることから、番組として何か準備していることがあるのでは?と期待を捨てきれずにいます。
5月15日には第三回順位で9位に入った「十七」(シューチー)が天津で行われた野外フェス「麦浪嘉年華」に出演していますが、本人の公式Weiboは「青春有你」参加者の肩書のままで凍結されているような状態で、活動に関する情報発信はありません。
一方で、ファイナルに進出できなかったその他の練習生は、音楽関係の生配信に出演したり、イベントに参加したり、本来の状態に戻っています。

中国版「101系」オーディション番組は2018年から始まり、これまでに男女版合わせて8シリーズが放送されました。中国の大手動画サイト2社(テンセントビデオ、iQIYI)が毎年並行して開催するため、デビューできるような資質のある練習生はすでに枯渇しており、視聴者にも飽きられていると思われていました。
ところが、今年2月に「創造営2021」と「青春有你3」の放送が始まってみると、予想外に練習生のレベルが高く、思ったよりも盛り上がりました。「創造営2021」は海外練習生の大量参加という初の試みにより、明らかな差別化をはかることに成功しました。「青春有你3」は従来どおりの展開だったのですが、とにかく練習生に美形が多く、オタクの琴線に触れる演出が秀逸でコアなファンからは熱い支持を得ていました。
そのため、この二つの「101系」の番組はこれからも毎年放送されるものと思われており、早くも3月から来年の「創造営5」(2022年ガールズ版)に向けて面接が始まっていました。
ところが、「青春有你3」の決勝が中止になるだけではなく、「この種のオーディション番組の運営全般に問題がある」と政府当局が明文で改善命令を出したため、「創造営」と「青春有你」は来年の開催が危ぶまれています。少なくとも「青春有你」は、この番組名で制作を続けることはできないだろうと言われています。
オーディション番組のあり方を政府当局が問題視し、改善命令を出すことは過去にもありました。規制された根本的な理由は、ファンが投票にヒートアップしすぎてさまざまな社会問題が発生したためです。つまり、政府が規制に乗り出すのは、それだけ番組が盛り上がり、視聴者がヒートアップしたことの表れなのです。

「創造営2021」と「青春有你3」がこれだけ盛り上がったのは練習生のクオリティが高かったからであり、それは恐らくコロナの影響だと思います。中国では政府・行政主導のITシステム、AI、ビッグデータとスマホを駆使した罰則及び強制力を伴う感染対策が実施されているため、基本的にはコロナの心配をせずに生活することができます。一方で、海外に出ることは非常に難しくなっており、本来なら海外にいるはずの人材も中国国内に留まっています。芸能活動に関していうと、オフラインの活動は制約が大きいので、映像配信できる形のコンテンツに偏重し、動画プラットフォームの影響力がますます強まっています。

もしコロナがなかったら、あんなにたくさんの海外練習生は集まらなかったのではと思います。中国人練習生にとっても同様で、コロナの影響により活動できる「場」が一局集中する傾向が強まり、予想外にハイレベルの人材が集まったように感じます。

「創造営2021」は無事に11人グループ「INTO1」がデビューすることができました。
INTO1は、テンセントビデオ(WeTV)で配信されるグループバラエティ「未知週刊!」のほか、メンバー個別または2~3名に分かれて、ブランドのイメージキャラクター等の活動を開始しています。全国ツアーを予定しているといいますが、ライブよりもバラエティ番組や広告などが多く、11人揃ってステージパフォーマンスをする機会はなかなか作れないのではと思います。
INTO1「未知週刊!」新しい宿舎の部屋の分配が決まりました。劉宇と周柯宇が2人部屋。他は1人部屋だが部屋の質に差があり、ミカがハズレ、張嘉元が当たりくじを引きました。




「創造営2021」は「青春有你3」の問題が本格化する前に終了したため、全員が無事に卒業することができました。中国に留まっている海外練習生も多いです。

リルーシュ(利路修)と羽生田拳武(アム)と喜内優心(Yuu)が出演する瑞幸咖啡(Lucking Coffee)のCM。3人はともに「天王星娯楽」の所属となっていますが、リルーシュは「自分はタレントではなく事務所の社長王友良(Ivan)の友人で、「創造営」に参加するにあたり便宜的に事務所所属の形をとった」とインタビューで語っています。


投票制オーディション番組に対する批判として、投票用商品である食べ物(ヨーグルトなど)を無駄にしているとうものがあります。
特に、SNS上で拡散されて激しい批判の的となったのは、「投票QRコードのために乳飲料をドブに捨てている」ところを映した画像です。ただし、拡散された画像は今年のものではなく去年のものです。以前は、飲料のキャップの裏に投票QRコードが印刷されていたので開封せざるを得ず、ヨーグルトを大量に捨てているという問題がありました。2021年には改善が図られており、ダース入りの箱にQRコードをつけたり、飲料のキャップではなくパッケージの裏にQRコードを印刷しています。
パッケージを剥がすと投票用のQRコードが出てきます。このヨーグルト飲料の賞味期限は6ヶ月。


それ以上に問題なっているのは、ファンが投票に膨大な額の金銭を投入しており、その金額が年々高くなっているということです。
いまの中国の様々な社会問題、ネット社会の歪さが露呈して最終的に番組制作中止に至りましたが、そこに同時に存在しているのは、中国の人々のあり余るエネルギーと資金力です。
せっかくコロナ感染を心配せずに番組を作ることができる環境にあるのに、コロナとは関係のない理由で放送中止になってしまうのは、なんともいえない気持ちがします。ですが、人材と資金がある限り、形を変えた何かが生みだされると信じています。
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