グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

シュロのホウキをみた朝に。

2018-12-11 15:09:35 | Weblog
シュロのホウキをみた朝に。

ユネスコ無形文化遺産に登録された「来訪神 仮面・仮装の神々」の関連
記事として、それらの神々のお身体を飾ることの多いシュロについての回
の再録となります。2010年以前の記事ですが、よろしかったら。

 ↓

『シュロのホウキをみた朝に。』

早朝、地主神さまの廻りを掃除するときにつかっているシュロ製のホウキ
をみているうちに連想したのは、シュロをまとった神さまたちのお姿・・・

そう、あるときは薩摩のカッパ のマスクとなり、またあるときは(日食で
有名になった)悪石島のボゼの身体となり、またあるときは宇和島の牛鬼
の身体を飾った植物・・

シュロ .jpg シュロ 2.jpg シュロ 3.jpg

・・・ それが シュロなのです。 こちら  。

シュロ/和棕櫚

学名は、Trachycarpus fortunei九州地方南部に自生し、東北地方ま
でも栽培されている
シュロは、日本でもっとも耐寒性が強いヤシ科植物です。
そんなシュロを、日本では古来よりいろいろなモノに加工してきた過去が
あります。

たとえば シュロ皮ですが、

はじめに煮沸され・亜硫酸ガスで燻蒸され、そののち天日で干されたあと、
その後に残った繊維が利用されます(この繊維は「晒葉」とよばれます)。
このシュロ皮の繊維は、腐りにくく伸縮性に富むため、笠や建築材料はもと
より、刷毛や下駄の鼻緒、さらには縄や敷物、ホウキなどなど、昔からいろ
いろなものに利用されてきました。

生活において日用品として利用されてきたシュロ加工品の数々・・シュロは
庶民にとって、利用の価値の高いスーパー植物であったようですね。

そして文頭の、河童や ボゼ・牛鬼といった『不思議なモノ』の造形に使われ
迫力というかある種の凄みを持たせてしまうこと、それもまたシュロの持つ
不思議な力​
のひとつ[ひょっとたら最大の]なのかもしれません。

ちなみに体験したなかでもっともインパトがあったのは、、旧暦7月15日
にとりおこなわれるお盆の行事に登場する悪石島のボゼ!

厳しい環境の中で生きる人たちの生活の安泰と病気や悪魔払いのために年に
一度この島に降り立つ来訪神ではありますが、むしろ悪魔が気の毒になるほ
どの怖さでありました。追い廻され、道具をつかって体内に潜む悪魔を追い
出されるといった行為をされる悪石島の子供さんたちの将来に幸あれ。


注.ここまて書いていて申し訳ないのですが、ボゼの下半身につかわれてい
 るのはじつはシュロではなくビロウだった・・ということで、次回は
 シュロに引き続いてビロウ編 と なります。すみません。



お化け エコな包装・結束資材としての将来性もありそうなシュロ。
  将来有望な時代も来る・・かも。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




​​畜産用抗生物質2種が使用禁止になったということで。

2018-12-06 14:29:49 | Weblog
​​​​​​​畜産用抗生物質2種が使用禁止になったということで。

三重県で開催された伊勢志摩サミットの議題関連として、2016年の
4月5日に官邸で開催された「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚
会議」で決定された行動計画に基づき、
国は豚や牛など家畜の飼料に混ぜて使う2種類の抗菌薬の成長目的での
使用を国内で初めて禁止にしました。

禁止すると発表されてから、実行されるまでに約1年ほどかかったわけ
ですが、とりあえずは よかったです。

禁止された理由は・・・抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌の広がり
を防ぐためですが、 そんなニュースを扱った11月18日付の朝日新聞の
第一面の写真が こちら です。


 第一面   記事はこちら 

そしてこちらが、その記事の部分的な拡大映像 と なります。

             

記事にいわく今回禁止された薬は コリスチンとバージニアマイシン。
なかでもコリスチンは日本国内で流通する飼料添加物の約1割を占める
とされています[2016年に添加物として使用された抗菌薬は228トン]。

・・・2013年の時点で耐性菌による死者は 世界で70万人超[厚生労
働省]であり、2050年には死者が年1千万人に上るという推計 もある
耐性菌問題。 欧州連合(EU)では現在から遡ること10年以上も前の
2006年に成長促進目的での抗菌薬の使用を禁止しているだけに今回
の日本政府の措置は遅きに失した感があるものの、それでも もちろん
規制しないよりはずっといい っていうところですね。

そしてこの記事の文中にある「食品や排せつ物を通じて人にも広がる恐
れがあると判断した」という一節ですが、これをわかりやすい図で説明
すると


        

こうなります。そして今回の措置にプラスするかたちで、付け加えると
したら、この2種類以外の抗菌薬の規制問題です。

農水省によると「飼料添加物として認められている抗菌薬は23成分。
そのうち15成分はリスクは無視できると考えられ、 残りの8成分が
評価中」ということらしいでので、 個人的には ここはひとつ遅れた
事態を早急に挽回するためにも いっきにぜーんぶ禁止 なんて措置に
突っ走ってほしいものだなと どうしても おもってしまいますね。

ということで今回は、耐性菌が身近な問題となってきたからには[農業
といういち産業を守ることよりも]家畜の成長促進目的での抗生物質の
使用禁止をよりいっそう推進していこう、併せて抗生物質を使って飼育
された家畜のふん尿の農業利用についてもEUなみに規制していこう
いまそれが日本の国民のひとりひとりの健康と生命を守るためには必要
なのだというおはなしでした。


晴れ 切り札とされるコリスチンが効かない「スーパー耐性菌」も、​
  日本ではすでに 2016年には確認されている[​こちら​]と
  いう現実もあるわけですから規制は早ければ早いほどよろしい
  のではないかと。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」​



薬剤耐性菌の広がる経緯。

2018-12-04 16:48:53 | Weblog
薬剤耐性菌の広がる経緯。

2017年09月15日分ですが、次回資料分として再掲載です。
前回分の『日本政府の取組み』と併せて よろしかったら。


薬剤耐性菌の広がる経緯。』

本年7月14日に新聞各紙に掲載された『飼料抗菌薬2種禁止・
耐性菌の人体影響懸念』という記事をご覧になった方も多いか
と思います。

ここでもういちどその記事の内容を要約すると・・・

家畜の成長を促進させるため、飼料に混ぜて使うことが認め
 られているコリスチンなど2種類の抗菌薬について、農林水
 産省が飼料添加物としての指定を取り消し、使用を禁止する
 方針を固めたことが13日、分かった。薬の効かない薬剤耐
 性菌が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し
 健康に悪影響が出るリスクが無視できないと判断した。

​​​​​ 耐性菌による死者は、世界で年間70万人に上るとの試算も
 あり、2016年の伊勢志摩サミットで各国は原因となる抗
 菌薬の適切な使用を進めることに合意した。日本での禁止は
 合意後初めて。審議会での検討を経て、本年度中にも正式に
 決める。

というものでしたが、その記事の内容をわかりやすく図示した
ものが こちら ↓ 。

  

あらためてこの図を見ると、抗生物質の効かない薬剤耐性菌
が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し
健康
に悪影響が出る経緯がよく表現できているなぁと思います。

しかし。このニュースの掲載時には、なぜか大部分の新聞は
この図を使用せずに、薬剤耐性菌そのものの顕微鏡写真を付
記していた。そこで、前回のオランダの取り組み[こちら
と併せて、今回あらためて添付した次第です。

・・・そして、今回の図と農水省の新聞発表をここであらた
めて読みなおして特筆すべきなのは、 

 耐性菌に感染した患者を治療するときに医師が頼りにする
 最強の抗生物質であり・既存の薬が効かない感染症
への最
 終手段として、いわゆる「最後の砦」として使われて
きた
 コリスチン 

が、飼料添加物のひとつとしてある意味当然のこととして畜
産業の業界のなかで使用されつづけてきたということ。この
事実でしょう。

日本でさえこのような状態なのですから、2015年にはじ
めてコリスチン耐性を持つ細菌が中国で発見されたのを皮切
りに、その後は検査するたびにつぎつぎにヨーロッパやアジ
ア・アフリカなどの世界各地でみつかっていったのも、いま
となっては必然であった気がしますよね。

その事実を鑑みれば、2016年の伊勢志摩サミットでこの
耐性菌問題が議題のひとつとされ、そして審議の結果として
参加各国の首脳が

 原因となる抗菌薬の適切な使用を進めることに合意

したというのも[その危機感が]わかる気がします。

とにもかくにも、最初の一歩。人間に使われる抗生剤よりも
動物に使われる抗生剤のほうが多いとされている日本に住む
いち市民の立場としては、これを皮切りに政府には耐性菌の
リスクを少しでも減らしてく努力をつづけていってほしいな
と、いまつよく思います。


晴れ ちなみに中国で2015年にはじめてコリスチン耐性
  を持つ細菌が発見されたのは、じつは養豚場であった
  とのことですね。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




耐性菌対策のための日本政府の取り組み。

2018-12-04 16:43:15 | Weblog
耐性菌対策のための日本政府の取り組み。

2016年9月の記事となりますが、次回関連で採録となります。

  ↓

『耐性菌対策のための日本政府の取り組み。』

三重県で開催された伊勢志摩サミットに先駆けて、日本政府は 「国際
的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」を4月5日に首相官邸で開き、
行動計画を決定しました。


のののののの

もちろんこれは、抗菌薬を大量に使うと薬が効かない薬剤耐性菌が増え
るのを防ぐための措置ではありますが、注目すべきは

 ■ 政府という行政のトップで行動計画が作成され

それに加えて

 ■ 減らされる抗生物質の量の数値目標が決められた

ということ。

かねてよりの世界保健機関[WHO]からの要請があったからとはいえ、

 ■ 使用される抗菌薬の量を20年までに現行の3分の2まで減らす

という具体的な期限まで、しかもヒトの医療現場のみならず 畜産という
農業分野にまで踏み込んで設けられたこと
に、個人的には驚きました。


だってEUのように家畜に使用する抗生物質の種類を規制していない
はおろか、現在家畜に使われている抗生物質の量さえ把握していないと
おもわれる
 この日本で・しかもいきなりの規制計画 ですもの。

これは、今までの経緯を考えれば ほんとうにびっくりものですよ。

裏を返せば・・耐性菌問題が抜き差しならぬ段階に入ってきたのかなと
ちょっと恐ろしくもありますが、今回の計画が なんとかスムーズに
絵にかいた餅のようにならぬよう]実行に移されることを 国民の
ひとりとしてねがうばかりであります。

つづく。


晴れ 『風邪をひいたら養殖魚をたべさせときな』なんていうブラッ
  クジョークに象徴される農水産業で使用される抗生物質の量に
  ついてのおはなしは こちら 。
  安心・安全というかけ声のもとに、耐性菌をふやすことになっ
  てきた原因かもれない家畜ふん尿を全国の圃場に撒き続けてき
  たおはなしは こちら


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