グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

​​畜産用抗生物質2種が使用禁止になったということで。

2018-12-06 14:29:49 | Weblog
​​​​​​​畜産用抗生物質2種が使用禁止になったということで。

三重県で開催された伊勢志摩サミットの議題関連として、2016年の
4月5日に官邸で開催された「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚
会議」で決定された行動計画に基づき、
国は豚や牛など家畜の飼料に混ぜて使う2種類の抗菌薬の成長目的での
使用を国内で初めて禁止にしました。

禁止すると発表されてから、実行されるまでに約1年ほどかかったわけ
ですが、とりあえずは よかったです。

禁止された理由は・・・抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌の広がり
を防ぐためですが、 そんなニュースを扱った11月18日付の朝日新聞の
第一面の写真が こちら です。


 第一面   記事はこちら 

そしてこちらが、その記事の部分的な拡大映像 と なります。

             

記事にいわく今回禁止された薬は コリスチンとバージニアマイシン。
なかでもコリスチンは日本国内で流通する飼料添加物の約1割を占める
とされています[2016年に添加物として使用された抗菌薬は228トン]。

・・・2013年の時点で耐性菌による死者は 世界で70万人超[厚生労
働省]であり、2050年には死者が年1千万人に上るという推計 もある
耐性菌問題。 欧州連合(EU)では現在から遡ること10年以上も前の
2006年に成長促進目的での抗菌薬の使用を禁止しているだけに今回
の日本政府の措置は遅きに失した感があるものの、それでも もちろん
規制しないよりはずっといい っていうところですね。

そしてこの記事の文中にある「食品や排せつ物を通じて人にも広がる恐
れがあると判断した」という一節ですが、これをわかりやすい図で説明
すると


        

こうなります。そして今回の措置にプラスするかたちで、付け加えると
したら、この2種類以外の抗菌薬の規制問題です。

農水省によると「飼料添加物として認められている抗菌薬は23成分。
そのうち15成分はリスクは無視できると考えられ、 残りの8成分が
評価中」ということらしいでので、 個人的には ここはひとつ遅れた
事態を早急に挽回するためにも いっきにぜーんぶ禁止 なんて措置に
突っ走ってほしいものだなと どうしても おもってしまいますね。

ということで今回は、耐性菌が身近な問題となってきたからには[農業
といういち産業を守ることよりも]家畜の成長促進目的での抗生物質の
使用禁止をよりいっそう推進していこう、併せて抗生物質を使って飼育
された家畜のふん尿の農業利用についてもEUなみに規制していこう
いまそれが日本の国民のひとりひとりの健康と生命を守るためには必要
なのだというおはなしでした。


晴れ 切り札とされるコリスチンが効かない「スーパー耐性菌」も、​
  日本ではすでに 2016年には確認されている[​こちら​]と
  いう現実もあるわけですから規制は早ければ早いほどよろしい
  のではないかと。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」​