グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

薬剤耐性菌の広がる経緯。

2018-12-04 16:48:53 | Weblog
薬剤耐性菌の広がる経緯。

2017年09月15日分ですが、次回資料分として再掲載です。
前回分の『日本政府の取組み』と併せて よろしかったら。


薬剤耐性菌の広がる経緯。』

本年7月14日に新聞各紙に掲載された『飼料抗菌薬2種禁止・
耐性菌の人体影響懸念』という記事をご覧になった方も多いか
と思います。

ここでもういちどその記事の内容を要約すると・・・

家畜の成長を促進させるため、飼料に混ぜて使うことが認め
 られているコリスチンなど2種類の抗菌薬について、農林水
 産省が飼料添加物としての指定を取り消し、使用を禁止する
 方針を固めたことが13日、分かった。薬の効かない薬剤耐
 性菌が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し
 健康に悪影響が出るリスクが無視できないと判断した。

​​​​​ 耐性菌による死者は、世界で年間70万人に上るとの試算も
 あり、2016年の伊勢志摩サミットで各国は原因となる抗
 菌薬の適切な使用を進めることに合意した。日本での禁止は
 合意後初めて。審議会での検討を経て、本年度中にも正式に
 決める。

というものでしたが、その記事の内容をわかりやすく図示した
ものが こちら ↓ 。

  

あらためてこの図を見ると、抗生物質の効かない薬剤耐性菌
が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し
健康
に悪影響が出る経緯がよく表現できているなぁと思います。

しかし。このニュースの掲載時には、なぜか大部分の新聞は
この図を使用せずに、薬剤耐性菌そのものの顕微鏡写真を付
記していた。そこで、前回のオランダの取り組み[こちら
と併せて、今回あらためて添付した次第です。

・・・そして、今回の図と農水省の新聞発表をここであらた
めて読みなおして特筆すべきなのは、 

 耐性菌に感染した患者を治療するときに医師が頼りにする
 最強の抗生物質であり・既存の薬が効かない感染症
への最
 終手段として、いわゆる「最後の砦」として使われて
きた
 コリスチン 

が、飼料添加物のひとつとしてある意味当然のこととして畜
産業の業界のなかで使用されつづけてきたということ。この
事実でしょう。

日本でさえこのような状態なのですから、2015年にはじ
めてコリスチン耐性を持つ細菌が中国で発見されたのを皮切
りに、その後は検査するたびにつぎつぎにヨーロッパやアジ
ア・アフリカなどの世界各地でみつかっていったのも、いま
となっては必然であった気がしますよね。

その事実を鑑みれば、2016年の伊勢志摩サミットでこの
耐性菌問題が議題のひとつとされ、そして審議の結果として
参加各国の首脳が

 原因となる抗菌薬の適切な使用を進めることに合意

したというのも[その危機感が]わかる気がします。

とにもかくにも、最初の一歩。人間に使われる抗生剤よりも
動物に使われる抗生剤のほうが多いとされている日本に住む
いち市民の立場としては、これを皮切りに政府には耐性菌の
リスクを少しでも減らしてく努力をつづけていってほしいな
と、いまつよく思います。


晴れ ちなみに中国で2015年にはじめてコリスチン耐性
  を持つ細菌が発見されたのは、じつは養豚場であった
  とのことですね。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




耐性菌対策のための日本政府の取り組み。

2018-12-04 16:43:15 | Weblog
耐性菌対策のための日本政府の取り組み。

2016年9月の記事となりますが、次回関連で採録となります。

  ↓

『耐性菌対策のための日本政府の取り組み。』

三重県で開催された伊勢志摩サミットに先駆けて、日本政府は 「国際
的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」を4月5日に首相官邸で開き、
行動計画を決定しました。


のののののの

もちろんこれは、抗菌薬を大量に使うと薬が効かない薬剤耐性菌が増え
るのを防ぐための措置ではありますが、注目すべきは

 ■ 政府という行政のトップで行動計画が作成され

それに加えて

 ■ 減らされる抗生物質の量の数値目標が決められた

ということ。

かねてよりの世界保健機関[WHO]からの要請があったからとはいえ、

 ■ 使用される抗菌薬の量を20年までに現行の3分の2まで減らす

という具体的な期限まで、しかもヒトの医療現場のみならず 畜産という
農業分野にまで踏み込んで設けられたこと
に、個人的には驚きました。


だってEUのように家畜に使用する抗生物質の種類を規制していない
はおろか、現在家畜に使われている抗生物質の量さえ把握していないと
おもわれる
 この日本で・しかもいきなりの規制計画 ですもの。

これは、今までの経緯を考えれば ほんとうにびっくりものですよ。

裏を返せば・・耐性菌問題が抜き差しならぬ段階に入ってきたのかなと
ちょっと恐ろしくもありますが、今回の計画が なんとかスムーズに
絵にかいた餅のようにならぬよう]実行に移されることを 国民の
ひとりとしてねがうばかりであります。

つづく。


晴れ 『風邪をひいたら養殖魚をたべさせときな』なんていうブラッ
  クジョークに象徴される農水産業で使用される抗生物質の量に
  ついてのおはなしは こちら 。
  安心・安全というかけ声のもとに、耐性菌をふやすことになっ
  てきた原因かもれない家畜ふん尿を全国の圃場に撒き続けてき
  たおはなしは こちら


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜