グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

拾い上げたのは、でっかい種?

2018-12-25 15:28:33 | Weblog
拾い上げたのは、でっかい種?

昨年のクリスマスころ。

左は 崖下に海、そして 右には 切り立った崖というロケーションの多い
日南海岸を南下しているとき。

右の路肩に落ちていた、こんな物体を拾いました。


 拾ったのは、でっかい種?.jpg


アボガド・グリーンをした丸細い物体です。


 こんな形状.jpg


お尻のほうに ❝根❞のようなもの が付いてましたので、ひょっとすると

 発根したての、一個の、でっかい種なのか

とも、思ってしまいましたよ[そうであったらほんとにでかい]。

しかし、割れ目があったので、割ってみましたら・・・


ののののののののの 割ってみると.jpg


2列になった内部の構造のなかに、薄いクリーム色の物体がたくさん収納
されているのが確認できました。そこでさっそくに、そのクリーム色の物
体を掻き出します。


 綺麗に収納された種.jpg


すると、取り出した薄いクリーム状の物体のひとつひとつから、同じ形を
した 黒くてやっぱり薄いものがでてきました。

ふむふむ、なるほど。

クリーム状のものは、この黒いものを包んでいる包装紙のようなもの、で
あったというわけですね。

まあしかし。 構造自体は理解できたものの、わからないのは このアボ
ガド・グリーンをした丸細い物体の正体です。内部にクリーム色の包装に
包まれた黒いものをたくさん収納している丸細い物体というのは、いった
いぜんたい何者なのでしょう。さっぱりわかりません。

しかし。途方にくれて、おもわず空を見上げたときに、その正体がわかり
ました。それが、こちら。


のののののののの リュウゼツランの実.jpg


視界にはいったものは、ときには10メートル近くに伸びることもある、
アガヴェこと竜舌蘭の花茎の、お花の咲いたあとにつく実[正確には実を
収納したもの
]だったのです。

これは意外でした。

「アガヴェは、子株や地下茎から増えていくものだ」と自分かってに認識
していただけに、驚かされました。

 ちなみに平均的なアガヴェの花茎の大きさは こちら → たかっ。.jpg 
 

さて、そして。

あとの問題は、この黒い種が発芽するのかどうか です。答えは、いまわ
が家にある植木鉢にあります/笑。ということで今回は でかかっ​たね​という、
おはなしでした。


晴れ この種が発芽して大きく育ったあかつきには、そのアガヴェから
  テキーラを醸造[つく]って乾杯ですね。

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スーパーな 植物、リュウゼツラン。

2018-12-20 15:33:59 | Weblog
スーパーな 植物、リュウゼツラン。

前回の キダチアロエで連想したので、アロエの親玉みたいな/笑、
リュウゼツランのおはなしになります。よろしかったら。

 ↓


乾燥して薄く切った花茎は、剃刀の革砥になる。また、葉を絞った液
 は、泡立つため、石鹸のように使われる。メキシコのネイティブ・ア
 メリカンは、リュウゼツランからペン・釘・針、縫い物や織物に使う
 糸、さらには縄などを作っていた。
 乾燥された葉は、燃料として使用されたり、日本の茅葺のように屋根
 材にして葺かれたりする。乾燥された花茎は、柱などの建築材として
 も使用された。


と、いろいろな書籍に説明されてもいる南北アメリカ大陸の“スーパー”
な有用植物。それが リュウゼツラン/竜舌蘭
Agave〕です。
米国南西部と中南米の熱帯域に自生し、左党には、そう、蒸留酒である
テキーラの原料として知られていますよね。

あくまで個人的な見解なのですが〕前回のアロエとイメージが似てい
るかんじなので取り上げてみましたよ。

そんなリュウゼツランの花茎がこちらです。 花茎.jpg

たかっ。.jpg なにより大きいのも、特徴ですね。どーんっ。

そして最近教えていただいたのですが、この花茎はアボリジニの木管楽器
である「ディジュリドゥ」(Didgeridoo)の材料としても、使用される
とのことで

叩いてみると、たしかに・・・こんこんこんっ

こんこん。.jpg  と、いう 素晴らしい反響音・・・

まさに 良い楽器になりそうです。

いじょう、ネイティブ・アメリカンの衣食住すべてに関わっていたという
日本のイネともいうべき役割 を果たしていた“スーパー”な有用植物。

リュウゼツランのご紹介でした。ちなみに写真は 宮崎の日南海岸を通る
220号線沿線で撮ったもの。ロードパークという通称を持つ220号線
のいたるところに植栽されております。


晴れ  エネルギー事情に不安が生じた場合には・・・今回の北米のリュウ
  ゼツランや、アジアのイネがあれば、 生活に必要なかなりの部分
  を代替できそう
な気もします。


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木枯らしやキダチアロエの咲きはじめ。

2018-12-18 15:52:40 | Weblog
木枯らしやキダチアロエの咲きはじめ。


木枯らしが吹き始めるころになると、めだってくる赤橙色・・。

 アロエ咲きはじめ.jpg

キダチアロエ(Aloe arborescens)です。

 3分咲き.jpg

満開よりも、これくらいの 3~4分先が 好きかな。

自生するのに適地だと判断すると、アスファルト の上のような
いっけんして “土が 少なすぎだろ”みたいな場所であっても 

 占領/笑.jpg

こんなかんじで、ばしばし繁殖してきます。

井戸のつるべをとるのは朝顔ですが、この場合は井戸まるごとアロエに
とられちゃってます/笑。

そんな たくましさもまた、アロエの魅力 か


晴れ  余談ですが『朝顔につるべとられて貰い水』とよんだ江戸時代の
  加賀の千代女さん。
  『とんぼつり今日はどこまでいったやら』の句とあわせて、その
  現代的な感性には感心することしきりです。。

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ビロウと皇室との不思議な縁〔えにし〕。

2018-12-15 22:25:49 | Weblog
ビロウと皇室との不思議な縁〔えにし〕。

そして牛車ばかりではありません。じつはビロウにはもっと大事な
使命があるのです。 前回/こちら からのつづきです。
それは・・・天皇の代替わりの、 一代で一度の大祭である大嘗祭
(だいじょうさい)において、ビロウが使用されねばならない
いうきまりがあること。


やはりここでも使用されるのは 屋根材として。

天皇が禊〔みそぎ〕を行う​​百子帳(ひゃくしちょう)には屋根材と
してビロウを用いること​​
とされているのです。

  大嘗宮実像.jpg

祭の7日前から造り始め、5日以内に造り終えることとされる大嘗宮
〔悠紀殿・主基殿の2殿から成る〕。この写真のどこに百子帳が位置
するのかはわかりませんが、とにかくこの写真のどこかに神聖とされ
たビロウで葺かれた建物があるというわけですね。

以上、深夜から未明にかけておこなわれるという皇室最大にして・最
高の秘密の儀式である大嘗祭
に、ビロウが彩りを添えるというお話し
でした。 ということで3回にわたって話をつづけてまいりましたが
以下は そのほかの気になったことなどなどを 箇条書きふーにまと
めて今回のシリーズは 終了ですが・・・今回改めておもったのです
けれど・・・神道の、最高司祭としての天皇という視点には なにか
不思議ななにかをかんじずにはおられませんでした。

  大嘗宮の建物について

 大嘗宮説明画像.jpg

 『​祭の7日前から大嘗宮を造り始め、5日以内に造り終える大嘗宮は
  悠紀殿・主基殿の2殿から成る』と 規定​
されています。

   ビロウと天皇家

 ビロウの生えていた場所で現代の天皇家は興った・・・というのは
 神武天皇東征神話の有力な物証のひとつともされているようです。

  呪具 / magic tool としてのビロウ

 ビロウの葉からは扇がつくられますが・・・元来、扇は風を司る、
 不思議な力をもつツールだともいわれているようですね。竜宮の
 乙姫さまや弁天さまが手に持っているものそうだと聞くと、なお
 さら興味津々です。
 
  ビロウの実

 最近、若返りの成分をもつ物質が含まれているという理由で研究さ
 れているようですよ。


晴れ 青島などの観光地には、土産ものとして ビロウで
  編んだ 笠や団扇が 売っていたものですが、笠を
  かぶって扇で涼をとるというのは、なかなかに良い
  縁起をよびよせそうでもありまねっ。
  
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松竹梅よりも神聖・貴重とされた植物。

2018-12-13 15:33:39 | Weblog
松竹梅よりも神聖・貴重とされた植物。

前回からのつづきになります。

皇室というか公家社会においては松竹梅よりも貴重とされた植物があ
ります。

と書くと、それはその植物は天皇家の家紋ともされた菊ではないのか・・
と思われた方も多いかとおもいます。しかしちがうんです、この植物は、
Livistona chinensis こと ビロウ。

いかにも南の島の海岸に生えていそうなイメージのあの植物になります。

このビロウ、古名はアヂマサ。東アジアの亜熱帯(中国南部、台湾、南
西諸島、九州と四国南部)の海岸付近に自生し、北限は福岡県宗像市の
沖ノ島となる植物です。 こちら 。

ヤシ科の常緑高木であるビロウ。形態的には葉先が細かく裂けて垂れ下
がるのが特徴です。そして幹がツルツル。天孫降臨の地とされるここ宮
崎の地では青島をはじめ、宮崎県門川町の、その名も枇榔〔びろう〕島
に自生
しています。

さて そのビロウ、なぜに公家社会に置いて貴重な植物だといわれるの
でしょう。

じつは葉の部分が特別視というか神聖視というされていたようで、代表
的な用途としては貴族の乗り物のイメージが強いあの牛車。そのなかで
もとくに上級貴族の乗る牛車の屋根材として 使われたのだそうです。
そういったビロウの屋根を持った牛車のことをわざわざ檳榔毛車(びろ
うげぐるま)ともよんで特別視していたともいわれますから、ビロウは
当時の社会においてとても貴重で高価なものだったにちがいありません。

ちなみに 記録に残っているところでは九条関白家の檳榔毛車に使用さ
れたビロウの葉についての記述で『牛車の屋根を葺くビロウの葉につい
ては日向の国の青島よりわざわざ取り寄せた』などという部分が確認

れてもいるようですから、いまのように交通が発達していない時代にお
いてはとてつもなくすごいことだったのでしょう。

いまの時代でいえば、これってこのかんじって・・・牛車って いまで
いうところの高級外車みたいなかんじで

 うちの車は檳榔毛車で、しかも屋根材は あの青島[ちなみに江戸時
 代まで神域とされ入島も禁止]からお取り寄せしているんですのよ


なんて、貴族の間での持ち物自慢的な会話が交わされていたのかもしれ
ませんね[笑]。

そして牛車の屋根材としてだけではなく、ビロウの葉には じつはもう
ひとつ、皇室行事と深くかかわっているという、ある意味 神聖な話が
ありまして・・・つづく。


お化け  庶民の生活に活用されている シュロに くらべて
  ただあるだけで珍重されているかんじがするビロウ。
  おなじヤシ科の植物なのに、ずいぶんと差があったの
  ですねー、とくに牛車の時代には。

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