グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

春先のハウス栽培。うっかりミスには気をつけましょう。

2015-03-22 16:53:11 | Weblog
春先のハウス栽培。うっかりミスには気をつけましょう。

春先の気象は千変万化・・・昼間にいきなり初夏に近い最高温度になっ
たかと思えば、数日後の朝には気温が冬場の最低気温に逆戻りといった
ことも往々にしておこります。

そんな春先の農業経営のうえでまず第一に気をつけねばならないこと。
それが ハウス栽培やトンネル栽培などを行っている場合のビニールの
開け閉めで調整されている

 施設内の温度管理

です。そう、これからの時期の施設栽培においては、なにより晴天の日
の日中の施設内の温度の急上昇
に注意していかねばならないのです。

なかでも気をつけねばならないのがハウスのビニールやトンネル栽培の

 ビニールを開けて換気をすること自体を忘れてしまう

という うっかりミスです。

たとえば温度が25度以上に日中気温が上昇する天候下において、ビニ
ールを開けて換気することを忘れてしまうとすると、気温がもっとも高
くなる14時前後にはハウス内の温度が50度近くになってしまうこと
にもなりかねません[いわゆるサウナ状態です]。

こうなると施設内の作物を高温障害にあわせてしまうだけでなく、悪く
すると結果的に作物の上部の枯死
を招くことにもなってしまいますので
とにもかくにも まずは[小さい施設であればあるほど]ビニールの開
け閉めの管理に気をつけましょう。

ということで今回は、入学とか卒業とか税金の申告といった・とかく想
定外の飛び込みの行事が多くなる 年度末の時期のうっかりミスには注
意ましょうというおはなしでした。なんといっても燃料費がかからなく
なるこの時期からの収穫が、農業経営上は 農家にとってのもっとも
“おいしい”野菜
であるのですからね。


◎ この時期のトマト栽培における温度管理について
  の実際例はこちら。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染



春先のハウスは温度管理に気をつける時期に。

2015-03-22 02:48:41 | Weblog
春先のハウスは温度管理に気をつける時期に。

次回の参考分としての再掲載です。



収穫がはじまるまでの「栄養生長の時期」から、その後の「体づくり
をしながら花も確実に結実させていく時期」を経て 順調に収穫が続
けられているハウストマト栽培ですが・・・厳寒期をすぎて春先とな
ったいま、あらたな生育管理が要求される時期
にはいってきました。

そうなんです、春先には気温の変化によりハウス内が急激な高温時に
なることが往々にしてある。その 

 高温時における栽培管理が必要になる時期がきた

というわけなのです。

その管理方法ですが、晴天下の日中では、日増しに強くなる太陽の光
がもたらすハウス内の高温化を軽減するために

  ハウスの上部や側面のビニールを開放して換気をおこなう
  強すぎる日差しには、内側のカーテンを遮光目的で使用する
  温度上昇に伴う土壌の急激な乾燥を防止するためにかん水する

といった対策が要求されることになります。

それでいて、夜間に冷え込めば厳冬期とおなじような低温対策もとら
ねばならないのですから、低温にさえ注意すればよかった厳冬期より
も、栽培管理にはむしろ手がかかる
ことにもなります。

物事を成し遂げる過程で いちばん苦しい正念場」を“胸突き八丁”
といいますが、長期間にわたる栽培において 栽培者さんと栽培され
る作物にとっては、いまがその時期にあたる といえるでしょう。

しかし夜間の低温の心配がなくなる時期は、もうすぐ。

それまでのあいだは、細心の注意を払って対応していただきたいなと、
そう願っております。なんといっても、「栽培期間の全体を通して、
一定量の良品を順調に出荷し続けていく
」ことが、まだ先の長いこの
作型の作物にとっての最善の対応策であるのですから。

ということで今回は、終盤にさしかかったハウス栽培における春先の
温度管理についてのご報告でした。次回は、春先の果実に出やすい微
量要素欠乏とその対策についてとなります。


◎ “ハウスのビニールを開けて換気をすることをうっかり忘れて
  ハウス内の作物を高温障害にあわせてしまった”という事故が
  おこりやすいのも、春先のこの時期です。・・・入学とか卒業
  とか、税金の申告とか、なにかと行事の多い年度末にはとくに
  注意が必要になります〔早場米地帯では、イネの育苗とか田植
  の本田の準備なんかもありますから、とにかく春先はてんやわ
  んやの状態で・・・そんなときに起こりやすいのがハウスの閉
  め切り事故だというわけです
〕。
  ちなみに激しい高温障害にあうと、作物の先端部が枯れてしま
  い、数回分の収穫がなくなってしまいます。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染



 田植えは「虫のしらせ」で。

2015-03-19 19:00:30 | Weblog
G503 田植えは「虫のしらせ」で。G

春分の日の連休の前後に早期水稲の田植えをされる農家さんも多い
ことと思われますが、そんな田植の時期の判断に昆虫を活かすという
おはなしになります。
なんといってもここ数年は天候が不順。夏のような陽気がきたかと思
えばまたまた冬に逆もどりといった無茶な天候 の連続ですものね。

 ↓

『収穫時のおコメの値段を考えれば早く田植をしたほうがよいのだが、
 田植えの時期が早過ぎると霜害を受ける可能性があり、そうなれば
 肝心のおコメの収穫時期や収穫量に影響を受けることにもなりかね
 ない・・・。はてさて、毎年毎年大きく変動する気象のなかで、田
 植えの時期を判断するのは、なかなかにむづかしいことであるな』

というところまでが、前回までのおはなしでした。そして今回は、そ
のような田植えの時期を決定する判断材料についてのおはなしとなり
ます。

そして そのはなしの結論ですが・・・

 その判断材料のひとつとして昆虫の存在

を利用するという手があります。

というのも、昆虫は気温の上昇とともに生命活動を開始するという性
質があるからです。たとえば日本に住む昆虫は〔もちろん種類によっ
て差はありますが
〕おおむね

 5度から10度でうごきだす〔姿をみせる

という性質がある。そんな虫たちの存在を田植えの時期の判断に活用
すればよい・・
つまり、水田のまわりに、ある種の昆虫が姿をみせてくれたら、それ
を田植えを開始しても良い時期だと判断するというわけです。

より具体的にいうならば、わたくしの判定材料に使う昆虫は、モンシ
ロチョウとキリギリスであり、たとえば

  田畑にモンシロチョウが舞い始めている
  予想より早く、孵化したてのキリギリスが田のまわりの草にいた

となると、田植えを急いでも霜害の心配はない・・・というふうに
気象を予想して、田植えを開始するするわけです。はんたいに、暖か
いように感じられたとしても

  越冬していたモンシロチョウの、舞う姿が見受けられない
  田のまわりの草に、孵化したてのキリギリスの姿がない

ということであれば、田植えの時期を先延ばしにします。

いじょう私論ではありますが、経営的に重要な意味を持つ早期水稲の
田植の時期を決定するには「虫のしらせ」を利用していますよという
おはなしでした。


◎ 付け加えまして・・・キリギリスの餌となるカラスノエンドウが
  目立ち繁茂しはじめてから、キリギリスが孵化してまいります。
  ということで、このカラスノエンドウも、よき判断材料だといえ
  そうです[あとタケノコで見る農家さんもおられますね]。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




土は 知っている。

2015-03-16 22:07:23 | Weblog
土は 知っている。

土の持つ記憶力は、過去の遺構ばかりを記憶するだけではありません。農作
業を例にとると、『以前に植えつけられていた作物』なども記憶します。

たとえば裏作として冬の間にキャベツやハクサイなどが植えられていた場合
は、その畝〔うね〕のあとがはっきりとしたイネの生育差となって現れます。

また、全体に散布する予定だったたい肥をとりあえず下ろした場所に植えら
れた作物は、時としてその場所の作物だけが異様にできすぎちゃったりします。

たとえば、千切りダイコン作る場合の、作業の工程でダイコンの汁がこぼれ
た場所や、ハウス野菜栽培の摘葉作業で不要になった摘葉や茎を捨てた場所
では、作物の生育がまわりよりも確実におおきくなります。

もちろんこれは肥料でも同じで、たとえば撒こうとして田にもってはいった
肥料をうっかりこぼしゃったりすると、その肥料をこぼしてしまった部分の
作物の体は[時として必要以上に]大きくなります。

そう、土は 肥料成分をもつことによって過去を記憶できる のです。

そして、おわかりになりますか。
なにごとかが起こった場所の土、その土も もちろん記憶しています。不謹
慎である言い方かもしれませんが・・・

 ● たとえば、貝塚などといったゴミ捨て場だったあとの場所
 ● たとえば、ひとや動物の集団の排せつ物が集まっている場所
 ● たとえば、かつて大規模な動物の狩猟やと殺が行なわれた場所
 ● たとえば、かつての戦死した兵士の大量の屍がすておかれた場所
 ● たとえば、戦死した兵士を集めて埋葬した場所
 ● たとえば、かつての大規模な集団墓地のあと

これらの土地では、見た目がまわりと変わらなくなっていたとしても、

 ● その規模が おおきければ大きいほど
 ● おこった時間が 近ければ近いほど

その場所の土はなんらかの養分を持ち、その養分を吸収した植物は

 ほかの場所とはなにか異なる生育

をするものなのです。

ということで今回は、作物の生育の具合をよくよく観察したり、さらに土壌
分析をおこなったりすれば、
たとえば骨の成分がおおいなとか、血粉をやったときの生育に似てるなとか
排せつ物由来の塩分が多いな
 などという

 その土地で・その場所で・過去におこったできごと

を 知ることができる・わかる と いうおはなしでした。

つづく。

◎ ベテラン農家さんが肥料をまくと均一に育つ割合が多いのに
  比較して、初心者が肥料をまくと作物の育ちが不均一になる
  割合が増加したりもします。
  ということで生育の不揃いの程度で、農家さんの技術の熟練
  度もわかっちゃったりする
のですから、土というのはほんと
  に物知り。。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜




土は記憶する。

2015-03-12 15:34:04 | Weblog
土は記憶する。

2006年の回に、映像を追加して再掲載です。
よろしかったら。

 ↓

たとえばあなたが、稲を作るとします。おなじ面積の田を3枚ほど
で稲を栽培する。3枚つづきの田んぼなら、さほどでもないのです
が、3枚の田んぼが別々の場所ににあるとするなら、どうしても生
育差がでてしまいます。同じようにたい肥をまき、同じように肥料
を施肥し、同じように耕しても、差は出ます。同じ日にまいた、同
じ品種の種を、同じやり方で育苗・管理し、同じ日に田植えしたと
しても、やはり生育差は出てしまいます。3枚の田んぼに引き込む
水の温度やその水の含む栄養素をが同じだったとしても、どうして
も、生育差がでてしまいます。

その生育差の原因は・・田の土にあります。

土は覚えてしているのです。かつてその田のある場所にあった「もの」
を記憶している。例えば、それはかつてその場所に存在した別の田畑
であったり、果樹園や桑園であったり、道であったり、宅地であった
りするのです。

耕地整理という言葉をご存知ですか。

たとえば、『小さくて曲がりくねった道沿いにある、たくさんの小さ
な田のあぜをはずして、大きくて四角い田に作り変える』ことをいい
ます。また現代に残っている棚田のような地形のものを、『ある場所
では掘り下げ、ある場所では盛り土をすることによって、水平に作り
直す』場合もあります。

これが耕地整理。

『こちらにあった宅地をあちらへ移して、田んぼと宅地の場所を交換』
した場合もあるでしょうし、『田んぼと果樹園や桑園の場所を交換し
た』耕地整理も当然ある。そうした耕地整理してできあがったのが現
代の『広く水平な大きな田んぼ』というわけです。そんな時期のイネの
植えられている田んぼを遠めに見ると、かつての道の跡や住宅のあった
場所、田の畔の部分などが確認されることもあって、なかなかに興味深
いものなんですよ。そんな場所が耕地整理や道路工事中に掘り返される
と、過去の遺構あとがそのままになってでてくることとなります。埋め
られていたり、削られていたりしてはいますが・・土は何十年、時には
数百年といった過去の地形や構造物を記憶しているわけです。

たとえば遺跡がでてきちゃったり・・

のののの遺構

ということで今回は、作物の生育の違いからわかるという土の記憶につ
いてのおはなしでした。


◎ たとえば 数年から数10年程度、作物がすくない肥料
  だけでそだったりすることなどは、肥えている土であれ
  ば、そうそう珍しいことではないですよ。
  むしろ 1作や1年で、すべての肥料分が無くなってし
  まうと考えることのほうが無理があります。

 
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜