グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

春の小川は用水路。

2013-02-05 11:49:48 | Weblog
春の小川は用水路。

なにげなく見過ごしてしまいがちなのですが、冬の時期に枯れていた
田畑地帯にある小川が春になると流れていることに気づかれたことは
ありませんか。

じつはこれ、自然な小川ではなく農家の手によって人為的に流されてい
る用排水路の場合が多いんですよ。農家を主体にした水利組合の管理
のもと、計画的にながされている農業用水
なんです。

田の水を管理する水利組合は、農業生産を行う上で欠かせない用排水
施設の整備・管理や農地の整備いわゆる土地改良を目的として設立さ
れた農家の人たちの組織です。この土地改良区は全国に約7,000・
関係する農家は約300万人・関係する農地は約300万haといわれ
ています。

そんな日本の農業用用排水路の総延長は なんと 約22万km!

この距離は、ほぼ地球5.5周にも達っするのだそうです。現場にい
るわたくしなども、この話しを聞いたときにはさすがにびっくりしま
した。いや、すごいものですね。

そして、そんな日本の用排水路の管理についてのおはなしです。


田植えに先立つ2ケ月前、水稲農家の苗づくりと並行してこなわれる
のが、集落ごと・水の流れる系統ごとの用水路の清掃です。
イネの栽培がおわってからおよそ半年、繁茂した草や、その後の増水
などで埋まった土砂などが用水路から除去されます。もちろん投げ込
まれたゴミの処理も、当然あります。。

しっかりやっとかないと、水の流れがとちゅうで止まってしまいます
からね。自分のところに流れてきた水を、次の田畑へ流していか
ねば
なりません。

この用水路清掃には、その水利を利用する方たちが参加するわけです
が、かなりな時間と労力がかかります。自分の経験では、ひとつの水
利系統で半日くらいの出役となります。

このときに、同時に行われることの多いのが、畦の野焼きです。

年が明けて、この野焼きの煙が立ち上がると、ほどなく農村のいたる
ところで“春の小川”が復活します。


◎ 規模を拡大したり・高齢化の農家の農地を借りたりして田畑を
  耕作する方は、この共同清掃に何らかの形での参加が義務付け
  されますので、これがなかなかに大変。耕作規模が大きくなる
  ほど負担も大きくなるわけですから。これもまた、日本の耕地
  面積の土地集積が行なわれにくい大きな要因のひとつ
といえる
  でしょう。
  余談ですが・・・この大きな問題を無視して農業の規模拡大を
  唱える一部の農業評論家の方の農業論には、疑問をもってしま
  いまうんですよね、どうしても/笑。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg「「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染