goo blog サービス終了のお知らせ 

グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

O157による食中毒について。

2014-08-04 22:53:49 | Weblog
O157による食中毒について。

『清潔にしすぎたことが、O157の発生を助長している』 とか
『O157は生命力は弱い。が、腸の中に敵となる菌がいないと暴
 れだす』などといった記述をときどきみかけますが・・・とくに
幼い子どもさんや高齢者がおられるご家庭では、こういった間違っ
た風説に惑わされないように注意いたしましょう。
ということで、以下は2006年のブログですが、一昨年の北海道
そして今年の静岡におけるO157による食中毒発生に関連として
再掲載してみました。よろしかったら、ご参考に。



0157による食中毒について

食中毒の集団発生はさまざまな要因が複雑に絡みあって起きるもの
です。そのため、発生後から状況を再現することは、非常に難しい。
なかでも特に大変なのが O157に代表される腸管出血性大腸菌
が原因する場合なのです。

それはこの菌に、

 ■ 感染してから発症までの潜伏期間が4~9日間と長い
 ■ 調理用具や水などを介した二次感染の危険性を常に伴う


といった特徴があるからです。

長い潜伏期間のもとで汚染食品が流通し、その間にも強い感染力
 により、つぎつぎと二次感染による被害を拡大していく
』・・・
これがO157による食中毒事故の恐ろしさです。これでは、感染
源の特定がなかなかすすまないのもうなづける話ですね。

そのO157の強い感染力について説明しましょう。

たとえば サルモネラ菌などは100万個以上が体内に入らないと
感染しないとされています。0157では、わずか100個足らず
で感染
するとされています。
この感染力の強さであれば、食品にごくわずかについている場合で
も感染してしまいますし、タオルの共用や入浴やプールなどでも感
染の危険がつきまとうという話にもおもわず納得してしまいます。

この強力な感染力のために、過去のO157発生時には多種多様な
感染源が指摘されてきた経緯があります。

有名となっ たカイワレ大根はもとより、仕出し弁当・輸入アメリカ
産牛肉・メロン・そば・イクラに製麺所のうどん・和菓子・生レバ
ー・牛ホルモンなどなど。なかには、おかかサラダやかぼちゃサラ
ダの例、なんてこともありました。
この広範囲にわたる感染源というものこそが、潜伏期間の長さと強
い感染力を持つというO157の特徴を端的にあらわした実例だと
いえるでしょう。 

この原因究明された感染源の多さをみて、『これはとても防ぎきれ
ない
』・・との感想をもたれた方も多いとおもいます。が、実際に
は、O157が原因の食中毒ってそうそう起こるものではない。

その理由は上記のいろいろな感染源が、じつは二次感染による感染
源であることにほかなりません。そもそもの感染源は、別にある。

そう・・・O157のいる場所は、はじめからわかっているからです。

O157は、「家畜や動物のふん尿を介して生殖・増殖する微生物」
なのです。実際のところ、O157は、牛のふん便中の2-3割に
おいて普通に検出されるという事実もあります。

動物には害がなく人間に害をおよぼすというO157という大腸
菌のもつ性質が、問題となって発生する食中毒というわけですね。

したがって、上記の多岐にわたる感染源としてあげられた食品は 
あくまで「従犯」。「主犯」である動物のふん便中のO157を
おさえこむことで、O157は予防できる
ことになります。

以上、再掲載でした。


◎ 追記・そのような内容を認めた形の 農水省のページ 
  は、こちら。。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜





まずはイネを倒さないようにすることが大切です。

2014-08-04 15:33:35 | Weblog
まずはイネを倒さないようにすることが大切です。


台風12号の通過、さらには11号の北上の雨間をみながら、西南暖
地では早期栽培のイネ刈りがすすめられています。ということで前回
の肥え過ぎた水田のはなしにひきつづいて、今回は とりあえず田植
えをしてみたら意外に肥えすぎていた水田
 におけるイネの生育と倒
伏に関するおはなしとなります。 よろしかったら、ご参考に。

 ↓

おいしい コメを同時にたくさんとることが、イネを栽培することの
目的です。しかしイネを植えた水田が、意外にも肥沃すぎた土地であ
った場合には、イネの生育とともに困った事態に陥ることがあります。

その困った事態の最たるもの。
それがイネの倒伏イネの背丈が高くなりすぎて育ったイナ株が出た
穂もろともばったりと倒れてしまうこと
]です。

対策としては、なんといってもイネを倒さないように育てることが大
切になるのですが・・・まずは イネを倒してしまうといったいどの
ような不都合がおきるのかを説明してみたいと思います。

〔1〕穂が出たばかりのときに倒れると、実が熟れません。

葉に光が当たらないので光合成がうまくいかず栄養が作れないからで
す。また茎が折れてしまうわけですから、運よく葉でつくられた養分
も、実まで運べない。結局は実が充実しないままに不作となってしま
います。こうなると、おコメの品質や量も期待できません。

〔2〕穂が熟れたときに倒れるのは、まだまし なのだが。

しかし、倒れた地面に水分があると穂の品質が悪くなってしまいます。
発芽してしまう場合だってある。それでは食用にはならないわけです。
おコメの量は期待できても、品質が低下してしまいがちになります。

〔3〕穂が熟れていても、極端にべったりと倒れたら困る。

台風や集中豪雨などの突然の強い風雨でムシロを敷いたようにばった
りと倒れたイネでは、収穫機械/コンバインの使用が不可能になる場
合がでてきます。そうなると必然的に、ヒトの手による収穫となって
しまうわけですが・・・今のご時世、なんといっても、一番高くつく
のが人件費。
バインダーがつかえるのならまだいいのですが、倒れたイネをカマで
手刈りでもしようものなら、収穫されたイネよりも人件費のほうがは
るかに高くつくことにもなりかねません。
すばやい対処が功を奏しておコメの量と質を確保できても、人件費の
ほうが高くついたら、経営が成り立たない
ことになってしまいます。

ということで今回は、イネを倒さないような栽培方法が必要とされる
理由を、イネが倒れることで生じるいろいろな不都合を挙げることで
説明させていただきました。


◎たとえどのような土地であったとしても、いったん田植えしたも
  のであれば、育つイネを倒さないように・収穫前に理想的となる
  の姿をつくるお手伝いをするのが農業技術 だというわけです。
  このようなイネを倒さないための農業技術は、べつの回で順次ご
  説明しておりますが・・・
  それは主としてイネの穂がでる40日ほど前の時期を中心に、経
  験を基にした技術〔水管理や肥料の調整〕を駆使することで倒れ
  にくい理想のイネ姿をつくりだしていくことになります。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜