グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問と答え。

2014-05-10 17:36:09 | Weblog
G444 田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問と答え。Gすみ

田植えが完了して ひと月ほどたったころ・・・じつはイネの生育相
談をもちかけられることが多いのは、この時期なんです。

そんな生育に関する質問ですが、たとえば・・・

  葉に条〔すじ〕状の食害ができる
  株ごとなくなる
  あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる
  分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない
  下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのか

といったところが代表的な質問の内容となります。
あなたのイネの生育で、あてはまる点はありませんか?

さて、その質問の答えですが、

 ■ 葉に条状の食害ができるのはイネミズゾウムシの被害
 ■ 株ごとなくなるのは、ジャンボタニシによる食害

と考えて良いかと思いますので、薬剤散布などの対策をほどこせば
よいということになります。

そして のこりの質問である
 
  あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる
  分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない
  下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのか

ですが、これらは、まずまちがいなく土中の酸素不足が原因の生育
不良
です〔とくに田植直前になって 生の有機物をいれた田んぼや、
前作の葉もの野菜や牧草を鋤きこんだ田でおこりやすい
〕。

田にはいって、歩いてみるとわかりますよ。

そんな田に入って歩くとでてくるものは、 ・・・・そう、
土中の有機物が微生物によって分解される過程ででてくる メタンや
硫化水素など
 の気体が、湧き出ているのです。

つまり水面下の土の中では

  田の土の中の生の有機物が分解し、ガスが発生している
  土中のチッソが有機物の分解に使われている

という状況に陥っている。

この状態では、イネの根が酸素を吸えませんし、生育に必要なチッソ
分も土中で不足する
。結果として、根の生育がうまくいかないために、
その影響がイネ全体の生育に及んでいると考えられるわけです。

したがってこんな場合の対策は、

  田の表面を空気に触れさす
  土中のガスを逃がす

ことが有効となります。その方法ですが、

 ■ 田の水を抜いて、田の表面を出す
 ■ 除草を兼ねてタズリさまを使用する

といった対策が効果的となります。イネの生育がどうも思わしくないと、
思われている方は、ぜひ、お試し
下さい。

そうそう、そして タズリさま。土中に空気も入れ、そのうえ除草もで
きる現代版のタズリさまは たとえば こちら です。


◎ ガスを抜くことが功を奏して、イネの生育が回復したとき。そのと
  きに思う・・・「農家は田にはいってたんぼ、いや、なんぼ/笑」。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染





土。それは無生物と生物の集合体。

2014-05-10 01:31:06 | Weblog
土。それは無生物と生物の集合体。


われわれの誰もが、普段なにげなく目にし・意識することなく触れている
『土』。その土は、じつに多様な物質で成り立っています。

おおまかにそれらの構成物質を生物と無生物の立場から分類すば        

 生物  植物 ・・・    植物の根など
     動物 ・・・    動物の体など
     原生動物 ・・   単細胞の動物・アメーバ類・繊毛虫類
     微生物 ・・・   藻類・菌類・放線菌・細菌・ウイルス


 無生物 気体部分 ・・   窒素・酸素・二酸化炭素・その他  
     液体部分 ・・   水・無機イオン・水溶性有機物
     鉱物 ・・・    れき・砂・シルト・粘土
     有機物 ・・    堆積有機物・腐植酸・フルボ酸


と、だいたいこのようになっています。

また上記の分類とは別に、ものの状態から分類すれば

 気体部分 ・・   窒素・酸素・二酸化炭素・その他  
 液体部分 ・・   水・無機イオン・水溶性有機物
 固体部分 ・・   岩石由来のもの + 生物由来のもの

というふうに、気体・液体・固体というふうに、土の中身を分けること
も出来ます。

農業用語でいえば、気体部分を気相。液体部分を液相。固体部分を固相。
という、三つの相である『三相』とよんでいますよ。そして、この三相
の占める割合/で、土の硬軟や土の弾力性、さらには土の保湿性が変化
しますので

 植物を育てるときには、この三相のバランスがとても大切

ということになります[土壌改良はこのバランスを改良するということに
ほかなりません
]。

ということで、今回は農業における「土の性質」編の初回として、まず
は土がなにからできているのか について説明させていただきました。


◎ 土は無生物と生物の集合体 であるわけですから・・・あまりに
  未分解の有機物が多い場合などには、分解に伴う有害な硫化水素
  などが発生することもままあり・・・結果的に育つ生物の生育を
  弱めてしまうなんて可能性もあるわけです。むかしからいう忌地
  [いやち]
現象なんていうのは、そんなことが原因かもしれません。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜