グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

『食』に関する野坂昭如さんの杞憂。

2011-11-02 14:29:14 | Weblog
『食』に関する野坂昭如さんの杞憂。

いまや世界的には、『火垂るの墓』の作者といったほうがいいかもしれ
ない野坂昭如さん。その野坂昭如さんが、連載しておられるのが、毎日
新聞の「七転び八起き」
です。

 七転び八起き.jpg

その「七転び八起き」の連載96回目、2011年の1月分となるのが
この写真の回、作物と技術に関連した

開国より食の見直しを」でした。 開国より.jpg

記事にいう・・・

 自分の国の食べものは自分達で守る。自分達で賄えてこそ独立国
 ヤレ、農業改革、貿易の自由化、開国だと賑々しく〔にぎにぎしく〕
 口にする前に、この基本的な取り決めを守るのがお上の務め。


ということでした。

なし崩し的に、そして自発的に、米国産牛肉の 現行「20ケ月以下」を
「30ケ月以下」にまで範囲を広げることを、自ら言及するという検討を始め
ているとされる野田政権のいまを予測したかのような野坂さん。そして連
載96回目の「七転び八起き」。

わたくしは、この記事を読み返しながら、〔今回の牛肉輸入緩和の予定か
ら〕はじまっていきそうな、これからの限度のなさそうな「対米譲歩」
おもんばからずにはいられないのでした。

▼ 自給はともかく 貿易の自由化は、「防疫が自由化」されること には 
 まちがいなくつながることでしょう。こちら

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜






「食料を自給できない国なんて想像できない」

2011-11-02 14:02:58 | Weblog
「食料を自給できない国なんて想像できない」み

1年半ばかり前の回の再掲載ですが、よろしかったら。

 


1968年から1972年にかけて、家畜や鶏から熱帯植物を扱っていた
ヒューストンの農業会社に勤務し、米国各地や中米諸国に出かけて、買収
対象となる苗木畑を探す仕事を経験していた米国大統領経験者がいます。
米国内の輸出型の大型企業農業に肩入れし、日本に米国産牛肉の再輸出を
迫った前米国大統領・・・ジョージ・ブッシュ氏です。

離任間際では、評判が良いとは言えない大統領でしたが、彼の農業に関す
る演説のなかで、実にみごとなものがあります。曰く、「食料を自給でき
ない国を想像できるか。そうなった国は、国際的な圧力と危険にさらされ
ている国だ。食料自給は国家安全保障の問題である。アメリカ国民の健康
を守るために輸入食品に頼らなくて良いのは、何とありがたいことか
」と
いうものです。

この演説は、これから日本国民が考えねばならないであろう大切なことを
訴えています。その背景には、2008年の穀物暴騰時に、世界の農産物
輸出国で『農産物の輸出規制や禁輸といった措置がとられた』という大き
な事実があります。

主な農産物の輸出規制例は次のとおりです。

 ウクライナ  国内供給確保のため小麦、コーン、大麦、ライ麦に輸出枠設定
 セルビア   国際価格高騰に伴う過剰輸出回避のため小麦、大豆等の輸出規制
 カザフスタン 輸出業者に小麦輸出量の20%の国内販売義務付け発表
 インド    インフレ抑制でコメ、小麦、乳製品の輸出禁止
 ベトナム   台風による不作で国内コメ価格高騰、コメの新規輸出等禁止
 アルゼンチン 過剰輸出回避のためトウモロコシや小麦の輸出規制
        06年より牛肉の輸出枠設定
 ロシア    国内の穀物需給緩和で小麦、大麦の輸出税導入
 中国     小麦、トウモロコシ、コメ、大豆とその加工品に輸出関税の導入
        穀物等の輸出促進のための輸出還付金の廃止

お金があっても、穀物が買えなくなる事態が、このとき現実に起こっていた
のです。次の穀物の高騰が起きたときに、農産物輸出国が輸出規制や禁輸を
しないという保証はありません。 ジョージ・ブッシュ前大統領の演説にあ
るように、日本国民が国際的な圧力と危険と食の安全の不安にさらされてい
るのは間違いの無いことであるようです。

余談ですが、米国国民の農業への関心は、日本国民よりも確実に高いと思わ
れます。たとえば米国のドラマで、「ザ・ホワイトハウス」という作品があ
ります。米国大統領とそのスタッフ達が国内外の現実に起こり得る様々な問
題に対処していくという内容でした。「政治ドラマは視聴率をとれない」と
いう米国内の常識を覆し、米国のエミー賞を4年連続作品賞受賞した人気番
組であったようです。以前NHKの衛星放送でも放映されていましたので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

その「ザ・ホワイトハウス」のなかでは、農業問題もしばしば取り上げられ
おり、農業関係者として非常にうらやましく思ったものです。例えば次のよ
うなセリフを使った場面が繰り広げられるのです。

大統領夫人:「農業問題はあなたの専門外でしょう。そんなに気にすること
       はないわ

大統領:「いや、世界中の大豆の50パーセントの大豆、牛肉の25パーセ
     ント、木綿の15パーセントの農産物をこの国で生産している。
     国民の多くが農業とその関係している産業に従事している以上、
     勉強しないわけにはいかない


と、いうような場面です。

妻である大統領夫人に話しかけた後、農業資料を真剣に読む大統領とそれを
見つめる妻・・・実に印象深いドラマでした。米国という国が、いかに農業
と農業問題を重要視しているのかがよくわかる話ではありませんか。

このようなドラマを製作した米国のテレビ業界、そしてこのドラマを評価す
る米国国民には、いち農業関係者として、ある種尊敬の念を抱かずにはおら
れません。


▼ そんななかで、こんな日本の民放ドラマ『CHANGE』も。。

SMAPの木村拓也さんが首相を演じたドラマです。第5話「総理休日の大
事件」での一シーン、米国農産物の輸入量を20%増やせと、言ってきたア
メリカ通商代表に、はっきりと拒否の態度を示した朝倉啓太内閣総理大臣
は好評を博しました。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




日本も、米国の食中毒を気にしなければならない時代に?

2011-11-02 11:40:43 | Weblog
日本も、米国の食中毒を気にしなければならない時代に?み

賛成派・反対派入り乱れてのTPP参加に関する論議ですが、両派に共通
するのは、政府の情報開示による説明がよくわからないという思いではな
いでしょうか。そんななかで、よき参考となるのは、日本でも先日来大々
的に報道され、話題となった韓米FTAです。なんといっても現在進行形
で、先行している案件でありますから。
そんな韓国と米国の関係に関する10月05日分の再掲載ですが、よろし
かったら、ご参考に。

 ↓

米国のコロラド州で生産されたメロンが感染源とみられるリステリア菌に
よる集団食中毒
が発生している事件について、CNNは 9月29日のニ
ュースで「26日までにメロンが原因の集団食中毒で13人の死亡が確認
された
」と、伝えました。 

ニュースは こちら

そのニュースを受けて、すばやい動き〔対策〕をとったのは韓国です。

その対策について、韓国の中央日報は、「原因とされている米国産のメ
ロンが韓国国内に輸入されたかどうかについての調査が始められた
」と
いうニュースを伝えました。 こちら 。

そうなんです。

なにせリステリア菌による食中毒は、感染した飲食物を食べてから症状
が表れるまで4週間
ほどかかる厄介なしろもの。韓国は今後の数週間
以内に感染者と死亡者の数はさらに増える危険性を考慮したにちがいあり
ません。

日本とちがってすばやい対応だな・・・ と、感心した半面、わたし
は、こうも考えたのです。
韓国がこういった対策をとらねばならなかった背景には、自由貿易を
推進することで農産物輸入を増やしている韓国のお国事情も多分に影
したのだろうな、と。

そんな韓国の農産物輸入増大に関する参考記事は こちら 。 〔将来の
経済政策に関する〕日本の近未来像として、いま韓国からは目が離せな
だけに、よろしかったらご参考に。

▼ しかしあれですね。米疾病対策センター/CDCによれば『米国内の
  リステリア菌重症化例は年に1600件ほど、うち約260人が死亡して
  いる』という数字は、じつに怖すぎっ。これにサルモネラやO157に代表
  される病原性大腸菌も加わります。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜