粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

習近平の空振り

2014-04-01 13:42:45 | 厄介な隣国

習近平中国国家主席が訪問中のドイツで仕掛けた日本叩きは全くの空振りに終わったようだ。習主席がベルリンで行った講演会で「(日中戦争において)日本の軍国主義によって3500万人の中国人の死傷者が出た」と発言した。さらに占領下で起きたとされる南京事件でも、「旧日本軍が30万人以上の兵士や民間人を殺害する凶悪な罪を犯した」と批判した。

日中戦争での死傷者にもその数が定まっていないのにも関わらず「3500万人」という途方もない数を上げる。また南京事件でもその真相が明らかになっていないのに30万人という自国のプロパガンダをそのままドイツで行なうなど正に言いたい放題だ。

しかし、ドイツ側はこうした中国の日本叩きには乗ってこなかったようだ。(ブログ「私的憂国の書」より)ドイツは、習主席のホロコースト記念碑の訪問を拒否した。そこで習主席は戦没者記念施設への中独首脳の出席を提案したが、メルケル首相は断ったばかりか、「勝手にいけば」というつれない態度だった。

メルケル首相からすれば極東の二国間の論争に巻き込まれたくないという気持ちなのだろう。そもそも習主席がドイツ訪問を自国の日本叩きに政治利用しているとドイツ側はみているのだろう。

ドイツのメディア(The Diplomat)も中国のあからさまな意図を察して明快な記事を発信している。ベルリンは、日本の面目をつぶすために、習(近平)の渡独中に戦後のドイツを利用しようとした北京の試みを強く拒絶した

ドイツにとって、このホロコーストは極めて深刻な負の遺産であり、他国が軽々に別の問題をホローコーストと結べつけることは曲解も甚だしく不快そのものと考えているのだろう。

結局習近平主席がドイツで日本叩きをして情報戦を優位に進めようという目論みが不発に終わり且つ裏目に出てしまった。習近平は自分の空振りを世界にさらしたわけだ。

習主席の発言に対して菅官房長官は「第三国へ行って日本の歴史を取り出し、このような発言をすることは極めて遺憾」とすかさず反論した。結局ドイツはこの日本側の反論を支持したことになる。中国の外交的敗北といえる。

時を同じくしてドイツを訪問した韓国の朴槿恵大統領も今回は意外なほど大人しくお得意の告げ口が出なかった。おそらくドイツからこれに対する「無言の圧力」が入ったものと推測される。

中韓の両首脳はそれぞれのドイツ訪問の直前、オランダの核安全保障サミットで会談して、安重根記念館の中国開設をお互い評価した。これにも菅官房長長官は「「日本で言えば(安重根は)犯罪者であり、テロリストの記念館だ」と切り捨て、「中韓は核安全保障サミットで2カ国だけ(サミットの趣旨から)外れている雰囲気だった」と発言し余裕さえ伺える対応をした。

なかなか菅長官の切り口が冴えている。過去にも外国要人や外国メディアの理不尽な日本叩きに対して俊敏で明快な反撃をしてきた。今回の菅長官のコメントは目に見える成果といえる。これをきっかけに日本は中韓の情報戦で優位にたって自国の立場をより確たるものといていくよう期待したい。


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