粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

選挙を終えて

2012-12-17 12:39:40 | 国内政治

昨夜は8時から、選挙報道に見入っていたが、予想は当否相半ばというところだ。予想通り自民党が大勝し、民主党が敗北、日本維新の会は躍進、他の少数政党は惨敗だった。意外だったのは、民主党の負け方が酷いということだ。これほど大敗するとは思わなかった。おそらく90議席前後と予想したが、無惨と思えるほどの完敗だった。

あるコメンテーターが民主党がマニフェストを実行できなかったことを理由に挙げているが、それは違う。マニフェスト厳守する日本未来の党が民主党以上に惨敗していることからも明らかだ。なんといっても内紛を繰り返し、政治が決められない体たらに国民が失望したことは明らかだ。

したがって自民が国民の熱狂的支持で大勝したということでは決してない。比例区の投票を見ると、自民党の得票は過半数には程遠く、日本の維新の会は自民党の7、8割の得票を確保している。民主党も維新の会より少ないものの、それに近い得票を獲得している。その点は小選挙区のあり方に大いに疑問を感じる。

選挙の争点でいえば、今回は「脱原発」の主張がほとんど有権者に響かなかったといえる。それを象徴するのが菅直人前首相の選挙区落選と早急な原発ゼロを主張する政党の惨敗だ。

まず菅前首相だが、自分の首相の実績を語る以前に「原発ゼロ」を前面かつ声高に訴えていた。それで選挙戦を押し通している姿は非常に異様だった。演説するにも「原発ゼロ」と書かれた踏み台にわざわざ乗って叫ぶ様子には酷く滑稽にみえる。前総理がシングルイッシューで選挙戦を繰り広げるものの、挙げ句の果てがこの落選。思えば菅前首相は原発事故で過剰な現場介入が問題になった。そして突然のストレステストを導入して原発再稼働に介入して阻止する。それが日本経済を疲弊させていることをご存じない。結局彼のいう脱原発の言葉は有権者が聞いても辟易するばかりだった。

未来の党の「卒原発」も国民にはさほど共鳴を与えなかったともいえる。その実現性は曖昧で、またその負の影響に対してもなんら明確な答えをもっていなかった。国民に一番関心がある景気や雇用にも具体的政策がなく、結党時の選挙目当てともいうべきやり方も国民に不信感を与えた。

哀れを留めたのは社民党だ。この政党は反原発政党と呼んでいいが、原発政策に限らず全ての政策が国民からすれば現実離れが甚だしかった。何でも反対だけの頑迷な政党にしか見えない。その惨敗は、もはや救いようがなく、「政界のトキ」といってよいだろう。

もちろん原発推進など、今後の日本を考えるとなかなか困難で、脱原発は自ずと進行していくであろうが、性急に結論をだすのは問題だと思う。これは国民の大部分が実際に本音で考えていることだろう。その点選挙での選択も国民の冷静な判断が反映されているといえる。

さて次期政権は自公の連立になりそうだが、一番気になるのが経済政策だ。両党が推進する公共投資などが過度な予算バラマキに繋がりかねない。公共投資ではないが以前公明党が定額国民給付を提唱して自民党がそれに応じたことが思い出される。しかしこれが決して経済活性化にならなかったことは明らかだ。公共投資で一部土建業者や投資家だけが恩恵を受けるのでは意味がない。

経済政策や国防問題を巡り、日本の維新の会やスリムになった民主党が絡んでくるのか。なにしろ石原維新の会代表の二人の息子が自民党に在籍しているくらいだから。相変わらず一部国内メディアや隣国が「右傾化」などと騒がしいが、そんな外野に関係なく政策を実行して欲しい。