粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

世界各国共通の緊急問題

2012-12-10 16:04:44 | 国際時事

中国で8日夜、NHK海外放送のニュース番組が一時中断された。同日開幕した第18回中国共産党大会関連の報道で、貧富の格差問題を取り上げ、貧しい地区の映像を流した瞬間から数分間、画面が真っ黒になった。国内の負の面の報道を望まなかったとみられる。(産経ニュース)

国民の貧富の差は世界共通の問題だ。近く新大統領が決まる韓国も、大手財閥系が経済的富を独占しそれに預かれない大多数国民の不満は強い。アメリカ大統領選挙も事実上実際は同じ構図だ。日本も非正規社員やパートが増加し、大企業の正規社員との格差は高まっている。

しかし中国の場合は報道さえ遮断しなければならないほどその弊害が大きいといえる。産経ニュースではその後尖閣諸島問題に変わったら、画面が戻ったとしているが、今の中国を象徴しているようだ。今後もこうした中国国内の問題が表面化すれば、国家当局が尖閣諸島がらみで日中問題を前面に出して批判をかわす手法をとることが予想される。

経済発展で中国は沿岸部を中心に日本とは比較にならないほどの一部富裕層を生み出した。同時に新指導者習近平に代表される太子党の共産党幹部も、その特権を利用して財益を得ている。これら富裕層や共産党幹部はその多くを海外資産として蓄財しているという。アメリカが中国に対する最も有効な経済制裁はこうした資産の凍結だといわれているくらいだ。国家の中枢部に限らない。地方の党幹部もそれに負けずと特権を悪用による蓄財に余念がない。こうした一部特権階級への一般国民の不満は急激に高まっている。

冷戦が終結して20年以上経過した。社会主義の魅力は全く色褪せ、資本主義の自由経済から駆逐されてしまった。しかし、今貧富の格差という深刻な潮流が世界を襲い、この自由経済に激流となって押し寄せてきている。

もちろん社会主義的な富の再分配だけではなんら解決策にはなり得ないだろう。経済の堅調な伸長がどうしても必要だと思う。双方の課題に対して、日本の総選挙で打開の糸口が見えてくるのだろうか。しかしそれを願わずにはいられない。