結局、今国会中に、集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更も閣議決定は見送りになりそうだ。自分自身、いくら公明党が口では抵抗しても、最後はなんとかまとまると予想していたが、当てが外れた。
結局公明党の支持母体である創価学会の抵抗が強くて、同党が説得できなかったといえる。これは山口代表の力不足が原因だと思う。山口代表は創価学会での幹部経験が乏しく、学会からは甘く見られた結果ともいえる。おそらく、山口代表には自民党の暴走を食い止めたという達成感はなく忸怩たる思いがあるだろう。
自民党も公明党に集団的自衛権容認の賛同を得るために、行使の範囲を極めて限定した。いわゆるポジティブリストとして行使できる事例を具体的に挙げて公明党ひいては創価学会を説得しようと努めた。妥協につぐ妥協だったが、それでも与党として合意にはいたらなかった。
これまで安部政権は自公両党は主張の相違はあるものの最終的には妥協して政策を進めてきた。しかし、今回のような事態で連立政権の矛盾が表面化して連立解消へと突き進んでいくのだろうか。
どうも想像するに、そう簡単には連立解消ということにはならないと思う。結局、自民党も公明党も各議員が選挙を意識して自分の政治的基盤を守ろうとする。つまり自公が協力しなければ選挙には勝てない。公明党にとって創価学会の票が死活問題だが、自民党議員にとってもいまや学会票は欠くことができない。
自民党の衆議院議員は選挙区では選挙協力で学会票が全国平均で2万票も当てにできるという。そして逆に公明党議員は衆議院の比例区で見返りに自民党支持者から組織票が見込めるという。参議院選挙もしかり。自民公明がお互いもたれ合いの構図が出来上がっている。
自公連立は中央政界に留まらない。11月に予定されている沖縄県知事選挙では、普天間基地の辺野古移設を推進する仲井真現知事が再選できるが既に注目されている。もし、辺野古移設に反対する候補者が勝利すると今後の日本の防衛政策に極めて深刻な事態となる。これを防ぐために自民公明がきっちり連携をとることが求められているのが現在の状況だ。
比較的順調に推移して支持率も高い安部政権だが、背後には抗しがたい政治の力学が働いている。政治家の威勢の良いスローガンも裏を返せばドロドロしたエゴが見え隠れする。