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●東電核発電人災から13年: 汚染水海洋投棄を強行し、柏崎刈羽核発電所を再稼働したい東電…3.11の教訓は? 能登半島地震の「警告」を無視…

2024年03月11日 00時00分32秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年02月27日[火])
処理水という名の、廃炉作業に全く関係のない汚染水の海洋投棄を強行し、さらには、なにやらアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働したいという東京電力や自公お維コミ、原子力「寄生」委員会委員ら…3.11の教訓は忘れ去られ、能登半島地震の「警告」を無視。キシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」「不明」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この13年間、着々と《原発復権》してきた。ホントに正気なのかね? さらには、《1号機の土台損傷》(ペデスタル)〝耐震性〟問題も顕在化した。《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本ではそれができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなキシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」「不明」党。

   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》
   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかった
     のか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…
   『●《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本では
     それができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなニッポン
   『●ドイツは《脱原発を完了…原発の危険性を踏まえた政策を貫いた賢明な
     判断》…ニッポンはGXの名の下に核発電を進めて「フクシマ忘却法案」
   『●耐震性? 《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周に
     わたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》?
   『●《「支持機能は維持されている」…小野明・最高責任者はそう強調…圧力
     容器を支えるのに問題はないという意味だ》…次も幸運に恵まれるの?
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
       と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所
   『●原発マネーに群がる核発電「麻薬」中毒者の意地汚さ…《辛うじて難を逃れ
     たにすぎ》ない、《辛うじて事なきを得たにすぎない》女川原発を再稼働
   『●NUMO「文献調査」の巨額な《原発マネー》に蝟集しても、空虚な《地域
     振興》に終わるだけで、何の解決策にもならずに地域が分断されるだけ

 3.11東京電力核発電人災から13年目、デタラメな汚染水投棄をまだ続ける東京電力。この先何十年も…。年間何万トンもの汚染水を…。《3月16日の終了を予定》…3.11など全くお構いなしに。さっさと《原状回復》して見せてくれ、東京電力。無責任極まる、こんなゾンビ企業・東京電力を生き永らえさせてしまったことも大問題だ。
 小野沢健太記者による、東京新聞の記事【福島第1原発、28日に4回目の処理水海洋放出を開始 東日本大震災から13年迎える3月中旬まで】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/311563)、《東京電力は26日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水について、28日に4回目の海洋放出を始めると発表した。3月16日の終了を予定している》。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
       復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
     もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/311563

福島第1原発、28日に4回目の処理水海洋放出を開始 東日本大震災から13年迎える3月中旬まで
2024年2月26日 19時39分

 東京電力は26日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水について、28日に4回目の海洋放出を始めると発表した。3月16日の終了を予定している。

     (福島第1原発)

 東電によると、17日間で7800トンを放出する。処理水の放射能濃度測定では、多核種除去設備(ALPS)で取り除けない放射性物質トリチウムの濃度が1リットル当たり17万ベクレル。トリチウム以外で測定対象の29種類は放出基準未満だった。

 放出の際は処理水に大量の海水を混ぜ、トリチウム濃度を国の排水基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満にした上で、沖合約1キロの海底から流す。

 処理水の放出は昨年8月24日に始まった。23年度は4回で計約3万1200トンを放出し、24年度は7回で計約5万4600トンを放出する計画。(小野沢健太


【関連記事】福島第1原発で汚染水トラブル連発、経済産業相が東京電力を指導 「覚悟が見えない」地元もバッサリ
【関連記事】福島第1原発、3回目の処理水海洋放出を始める 被ばく事故から8日、東京電力はまだ詳しい説明できず
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●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》

2024年02月14日 00時00分17秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


/ (2024年02月03日[土])
(長周新聞)《能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる》、《さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった》。
 核発電「麻薬中毒」患者・「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、志賀原発が再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。大島堅一さん《「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った》…この常識が、3.11東京電力福島核発電所人災、そして、2024年1月1日以降も根付かない、狂気なニッポン。次も幸運に恵まれるとは思えないのだが…。

 そして、珠洲核発電所建設計画の凍結、本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年》。本当に頭の下がる思いだ。《今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」》(こちら特報部)。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou)。《能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也)》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
      と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/304462?rct=tokuhou

こちら特報部
珠洲原発を止めて「本当によかった」 無言電話や不買運動に耐えた阻止活動28年の感慨
2024年1月23日 12時00分

 能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた「珠洲(すず)原発」。建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった建設を阻止したのは、住民らの長年にわたる根強い反対運動だった。どのような思いで止めたのか。(岸本拓也


◆あと1年続いてたら僕らがつぶれていた

 「どこで何があるか分からん。本当に珠洲原発を止めて良かった

     (珠洲原発の反対運動のリーダー的な存在だった
      塚本真如さん=17日、石川県加賀市で)

 今回の地震で被災した高屋地区にある円龍寺の住職・塚本真如さん(78)は今月中旬、同県加賀市にある2次避難先のホテルで「こちら特報部」の取材にほっとした様子で語った。

 珠洲原発計画の反対運動で中心的な存在だった塚本さん。1975年に持ち上がった計画は、住民の反対運動と、それを切り崩す電力会社側との28年に及ぶ「闘争」の末、2003年12月に凍結された。塚本さんは「あと1年粘られたら、つぶれとったのは僕らの方やった」とかつての日々を振り返る。


◆関電は飲食や視察旅行で懐柔を図る

 関西、中部、北陸の3電力は1976年に正式に原発計画を公表した。しかし、関電が建設計画を進めた高屋地区では当初、住民のほとんどが反対していたという。そこへ関電側が住民の懐柔に動いた。「タダで飲み食いさせたり、原発視察名目の接待旅行に何度も招いたり芸能人を呼んだ住民向けのコンサートも開かれた。僕は一度も行かなかったけど、最後は住民が飽きて視察に参加しなくなるほどだった」

     (かつて珠洲原発反対派の拠点となった円龍寺も、地震で
      大きな被害を受けた=石川県珠洲市で(塚本さん提供))

 関電から、地域の祭りで使う奉灯「キリコ」の収納庫や農作物の保冷庫などを建てるための多額の寄付もあった。原発予定地の土地を貸して、億単位の賃貸料を得た住民もいたという。「カネ力の前に、一人また一人と賛成に回り地域は分断されていった


◆「安全はウソ」 学ぶほど疑念は確信に

 計画が持ち上がった当初、塚本さんは原発に賛成でも反対でもなかった。しかし、「推進、反対の本を100冊は読んだ。学ぶほど、安全はウソで固められていると疑うようになった。放射能と人間は共存できんなと」。米スリーマイル島旧ソ連チェルノブイリでの原発事故もあり、疑念は確信に。反対運動へ深く関与していった。

     (珠洲市役所で座り込みをした反対住民らの動きを
      報じる1989年5月23日付の北陸中日新聞記事)

 転機となったのが、関電が高屋地区での原発建設に向けた現地調査に乗り出した89年5月。塚本さんを含めた住民たちは調査に入ろうとする関電の車列を阻止し、市役所で約40日間にわたる座り込み抗議を始めた。円龍寺は反対運動の拠点となった。

 「それまで表に出ないようにしていたが、このときは大声を上げた。行動しないと何もならんと。知らん間にリーダー的な存在に祭り上げられていた」と塚本さん。住民らは念仏を唱えて道路に座り込んだ。調査を中断に追い込んだ


◆「絶対に推進派の個人攻撃だけはするな」

 この頃から原発を巡る対立は激しくなっていく。高屋地区では住民の賛否が分かれる中で、毎年秋の住民運動会が中止された。生活雑貨店を営み、原発に反対した井上伸造さん(76)は「『反対派の店で物を買うな不買運動も起きた」と明かす。

 塚本さんへの圧力も強まった。自宅では連日、無言電話が鳴り、電話が盗聴されたとしか思えない内容が書かれた手紙などが届いた嫌がらせは、計画が凍結されるまで10年以上続いた推進派に包丁を突きつけられたこともあった。しかし、「絶対に推進派の個人攻撃だけはするなと周囲に何度も言い続けた


◆住民のわだかまりは「もう過去のこと」

 反対派で建設予定地の土地を共有化したり、関電株を買って計画撤回の株主提案をするなどして手を尽くした。原発に反対する政治家を増やそうと、県議選や市長選などにも関わった。「強い者の味方をしたら坊主じゃない」という父の教えが行動を後押しした。

     (珠洲原発反対派の会合で、「凍結」に涙を浮かべる
      女性たち=2003年12月5日、石川県珠洲市で)

 塚本さんらの反対もあり、3電力側は2003年12月ついに計画凍結を発表した。11年の東京電力福島第1原発事故の後には「珠洲に原発はなくて良かったと、推進派だった住民が塚本さんに話しかけてきたことも。だが、今では原発が住民の話題に上ることもない。住民同士のわだかまりは「もう過去のこと」だという。

 今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起した。もし原発があったら大打撃を受けた可能性もあった。前出の井上さんは「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」。塚本さんは淡々と語る。「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょうやっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」


   


◆事業者による活断層評価は「明らかに過小」

     (高屋地区につながる峠道は激しく損傷し、車の通行が
      困難になった=石川県珠洲市で(吉田華子さん提供))

 東京電力福島第1原発事故後、市民の立場で脱原発を求める発信・提言を続けている「原子力市民委員会」は、今回の能登半島地震で、地震や津波が頻発する日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになったとして、18日にオンラインシンポジウムを開いた。

 「事業者による活断層評価は明らかに過小評価だった。数メートルに及ぶ地盤の隆起や変異原発の安全設計に組み込むことはできない」「社会インフラが機能不全に陥った原発事故発生時に避難や機材、人員の増強は不可能だと分かった」

 座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)が、今回の震災で浮き彫りになった、志賀原発の問題点を列挙した。


◆地割れが隆起が起きたら、原発は持たない

 「原発にとって脅威なのは、想定していない揺れが起こること」と「想定外」の地震の怖さをあらためて訴えたのは、元東芝原発設計技術者の後藤政志氏。志賀原発1号機の直下には活断層が走っていると一時は評価されたが昨年、覆った。「この断層を元に地震が起きると強く主張するわけではない。他で大きな地震が起きた時に連動して揺れ、原発に影響を与えるんじゃないか、という心配をしている」。その上で、「地割れや隆起が起きれば、原発は持たない。原発を断層のない安定した地盤の上に設置することは最低限必要能登半島地震は原発の危険性を突きつけている」と訴えた。

 原子力資料情報室松久保肇事務局長は使用済み核燃料(SF)について言及した。北陸電は仮に全電源が喪失した場合、SF冷却プールが100度に達するのは1号機で17日間、2号機で29日間と推定している。だが、松久保氏は「志賀原発は長時間停止しており、SFの発熱量がかなり下がっているからこれだけ時間がかかる。停止直後ならこんなに余裕はなかった、ということになるだろう」と話す。津波についても「今回は原発に3メートルの津波が来たとされているが、3メートル以上来たらどうなるか海水ポンプも壊れていたのではないか」と危惧する。


◆徒歩も自動車も、屋内退避もままならない

     (地盤の隆起で海底がむき出しになった
      珠洲市の沿岸=9日)

 一方、環境経済研究所の上岡直見代表は、石川県が策定した避難計画で指定する道路の多くが寸断されたとし、「原発避難は30キロ、数十キロ移動する。徒歩は考えられない。自動車で移動するのかといったら駄目ということ」と断じた。

 今回は、多くの家屋が倒壊しており、屋内退避もままならない。上岡氏は「仮に倒壊しなくても、ライフラインが途絶すれば屋内退避はできない」とする。さらに、避難時に放射性物質が衣服や体に付着していないか調べる場所「スクリーニングポイントの開設や、ヨウ素剤の配布も困難だと指摘した。

 大島氏は「日本は世界にも稀(まれ)な地震、自然災害大国現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」と語った。(宮畑譲


◆デスクメモ

 10年前、大飯原発の運転差し止め命令を出した樋口英明元福井地裁裁判長は13日、「当時の人たちのおかげと、珠洲原発を止めた塚本さんらに感謝した(16日東京新聞茨城版)。その感謝の輪に、関電も加わるべきだ。珠洲原発が実現していたら、何が起きたか想像もつかないのだから。(歩)


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【関連記事】石川県「能登でM8.1」試算を知りながら防災計画は「M7.0」想定 知事は「震災少ない」と企業誘致に熱
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●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所

2024年02月10日 00時00分56秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年02月03日[土])
核発電「麻薬中毒」「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。低層階で変圧器の故障や油漏れ事故を起こしたということは、上部では相当な揺れだったはずで建屋や原子炉、核燃料プールがマトモだったと考えるのは難しいのでは?
 dot.の記事【能登半島地震「想定外」ではなかった 日本海側にも活断層が多数存在/川口穣】(https://dot.asahi.com/articles/-/211469)。《元日の家族団らんを容赦なく襲った能登半島地震。東日本大震災以降の報道や対策の 議論は太平洋岸が中心だったが、日本海側の地震リスクが低いわけではないという。…今回の震源域に活断層があることは、従来知られていた。東日本大震災を受けて2013年から14年にかけて開かれた国土交通省の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」では、津波を伴った大地震を起こしうる断層モデルとして今回の地震とほぼ同じ震源域を想定し、最大でM7.6の地震が起こる可能性があるとしている。今回の地震の要因となったのがその断層だったのか、あるいは未知の断層だったのかは今のところはっきりしないものの、地域の地震リスクとしては想定外ではなかったという。東京大学名誉教授で、政府の地震調査委員会委員長を務める平田直(なおし)さんはこう説明する》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…

 3.11東京電力福島核発電所人災の教訓もどこに? …「想定外」と言う勿れ。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/「孤立」「原発」…生かされなかった阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401170000102.html)によると、《それに対して、道路が寸断された半島の特性が避難所への水や食べ物、物資の搬入が遅れた理由と言われるが、それらは十分、阪神・淡路大震災、東日本大震災の経験があれば想定でき、リスク回避は自治体レベルで可能だったはずだ。人災という言葉は使いたくないが、あまりに2つの震災の教訓が北陸の自治体で検討され、訓練されていなかったことがわかる。自衛隊の逐次投入が批判されるが、それよりも自治体からの出動要請がまず必要だったのではないか。 ★また、被災地の北陸電力志賀原発(停止中)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなく、空間放射線量を測るモニタリングポストも万全とは言えないのに北陸電力は情報公開に消極的だここでも教訓は生かされたとは言えない》。

 樋口英明さん、そもそも《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》。
 長周新聞の記事【地震列島と原発は共存できず 未知も含め全国に6000もの断層 「安全」といえる場所ないと専門家指摘】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28770)。《石川県能登地方で1日、最大震度7(マグニチュード=M7・6)を記録する「令和6年能登半島地震」が発生した。県内での死者は200人以上を数え、交通網が壊滅的打撃を受けるなか、今も被害の全容は明らかになっていない。東日本大震災以後、日本列島は地震活動期に入っているといわれており、全国に2000あるとされる活断層がいつどこで動いてもおかしくないとの指摘を多くの専門家たちがくり返しおこなっている。加えて、南海トラフ地震も今後40年間の発生確率は90%といわれており、迫り来る地震被害への備えは急務となっている。列島直下で何が起きているのかについて専門家の指摘や警鐘に耳を傾け、日本列島が直面している現状を直視することが求められている》。

 さらに、樋口英明さん、《「被害が大きくてかつ事故発生確率も高いという2つが揃ったパーフェクトな危険》であり、「安全」な核発電所など形容矛盾。
 長周新聞の記事【すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804)。《元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに異常なしと発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている》。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804

すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告
2024年1月16日

再稼働に向け動き出していた志賀原発

 元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに異常なしと発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている。


「異常なし」でも「実は…」が続々と

 1月1日午後4時10分の地震発生直後、NHKをはじめとするテレビ各局は志賀原発は異常なしとする電力会社の発表を速報で流した。しかし、志賀町の最大震度7は、2011年3月11日の東日本大震災で福島県を襲った震度(6強)を上回っており、「原発が無傷で済むレベルではない」と誰もが直感する揺れだ。さらに能登半島北部では、海底が数㍍隆起して陸地化する現象が海岸線の85㌔にわたって発生【地図参照】。国土地理院が示したデータでは、海岸線の隆起は志賀原発の北7㌔地点にまで迫っていた

 志賀原発は、福島第1原発と同じ沸騰水型BWR)の1号機、改良沸騰水型ABWR)の2号機の2基がある。1号機は1993年7月、2号機は2006年3月に運転を開始した比較的若い原発だが、2011年の福島原発事故後の全原発停止によって稼働を停止。2号機については、2014年から再稼働に向けた新規制基準の適性審査が進んでいた。福島第1原発と違い地震時に原子炉は動いていなかったが、使用済み核燃料貯蔵プールには計1657体の核燃料が保管されていると推定される。

 原発が稼働していなくても、貯蔵プールに常時水を送り核燃料を冷却しつづけなければならない冷却機能が止まれば、数時間で燃料棒が損傷し、放射能漏れを起こす恐れがある。また、電源喪失で冷却水が供給できなくなったり、海岸線隆起で海水がとり込めなくなれば冷却機能が失われる可能性があった。

 当初は「異常なし」とした北陸電力だが、その後の発表・訂正で徐々に実態が明るみに出ている。

 1日、記者会見した林芳正官房長官は、「現時点では(志賀原発に)異常は確認されてない」としながら、記者の追加質問に対して「変圧器に火災が発生したが、すでに消火済み」とのべた。

 さらに同日、原子力規制庁の会見では、地震の影響で外部から原発に電気を送る一部系統が使用不能になっていること、2号機で外部から電気を受けとる変圧器付近で爆発したような音と焦げ臭いにおいがあった」と報告があったが、それは火災ではなく、地震の揺れで変圧器内部の圧力が高まったため消火設備が起動したものと公表。

 さらに1号機でも変圧器周辺で油漏れが確認され、電源の一系統が使用不能となり復旧のメドは立っていないが、他の系統から電力を供給しているため問題なしとした。

 また、核燃料貯蔵プールで地震の揺れによって冷却水放射能を含む1号機では95㍑、2号機では326㍑が飛散して床面にこぼれ冷却水を供給するポンプが一時的に停止したが、午後4時49分に復旧し、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却に問題はないとした。

 翌2日には、高さ4㍍の防潮壁が数㌢傾いたこと、1、2号機の廃棄物処理建屋の接続部分のカバー約15㍍が脱落していたこと、2号機の使用済み燃料貯蔵プールに2・5㍍のケーブルカバーなどが落下していたことが公表された。


油漏れは当初の6倍 揺れも想定上回る

 当初は「発生しなかった」(1日)、「水位計に有意な変動は確認されなかった」(2日)と説明していた志賀原発への津波到達については、3日に「3㍍の水位上昇が観測された」に変わり、10日には、地震発生後1~3㍍の津波が複数回到達していたことが明らかになった。北陸電力は、津波ではなく水位上昇」と表現している。

 変圧器損傷による油漏れについても、当初は漏れ出した油は「約3500㍑」と発表していたが、5日には漏洩量は約六倍の2万㍑にのぼっていたと訂正した。2万㍑といえばドラム缶(200㍑)100本分に相当する量だ。また北陸電力は「全量を回収済み」としていたが、10日にも新たに海面に油が漏洩していることが発覚した。10日までに2万3000㍑余りの油が漏れ出たことになる。今も全貌は明らかではないが、北陸電力は油に放射能は含まれていないとしている。

     (1日の地震で油漏れを起こした志賀原発の変圧器
      (撮影:北陸電力))

 さらに志賀原発で観測された揺れの加速度が、一部で想定を上回っていたことが10日に開かれた原子力規制委員会の定例会合で明らかになった。原発には施設や設備ごとに揺れやすい周期が異なり、あらかじめ各構造物ごとに揺れの大きさを示す加速度(ガル)を想定する。福島原発後の原発再稼働に向けて設定された新規制基準では、耐震設計に用いる地震動の加速度をおよそ1000ガル(大規模地震の目安)前後に設定している。

 だが、今回の能登半島地震では、志賀原発がある志賀町の観測点での最大加速度は、東日本大震災に匹敵する2828ガルにのぼった。1000ガル以上も計7地点で確認された。志賀原発1、2号機の原子炉建屋の基礎部分でも揺れが想定を上回り、1号機では東西方向の0・47秒の周期で918ガルの想定に対して957ガルを観測したという。規制庁は原子炉建屋などに異常はないと説明しているが、北陸電力が規制庁に報告したのは9日で、みずから公表はせず、関係自治体に説明もしていなかった

 また規制庁は、原発の約30㌔圏内に約120カ所あるモニタリングポスト(空間放射線量の測定器)のうち、輪島市や穴水町など原発の北側20~30㌔付近にある15カ所で、地震発生以降、測定不能の状態にあると発表。空間線量の実測値は、原発事故時に住民避難の判断根拠となるものであり、計測できなければ避難時期やルートも決められない。このモニタリングポストの欠測(故障)も20カ所にのぼることが10日になって明らかになった。道路が寸断されているため、原因の特定ができず、一部では復旧の見通しが立っていないという。

 北陸電力からの重要情報の後出しや訂正があいつぐため、経産省は10日までに、北陸電力に対して正確な情報発信をおこなうよう指示するという事態にもなった。

 現在までのところ、原子炉が停止中だったこともあり、福島原発のような過酷事故には至っていないが、地震そのものが想定を大きく上回る規模で発生し、断層による地割れ、海面隆起、交通網寸断、停電などの多重災害において原発情報はすべて後出しになり、「異常なし異常がないのではなく、パニックを防ぐための政治的アナウンスに過ぎないといえる。

 一部では、主電源が喪失し、核燃料プールから水が漏れ続けているとの報道もあり、今後どのような重大事象が明るみに出るのか、予断を許さない状況が続いている

 いくつもの断層が集中する能登半島周辺では、1700年以降、何度も大地震に見舞われており、そのような地域に原発を立地する無謀さを自然が警告しているとみなさなければならない。


過去に臨界事故隠蔽も 原子炉下には断層

 志賀原発での重大事故と情報隠蔽には、有り余る前科がある。1999年6月の定期検査中に一号機で臨界事故意図せずに核分裂反応を起こし、大量の放射線や熱を発生させる事故)を引き起こしたが、北陸電力は「発表すると2号機(建設)の工程が遅れるなどの理由でデータを改ざんし、必要な記録を隠滅対外的な報告を一切せず、8年後の2007年3月に明るみに出るまでひた隠しにしていた

 事故が発覚したのは、全国の電力会社でデータ改ざんが明らかになったことを契機に原子力安全・保安院が一斉点検を命じ、北陸電力の全社員アンケートで1人の社員が告白したからだった。このときすでに志賀原発2号機は稼働を始めていた

 このような情報隠蔽は、原発建設を推進する電力会社、原発メーカー、立地自治体、政府を含む“原子力ムラ”の常套手段であり、「原発安全神話」を流布する側にとっては体質化して久しい。重大事故では、浜岡原発(中部電力)、女川原発(東北電力)、東京電力の福島第2原発、柏崎刈羽原発では核燃料の制御棒が脱落する事故が起き、福島第1原発(東京電力)でも7時間半にわたる臨界事故が発生していたが、電力会社は30年近くも隠ぺいしていた。また、2007年の新潟県中越沖地震で震度7相当の揺れに襲われた東電柏崎刈羽原発では、基礎杭に損傷が見つかったと東京電力が公表したのは地震から14年後のことである。

 今回の能登半島地震を受け、原子力規制委員会山中伸介委員長)は、再稼働に向けた審査が進む志賀原発二号機について「(今回の地震が)新知見かどうかを確定させるまでに年単位の時間がかかる。審査はそれ以上かかると思う」との見通しを示している。この期に及んで再稼働を前提にした審査を続ける姿勢を崩してはいない

 志賀原発では、2014年に北陸電力が2号機の再稼働を目指して原子力規制委員会に適合性審査を申請。2016年3月には原子力規制委員会の専門家チームが、原子炉建屋直下にある断層【図参照】を「活断層である可能性は否定できない」と評価した。新規制基準では、重要施設の直下に活断層がないことを求めている。断層にずれが生じれば事故につながりかねないため、12万~13万年前以降に活動したことが否定できなければ再稼働はできず、廃炉を迫られることになる

 だが、政府や財界が経済的利害から既存原発の再稼働を熱望するなかで、昨年(2023年)3月、原子力規制委員会は専門家チームの報告を覆して敷地内に活断層はない」とする北陸電力の主張を妥当とし、「活断層問題はクリアとのお墨付きを与えた。委員の1人は「(北陸電が示した)膨大なデータに基づいて評価し直したところ、活断層ではないと判断できる非常に説得力のある証拠がたくさん得られた」とのべていた。

 これが弾みとなり、昨年11月、経団連の十倉雅和会長(住友化学)が志賀原発を視察して「一刻も早く再稼働できるよう心から願っていると訴えるなど、政財界が総力を挙げて再稼働に向けて動き出していた矢先に迎えたのが今回の能登半島地震だ。

 すでに周知のように、能登半島には先端にも根元にも巨大な断層が幾重にも走っており、志賀原発だけでなく、隣接する福井県には日本原電の敦賀原発(1基停止中)、関西電力の美浜原発(1基稼働中)、大飯原発(2基稼働中)、高浜原発(2基停止中、2基稼働中)が林立し、全国で最も原発が集中する「原発銀座」と呼ばれる地域だ。この地域全体にも何本もの断層が連なっており、75年前の1948年6月の福井地震(マグニチュード7・1、最大震度6、死者3769人、負傷者2万2000人以上)をはじめ、近年も近隣では2004年の中越地震、07年の中越沖地震、20年には福井県嶺北でもマグニチュード5、最大震度5の地震などが頻発している。

 また今回の能登半島地震では、本震だけでなく、マグニチュード3・5以上の群発地震が連日のように続いており、日本列島で起きた過去の地震と比べてもその回数は抜きん出て多く、今後いつまで続くのかはわかっていない【気象庁作成のグラフ参照】。

 すぐにでも原発を停止し、廃炉を進め、未曾有の地震に備えて核燃料を厳重に防護しなければならないのが常識であり、再稼働を前提にする発想そのものが気狂い沙汰といえる。原子力規制委員会は「原子力推進委員会」と改名しなければならない。

 今回の地震は、地下に断層があるかないか、それが活断層であるか否かなどに関係なく、人間がソロバンをはじいて計算した想定を帳消しにするほどの被害を広範囲にもたらすことを改めて教えた。再稼働という一部の経済的利害を追求する目標に基づいてつくられた新規制基準そのものが、自然を無視した恣意的かつ非科学的なものであることをシビアに突きつけている。

 今や誰も「原発を建てて安全な場所」と責任をもって認定できないのが現実であり、「想定外では済まされない。意図的に見ないことにしている「万が一」のいつ起きてもおかしくない原発災害によって失われるのは途方もない人々の生活と生命である。


絵空事だった避難計画 自治体に責任丸投げ

 さらに、改めてあらわになっているのは、福島原発事故の教訓から自治体に策定が求められてきた「避難計画と被災の現実との大きな乖離だ。

 福島第1原発事故後、発足した原子力規制委員会は、原発再稼働のためにこえるべきハードルとして「新規制基準」と「原子力災害対策指針」(防災指針)の2つを策定した。そのうち防災指針は、事故発生に備えてとるべき被曝対策を定めるもので、原発の周辺地域ごとに策定される「避難計画」がその中核となっている。福島原発事故までは、「事故は絶対に起きないという安全神話に依存して避難計画はまともに策定されていなかった

 ただし、防災指針における避難計画は、原発を管理運営する電力会社ではなく周辺自治体の責任で策定するものとされており、原発の防護措置の一つであるにもかかわらず、規制委員会による安全審査の対象外とされているあくまで国の原子力防災会議による了承手続きがあるだけで、自治体への責任丸投げというのが実態だ。

 新たな防災指針では、避難計画を策定する対象地域を原発30㌔圏内に拡大(それまでは8~10㌔圏だった)しており、能登半島西岸に位置する志賀原発の30㌔圏内は、激震地の輪島市、穴水町、七尾市など八市町に約15万人が暮らしている。能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる

 防災指針によると、原発事故発生時には5㌔圏内の住民がまず避難し、5~30㌔圏内の住民は屋内退避を経て、一定の放射線量(毎時20マイクロシーベルト)をこえたら、あらかじめ確保した避難先に向けて避難を始めるとされている。

 だが今回の地震では、まず第一に避難経路を決めるための指標となる空間放射線量を計測するモニタリングポストが20カ所で故障携帯電話も使えなくなり、停電のためテレビ電波も入らず、情報手段が途絶した。これでは放射線量もわからず、避難に関する情報も住民は知ることができない。

     (1日の地震で崩落した道路(石川県志賀町))

 さらに、避難路となる道路は、24路線54カ所の国道、県道、高速道路が通行止めとなった。原発事故時の「基本的な避難ルート」とされていた金沢市と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道」は、複数カ所で陥没し、一時的に全面通行止め。他の一般道でも発災から1週間たっても、崖崩れによる寸断、路面の亀裂や陥没、崩落などが修復できず、10日現在で3000人以上が孤立状態に置かれている。

 現地に物資が供給できないということは、現地住民が域外に避難することも物理的に不可能ということであり、地震と同時に起きる原発事故での住民の陸上避難は絵空事であることが浮き彫りになった。

 さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった

 現在も能登の被災地では、住居の崩壊や大規模火災、道路寸断、通信遮断、水や電気などのライフラインの途絶、燃料や物資不足、さらに豪雪による低体温症、感染症蔓延などの未曾有の被害のなかで、被災者や支援するボランティアたちの極限状態が続いている。国による早急な救援が必要だが、さらに原発災害が加わっていたら果たしてどんな事態を招いていたか――。救援・救助もおろか、住民の自主避難もできず、能登半島全体が孤立と阿鼻叫喚の渦に飲まれていたことは想像に難くない

 この期に及んで「地震に耐えた」と慢心し、とり返しの付かない過酷事故を引き起こすまで再稼働マインドから抜けきれない「原発ゾンビ」を退場させ、地震列島の現実に立った正気を政治にとり戻すことが急務となっている。
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コメント
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●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》

2023年09月26日 00時00分56秒 | Weblog

元福井県高浜町助役から関西電力側への資金提供のイメージ (東京新聞2019年9月27日)↑]


(2023年08月20日[日])
核発電は「金のなる巨大木」…蝟集する核発電「麻薬中毒者」ども。
 やっぱり金のなる巨大木に蝟集し、金を還流、政治家 (閣僚、しかも行政府の長・首相) に濁流。(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れていたとは──》《公共性が高い企業から、よりにもよって現役の総理大臣が事実上の献金を受け取っていたという事実は、極めて重大な問題がある。いや、それどころか「口利きさえ疑われかねない問題だ》った。

   『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」
   『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?  
      関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!
    《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
     ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》

   『●関西電力八木誠社長のあの高浜原発: 
      「プルサーマル原発」に続き「寿命原発」を動かしたいそうです
   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも
       再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れて
      いたとは──》《それどころか「口利き」さえ疑われかねない問題》

 さらには。関電の核のごみをなぜに山口県上関町中間貯蔵(という名の最終処分)を? 中電や経産省、国が散々市民を分断してきた山口県上関町、《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。そして、何より、祝島の皆さんがお気の毒で仕方ない。絶対にコンナモノを受け入れてはいけない。(長周新聞)《「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好》、《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》、《「なぜ関電の原発のゴミをわたしたち上関が引き受けなければいけないのか」と疑問を口にしていた。40年以上も原発騒動でもめてきて、上関原発建設計画については実質的に破綻して建設のメドもないなかで、今度は中間貯蔵施設というわけで、要するに上関をゴミ捨て場にする…》。
 dot.のコラム【関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/articles/-/198163)。《「まるで反社以下の関電」と聞いて、すぐにその意味がわかる人は多くはないかもしれない。しかし、関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被らずに、今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている》、《これだけの反社会的行動をとっている関電23年度の純利益の見通しは、3050億円。06年3月期に記録した過去最高益(1610億円)を大幅に上回る》、《大嘘つきの関電、これに完全にからめ捕られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの岸田内閣。私は、これを亡国トリオと呼ぶことにした》。

   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》』 
  『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》

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https://dot.asahi.com/articles/-/198163

関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ 古賀茂明
政官財の罪と罰
2023/08/08/ 06:00

 「まるで反社以下の関電」と聞いて、すぐにその意味がわかる人は多くはないかもしれない。

 しかし、関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被らずに、今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている

 今回は、少し長くなるが、その許し難い構造について、ごく一部だけでも見ていただいて、それでも、憤りを感じないで済むかどうかを確認していただきたい。

 関電の不祥事と言えばすぐ思い出すのが、2019年9月に発覚した、岩根茂樹社長(当時)ら歴代経営幹部83人が福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受け取っていた事件だ。公益事業のトップらが長年にわたって大金を受け取ることを習慣化していたことに国民は驚愕した。受領した金品の総額は約3億7000万円相当。内訳は、現金が1億4500万円、商品券6300万円分、金貨365枚(1枚約15万円相当)、小判型金貨3枚、金杯8セット、金500グラム、スーツ75着などで、一人で1億2367万円相当を受け取った者もいた。

 しかも、関電経営陣は、この金品受領事件で所得税の追加納税を余儀なくされた元役員1人に計120万円を支払い、追加納税分を補填すると決めたことが発覚している。これは、関電が金銭受領問題について何ら反省をしておらず、むしろとんだ事故に巻き込まれたという程度の認識しか持っていなかったということの証左である。

 次に、2022年12月に発覚した顧客情報の盗み見事件もまた世間を驚かせた。大手電力7社で行われていた不正だが、中でも関電など5社は悪質だとして経産省から業務改善命令を受けている。とりわけ私が注目したのは、関電では事件が発覚した後に、システム上は盗み見をやめたことになっていたのに、引き続き一部社員が盗み見を続けていたことだ。この会社の特質、悪いことがバレた後でも決して反省しないというところがここでもよく表れている。

     (関西電力美浜原子力発電所。(左から)1号機、2号機
      3号機=2023年7月27日、福井県美浜町)

 関電は、この他にも、建設工事に関する社員らの国家資格不正取得や、一部送配電営業所での検査不正なども報じられているが、最も衝撃的だったのは、カルテル主導事件だ。法人向けに顧客の争奪戦を回避するカルテルを行っていたとして、公正取引委員会が、中国電力など4社に総額1000億円超の課徴金を課したのだが、そのカルテルを主導していたのが関電だったのだ。電力自由化の根幹を崩壊させるようなとんでもない事件である。

 ここでも関電はその悪質性を存分に発揮した。自分が主導した犯罪であるのに、公取委に仲間を売ったのだ。独占禁止法には最初に犯罪を申告して捜査に協力すれば責任を免れるという制度(リニエンシー)があるが、関電は最初に自主申告して良い子になり、処分を免れた。本当に悪かったと反省しているのであれば、なぜ自分だけでなく、仲間に一緒に申告しようと声をかけなかったのか。悪に手を染めるだけでなく、仁義にも悖(もと)る。反社の暴力団が聞けば、「俺たちよりも酷い」と言われるだろう

 本件では、このカルテルを主導したとされる森本孝・前社長は、この事件を公取委に報告したのちも特別顧問として高額の報酬を受けていたそうだ。ここでも、腹の中では全く反省していなかったことが見てとれる。

 そして、これから注目を浴びるタチの悪い詐欺的行為が、核のゴミ処理のやるやる詐欺である。

 放射性廃棄物の処分は答えのない大問題だ。本来は、これを解決しないまま原発を動かすことなど許されないはずであるが、実際には全く見通しが立たない。

 とりわけ、7基の原発が稼働する予定の関電は大量の核のゴミを現在も生産中で、その処理策を示すことは地元のみならず、社会全体に対する責任である

 ところが、関電は、ゴミを何とかしろと言われると、「はいわかりました」と安易に答えるだけで本気では何もしない。数え方にもよるが、私が知る限り、これまでに、5回も大嘘をついてきた。

 最初は、1998年に中間貯蔵施設福井県外につくると約束した。その見返りに燃料プールの容量を増やすことを認めてもらった。

 次の嘘は2015年、高浜原発の再稼働を認めてもらうために、20年ごろの中間貯蔵施設の県外建設により核のゴミを県外に持ち出すと約束。もちろん、大嘘だった。

 17年に大飯原発再稼働を認めてもらう際には、18年中に候補地を決めると約束した。その後、関電は、18年に東京電力と日本原電が建設中の青森県むつ市の中間貯蔵施設に関電が出資して相乗りするという虫の良い計画を立てたが、むつ市長が不快感を示したことで頓挫。さらに、懲りない関電は、今度は、電気事業連合会を使って、むつ市の中間貯蔵施設の電力大手による共同使用案を検討させようとした。しかし、さらにむつ市長の怒りを買い、「むつ市は核のゴミ捨て場ではない」と激怒されて、結局この案もお蔵入りとなった。

 そして、関電は運転期間40年超の美浜3号機高浜1、2号機の再稼働を認めてもらう必要に迫られると、中間貯蔵施設の候補地を23年末までに決めるとし、「できなければ美浜3号機、高浜1、2号機の運転を停止する」と、とんでもない空約束をした。もちろん、口から出まかせだということは誰の目にも明らかだった。

 23年の半ばになりいよいよ追い詰められた関電は、経産省と結託して、とんでもない「解決策」を発表した。高浜原発の使用済みMOX燃料10トンに普通の使用済み燃料190トンを混ぜて行う再処理の実証試験をフランスで行うというのだ。これで合計200トンの使用済み燃料をフランスに搬出することになるのだが、関電の廃炉を決めた原発を除く原発7基では年約130トンの使用済み燃料が発生するという。200トンなどあっという間に超過してしまう。しかも200トンは、関電が保有する核のゴミ全体の5%程度でしかない。現状のままでは、貯蔵用のプールは、5~7年で満杯になる予定で、今回の計画は全くの焼け石に水だ。

 しかし、関電の森望社長は「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」と胸を張った。中間貯蔵施設建設候補地の決定と同じというのだが、あまりの図々しさに呆れてしまう。もちろん、地元も世論も強い反発を示したのだが、そんなことは計算済みだ。関電は経産省に手を回し西村康稔経産相に「中間貯蔵と同等の意義があると言わせて、国のお墨付きを得た。ふざけるなという話である。

 さらに、関電は、「ズルの上塗り」を進めようとしている。

 8月2日、中国電力山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、中間貯蔵施設の建設を検討する方針を発表した。矢面に立つのは中国電だが、実は、関電と組んで進めるという。関電は中国電を後ろで操り、地元との調整は中国電にやらせる関電は成果だけを享受するわけだ。カルテルの時も関電が主導して利益を得ながら、最後は中国電だけでも700億円超の課徴金を課され、関電は無傷で逃げ切った。今回この計画が頓挫しても、傷を負うのは中国電だけという図式である。

 とんだとばっちりに遭ったのが上関の町民だ。中国電の原発建設計画を反対運動で何とか止めているのに、またもや「札束で横面を張る」やり方で、強引に核のゴミ捨て場にされそうになっている。その裏には関電がいて、さらには経産省と原発ゴリ押しの岸田内閣がいる。大変な相手との闘いがもう一つ増えたわけだ。

 ここまで書いてきて、わかるのは関電という企業の稀に見る悪質性である。単にスキャンダルまみれだというのにとどまらない。関電の特徴は、第一に企業トップが犯罪を主導するということ。第二に、発覚すると表向きは謝罪するが、裏では経営トップが不正を行った者に損失補填をするなど、腹の中では全く反省していないということ。第三に、自己が利益を得るためなら他人を裏切ることなど何とも思わないというヤクザも驚くような不誠実さである。こんな企業が原発という危険なものを動かして良いのだろうか

 とりわけ、関電の原発は日本海側に集中している。岸田政権は、北朝鮮のミサイルの脅威を強調し、中国の危険性も強調する。もしこれが正しいのであれば、日本海側にある原発は直ちに稼働を止めて、核燃料などは、地中深くの施設に移してミサイル攻撃を受けないようにすべきであることは誰にもわかる。原発そのものがミサイル攻撃で破壊されれば大惨事になるが、それよりも脆弱な構造の核燃料プールが破壊されても同じことが起きるし、それらの施設ではなくても電源を完全に断つような攻撃で大変なことが起きる。

 それにもかかわらず、関電が漫然と自社の利益を求めるために老朽化原発まで動かそうとするのを政府は後押しし、関電の嘘をむしろ庇いながら、原発再稼働に邁進している。現有の原発が安全保障上日本の最大の弱点になっていることを全く無視しているのはどういうことなのか。

 これだけの反社会的行動をとっている関電23年度の純利益の見通しは、3050億円。06年3月期に記録した過去最高益(1610億円)を大幅に上回る。その最大の理由が原発再稼働が進んでいることだというが、競争を回避する体質で電気料金が高止まりしている効果も大きい。いずれにしても、電気代上昇に喘ぐ我々国民から見れば理不尽としか思えない

 大嘘つきの関電、これに完全にからめ捕られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの岸田内閣。私は、これを亡国トリオと呼ぶことにした。

 ここまで読んでいただければ、私が冒頭で紹介した「まるで反社以下の関電」という意味を理解していただけると思うのだが、いかがだろうか。
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●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

2023年03月11日 00時00分35秒 | Weblog

※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230310[])
東電核発電人災から12年も経ってしまったのに《原状回復》することも無く、《原発回帰》へと暴走し、《原発復権》。3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

 AERAのコラム【小島慶子「東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと」】(https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html)によると、《今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました》。

   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
         なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

 ハッとした。そうだった、3.11東京電力核発電人災が起きた2011年は卯年でした…。あれから、暦が一巡りした訳です。〝年男〟のその年3月11日、初めて入院して大きな手術を受け、漸く退院して自宅のベッドで養生していました。再びの〝年男〟の今年3月末、再び入院を計画しています。
 一方、さらにその12年前の卯年、JCO臨界事故が発生した年だそうです。3.11もJCO臨界事故も「卯年」だったか…。《朽ちていった命》を想うと涙が出てしまう。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
       復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》

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https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html

小島慶子東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと
幸複のススメ!
小島慶子 2023/01/12 17:00

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *

 今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。

 その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました。金融再編で翌年にはいわゆるメガバンクが誕生。当時はよく世紀末という言葉が使われて、ノストラダムスの大予言で人類が滅亡するのではないかという漠然とした不安があったけれど、世界は終わりませんでした。27歳だった独身の私は、当時同棲していた現在の夫と、干支にちなんで外苑前の小さなスペイン料理店にウサギを食べに行きました。人生は可能性に満ちていると感じられた頃。その店ももうだいぶ前になくなってしまいました。さらにその前の卯年は、1987年。バブル景気に突入した日本で、15歳の私は思春期の鬱屈の只中にありました。みんなの共通の話題は人気のテレビ番組。好きな番組はビデオに録画したものです。VHS派とベータ派がいたけど、ベータテープはやがて消滅。そして人生初の卯年は、1975年。3歳で初めて日本の土を踏んだ年です。生まれたのは父の転勤先のオーストラリア・パースでした。今はその街で息子たちが暮らしています。今年で大3と高3、ついに二人とも成人します。私が一人で東京で働き、年に数回豪州の息子たちに会いに行く生活も10年目。人生で5回目の卯年は51歳。先のことはわかりませんから、これが最後の卯年かもしれないなあとも思います。毎日を大切に生きようと、思いを新たにする春です。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。
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●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」

2022年09月14日 00時00分44秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220829[])
これまでさんざん ―――――― さらに最も腹立たしいのは、最大の戦犯が未だにのうのうと政治家で居続けていること。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。その核発電所に「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? ―――――― と言ってきましたが、そのアベ様も統一協会問題絡みで銃弾に倒れました。

   『●高速増殖炉もんじゅ…ニッポンでは、
       巨額の「エサ代」を支払い続けるつもりらしい
   『●「(悪)夢の高速増殖炉」もんじゅの延命に向かって着々と
                   …ドブガネという巨額の「エサ代」は続く
   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶
   『●「核発電は安い」と言っておきながら、
      「原発の電力を使っていない消費者にまで負担を強いる方針」
   『●「ふげん」、「もんじゅ」…次の高速炉は
       「こくうぞう」、「みろく」? 「白象」とでもしますか??
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

 さて、「悪夢のような民主党政権」どころか、真の意味での「悪夢の自公政権」「悪夢のアベ様政権」が終わったのかと思いきや…キシダメ氏、正気かね? 《原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明》!? 《新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて》!? 次世代革新炉「キシダメ」とでも名付けるの?
 我那覇圭・佐藤裕介両記者による、東京新聞の記事【3・11後、初の原発「新増設」を首相が明言 唐突な政策転換、被災者らに十分な説明なく】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198069)によると、《原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明した。2011年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、歴代首相は原発への依存度の低減を掲げており、新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて被災者らに十分な説明をしていないにもかかわらず、エネルギー政策を原発推進の方向に転換した。(我那覇圭、佐藤裕介)》。

 さらに、東京新聞の【<社説>原発への回帰 福島の教訓はどこへ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198157?rct=editorial)によると、《あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替え、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。》
 《脱炭素の潮流》と言いつつ、放射能汚染は気にしない。核発電は、究極の地球温暖化促進なのに、知らないふり。《電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰》なのに、ザポリージャ原発で何が起きているのかを無視。安全保障が聞いて呆れる。海岸線沿いに一体何発の《原爆》を並べているの?
 でっ、次世代革新炉「キシダメ」は明日にでも完成するのかね? 半年後くらい? 1年後? でっ、どこに造んの? 東京? 首相官邸? 自民党本部? アホですか。核発電麻薬中毒な皆さんは、そりゃぁ、大喜びでしょうね。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/198069

3・11後、初の原発「新増設」を首相が明言 唐突な政策転換、被災者らに十分な説明なく
2022年8月26日 06時00分

 原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明した。2011年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、歴代首相は原発への依存度の低減を掲げており、新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて被災者らに十分な説明をしていないにもかかわらず、エネルギー政策を原発推進の方向に転換した。(我那覇圭、佐藤裕介)


 松野博一官房長官は25日の記者会見で、従来の政府方針を転換するかを問われ、直接的には答えずに「エネルギーを巡る内外の情勢変化を踏まえれば、次世代革新炉の開発・建設を含め、あらゆる選択肢を排除することなく検討する」と述べるにとどめた。

 首相は24日の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」で原発の新増設などの検討を表明。ロシアのウクライナ侵攻などで電力需給が逼迫ひっぱくしている現状を受け、自らの政治決断で進めると強調した。

 福島原発事故後、旧民主党を含めたこれまでの政権は、原発の新増設や建て替えは「想定していない」と説明。首相も20年の自民党総裁選時に出した著書で「将来的には再生可能エネルギーを主力電源化し、原発への依存度は下げていくべきだと主張していた。

 昨秋の自民党総裁選や衆院選でも、新規制基準に適合した原発を再稼働させる意向は示してきたものの、新増設などを封印する従来の政府方針は踏襲。今年7月の参院選公約で、それまで明記してきた「可能な限り原発依存度を低減」という文言を消したが「安全が確認された原子力の最大限の活用を図る」と記載するにとどめていた。

 いずれの選挙でも原発政策が大きな争点となることはなく、与党が勝利し、首相は政権基盤を強化。自身に有利な政治環境を手に入れた途端に、故郷を奪われた被災者や原発の安全性に不安を抱く多くの国民の理解を得ないまま、政府方針を変更して新増設や建て替えを打ち出した

 原発政策に詳しい明治大の勝田忠広教授は「原発政策は(使用済み核燃料を処理して再利用する)核燃料サイクルがうまくいかず、『核のごみ』の最終処分方法も決まらず、既に破綻している」と指摘。その上で「首相はエネルギー危機をあおるばかりで、説明責任を果たしていない。まずは幅広い国民の意見を聞くべきだ」と語った。

【関連記事】政府が原発新増設「検討」と明示…福島事故から封印のはずが推進姿勢 運転期間の延長、計17基再稼働も
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/198157?rct=editorial

<社説>原発への回帰 福島の教訓はどこへ
2022年8月26日 07時43分

 あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。

 岸田文雄首相が二十四日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の中で表明した。既に再稼働済みの十基に加え、来年の夏以降、新たに七基を再稼働させる方針も示した。

 七基の中には、テロ対策上の重大な不備が相次いで発覚、地元自治体だけでなく、原子力規制委員会の強い不信を招いた東電柏崎刈羽原発なども含まれる。ロシアのウクライナ侵攻の影響による原油などの資源高が背景にあるが、政府が強引に再稼働を誘導すれば、安全性確保や住民の不信払拭(ふっしょく)が置き去りにされかねない。

 「新増設や建て替えは想定していない」という3・11以来の大方針を転換し、今後、導入を目指す次世代型原発は、従来の軽水炉を改良する「革新軽水炉」や「小型モジュール炉(SMR)」などが想定されるが、安全性も経済性も未知数だ。いずれにしても開発途上で、当面の脱炭素への対応で主役になれるわけではない。

 将来を考えるなら、エネルギー輸入の必要がなく、潜在力の高い再生可能エネルギーを充実させる方がよほど現実的で、何より安全だろう。蓄電技術の革新や送電網拡充による電力融通の強化といった面にこそ集中投資し、天候に左右されて供給が不安定だとされる弱点を克服していくべきだ。

 原則四十年、特別な安全対策を施して六十年とする原発の法定寿命の延長方針に至っては、「老朽化」を「高経年化」と言い換え、不老長寿の夢を見た安全神話の復活と言うしかない。

 「可能な限り原発依存度を低減する」という大方針は、あの福島の悲劇から導き出された重い教訓である。ただ脱炭素、資源高への対応だというのでは、方針転換の十分な理由には到底なりえない。
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●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

2022年03月13日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220311[])
AERAの二つの記事  (野村昌二記者)【福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html)と、
【福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html)。 

 《未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。》
 《東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた》。

 《火事場ドロボー》1号=アベ様、《火事場ドロボー》2号=松井一郎元大阪「ト」知事、《火事場ドロボー》3号=橋下徹元・初代大阪「ト」知事…。ウクライナ侵略を利用・便乗して、壊憲して戦争できる国へ、敵基地攻撃へ、核保有へ。そういうのを《火事場ドロボー》と言います。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!

 《火事場ドロボー》達は、プーチン氏がウクライナの核発電所を〝人質〟にし、〝盾〟にしようがお構いなし。チェルノブイリの石棺までも…。核兵器の使用をちらつかせようがお構いなし。それでもなんでも核発電を続けたいという愚かな《火事場ドロボー》連中。コミに至っては、ドサクサ紛れに、核発電所再稼働を政府に進言している。ならば、《原発回帰》の前に、福島を、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。ロシアのウクライナへの侵略の教訓は、核抑止が幻想で、通常兵器による攻撃でニッポンの核発電所自体が潜在的な核兵器自爆を意味することじゃないのかね。ニッポンは非核三原則堅持へと向かうべきなのに、《火事場ドロボー》の連中ときたら、一体どっちが核抑止幻想の「お花畑」なんだよ。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》。さっさとデブリを元通りに原子炉の中に戻して見せてよ、核抑止幻想の「お花畑」《火事場ドロボー》の皆さん、核発電「麻薬」中毒の皆さん。
 小川慎一記者による、1年前の東京新聞の記事【廃炉の道は長く、険しく 写真で振り返る福島第一原発事故10年】によると、《東京電力福島第一原発事故では、世界最悪レベルとなった事故の収束作業は依然終わりが見えない。メルトダウン(炉心溶融)した1~3号機の原子炉に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)を、技術的に取り切れるのかすら不明だ。汚染水対策も解決に至らず、政府と東電は「廃炉」を目指すも、その姿を示せないでいる。東電が公開している事故現場の写真から、10年を振り返る…この10年、廃炉工程が計画通りに進んできたことはほとんどない》。それから1年、状況は全く変化なし。

   『●「復興五輪」!? 原状回復してから言ってくれ…片山夏子記者【「原発
     事故前の故郷に戻して」 浪江町・津島訴訟の原告団長が語った決意】
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を
     見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●富岡町の「白地地区」に自宅がある避難民の方「…国も東電も避難者を
      
ばかにし、うんと軽く見ている」…さっさと《原状回復》してみせよ
   『●《弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる

       甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉の定義も無く、デブリの持って行き場所も?
 東京新聞の【<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial)によると、《東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと。濃度の高い放射性物質の塊です》。

 (東京新聞社説)《2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか。》《原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します》。
 小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。…国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけませんそのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです》。

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https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html

福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題
2022/03/06 08:00
野村昌二

     (東京電力福島第一原発の敷地内には処理水をためる
      タンクがひしめき、その向こうに左から1~4号機が
      見える(photo 代表撮影))

 未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。AERA 2022年3月7日号から。

     (【写真】高線量の汚泥を入れる容器「HIC」はこちら)

*  *  *

 ひしゃげたままの鉄骨が、すさまじい爆発の威力を物語る。

 東京電力福島第一原発。今年1月下旬、記者が敷地内の高台に立つと、100メートル先に、事故を起こした1~4号機の原子炉建屋が見えた。

「昨年2月末に3号機の使用済み燃料の取り出しを終えることができました」

 東京電力ホールディングスの松尾桂介・廃炉コミュニケーションセンター副所長がこう答えた。この1年で最も進展した廃炉作業が、それだという。

 世界を震撼(しんかん)させた事故から間もなく11年。1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こし、1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で壊れ、大量の放射性物質が大気中に放出された

 国と東電は「30~40年後の廃炉完了」とするロードマップ(工程表)に基づき、作業を進めている。事故直後は「野戦病院のようだった」(東電幹部)という現場も、その面影は薄れた。かつては全域で防護服と顔全体を覆う全面マスクを必要としたが、除染が進み、今は96%のエリアでマスクも要らない。作業は一応の進展は見せているが、底知れぬ難題がいくつも待ち受けている


■現場はトラブルだらけ

 最大の難題は、東電が「廃炉の本丸」と位置づける1~3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し。総量は推計880トン。高い放射線量に阻まれて人は立ち入ることができない。これまでわかっているのは一部は動かせる程度だ

 今年1月中旬、デブリの取り出しでトラブルが発生した。この日、新開発した調査用の水中ロボットを1号機の原子炉格納容器内に投入する予定だった。だが、放射線量のデータが正確に表示されないなどトラブルが発生し、作業が中断したのだ。

 初日からトラブルに見舞われたことについて、松尾副所長は、こう語るしかなかった。

「原因を究明しています」

 作業は2月上旬、約1カ月遅れで開始された。原因は、現場で使っている装置の電源から発生するノイズだったという。

 トラブルはデブリの取り出しだけではない。

 福島第一原発では今も1日約140トンの汚染水が発生している。これを大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に通すが、副産物として「スラリー」と呼ばれる高線量の汚泥が出る。それを「HICヒック)」というポリエチレン製の高性能容器に入れて敷地内の一時保管施設に保管しているが、昨年、スラリーからの放射線の影響で寿命を迎えているHICがあることがわかったのだ。

     (高線量の汚泥(スラリー)を入れる容器「HIC」。
      直径約1.5メートル、高さ約1.8メートル(photo 代表撮影))


■想定外に劣化が進む

 東電はHICの寿命は2025年7月以降になると見ていた。だが原子力規制委員会は昨年6月、HICの底にたまった汚泥の放射線量が高いため劣化が速く進み、すでに31基が寿命に達し、2年以内にさらに56基が寿命を迎えると試算した。

 これを受けて東電は、昨年8月から新しい容器への移し替えを始めた。しかし設備トラブルも重なり、1基の詰め替えに1カ月以上かかった。

 HICの数は3379基(21年12月9日時点)にものぼる。仮に詰め替えができたとしても、スラリーを最終的にどこで、どのような方法で処分するかは白紙の状態だ。その間にも、容器は次々と寿命を迎えていく。

 松尾副所長は、

「今後どういうチェックが必要かとか、どういう手順がいるかということをしっかりまとめて展開していくという流れになってくるかと思います」

 と述べるにとどまった。

 処理水の海洋放出に向けた準備も進んでいない。

 敷地内をバスで移動すると、無数のタンク群が現れる。処理水を入れた貯蔵タンクだ。1061基(計約137万トン)あり、すでに95%が埋まっている(今年2月10日時点)。これが23年春ごろには満杯となる。増設したくても「もう土地がない」(東電)のが実情だ。


■海洋放出の行方も不明

 そうした状況のなか、昨年4月に菅義偉政権(当時)が、漁業者の反対を押し切る形で処理水を23年春ごろに海洋放出する方針を決めた。今後掘削する予定の海底トンネルを通して、沖合約1キロで放出するという。

 それも、設備工事の手続きが遅れている。

 本来なら昨夏に予定していた規制委への申請は、風評被害を心配する地元との調整が難航。計画書を提出できたのが昨年暮れになった。そこから書類審査に6カ月、トンネル工事に10カ月近くかかるとされる。審査に通っても、地元の理解を得るのは難しい

 理解が得られなかった場合の対応について、東電は明言を避ける。この日、松尾副所長は言った。「スケジュール通りにやっていきたい」

 東電は、いまだに計画通り廃炉が完了すると考えているのだろうか。楽観的と言わざるを得ない目標の前に、廃炉の姿が霞(かす)んで見えた。(編集部・野村昌二

※AERA 2022年3月7日号
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https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html

福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」
2022/03/07 10:00

     (こいで・ひろあき/1949年生まれ。原発の危険性を
      世に問い続け、2015年に定年退職。著書に
      『原発事故は終わっていない』(毎日新聞出版)など
      (photo 高橋勝視))

 東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。

     (【ロードマップ】使用済燃料の取り出し開始~廃止措置
      終了までの道のりはこちら)

*  *  *

 国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。

 国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです

 当初、国と東電は、デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に、饅頭(まんじゅう)のような塊になって堆積(たいせき)していると期待していました。そうすれば、格納容器と圧力容器のふたを開け、上方向からつかみ出すことができます。

 しかし、デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。

 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝(ひばく)が膨大になってしまいます。それどころか、穴を開けた方向にあるデブリは取り出せたとしても、格納容器の反対側にあるデブリはペデスタルの壁が邪魔になり、見ることも取り出すこともできません。

 つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です

 東電は「国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップ通りに達成できる」などと繰り返し言っているようです。本気で考えているとすれば、相当なバカだと思います。ロードマップは彼らの願望の上に書かれたもので、その願望はすでに崩れています

 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺で封じ込めるしかありません

 人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は、それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に、200年待てば100分の1に減ってくれます。

 100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。

 国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません

 そのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです。悲しいことですが、事実を直視しなければ前に進めません。

※AERA 2022年3月7日号
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial

<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか
2022年3月11日 07時43分

 東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。

 事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。

 デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと濃度の高い放射性物質の塊です

 メルトダウン(炉心溶融)が起きた三基=写真=のうち、水素爆発を免れ、これまでの調査で炉内の状況が比較的明らかになっているのが2号機です。

 とはいえ、人が近づけば一時間で死に至るという強い放射線が飛び交う中、遠隔操作のロボットに頼るしかない“手探り”の作業であることに変わりはありません。


◆デブリは除去できるか

 複数の事故原発の廃炉、解体は史上例がなく、必要な機材も破壊の状況に合わせてゼロから設計、製作しなければなりません。

 爆発で建屋が崩れ落ちた1号機、建屋は健全な2号機、上部が吹き飛んだ3号機、状態はそれぞれに異なります。

 2号機の試験作業には、全長二十二メートル、重さ四・六トンという英国製のロボットアームを用います。

 本来、昨年中に始める予定だったのですが、コロナ禍で製造や輸送がままならず、一年遅れになりました。今は国内の施設で性能試験および操作の訓練中。原子炉側面に開けた穴に“腕”を差し入れ、わずか数グラムの粉末真空容器に採取して、その性状を確かめます。

 2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか

 このようにデブリの取り出し一つとっても、気の遠くなるような険しい道のりです。たとえ工程表通りに廃炉を完了することができたとしても、莫大(ばくだい)な費用がかかります。

 ロシアによるウクライナの原発に対する攻撃が世界を震撼(しんかん)させる中、とてつもなく危険で、お金がかかる原発という施設のやっかいさ、原発を持つことの恐ろしさについて、あらためて考えずにはいられません。

 原発事故の収束費用は約二十二兆円、このうち東電負担の廃炉費用は八兆円と見積もられてはいるものの、取り出したデブリや解体で生じる廃棄物の処分費用などは、含まれません

 実際いくらかかるのか。東電に尋ねると、「何をもって『廃炉』とするのか、その最終形が決まっておらず、明確にお答えするのは難しい」との回答でした。

 通常は、運転を終了した原発を解体、撤去し、廃棄物を処理して更地にするまでが廃炉です。

 ところが東電の工程表をよく見ると、「使用済み燃料の取り出し開始まで」を第一期、「デブリの取り出し開始まで」を第二期としてはいるものの、それ以降、「廃止措置(廃炉)完了まで」の第三期に関しては、作業開始から「三十〜四十年後」と期限が切られているだけで、具体的に何をするかが書かれていない十一年たってなお、何をすべきか、いくらかかるか、決められずにいるのです

 福島と同じ「レベル7」の爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発について、ウクライナ議会は事故発生から十二年後の一九九八年に「チェルノブイリ廃炉法」を制定し、「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」と廃炉のゴールを定めた上で、工期を約百年としています


◆40年は無理、100年スパン

 東電の工程表を現在の技術レベルに照らして見る限り、今後三十年足らずのうちに、跡地や地域を「安全な状態」にできるとは思えません。

 原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します。

 地域、ひいては、この国の未来にかかわる問題です。いずれにしても、工程表を書き換えなければならなくなるのは確かでしょう。
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コメント
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●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》

2022年03月11日 00時00分35秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220226[])
マガジン9の記事【【寄稿】「おめでとう」と言えない正月(青木美希)】(https://maga9.jp/220112-5/)。

 《政府は生活できる環境がないまま、帰還政策を進めています。政府は、浪江町など帰還困難区域700世帯を含む2万世帯の避難住宅提供を打ち切りました。さらに浪江町や南相馬市などの避難者、帰還者らへの医療費無償の支援策も打ち切る方針を出しています。避難指示解除されれば固定資産税の減免もなくなっていきます。原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰めることがないように、私は被災者の声を発信し続けていきたいと思っています》。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま

 《原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める》…11年経っても何も変わらない。東電や政府、自公お維コミ議員達は、さっさと早く「原状回復」してみせて下さい。元の環境に戻してみせてよ。毎年、その事をお願いしているのですが、一向に「原状回復」する気がないようだ。そのくせ、汚染水を海洋放出したい? バッカじゃなかろうか。
 《「もともとあった肥沃な土は放射能で汚染されたため除染で取り除かれ、山砂が入れられました元の田んぼになるまでは長い年月がかかりますね」》《地産地消の豊かな暮らしが、かつて、ここにありました》《政府が「復興した姿を世界に発信する」とした復興五輪は終わりましたが、復興どころか、手付かずのまま108カ月過ぎた家々が、ありました》…さっさと元に戻してください、核発電「麻薬」中毒な皆さん。

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https://maga9.jp/220112-5/

特別企画
【寄稿】「おめでとう」と言えない正月青木美希
By マガジン9編集部 2022年1月12日

東京電力福島第一原発事故による被災者の方たちを取材し続けているジャーナリストの青木美希さんから、帰還困難区域の様子、避難指示が進められるなかでの被災者の声を映像とともに寄稿していただきました。
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避難先で迎えた11回目の正月

 2011年の福島第一原発事故から今年で11年となります。政府は今でも原子力緊急事態宣言を発令中で、数万人が避難を続けています。一方で、復興五輪が終わり、「もう復興したんでしょ」という声を聞くことが増えてきました。現地は復興しているのでしょうか。
 福島県浪江町の柴田明範(あきのり)さん(55)は今年も避難先の福島県二本松市内で正月を迎えました。二本松市内で、11回目の正月です。
 柴田さんは、これまで仮設住宅で知り合った人たちや支援者を含め100枚以上の年賀状をやり取りしてきましたが、10年を機に、年賀状を書くのをやめました。20人ほどがそれでも年賀状を送ってきてくれましたが、「迎春」と書いて返しました。
 「10年たっても戻れない。失礼とは思いますが抵抗がある。どうも、新年おめでとうという気持ちになれない。なんとなく1月1日が来た感じ。避難している人たちはおめでとうと言いたくない人が多いと思う心から言える人はいないと思います」と話しました。
 柴田さんと私は、長くフェイスブックでつながっています。
 柴田さんは毎年、正月に「おめでとうと言えない」と友達限定の投稿で書いていました。今年もまた、柴田さんにとってはおめでとうと言えない正月になりました。

     (柴田さんご夫妻)

 原発事故で、柴田さんの正月はまったく違ったものになりました。
 事故前は、柴田さんの家に親せきたち20人以上が集まり、飲んで騒いでつぶれ、泊っていっていました。家族と父母だけではなく、父の兄弟や浪江町にいる柴田さんの妹も来ていました。自宅で作った炭の炭ごたつや七輪で暖かく、臼と杵で餅をつき、七輪で焼きました。酒を飲めない柴田さんも楽しみました。
 いまは、避難先の二本松市の中古住宅で、柴田さんの家族が元日の昼に集まるだけです。酒もなく、騒ぐこともありません。自作の炭もなく、餅はオーブントースターで焼きます。柴田さんの妻が作った煮物をみんなで食べました。騒ぐことはできないと言います。「近所の人たちが自分たちを避難者とみている。バカ騒ぎはできないから」
 3歳と2歳の孫3人が走り回り、柴田さんに「じいじ」と抱っこをせがんできたのが唯一うれしかったことだと言います。それでも「子どもたちに明るい言葉はかけられなかった。かぜひくなよ、冬道気をつけろよ、ぐらいです」と話していました。

 2022年の正月を一緒に迎えた方々と喜びをわかちあいたい、という気持ちが「明けましておめでとう」なのだと思いますが、そのおめでとうですら違和感がある方々がいます原発事故被害が回復するどころか、いまも被害が生じ続けているからです
 私は、この現状を知ってほしくて、この原稿を書いています。
 現地で撮影してきた動画を掲載しました。原発事故の被災地がどのような状況にあるのか、記事と動画を交えて見ていただければと思います。


帰還困難区域にある柴田さんの自宅へ

 2カ月前の2021年11月7日、私は柴田さんと、福島県浪江町の帰還困難区域にある、柴田さんの自宅に向かいました。国道114号から津島地区の集落に入る道路は、「内閣府」と書かれた銀色のバリケードでさえぎられています。
 警備員に許可証を見せ、ゲートを越えた途端、柴田さんの線量計からピーピーというアラーム音が出ました。数値は0.7~0.8マイクロシーベルト/時。時間の経過とともに減ってきたとはいえ、まだ事故前の県内各地の大半の線量の20倍程度もあります
 東京電力福島第一原発の事故後、政府は除染を進め、少しずつ「避難指示」を解除してきましたが、原発から北西に延びる放射線量が高い地域、7市町村にわたって今も帰還困難区域があります。そのエリアの除染対象はわずか8で、そのほかの地域は、政府は2020年代に希望者が帰還できるよう一部を除染し、避難指示を解除する基本方針を決めています。柴田さんの自宅もこの地域です。これまで政府は地域一帯の除染をしてきたのに一部のみの除染になることに、住民から「まだら除染になり、放射線量が上がってしまう。ほかと同じように地域一帯を除染してほしい」と要望が出ています。

 帰還困難区域のうち、この津島地区には約1400人が住んでいましたが、放射性物質が多く飛散したため、国が道路にバリケードを張り、住民が自宅に行くためにはその都度、事前に許可手続きをしなければなりません。今も住むことができません
 ゲートを越えて草ぼうぼうになった細い道を車で進みます。線量計のアラームがピーピーと鳴り続け、放射線量は上がっていきます。車内で1.5マイクロシーベルト/時を超えました。事故前の30倍以上です
 ところどころ除染が行われている様子が見られました。この年の7月に来たときは森のようになっていたところが、除染が進められて草木が刈られ、重機で田んぼの畔(あぜ)が再建されていました。
 運転席で柴田さんが言いました。
 「もともとあった肥沃な土は放射能で汚染されたため除染で取り除かれ、山砂が入れられました元の田んぼになるまでは長い年月がかかりますね
 柴田さんの家は、私道を登っていたところにあります。町道から、柴田さんの家に入る私道に右折した途端、両側は森になりました。やぶに囲まれた細い道です。枝がところどころに落ちているため、車を何度も止めて、そのたびに車を降りて枝をよけなければ前に進めません。
 「両側にはうちの畑が広がっていました。ブルーベリーや白や紫、ピンクのリンドウを育てて、いつか奥さんとブルーベリーの観光農園をやろうと思っていました」
 柴田さんが住んでいた家と畑を切り開いたのは柴田さんの祖父母で、柴田さんで3代目。原発事故当時は父母と妻、子ども5人の計9人で暮らしていました。


止まったままの時計、イノシシの足跡……

 やぶの道をさらに進むと、瓦屋根の平屋住宅が見えました。サンルームや玄関の下部にオレンジ色のベニヤ板が張られています。
 「イノシシ除けだよ」
 ベニヤ板にはイノシシの茶色い足跡が残っていました。新しい足跡と古い足跡が混在しているように見えます。
 「汚染がひどくて、家にはもう住めないんです。新潟大学の教授に家の中の放射線量を測ってもらって『住めるレベルではない。解体しかない』って言われた。だから、もう住めない……それでも、イノシシに荒らされるのは許せない。将来は長男一家が住めるようにと思って、平屋の上に2階を建て増しできる作りにしたんですよ」
 柴田さんはカギを開けると、板をまたいで家に入りました。
 居間も子ども部屋も台所も、天井のあちこちにクモの巣がかかっています。居間の中央にはクリーム色の天板と布団のこたつがありました。
 「家の木を切って炭焼きをして木炭にして、こたつに入れてました。すごいあったかいから。足をいれると体がばーっとあったかくなる」
 柴田さんは木造の自宅の柱や鴨居を見ながら言います。
 「この家は、祖父がうちの土地で育てたスギやマツ、クリの木で建てたんだ」
 「山菜がとれると近所でお互いに交換してね。そういうのがすごく楽しみだったんだ」
 地産地消の豊かな暮らしが、かつて、ここにありました

 この場面の動画がこちらです。


https://youtu.be/b5HbqBgnPmw

 居間には黒く四角い掛け時計がかけてありましたが、地震があった2時46分で止まっています。月めくりカレンダーは2011年3月のまま。長女の部屋にはハンガーにセーラー服の夏服と冬服がかかっていました。
 柴田さんが長女の部屋で「あ」と声を上げ、紺色のファイルを手にしました。
 「311は長女の中学の卒業式だったんだよね。夜はみんなでお祝いしようねと言っていた……」
 「長女は、もう終わったことだからと言って、避難してから一度も家に足を踏み入れたことがない」
 ときが止まっていました
 客間の天井近くの高い場所に、紋付き袴の男性や着物姿の女性の写真が並んでいました。この土地を拓いた祖父や祖父の親族の写真だと言います。
 「先祖に見守っていてもらいましょう、と妻と言いあって、写真は飾ったまま、置いたままになっているんです何十年も住んだ場所。やっぱり自分の家は落ち着く。じいちゃんから親、親からおれ、本当は息子につなぎたかったけど、かなわないわね

 自宅の隣には柴田さんの両親の家がありました。ガラス戸が破られ、玄関のドアは開きっぱなし。ピンクの座布団が玄関に落ちています。中に入るとテーブルがひっくり返り、タンスが倒れ、足を踏み入れることはできません。私は思わず、「こんな風になりますか」と声を上げてしまいました。「イノシシが全部突き破って」。部屋の後ろ側、壁があるはずのところから、外のやぶが見えます。壁が外れています。「壁ぶちぬいて。……怖いね」。柴田さんは疲れ切ったように話していました。

 撮影してきた動画はこちらです。



https://youtu.be/5tSSrFkkW6o

 政府が「復興した姿を世界に発信する」とした復興五輪は終わりましたが、復興どころか、手付かずのまま108カ月過ぎた家々が、ありました
 「選手にここに来て、世界に実態を伝えてほしかった」と柴田さんは話していました。


生活環境が整わないまま、進められる帰還政策

 避難指示解除されたところでは何が起きているのでしょうか。
 私は2021年11月27日、双葉屋旅館を経営する小林友子さんに話を聞きました。
 小林さんは福島県南相馬市小高区のJR小高駅前の「双葉屋旅館」4代目。福島第一原発から20キロ圏内にあり、政府の避難指示で小高区の全員が避難しました。

 小林さんは原発事故後、長男が住む名古屋市に避難しました。ハローワークに行っても50代という年齢で仕事が見つからず、地元で旅館を再開することを決めました。政府は事故から5年4カ月たった2016年7月に小高区の避難指示を解除しましたが、小高区の原発事故時の住民登録者数は12,840人で、20211130日現在の居住者は3,800人ほど。居住者の半数が65歳以上です。
 小林さんは語りました。
 「多くの事業者が再開しておらず、家業と別の勤め先の兼業で暮らしていた人たちが多かったなかで、仕事は残念ながらやっぱりありません。3世代で住む家も多かったのですが、自分の代でいい、自分たちの代で完結するという思いの人たちが帰ってきています。建て替えの時に家を小さく、平屋にしたり」
 農業や商業を営みながら、さらに別の勤め先で働いて暮らしてきたのに、その兼業先がないため帰れないと言います。何より、小高は、南側で原発で栄えていた双葉郡と商圏の結びつきが強かったなかで、この商圏が壊れてしまいました
 「自分たちの代で完結する」という言葉が悲しく、重く響きました

     (双葉屋旅館の小林友子さん)

 「10年過ぎて見えてくることは、本来はずっと土と一緒に生きていた方が暮らせるんですよね生業なりわいがなくても生きていける土壌だったんですよね。今まではコメや野菜を自分たちで作っていました。それがみんなお金で買わないといけない。キノコだったり海のものだったり。そこで育った人たちの失ったものをちゃんと見てないよね本当にしんどいのが現実
 私は避難者の方々から「初めてコメを買った」という言葉を多く聞きました。買わなくても食べ物はほとんどまかなえる生活だったと。
 「両手にいっぱいの買い物袋を持っていると『いいな』って言われるけれども買わないと生きていけないから。『いいな』って言われましたけど、『なくなったんだよ』って。月10万円の慰謝料はあっという間になくなりました。全部買わないといけない。あんなにお金がなくなるとは」
 同じ言葉を、避難してきた多くの方から伺いました。そして、避難者を受け入れている人たちからは「避難者の人たちはものすごいたくさん買い物していくんだから」という非難めいた言葉も多く聞きました。賠償金の差、強制避難か否かの差、政府が生んだ多くの差が精神的な分断を生んでいます

 「家に帰らないでいると、隣の人から『草ぼうぼう、草刈りしろ』と言われるのが一番つらい。だから田んぼを人にまかせちゃう。そうすると太陽光発電が造られる。知らない間に虫食いのようにできていってしまう。山ががんがん切られて木も切られて里山から除染のあとを埋めるために山土がとられ、山がなくなっていく。それが災害の一つの原因になる。原発事故って放射能だけじゃない被害を起こしていると知ってほしいです。食料が不足すると言われているときに、どうしていい場所の農地をつぶしていくのか。ソーラーも都会ではなく、地権者、福島に収益や雇用を生み、経済が回るシステムを議論してほしい。帰れと言うのなら受け入れる素地をちゃんとしてほしい」

 帰れと言うのであれば、その環境を。それもその通りです。小林さんは「次に繋いでくれる人もいる事も現実」といいますが、雇用の場の整備がなければ生活できません
 小林さんに会う前に、私は50代の楢葉町の男性から話を聞いていました。
 その男性は、避難指示で避難し、政府が避難指示解除をしたから戻ってきたけれども、元々勤めていた事業所は閉まってしまった。再就職先も見つからず、結局非正規雇用しかない、と話していました。
 政府は生活できる環境がないまま、帰還政策を進めています
 政府は、浪江町など帰還困難区域700世帯を含む2万世帯の避難住宅提供を打ち切りました。さらに浪江町や南相馬市などの避難者、帰還者らへの医療費無償の支援策も打ち切る方針を出しています。避難指示解除されれば固定資産税の減免もなくなっていきます。
 原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰めることがないように、私は被災者の声を発信し続けていきたいと思っています。


青木美希(あおき・みき)ジャーナリスト。北海タイムス(休刊)、北海道新聞を経て全国紙。「道警裏金問題」取材班で菊池寛賞など受賞。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」、「手抜き除染」報道で各取材班で新聞協会賞を受けた。原発事故被害を描いた『地図から消される街』(講談社現代新書)は貧困ジャーナリズム大賞、日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞。8刷に。新刊『いないことにされる私たち』(朝日新聞出版)を2021年4月に出版した。日本ペンクラブ言論表現委員。
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●《弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》

2022年02月06日 00時00分22秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年01月29日[土])
片山夏子記者による、東京新聞の記事【「福島第一原発事故の被ばくで甲状腺がんに」と主張 事故当時子どもだった6人が東電を提訴へ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/154959)。

 《東京電力福島第一原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、事故時に福島県内に住んでいた17~27歳の男女6人が27日、東電に対して総額6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。弁護団によると、子どもの時に甲状腺がんになった患者が原発事故を起因として東電を訴えるのは初めて》。

   『●東京電力原発人災から『X年後』…… 
       取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?
   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」
              …2011年から「X年後」を怖れる
   『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの 
          参加者だということがわかっているのだろうか」?
   『●黙殺される東電原発人災『X年後』: 
     「100万人に2~3人という日本の全国平均を大きく上回ったもの」
   『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」 
            …では、何が原因なのか?、を説明して下さい!
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で 
     放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?
   『●「福島の子どもたちの健康など一顧だにしていない」…
        「福島の小児甲状腺がんの多発の原因は原発事故」
   『●「津田敏秀教授が「甲状腺がん多発は原発被曝と
      関係ない」派に反論」…ヒトデナシな核発電「麻薬」中毒者
   『●《10年前、村を襲った福島原発放射線量の数字を「公表するな」
     「安全だ」と強弁していた専門家らは今、どう思っているのだろうか。》
    「日刊ゲンダイの記事【長谷川健一さん死因は「甲状腺がん」…
     福島原発事故と戦った飯舘村の酪農家が投げかけたもの】」

 《Forgotten》させてはいけない…「子供達の『X年後』の現実」

   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
     「こんな巨大な事件が、…日本人としての資質が問われる」
   『●米軍の「差別性の極み」:NNNドキュメント’14
       『続・放射線を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今』
   『●東電原発人災の『X年後』: 厚生省「1.68ミリシーベルト」
                      vs 研究者「1400ミリシーベルト」
   『●『放射能を浴びたX年後』: 「国はこれまで
       福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった」
   『●「私たちは被ばく船員を見捨ててきたと痛感」…
                 2011年から「X年後」を怖れる
   『●東京電力原発人災から『X年後』…… 
       取り返しのつかないことが現実化してはいまいか?
   『●人類は核と共存できるのか? 
        『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議
   『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
       元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」
   『●【放射線を浴びたX年後】…《半世紀以上前の列強国による…核実験に
       関わったイギリス軍の元兵士や遺族…その海で何があったのか》?
   『●『放射線を浴びたX年後』…『ビキニ事件』は終わっていない。
     「国はこれまで福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった」
   『●「The Forgotten Sailors」(トモダチ作戦)…
           子供達の『X年後』を忘却したがる…

 『NNNドキュメント’17』で「2017年10月8日(日) 25:00」に放映"The Forgotten Sailors ~Operation Tomodachi~"……メルトダウンあるいはその放射能プルームについての情報は福島の市民には提供されず、ましてや、いち早く情報提供を受けたらしい米空母ロナルド・レーガンでさえもが手遅れで、著しい汚染を受け、著しい《健康被害》…。艦上での作業中の被曝、食物や水を介して内部被曝してしまったことを、軍や米政府は認めない。「甲状腺がん放射線の影響とは考えにくい」と言う人々、ニッポンのオトナ達と全く同じではないか。視聴後、大きな衝撃を受けたとともに、福島で起こっていること、「子供達の『X年後』の現実」に改めて、怒りが湧く。忘却したがる大人たち。東電やアベ様ら、核「寄生」委員会の面々は、これでも核発電を続け、核発電輸出をしようと言うのだろうか? 裁判に訴える元乗組員米兵達は、福島の人たちのために自らの「健康被害」の情報を提供する意思があると言う。この番組がその一環だ。

 《Forgotten》でいいのだろうか、「子供達の『X年後』の現実」。
 東京新聞の記事【「沈黙を余儀なくされてきた」東電甲状腺がん訴訟で弁護団が会見 27日に提訴へ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/155162)によると、《東京電力福島第一原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、福島県内に住んでいた17~27歳の男女6人が東電に損害賠償を求めて提訴する方針について、弁護団が19日、東京都内で記者会見した。弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》。

 何一つ解決していない東電核発電人災。立憲民主党の核発電推進議員や、政府や自公お維コミ議員、核発電「寄生」委員会、東電はさっさと《現状回復》して見せて下さい。話はそれからだ。

   『●《今なお続く福島の「不条理」》: 東電の初期の主張は
     「無主物」…裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
     みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

 一方、キシダメ首相ときたら、《自身の看板政策「新しい資本主義」の柱と位置づけ、再生可能エネルギーだけでなく、原子力の技術開発を推進する考えだ》…。アタマ、大丈夫か? 何の反省も無く、教訓も得ない自公お維コミ。《Forgotten》させてはいけない…「子供達の『X年後』の現実」。
 アサヒコムの【核といのちを考える/原発活用へ透ける思惑 首相が「クリーンエネルギー戦略」策定を指示】(https://www.asahi.com/articles/ASQ1L6QK0Q1LULFA008.html)によると、《岸田文雄首相は18日、脱炭素社会の実現にむけた「クリーンエネルギー戦略」の策定を関係閣僚に指示した。自身の看板政策「新しい資本主義」の柱と位置づけ、再生可能エネルギーだけでなく、原子力の技術開発を推進する考えだ。欧州では原発を脱炭素の電源として再評価する動きがあり、国内でも推進派の期待が強まっている。首相官邸で開かれた有識者会議で、岸田首相は「持続可能性の欠如など、資本主義の負の側面が凝縮しているのが気候変動問題だ。炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有し、この分野の投資を早急に少なくとも倍増させる」と述べた。政府は2050年の脱炭素化を掲げるが、多くの化石燃料を使う産業では事業の見直しなど負担が増える。新たな戦略で脱炭素への道筋を示すことで投資をしやすい環境を整え、経済成長との両立をめざす。経済産業省によると、重要な論点と位置づけるのが、再生エネを大量導入するための送電網の増強や、燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素・アンモニア、国民の生活スタイルの転換などに加え、原子力だ。日本メーカーも参加して米国で開発が進む小型モジュール炉(SMR)や、高レベル放射性廃棄物が出ないとされる核融合といった次世代技術の研究を推進するという》。
 もう正気とは思えない。勝手にやってろ!、という気分。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/154959

「福島第一原発事故の被ばくで甲状腺がんに」と主張 事故当時子どもだった6人が東電を提訴へ
2022年1月19日 06時00分

     (東京電力を提訴することを決めた女性。甲状腺を全摘し、
      手にする薬を生涯飲み続ける必要がある=福島県内で)

 東京電力福島第一原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、事故時に福島県内に住んでいた17~27歳の男女6人が27日、東電に対して総額6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。弁護団によると、子どもの時に甲状腺がんになった患者が原発事故を起因として東電を訴えるのは初めて。(片山夏子


◆弁護側「被ばく以外の原因は考えられない」

 提訴するのは、福島市や郡山市などに住んでいた4人と、県西部の会津地方と県東部の浜通りの両地域に住んでいた各1人。事故当時は6~16歳で、現在は県内や東京都内で高校生だったり、会社員やアルバイトとして働いていたりする。

 6人は、福島県の県民健康調査などで甲状腺がんと診断された。2人は甲状腺の片側を切除、4人は再発により全摘し、放射線治療を実施または予定している。4回手術した人や肺に転移した人もいる。治療や手術で希望職種への就職を断念し、大学中退や退職を余儀なくされたりした。再発だけではなく、結婚や出産ができるかなど強い不安を抱えている

 弁護団は、6人を含む子どもたちに見つかった甲状腺がんの多くがチェルノブイリ原発事故で小児・若年層で確認された乳頭がんで、遺伝性ではなく被ばく以外の原因は考えられないと主張。井戸謙一弁護団長は「再発している人も多く、過剰診断は考えにくい東電は原因が原発事故と認め、早急に救済すべきだ」と話した。


◆専門家会議は「因果関係認められない」との立場

 原発事故による被ばくと甲状腺がんの因果関係について、福島県の専門家会議は「現時点で認められない」という立場だ。

 原発事故後、県は県民健康調査の一環として、事故当時おおむね18歳以下と事故後の2012年4月1日までに生まれた(県外避難者を含む)計約38万人を対象に、被ばくにより発症の可能性がある甲状腺がんの検査をしている。

 通常、小児甲状腺がんの発症数は年間100万人に1~2人程度とされるが、調査などでは、昨年6月までに約300人が甲状腺がんまたはその疑いと診断された。医療費の全額は、国の財政支援や東電の賠償金で創設した「県民健康管理基金」から交付されている。

 診断結果について専門家会議は「将来治療の必要のないがんを見つけている過剰診断の可能性が指摘されている」としつつ、調査を継続している。


【関連記事】甲状腺がんの26歳「結婚、出産、将来のこと。考えられない」 東電提訴で「今できることを」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/155162

「沈黙を余儀なくされてきた」東電甲状腺がん訴訟で弁護団が会見 27日に提訴へ
2022年1月20日 06時00分

     (会見をする弁護団。右から海渡雄一弁護士、井戸謙一弁護士、
      河合弘之弁護士=19日、東京・霞が関の司法クラブで)

 東京電力福島第一原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、福島県内に住んでいた17~27歳の男女6人が東電に損害賠償を求めて提訴する方針について、弁護団が19日、東京都内で記者会見した。弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた。

 小児甲状腺がんは通常、発症数は年間100万人に1~2人程度とされている。福島県の県民健康調査などでは、事故後から昨年までに約300人が甲状腺がん、またはその疑いと診断されたが、同県の専門家会議は被ばくとの因果関係について「現時点で認められない」としている。

 事故から10年を経て訴訟を起こす理由として副団長の河合弘之弁護士は「原発事故が原因で甲状腺がんになったと声をあげると社会からバッシングを受ける雰囲気があり、6人は沈黙を余儀なくされてきた」と説明。「福島県では通常より数十倍も多くの子が甲状腺がんになっている因果関係がないというのなら、東電側はそれ以外の原因を立証しなくてはならない」と主張した。

 同じく副団長の海渡雄一弁護士は「結婚や就職など普通の人生の望みを奪われ、生涯苦しい治療を続けなくてはいけない人もいる」と述べ、「6人以外でも同様に苦しんでいる人は弁護団に相談してほしい」と呼び掛けた。

 弁護団によると、原発事故による甲状腺がんの責任を問う訴訟は初。27日に東京地裁に提訴する。会見を受け、東電は「訴状が送達された場合、誠実に対応する」とコメントした。(小沢慧一


【関連記事】「福島第一原発事故の被ばくで甲状腺がんに」と主張 事故当時子どもだった6人が東電を提訴へ
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●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

2021年11月15日 00時00分29秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2021年09月23日[木])
小川慎一小野沢健太の両記者による、東京新聞の記事【東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503)。

 《東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太)》

   『●東京電力に資格無し…さらには《なめている》そういったデタラメな
     東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である

 シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 金(カネ)色の五つの輪等に絡めて、アベ様らはさんざん《テロ対策》云々と言っておきながら、ナニコレ?
 《東電のずさんな態勢》《問題が次々と発覚》―――万事この有様。3.11人災に対する責任の自覚も無く、10年前の人災から何の教訓も得ていない。東電に核発電所の運転や再稼働の資格なし。さらには、《なめている…》《ずさん》、そういったデタラメな東電を〝育てた〟のは更田豊志委員長ら原子力「寄生」委員会や国、(デタラメな関西電力九州電力も含めて)自公お維なのではないか。その〝育成〟は、東京電力核発電人災前だけではなく、人災後も同様に継続されてきた。皆、核発電「麻薬」中毒者。
 本年3月、《更田豊志委員長は、追加検査に1年以上かかる見通しを示し、検査が終わるまでは「運転に向けた次のステップはない」と明言。柏崎刈羽の早期再稼働は不可能となった》…《早期》じゃないでしょ? 永遠に再稼働など許されない。その後も、まだ、不祥事が続いていた訳です。東電には、核発電所を運転する資格など無い。そもそも、ニッポンには核発電所を運転できる場所も無いし、人災で世界に迷惑をおかけした訳であり、誰にもその資格も無い。同時に、《更田委員長は「…委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」》など時間の無駄だった。そのように〝育てた〟更田委員長自身の責任が問われるべき。自称・詐称《「世界一厳しい」とされる規制基準》に《これほどの不正や不備を抱えた原発が、3・11の教訓を踏まえたはずの新規制基準「適合」すると判断したのは、当の規制委だ》。
 《東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという》…《人や金の投入を惜しまない》先は新潟ではないと思いますよ。柏崎刈羽核発電所の再稼働などせず、福島の「原状回復」に《人や金の投入を惜しまない》べきです。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 東京電力に
         柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
      救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
    《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
     柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
     「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
    《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
     福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
     メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
     現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
     原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
     東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
          無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
     不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で
     東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)
   『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた
     東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
    「伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし!
     柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽
      原子力規制庁も共犯か】」
    《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて
     原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。
     …だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつ
     ある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった
     「ID不正使用問題だろう》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503

東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ
2021年9月23日 06時00分

     (柏崎刈羽原発)

 東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太

【関連記事】テロ不備問題で東電社長減給、原発責任者らトップを処分
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◆原子力部門の膿、想像以上

 「他(福島第一、第二原発)でできたことが、なぜ柏崎刈羽でできなかったのか。組織の風通しの悪さは気になるところです」

 東電の小林喜光会長=前三菱ケミカルホールディングス会長=は22日の記者会見で、厳しい表情を見せた。テロ対策不備の調査まっただ中の今年6月に就任して改革の必要性を強調してきたが、原子力部門の膿は想像以上だった。

 発端は、2011年3月の福島原発事故だった。全原発の運転ができず、事故収束費用と被災者への賠償が重くのし掛かり、経営が悪化。その一方で柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた事故対策工事に前のめりとなったことで、テロ対策への金と人の投入がおろそかになっていく。


◆経営再建の名でおろそかになったもの

 報告書によると、福島事故直後、東電はテロ対策設備の保守管理を委託していた日本原子力防護システム(東京)との契約見直しを進めた。事故前は、外部からの侵入検知装置を新しくする費用も含めた契約だったが、これを止めたことで装置の老朽化が進んだ。

 装置のリース契約も解除し、16年以降は東電自らによる装置の設置や保守管理に切り替えた。15年度に約13億円だったリース料は、20年度に約1.3億円と十分の一に減った

 費用削減のあおり装置の故障が増えていく。福島第一、第二原発よりも5~8年古いためだ。東電側は「故障しても(カメラなどによる)代替措置を取っていれば問題ない」と考え、19年度からは原発内に常駐する委託会社の社員も6人から3人に半減した。

 「保守管理がうまくいかなくなる」と委託会社は繰り返し懸念を示したが、東電は応じなかったという。その後、20年3月~21年2月に装置が16カ所で故障うち10カ所は代わりの措置も不十分だったと原子力規制委員会に指摘される事態となり、一部は復旧に300日以上かかった。


◆実態、幹部に共有されず

 「契約変更の実態が発電所幹部に共有されなかった。さまざまな指摘があったのにもかかわらず、生かせなかったことに驚いた」と、小林会長はうつむいた。

 原子力部門には、内外の指摘を軽視する姿勢があった。17、18年度の内部監査では、故障した検知装置の復旧に長時間かかっていることが指摘されたが、是正につながらなかった

 規制委事務局の原子力規制庁や他の電力会社との定期的な意見交換では、テロ対策設備の保守管理について経営層が注意を払うように指摘が続いたが、発電所長や本社の原子力部門トップに報告されなかった

 「社員は内部脅威になり得ない」―。社員らがそう思い込んでいたことが危機管理のずさんさにつながった、と報告書は強調する。


◆「資格ないとの烙印押される」

 東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという。

 「是正措置をやり遂げなければ、原子力事業をやる資格がないとの烙印を押されるととらえ、最後の機会を与えられたものとして取り組む」。小林会長は決意を語ったが、いばらの道が続く。

【関連記事】柏崎刈羽原発、テロ対策不備で「運転禁止」命令 東電、早期再稼働不可能に
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●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

2021年10月15日 00時00分30秒 | Weblog

[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


(20121010[])
東京新聞の【<社説>原発避難者訴訟 積み重なる「国の責任」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/134144?rct=editorial)。

 《福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、高松高裁が国と東京電力の責任を認めた。地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた意味は重い。高裁で積み重なった国の責任もまた重い。東電福島第一原発の事故から避難した人々をめぐる損害賠償訴訟では、すべて東電の責任は認められている。だが、国の責任同時に認めたものは、地裁レベルでは十七件の判決のうち九件で、判断は真っ二つに割れていた。高裁レベルでは一件を除き仙台東京高松三つの高裁が国の責任を明確に示したことになる。最高裁への太い流れができたと、高く評価したい。…高松高裁は「科学的信頼性がある」として、「長期評価」を重視した。それゆえ経済産業相は予想を基に津波のシミュレーションを行い、福島第一原発に及ぼす影響を検討すべきであった》。

 当然、国にも重大な責任あり。
 仙台高裁・上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁・白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決 ――― この判決の意義とは? 白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。
 そして、今回の高松高裁も同様だ。

   『●「想定外」という言い訳は許されない
    《実は、東電の福島第一は津波に弱く、炉心溶融の危険性があることは、
     5年前から指摘されていた想定外などではない。福島第一で
     想定されている津波、チリ地震津波クラスに遭遇すると、大きな引き波に
     よって冷却用の海水を取水できなくなるといわれる。この引き波による
     取水停止が、炉心溶融に発展する可能性を、2006年に国会で共産党の
     吉井英勝議員が質問している。
       二階俊博経産相(当時)は善処を約したが、東電は具体的な改善を
     行なわなかった。東電には地元から改善の要望書も出されているので、
     津波による炉心溶融の「危険性の指摘」を知らなかったはずはない
     百も承知だったのに、素知らぬ顔ですべての原因が想定外の巨大地震に
     あるかのように振舞っているとしたら、なかなかの役者である》

   『●”原子力発電”という箱を開ける覚悟と、(とりようの無い)開けた責任
    《この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員
     (共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、
     電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」
     と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは
     深く反省をしている」と述べた。 
       これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹
     ・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが
     起こらないようにしたい」と答えた。 
       また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長
     (現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に
     大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えて
     こなかったことは「正しくなかった」とした》

   『●SLAPPと原発、沖縄
    《[CML 019566] 甘利明の名誉棄損訴訟にSLAPP批判
       甘利明・自民党衆議院議員がテレビ東京を提訴した名誉棄損訴訟が
     恫喝訴訟SLAPPであると批判されている。甘利氏は安倍政権の
     経済産業大臣であった。テレビ東京『週刊ニュース新書』は2011年
     6月18日に甘利氏へのインタビューを放送した。
       インタビューで取材陣は福島原発事故を自公政権の安全対策の
     不備に起因するのではないかと追及した。甘利氏は「津波は想定外」と
     責任回避するが、取材陣は日本共産党の吉井英勝・衆議院議員の
     「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の
     安全を守ることに関する質問主意書」を提示した。そこでは津波被害など
     による電源喪失に起因する原発事故の危険が指摘されている。
       福島原発事故が想定外でないことを示す事実であるが、この趣意書を
     突き付けた直後にインタビューは中断された。インタビュー中断の事実は
     番組で報道された。この番組放送に対して甘利氏は名誉毀損として
     1000万円もの損害賠償を求めてテレビ東京を提訴した》

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき


 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。そして、最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? それから、いま噂の幹事長殿・甘利明氏も…。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 東京電力に
         柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
      救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
    《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
     柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
     「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
    《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
     福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
     メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
     現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
     原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
     東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
          無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
     不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で
     東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)
   『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた
     東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?
    《さる2月19日に千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部
     白井幸夫裁判長)が、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。
     この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、
     私が被害者代理人としてかかわっている東電刑事裁判、原告代理人
     としてかかわっている東電株主代表訴訟の帰趨に大きく影響する
     ものです。この裁判の一審判決では、国の責任を否定する判決
     出されていましたが、東京高裁で見事に逆転勝訴判決を勝ち取られた
     原告団と弁護団に敬意を表したいと思います。この弁護団の団長は
     福武公子弁護士です。福武弁護士は、私も加わったもんじゅ訴訟
     弁護団の事務局長でした。以下、この判決の内容を紹介し、
     この判決の意義について述べたいと思います。(海渡雄一)》
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
    「伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし!
     柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽
      原子力規制庁も共犯か】」
    《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて
     原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。
     …だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつ
     ある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった
     「ID不正使用問題だろう》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/134144?rct=editorial

<社説>原発避難者訴訟 積み重なる「国の責任」
2021年10月1日 07時00分

 福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、高松高裁が国と東京電力の責任を認めた。地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた意味は重い。高裁で積み重なった国の責任もまた重い。

 東電福島第一原発の事故から避難した人々をめぐる損害賠償訴訟では、すべて東電の責任は認められている。だが、国の責任同時に認めたものは、地裁レベルでは十七件の判決のうち九件で、判断は真っ二つに割れていた。

 高裁レベルでは一件を除き仙台東京高松三つの高裁が国の責任を明確に示したことになる。最高裁への太い流れができたと、高く評価したい。

 判断の分かれ道は、国の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した地震活動に関する「長期評価」に対する信頼性だ。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、マグニチュード(M)8クラスの津波地震が起こりうる予想だった。三十年以内の発生確率は20%としていた。

 高松高裁は「科学的信頼性がある」として、「長期評価を重視した。それゆえ経済産業相は予想を基に津波のシミュレーションを行い、福島第一原発に及ぼす影響を検討すべきであった

 当然、敷地高を大幅に上回る津波襲来を認識でき、防潮堤の建設やタービン建屋などへの対策も可能となる。

 実際には調査や検討は行われず、国は規制権限を行使しなかった。だから高松高裁は「限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と述べ、国の責任を認めた。長期間の避難生活をせざるをえなかった原告に一人当たり百万円の「故郷喪失慰謝料」なども認めた。

 確かに「長期評価」を真摯(しんし)に受け止めていたら、遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れたであろう。

 今後の同種裁判のみならず、最高裁の判断にも影響を与えよう。強い権限を持つ国は、危うい予兆を示す重要情報があれば、その権限を振るうのは当然だからだ。

 しかし、国の「長期評価」を「信頼性に疑いが残る」と指摘した裁判がある。業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の刑事裁判である。一審は三人とも「無罪」で、十一月にも控訴審が始まる。本当に「長期評価」は信頼できないのか、再度、焦点が当たることになろう。
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●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

2021年08月20日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年07月18日[日])
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第170回:原発の今(鈴木耕)】(https://maga9.jp/210630-5/)。

 《処理汚染水海洋放出決定 …しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから


 1兆3700億円!? デブリの一欠片をほんの少し摘み上げてバカ騒ぎ…デブリがどんな状態で何トンあるのかも不明、どこで隔離・管理するのかも不明、かつ、《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》。後藤さんらは持ち出せないし、持ち出すべきではない、という主張。いわゆる石棺方式で、その場で隔離・管理すべきだ、と。
 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No16】福島第一のデブリ取出しを断念せよ 20210701】(https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ)によると:
《デモクラシータイムス 
 希望的観測のデブリ取り出し計画
 不透明な計画に、増え続ける汚染水と撤去費用
 仮にデブリを取り出せても、資材等と絡み合った核廃棄物の処理方法や
 管理場所すら何も決まっていない

 デブリ取り出しの難しさ、空冷化による管理を筒井さんが解説
 なし崩しの原子力政策はもういらない

 ゲスト:筒井哲郎(プラント技術者の会)
     後藤政志(元東芝 原発設計技術者)
     菅波完(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 司会:鈴木 耕(デモクラシータイムス)
 収録は、2021年7月1日》


https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の
     廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》。
 同じ週のマガジン9の記事【福島第一原発の「廃炉」を考える――廃炉制度研究会レポート 第2回:「事故炉廃炉」と住民参画――スリーマイルではどう決めたか⑴――①「処理水」処分決定プロセスの日米比較】(https://maga9.jp/210630-4/)によると、《作家の尾松亮さんは、法規制や政策決定プロセスなどをテーマに、東京電力福島第一原発を含む世界中の原発の廃炉について調査しています。その尾松さんが、ジャーナリストや研究者らと立ち上げた「廃炉制度研究会」の第2回オンライン報告会が5月31日に実施されました。意思決定プロセスにおける民主性の担保という観点から、福島第一原発とアメリカのスリーマイル島原発の事故後対応を比較する尾松さんのお話の内容を、2回にわけて紹介します。1回目は、処理水処分決定にいたるまでの意思決定プロセスの違いについてのお話をまとめました。(田上了子)》。

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

 さらに、〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの?
 これもマガジン9のコラム【一枝通信 第7回:「原発避難者住宅追い出し裁判」傍聴記 「『戻る権利』があるように『戻らない権利もあって然るべき」(渡辺一枝)】(https://maga9.jp/210623-1/)。《5月14日、福島地方裁判所で開廷された「原発避難者住宅追い出し裁判」の傍聴に行ってきました。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故によって、多くの人が居住地を離れて避難しました。避難者は災害救助法によって避難先で仮の住居を得ましたが、自然災害と違って原発事故による被害は、災害救助法では救済しきれない問題が多々あります被害も長期に亘ります。それなのに、福島県はたった6年で住宅支援を打ち切り、行き場がなくそのまま居住する人に対しては2倍の家賃を請求、更に裁判に訴えてまで追い出そうとしています県民を守ろうとしないばかりか、逆にいたぶっているのです。どうぞ、この裁判にご注目を。》
 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。

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https://maga9.jp/210630-5/

言葉の海へ
第170回:原発の今鈴木耕
By 鈴木耕 2021年6月30日

ぼくの「原発ファイル」

 コロナとオリンピックに頭を汚染されて、しばらくこのコラムでも「原発」に触れていなかった。むろん、原発を忘れていたわけじゃない。ぼくの切り抜き「原発ファイル」は、もう47冊目に入っている。

 新聞記事を主体に、週刊誌月刊誌などの雑誌記事、ネット情報のプリントアウト、官報からのデータや、信頼できる筋から入手した文書など、その時々の情報をピックアップして集めているものだ。今も毎朝、新聞4紙(朝日、毎日、東京、沖縄タイムス=電子配信)を読んで、目についたものは切り抜きプリントアウトする。

 原発のほかに、沖縄や憲法、その他の重要な記事は「沖縄・憲法・その他」というファイルを作っていて、こちらはもう62冊目になっている。

 自分でも、これらはかなり貴重な資料集だと思っている。なにしろ、2011年3月から始めたファイルだから、最初のころの紙面はもう茶色く褪せている。そう、あれから10年以上も過ぎたんだな。

 今めくってみると、例えば「原子力安全・保安院の人員構成」「原子力安全委員会役員名簿」「原子力発電所の災害評価」「東京電力本店会議録」「放射能を正しく理解するために・文部科学省パンフ」「第23回原子力安全委員会速記録」などなど、どこから入手したかも憶えていないものも目につく。あの頃、福島事故から1年ほど、ぼくが必死になって集めていたものだ。だから第1冊目は、こんなに分厚い。

 ファイルが47冊ということは、1年に4冊以上のファイルを作成しているということだ。その時々の、ぼくの関心のありようが伝わってくる。

 ぼくの本棚は雑多な本で溢れ返っているが、いずれぼくが死んだら、これらの本はあっさりと処分されるだろう。どう処分してもいいよ、とカミさんには伝えてある(ま、ぼくのほうがカミさんより先に逝くのは確かだと思うから)。

 しかし、このファイルだけはどこかに寄付したいなあ。きっと、それなりの資料的な価値はあると思うのだ。

 昔話はさておき、最近、まるで「コロナ禍」をチャンスとばかり、原発ムラの妖怪たちの動きが激しい。みんなの目がコロナやオリンピックに向いているのを勿怪(もっけ)の幸い、不審な動きが激しさを増している。

 目についたものを順不同でピックアップしてみよう。


処理汚染水海洋放出決定

 これは菅政権の原発に対する考え方を、そのまんま表したような決定である。

 汚染水は溜まりにたまって、貯蔵タンクは2023年には満杯になるとされる。もはや貯蔵しておくのが限界だとして、海へ流すというのだ。

 ALPSという放射性物質除去装置で、多くの放射性物質は取り除かれているという。だが、放射性物質であるトリチウムは除去できないし、他も完全処理には程遠く、多くの放射性物質の取り残しがあるとされる。しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。

 何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 むろん、地元のみならず科学者や漁業関係者からは絶対反対の声が上がっている。さらには、国連の独立特別報告者(3名)が「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに大きな影響を与えかねない」として深い遺憾の意を表明している(4月15日)。国際的にも強い批判を浴びているのだ。


事故処理費の試算21.5兆円

 福島第一原発事故処理費は、2016年時の試算では21.5兆円になったという。費用の内訳は、廃炉=8兆円、賠償=7.9兆円、除染=4兆円、汚染土等保管費=1.6兆円。これは2016年の試算だ。政府による試算は、年が経つたびにどんどん増えていく。多分、もうじき政府が「もっと増えました」と言いだすに決まっている。

 例えば、沖縄辺野古米軍基地の建設費用は、当初(2013年)の防衛省計画では2310億円とされていた。だが沖縄県による現時点での試算では2兆5千億円ほぼ10倍に増え、工期も13年以上かかるとされている。それだって無理だとぼくは思うけれど。

 原発事故処理費はまだまだ増えるだろうし、期間も100年単位になるのは必至だ。それでもなお、原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい。多分、連中はオレの生きているうちには終わらないし、死んだ後のことなど知らねえよ。それまでは税金でいい目を見せてもらうぜとせせら笑っているのだろう。


自民原発推進派の動き

 国の基本的なエネルギー政策をまとめる「エネルギー基本計画」は、この夏に改定される予定。それに影響を及ぼそうとして自民党内に「最新型原子力リプレース推進議員連盟」なる組織が動きを活発化させている。

 要するに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現」という菅首相の空疎なスローガンに乗っかって、「原発は脱炭素だから、新増設や建て替え(リプレース)を推進する」というヘリクツ集団である。稲田朋美会長に安倍晋三最高顧問という布陣の、政治的思惑だらけの組織だ。他に「電力安定供給推進議連(細田博之会長)」という議連も原発推進の動きを活発化させている。これらの「議連」というのは、それなりのスローガンは掲げるが、結局は、派閥絡みの利権集団なのだ。

 最近突然旗揚げした「『自由で開かれたインド太平洋』推進議連」というわけの分からない議連は二階俊博会長だが、安倍晋三と伊吹文明の両氏を最高顧問に祭り上げて発足。もはやこうなると、不仲を噂される二階と安倍のパフォーマンス。まるで抗争中のヤクザの組同士の手打ち式だ。でもまあ、そんなのはほっとけばいい。

 だが、「女性初の首相」を狙うという稲田朋美が動き出し、後ろ盾に安倍がつくとなると「原発推進議連」はかなり胡散臭いし、危険な臭いがするのだ。


原発事故の真相

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から、今年の4月26日で丸35年が過ぎた。その事故に関する機密文書の一部をウクライナ保安庁(情報組織)が公開した。ソ連の情報機関の国家保安委員会(KGB)などの報告書だ。

 同原発は事故前からトラブルが相次ぎ、かなり危険視されていたが住民に知られることを恐れて、すべて隠蔽されていたという。事故後も隠蔽が続き、放出された放射性物質の量や構成、被害者や傷病者、死者などの詳細は隠されたままだった。今回公開されたのは、残念ながら、そのほんの一部に過ぎないけれど。

 原発に関しては、どこの国もやることは同じだ。最近、中国広東省台山原発1号機で放射能漏れ事故があったのではないかとの報道があり、事実、かなりの放射性ガスが放出されていたことが判明した。だが建設に携わったフランス電力は、例によって「多少のガス漏れはあったが環境に影響はない」とコメントしただけだった。

 日本列島は最近、やたらと地震が多い。その度に原発会社は「原発に影響はありません」と発表する。だが今年の2月13日の震度6の地震では、福島第一原発では格納容器内のデブリ冷却水の水位低下が起きていた。しかも、ここでは地震計が壊れたまま放置されていたことも判明。東電の体質は事故後も変わっていない

 電力会社の「原発に支障はない。環境に影響はない」を信じちゃいけない


40年超老朽原発、再稼働

 もう腹立たしいのも通り越して、バカ野郎!と叫びたい。

 あの「40年ルール」ってのは、いったい誰が何のために作ったのだ!

 40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあったではないか。

 美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を起こさないと懲りないのか!

 関西電力は、福島事故以前は発電量の約5割を7基の原発に頼っていた。しかし関電の原発は老朽化が進み、2025年には5基が40年超となる。だから是が非でも再稼働したいのだ。電源のシフトチェンジを怠ってきたツケを、原発再稼働で補おうというのだから虫が良すぎる。というより、いったいこの10年間、何をやって来たのだ!

 こんな原発に、新規制基準適合というお墨付きを与える「原子力規制委員会」にも、ぼくは不信感いっぱいである。なお、この美浜3号機再稼働に関しては、住民たちが「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てている。地裁では勝つ可能性もあるが、日本の司法は、上級審になるにしたがって「政権忖度判決」に堕ちていく


福島第二原発、廃炉開始

 東京電力は、福島第二原発(4基)の廃炉作業を開始した。廃炉終了までには44年間かかると見積もっているという。これで、第一(6基)と併せて、東電は全10基の廃炉作業を同時並行で行うことになる。

 だが、燃料デブリ(溶融核燃料等の融合物)は致死に至る放射能を帯びており、近づくことさえできず状況すら把握できていない。第一原発は廃炉工程さえ作れない状況にあり、それと同時並行の第二廃炉など、絵に描いた餅以上だ44年どころか、100年後の日本をも汚し続けているだろう

 しかも、取り出した放射性廃棄物の行き先は決められないままだ

 よく「原発はトイレなきマンション」と譬えられるが、この強烈な「排泄物」を、東電(すべての電力会社や自民党政府)は、いったいどうしようというのだろうか。再稼働など、デブリや使用済み核燃料の廃棄処分が終わってから言え

 なお、伊方3号機(愛媛)はこの10月に再稼働、また島根2号機には規制委が新規制基準適合を与えた。もはや、原発は規制を失ったかに見える


核燃料再処理工場の闇

 みなさん、核燃料再処理工場って知っていますか? そして、この事業にいったいいくらの金が注ぎ込まれているか知っていますか?

 青森県六ケ所村にある日本原燃の「六ケ所再処理工場」のこと。要するに、使用済み核燃料を各電力会社がここへ持ち込んでガラス固化体にして処理するという触れ込みで、1993年に建設が開始された。だが、固化体は何度試みても成功しない。したがって、工場そのものも完工には程遠い。

 これまで28年間で、すでに25回も稼働延期が繰り返され、費用も当初は7600億円だったものが、いまや総事業費14兆4千億円に膨れ上がっているなんと20倍だぜ。こんなデタラメな会社が存続しているのがニッポンだ。一般の会社ならとっくに倒産、社長らは責任取って腹切りものだろう。しかも、これで収まるという可能性はほぼゼロだ。これもまた、あの辺野古基地と同じ構造である。

 また、使用済み核燃料を加工してMOX燃料(抽出プルトニウムとウランの混合燃料)にする工場の総事業費も2兆4千億円と増え続けている。まるで金をドブに捨てるようなものだが、それでも止めようとしない。いったいどこからそんな金が出てくるのか。

 とにかく、最初は低い見積もりで、完成するかどうかわからないものに予算をつける。それが何度も延期を繰り返し、工期も費用も膨大にかさんでいく日本政府や官僚の、これがやり口なのだ。一度決めたことは何があっても引き返さない。誰も責任を取らない。そのうち、立案者や実行者たちは消えていく

 日本的無責任体系の典型的な例がここにある。そう、東京オリンピックの惨状を見ていれば、これが「ニッポン病」だということがよく分かる。


その他の諸問題

 とりあえずここまで書き進めてきたが、まだ原発に関する問題は山積みだ。

 例えば、事故による障害、白血病やその他の癌の発生、原発作業員の労災の問題、子どもたちの甲状腺検査縮小への批判、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書、避難者たちへの補償の問題、同じく住宅補助の打ち切り、再生エネルギー問題、九州電力による出力制御、風評被害……などなど、触れなければならない問題は限りがない。

 しかし、今回はここまでにしておこう。原発問題となると、ぼくの文はどうしても長くなってしまうのだ。

 とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を改めようと思う。


鈴木耕 すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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●「まだ復興していない。臭いものにふたをしての五輪。自分たちは除外されているように感じる」…何が復興五輪か! 原状回復して見せよ!

2021年07月27日 00時00分46秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


(20210723[])
小野沢健太記者による、東京新聞の記事【凍土壁、想定外の長期運用へ 福島第一原発汚染水対策の「切り札」、検証不十分なまま】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/117551)。
奥野斐記者による、同紙の記事【「原発事故は長期的な対応が必要」自主避難者への住宅退去請求に支援者が反発 福島県に訴訟準備も】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/117909)。
片山夏子記者による、同紙の記事【復興五輪と言われても 苦しみ続く震災者「自分たちは取り残されている」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/118111)。

 《東京電力福島第一原発で汚染水対策の切り札とされ、国費345億円を投じて造られた凍土遮水壁。東電は当初、2021年をめどに対策を終えるはずだったが、凍結から5年が過ぎても大量の汚染水は発生が続き、ゼロへの見通しすら立たない毎年億単位の維持費がかかる氷の壁は、検証不十分なまま長期運用に入る。(小野沢健太)》。
 《東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外からの「自主避難者」が、福島県から、東京都江東区の国家公務員宿舎・東雲住宅の退去を求められており、支援者らが19日、東京・永田町の衆院第2議員会館で集会を開いた。主催グループは、同県が避難者に家賃の2倍相当の損害金を請求し追い出しをしているのは違法だと主張。県が訴訟を起こす場合は、県側に提訴する可能性もあることを明らかにした》。
 《政府が掲げた「復興五輪」の看板は、新型コロナウイルス禍でかすんでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年余り。「復興」が強調されるほど、抱え込んだ悲しみを吐き出せずにいる被災者たちがいる。(片山夏子)》

 「復興五輪」だそうだ。どこが「アンダーコントロール」なのだろうか? 未だに原子力緊急事態宣言下で…。
 核発電人災の原子力緊急事態宣言下でウラアリなオ・モ・テ・ナ・シだの、アンダーコントロールだの、果ては、復興五輪だのと嘯き、COVID19緊急事態事態宣言下でも《コロナに打ち勝った証》として五輪貴族やその取り巻きによる〝バカの祭典〟〝パソナ五輪〟を強行。一体どんな国?? 《スガさんの生命維持装置》としてのバカの祭典パソナ五輪スガ政権の祭典を強行する無為無策無能な政権。最早、殺人オリンピック

   『●無観客開催にすり替え…緊急事態宣言の最中、五輪貴族やその取り巻き
         連中による醜悪な〝バカの祭典〟〝パソナの祭典〟をやる気?
   『●《大会経費の赤字の尻拭いを背負わされるのは国民だ》 ―――
     どこまでも醜悪なバカの祭典、パソナ五輪。一体どちらが《反日的》か?
   『●《人々を苦しめているのは…満足に給付や補償をせずに自粛を強制
     する政権》(町山智浩さん)…一体どちらがバカで、《反日的》か?
   『●《「スガ総理」…内閣支持率の下落が止まらない。その要因は
     コロナ対策の度重なる不手際と、国民に我慢を強いながら五輪開催に…》
   『●この最悪なCOVID19禍、さらに、酷暑の中、開催強行…皆さん
     ご帰国の折、《反日》アスリートや《反日》ジャーナリスト製造な東京五輪

 2013年9月、世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ……以来ずっと《五輪中止を》言い続けてきたのだが…。いや、《空疎な小皇帝石原慎太郎元東京「ト」知事が五輪招致をやり始めて以来だ。2011年の東京電力核発電人災で、五輪招致など、消し飛んでいないといけないはずだったのに。

 それにしても、福島県庁の所業、冷酷過ぎやしませんか? 東電や国がさっさと「原状回復」すればいいのです(出来やしないでしょ?)。
 〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの? 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。


 繰り返します、何度でも。
 国や東電のデタラメに対する答えは簡単だ、責任をもって東電や政府が「原状回復」して見せればよいだけ。元の姿に完全に戻してくれれば良いだけ。責任を果たして下さればよいだけ。《原状回復》して見せてくれれば、喜んで皆さんは元の福島の生活に戻られるでしょうよ。それに、そもそもこんな核発電人災などなければ、《福島を出た人は誰もいなかった。東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」。

 あぁ、それにしても、《復興五輪と言われても》ねぇ、色々な意味で虚しくなるばかりだ。その膨大なドブガネ、真の福島復興のために使っていれば…。

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●希望の牧場・吉沢正巳さん「この牛たちを見て、命の扱い方とか、
     原発があるというのはどういうことかを考えるきっかけになってほしい」
   『●《「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が
     起こした訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》
   『●《宮本亞門…「…誘致のための架空のものだった。悲惨な現実を見て
     『何ということに加担してしまったんだ』と罪悪感にさいなまれた」》
    (政界地獄耳)《宮本亞門は東京新聞の取材に
     「『世界一お金がかからない五輪』や『復興五輪』を信じたが
     大会経費は倍以上に膨れ上がり福島第1原発事故の後処理も進まない
     誘致のための架空のものだった悲惨な現実を見て『何ということに
     加担してしまったんだ』と罪悪感にさいなまれた」と発言》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/117551

凍土壁、想定外の長期運用へ 福島第一原発汚染水対策の「切り札」、検証不十分なまま
2021年7月19日 06時00分

 東京電力福島第一原発で汚染水対策の切り札とされ、国費345億円を投じて造られた凍土遮水壁。東電は当初、2021年をめどに対策を終えるはずだったが、凍結から5年が過ぎても大量の汚染水は発生が続き、ゼロへの見通しすら立たない毎年億単位の維持費がかかる氷の壁は、検証不十分なまま長期運用に入る。(小野沢健太


◆冷却液で凍土、年間維持費十数億円

 凍土壁は、山側からの地下水を事故で原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)など高濃度の放射性物質が残る建屋に入れさせないようにするために造られた。1~4号機周囲(全長1・5キロ)の地中に打ち込まれた約1600本の凍結管(長さ30メートル)に、零下30度の冷却液を循環させて周辺の土を凍らせている。16年3月から凍結を始め、2年近くで全面凍結。凍らせる電気代など毎年の維持費は導入当初で十数億円かかり、東電が負担している。

     (凍結開始から8カ月後に凍った壁の状況をハンマーで確認する
      経済産業省の職員=2016年11月21日、
      東京電力福島第一原発で)

 19年12月~21年1月、凍結管の計5カ所で冷却液が漏れるトラブルが続いた。東電によると、いずれも原子炉建屋近くの道路の地下にあり、通行する車両の振動で金属部品が疲労破壊した可能性が高い。
 長期運用を想定していなかった東電は、これまでトラブルが起きてから補修してきたが、今年からは部品の交換頻度を定め、交換用の部品をあらかじめ用意する。広報担当者は「凍土壁は有効で継続して使う。適切な保守管理で長期間の運用は可能」と説明する。


◆隙間から地下水、効果は限定的

 全く水を通さないという触れ込みだった凍土壁だが実際は水を通す部分があちこちにあり、効果は限定的にとどまっている
 東電は18年3月、凍土壁によって1日約95トン分の地下水が建屋に入り込むのを防ぐことができたという試算を公表。壁がない場合は1日189トンになるとし、「半減できていると強調した。
 ただ、試算を巡っては雨が少ない時期だけを切り取って評価したことや、建屋周辺の井戸(サブドレン)による地下水のくみ上げなど他の対策の効果との区別があいまいで根拠に乏しい原子力規制委員会更田豊志委員長は「地下水対策の主役はサブドレンのくみ上げ」と断言している。
 試算公表時の会見で、東電の廃炉最高責任者だった増田尚宏氏(現・日本原燃社長)は凍土壁の効果について「検証を続ける」と明言。しかし今は「個別の対策の効果を示すことは難しい」と、広報担当者が説明を避けるようになった。


◆規制委からは代案求める声も

 政府や東電は当初、21年ごろまでに汚染水の発生を止める目標を立てていた。しかし、地下水がどこから入り込んでいるのか今も分かっていない
 15年度に1日490トン発生していた汚染水は、20年度に約140トンまで減ったもののゼロは実現できず、25年に100トンに減らす目標に後退した。東電は「25年までは現行の対策を続ける。それ以降は検討中」と歯切れが悪い。
 凍土壁の維持費は、消費者が東電に支払う電気代を通じて賄われる。規制委の検討会では「費用対効果の観点から、凍土壁をやめて鋼板やコンクリート壁などを埋め込むべきだ」との専門家の意見が根強い。この意見にも東電は「検討中」と答えるだけで、事故から10年が過ぎても汚染水対策の終わりは見えない
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/117909

「原発事故は長期的な対応が必要」自主避難者への住宅退去請求に支援者が反発 福島県に訴訟準備も
2021年7月20日 11時52分

     (集会で原発避難者への支援を訴える主催者ら
      =19日、東京・永田町で)

 東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外からの「自主避難者」が、福島県から、東京都江東区の国家公務員宿舎・東雲住宅の退去を求められており、支援者らが19日、東京・永田町の衆院第2議員会館で集会を開いた。主催グループは、同県が避難者に家賃の2倍相当の損害金を請求し追い出しをしているのは違法だと主張。県が訴訟を起こす場合は、県側に提訴する可能性もあることを明らかにした
 自主避難者への住宅の無償提供は、2017年3月に打ち切られている。さまざまな事情で退去できない人もいるが、同県は住み続ける人に対し19年から家賃の2倍相当の損害金を請求。今月16日までに退去するよう再度、文書で通知していた。既に県は東雲住宅の4世帯には明け渡しを求め提訴している。
 集会で、「避難の協同センター」世話人の熊本美弥子さん(78)は「原発事故は長期的な対応が必要なのに、避難指示がどんどん解除されている避難者の状況に合う支援策になっていない」と指摘。
 主催グループ事務局長の瀬戸大作さん(58)は「コロナ禍で月の収入が10万円に満たない人もおり、県には避難者が安心して住める公営住宅や転居費用を用意してほしい。9月の福島県議会での県側の対応を見て、訴訟も考えたい」と話した。 (奥野斐)

【関連記事】仲間の自死、見せかけの復興「このまま戻れない」…原発事故「自主」避難者たちの不条理な現在地
 (⇨ https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e47bc65159fbc9b4d937c1503f7d61b9 に引用済み
   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。
     同じ過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/118111

復興五輪と言われても 苦しみ続く震災者「自分たちは取り残されている」
2021年7月21日 06時00分

 政府が掲げた「復興五輪」の看板は、新型コロナウイルス禍でかすんでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年余り。「復興」が強調されるほど、抱え込んだ悲しみを吐き出せずにいる被災者たちがいる。(片山夏子

     (「お葬式をしても仏壇を作っても、お父さん(夫)の死を
      まだ認められない。まだ戻ってきていないから…」と話す
      藤沢範子さん=福島県相馬市)


◆誰にも話せず7年超

 「今も人に話せず1人で苦しんでいる人がいると思う」。福島県相馬市の介護職藤沢範子さん(66)は、自宅の仏壇の前で静かに語った。津波に巻き込まれて戻らない夫への思いを誰かに打ち明けるまで、7年以上の月日が必要だった
 2016年8月、激しい頭痛が1分ごとに襲った。検査と治療で病院を転々とする中、吐き気や目まいも続き、うつ状態になった。
 たどり着いたのは相馬市の精神科医の蟻塚ありつか亮二医師(74)のクリニックだった。子どもたちや知人に話せなかった胸の内を泣きながら何度か話すうち、気持ちが軽くなっていくのを感じた。


◆夫見つかるまで

 「今も夫の死を認められない」。11年3月11日早朝、運転手の夫、則雄さん=当時(56)=は、体調を崩して寝ていた範子さんに、その日に限って何も告げずに仕事に出た。
 大震災以降、夫は連絡が途絶えた。翌日、隣の南相馬市の田んぼで則雄さんのダンプが見つかった。津波に巻き込まれて車体はひしゃげ、夫の姿はなかった。
 則雄さんの葬式を挙げ、仏壇も作ったが、「まだ戻ってきていないから」と手を合わせられない。「復興五輪」の言葉について記者が聞くと「私たちのことは忘れられている、取り残されていると感じる」とぽつり。「夫が見つかるまでは終わらない」と言った。


◆臭いものにふた

 原発事故による避難で、故郷に戻れない人も苦しんでいる。帰還困難区域の浪江町津島地区で生まれ育った関場和代さん(62)は17年秋から、ほとんど眠れなくなった。食べ物がのどを通らなくなり、3カ月で体重が16キロ減った。
 亡くなった津島の人たちが夢に出てきた。蟻塚医師に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され泣きながら思いを吐露した。
 避難に伴う転居は7回に及んだ。14年に子どもたちが移り住んだ茨城県日立市に家を買った。それまで、故郷を離れて引っ越しを繰り返す中、「賠償もらえていいね」「よそ者」などと言われて傷ついた。「隠れキリシタンのように自分を押し殺して生きてきた」という。
 「地域が仲良くて自然体でいられる津島に戻りたい」。父も「帰りたい」と繰り返しながら、14年に亡くなった。愛猫の死も、大きな心の傷になった。
 夫の健治さん(66)と、津島の家の風呂から見た天の川や、モリアオガエルの卵からかえったオタマジャクシが川に落ちる音をよく思い出す。「まだ復興していない臭いものにふたをしての五輪自分たちは除外されているように感じる
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●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

2021年06月19日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年06月12日[土])
マガジン9の記事【こちら編集部/福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)】(https://maga9.jp/210602-5/)。

 《作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。…しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています》。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》――― 自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、その定義を教えて下さい? 《そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていない》。定義も無く、どうして、完了の期間を決めれるの? 《51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません》。廃炉作業のスペース確保という名の、〝汚染水〟の海洋放出という愚行。なにが〝風評被害〟だ。実害が出ます。
 そもそも、(地球上の誰にもできる訳がないのですが)「原状回復」することも出来ないくせに、核発電所再稼働なんてやっている場合なのか? それでも、ニッポンでは核発電「麻薬」中毒者は核発電所を再稼働したいそうだ、正気じゃぁないね。

 そんなに再稼働したけりゃぁ、まず、東電や国は、早く「原状回復」して見せてくれ。
 以下二つの記事を再度引用。
 AERAの記事【ゴールわからず走り続ける「廃炉」 法的義務なく…現状のまま“終了宣言”も】(https://dot.asahi.com/aera/2021030900015.html)によると、《未曽有の原発事故から10年。今も続く廃炉の現場は、課題山積。しかも東電は、「廃炉終了の定義を明確にしないまま廃炉を進める。残された年月は20~30年。》
 日刊ゲンダイの記事【注目の人 直撃インタビュー/福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286323)によると、《■松岡俊二(早大大学院アジア太平洋研究科・1F廃炉の先研究会代表)… ――最近になって2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたに、2京(兆の1万倍)~4京ベクレルもの放射性セシウムが付着していることも判明しました》《現状では、ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそうです》。

 (リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」だというのに、のほほんと《とにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノ》を吐き続けている醜悪な図。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

 利権漁りカースーオジサンも、「脱炭素」「地球温暖化対策」を言い訳に、核発電に回帰。

   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
         稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 《日本という国の変わらぬ悪しき体質》。
 【西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】(https://www.radiostreet.net/radio/499/)によると、《2020/07/10 ゲスト:小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所) 全世界で新型コロナウイルスが蔓延し、誰もが暮らしの先行きが全く見えない中、これまでの価値観は、短い間に次々と崩れていきます。今こそ私たちが考えておくべきことは一体何なのか?その答えを求めて、今回の「路上のラジオ」は長野県松本市に、小出裕章さんを訪ねました。もうすぐ東日本大震災による東京電力福島第一原発事故から10年。コロナ禍においても、原発事故と全く同じ構造の中で、私たちの命は危険にさらされ続けていますこの緊急事態にあっても、欲にまみれた為政者とそれを取り巻く大企業とメディアが、私たち生活者の苦難を横目に利権獲得に暇がないようにも見えます。そこで今回は、3.11以前からずっと日本の原子力政策に警鐘を鳴らし続けて来た小出裕章さんに、諸外国を含む原子力開発の歴史を紐解く中で、日本という国の変わらぬ悪しき体質を検証していただきました。そして番組最後には、退官後は松本に移住してできるだけ自然エネルギーを使いながら暮らし農業を通して土に親しむ小出さんに、過酷な未来をも乗り切ることができでそうな快適な暮らし方の提案をにいただきました。気づきと希望の60分、どうぞごゆっくりお楽しみください》



西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】
 (https://www.radiostreet.net/radio/499/

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https://maga9.jp/210602-5/

こちら編集部
福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)
By マガジン9編集部 2021年6月2日

     (福島第一原発3号機原子炉建屋前
      (出典:東京電力ホールディングス))

 作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。(田上了子)

***


“廃炉”を法で縛ることの大切さ

 最初に、福島第一原発の現状についてお話ししましょう。現在、東京電力が定めた「廃炉に向けたロードマップ」に沿って、使用済核燃料取り出しなどの「廃止措置にむけた作業」が行われています。このロードマップの目標は、野田首相(当時)が事故の収束宣言を出した2011年12月から30~40年後(2041~2051年)までに工程を終了させることです。

 しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています。51年までに作業を終了させるため、来年にはデブリ(原子格納容器の底に溶け落ちて固まった核燃料)の取り出し開始が予定されています。そして、デブリ取り出しに必要な施設を敷地内につくるために、タンクに貯蔵している処理水を海洋放出して、スペースを確保しようとしているのです。

 なぜこんなことが起きるのでしょうか。事故後、福島第一原発は原子炉等規制法に基づき、災害時の応急措置を講じた後も特別な管理が必要な「特定原子力施設」と位置付けられました。ところが現在の日本には、「特定原子力施設」の廃炉の完了要件を定めた法律がありません。現在、福島第一原発で行われている作業は、原子炉等規制法を根拠とする保安・防護措置であり、法的には「原子炉の廃止措置」ではないのです。

 今年4月、菅首相は「廃炉を前に進めるために」汚染水の海洋放出を決定したと発表しました。しかし、そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていないのですから、首相の発言は筋が通りません。日本の法律家は、こうした矛盾を指摘すべきです。

 廃炉の完了要件や、そのプロセスを定めた法制度がないことの問題点は、大きく2つあります。1つは、51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません。現状の制度では、国民が作業放棄の法的責任を問うことも難しいでしょう。2つめの問題点は、廃炉プロセスが法で縛られていないために、作業員にたいへんな被ばくを強いる工程が採用されるかもしれないことです。環境汚染への影響も、十分考慮されない可能性があります。


極端な二者択一論から脱するために

 では、深刻な事故を起こした原発の廃炉に関して、他国ではどのような法的規定が適用されているのでしょうか。

 チェルノブイリでは、原発事故から12年後の1998年、ウクライナ議会で「チェルノブイリ廃炉法(通称)」が成立しました。この法律によって、廃炉の完了要件は「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」ことと定められました。作業の実施は国営事業者に、予算措置は国に義務付けられています。2008年には、廃炉の工程や年数などを詳細に定めた「チェルノブイリ廃炉プログラム法(通称)」が成立。この法律の前文には、工程全体には約100年を要すると明記され、デブリの取り出し開始は、「プログラム法」の成立時点から30~50年後を見込むという目安が示されています。国や事業者が作業を急ごうとしても、法律を改正しない限り認められません。

 よく、「チェルノブイリは石棺で原発を封じ込めてしまい、デブリ取り出しは断念した」といわれますが、それは誤解です。2016年に石棺の上から設置された新シェルターは、「廃炉法」で「崩壊した4号炉から核燃料を含む物質(訳注:デブリ)を取り出すための設備」と定義されています。事故から35年が経った現在も、シェルター内部ではクレーンの試験運転などが続けられ、デブリ取り出しの準備が進められているのです。

 アメリカ・スリーマイル島原発事故の場合はどうでしょうか。スリーマイル島では、事故から11年後の1990年には、デブリの取り出しが完了しました。しかし、すぐには原子炉解体に着手せず、取り出したデブリを敷地外に搬出した後で、1993年に、NRC(アメリカ合衆国原子力規制員会)が原子炉を無期限に監視貯蔵するためのライセンス変更を行いました。事故から42年経った現在に至るまで監視貯蔵は続けられ、原子炉解体は未着手のまま作業員の被ばく量を低減させるため、解体を先延ばしにしているのです。

 現在、廃炉工程に入るための計画が審議されていますが、実は、スリーマイル島原発の廃炉作業について定めた特別な法律はありません。ただし、NRC規則によって、スリーマイル島原発の廃炉の完了要件は、アメリカの通常原発と同様の基準が適用されます。そのため、スリーマイル島原発の運営事業者は、原子炉施設の解体や敷地の更地化を達成した上で、空間線量0.25ミリシーベルト/年といった基準をクリアする法的責任を負っています。

 廃炉に関する他国の法規制や立法プロセスは、日本ではこれまで、あまり紹介されてきませんでした。日本で展開される廃炉についての議論は、技術的な困難さに焦点をあてたものが多く、その結果、国民は、極端な二者択一論に陥っているように感じます。一方の人は、「デブリ取り出しは技術的なハードルが高すぎるから、石棺方式を採用した方がよい」と主張し、もう一方の人は「石棺方式なんてとんでもない。とにかく早期にデブリ取り出しに着手しなければ」と主張する。本当はこの両極端の間に、いくつもの選択肢があるはずです。

 チェルノブイリは、新シェルターで原子炉を覆って周辺住民や環境の安全を確保しながら、時間をかけてデブリ取り出しの準備をしています。スリーマイルは、原子炉の線量が十分に下がるのを待ってから廃炉に着手することにしています。いずれも、議会での審議や市民を交えた議論を経て成立した法的規定に則って、廃炉に向けた作業や手続きを進めているのです。

 日本にも、廃炉の完了要件や、国や事業者への達成義務、さらには廃炉プロセスにおけるルールを定めた法的規制が必要なはずです。廃炉法制がないことによる課題を多くの人と共有し、廃炉法制成立に向けた議論を活発化させていきたいと思います。


尾松亮(おまつ りょう) 1978年生まれ。東京大学大学院人文社会研究科修士課程修了。文部科学省派遣留学生として、モスクワ大学文学部大学院に留学。その後、民間シンクタンクでロシア・北東アジアのエネルギー問題を中心に調査。2018年以降、民間の専門家・ジャーナリストによる「廃炉制度研究会」を主宰。『科学』(岩波書店)、『政経東北』、『聖教新聞』で「廃炉と社会制度」をテーマに連載中。編著に『原発「廃炉」地域ハンドブック』(東洋書店新社 2021年)。
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●《豚の卑しさ...猿の哀れ》――《世界のメディアから「『最悪のタイミング』であり、日本と世界にとって『一大感染イベント』」》

2021年04月22日 00時00分08秒 | Weblog

[※《自助》大好きオジサン・最低の官房長官と学商 (日刊ゲンダイ 2020年9月7日)↑]


 (2021年04月17日[土])
週刊朝日のコラ【室井佑月「考えたって仕方ないのか?」】(https://dot.asahi.com/wa/2021041400017.html)。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/世界から五輪は「最悪のタイミング」とまで言われ始めた】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104150000085.html)。

 《その中で日本が、聖火リレーからの東京五輪を決行するとはどういうことなのか? 以前もこのコラムに、2週間の祭りとあたしたちの命や健康は天秤(てんびん)にかけられていいものか、という話を書いたが、天秤にかけられて後者が軽く見られるって、現代の世の中で起きていることとは思えない。正直いって、この件についてのあたしの感想は、「怖い」のただ一言だ。感染するかもしれないというのも怖いが、それよりもじわじわと自分を取り巻く世の中が狂気へと突き進んでいくのが怖い》。
 《世界のメディアから「『最悪のタイミング』であり、日本と世界にとって『一大感染イベント』」(12日付、米ニューヨーク・タイムズ)とまで言われ始めた》。


   『●《五輪利権をむさぼり尽くさずにはいられない豚の卑しさと…中国に
     「証し」とやらのマウントを取られたくないド腐れ猿の哀れすぎる性》
   『●金(カネ)色の五つの輪、《中止になって「万歳」でなく、
     3兆6000億円をどぶに捨てたのは誰だと責任追及しなければならない》

 斎藤貴男さんの言葉は ―――《五輪利権をむさぼり尽くさずにはいられない豚の卑しさと、来年の北京冬季五輪を控える中国に「証し」とやらのマウントを取られたくないド腐れ猿の哀れすぎる性》――― 激烈だけれども、頷くことばかりだ。どこまでも卑し過ぎるし、腐臭漂う。
 本間龍さん《中止になって「万歳」でなく、3兆6000億円をどぶに捨てたのは誰だと責任追及しなければならないこれこそもっとも重要な問題です》。
 金(カネ)色の五つの輪
なんて開催してはいけない。《中止へ、そして検証と責任追及を》! 

   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
              聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●バッハ会長とニッポン人だけで金(カネ)色の五つの輪を「人類が
      新型ウイルスに打ち勝った証し」「コロナ克服五輪」として開催?
   『●《ああ、すべては東京五輪のために。…国威発揚と利権漁りの国策
     サーカスが、人間の生活にも生命にも優先されるのが、現在のこの国だ》
   『●あぁぁ、〝箕部幹事長〟はブーメランも理解できな程の老醜…《事の
     発端》をお忘れか? ―――《二階の年末の「8人ステーキ会食」》
    「「エイジズム」の意図は全くないのだが、政治家個人として
     醜悪であり、「老害」「老残」だ」

   『●<金口木舌>《年齢で他者を差別をする人も老いる。矛先はいずれ
     発した側に向かう》…「エイジズム」に陥ることなく批判すべきは批判を
   『●森喜朗氏も東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会
       会長を〝解任された〟し、金(カネ)色の五つの輪なんて要らない
   『●「老残・老醜」なサメ脳シンキロウ氏への大ブーメラン…過去の批判に
      学ばず、《学ぶつもりのない人が権力を握り続けている》深刻な問題
   『●金(カネ)色の五つの輪の中止を! …《フタを開ければ、おぞましい
        ほどカネにまみれているのが五輪の実態なのだ》(金子勝さん)
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
     何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●ボイコフ教授《新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、聖火
     リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している》

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https://dot.asahi.com/wa/2021041400017.html

室井佑月考えたって仕方ないのか?
連載「しがみつく女」
室井佑月 2021.4.15 07:00 週刊朝日 #室井佑月

【今週のイラストはこちら】
(イラスト/小田原ドラゴン)

 作家・室井佑月氏は、コロナ禍で東京五輪の開催を強行する国の姿勢に、怒りと恐怖を覚える。

*  *  *

 「それは社会的に許されることなのか」とか、「世界から日本がどう見られると思う?」などという考えは超えた。

 新型コロナウイルス、世界では286万人もの方が、日本では9229人の方がお亡くなりになった(4月6日時点)。後遺症の問題もある。

 その中で日本が、聖火リレーからの東京五輪を決行するとはどういうことなのか? 以前もこのコラムに、2週間の祭りとあたしたちの命や健康は天秤(てんびん)にかけられていいものか、という話を書いたが、天秤にかけられて後者が軽く見られるって、現代の世の中で起きていることとは思えない

 正直いって、この件についてのあたしの感想は、「怖い」のただ一言だ。

 感染するかもしれないというのも怖いが、それよりもじわじわと自分を取り巻く世の中が狂気へと突き進んでいくのが怖い

 聖火リレーでは、やはり人の密ができているようだ。

 そりゃそうだ。聖火リレーって五輪開催を盛り上げていくためのイベントだもの。

 日本はコロナ禍の真っただ中。感染症対策として、密を作らないようにするってのは、最低限守らなくてはいけない話ではないの?

 でも、国を挙げ、力を入れるのはそこではない。聖火リレーの観客を少なく見せるために、写真を切り取る東京五輪反対という街頭の声を消すため、無音にして流す

 東京五輪の闇をスクープした週刊誌が、回収しろと恫喝(どうかつ)された。

 聖火リレーのスポンサー車のDJが、

「もうウダウダ考えたって仕方ないんです! 何がいいか? 今を楽しむこと、それだけです!」

 そう叫んでいたのは驚いてしまったが、この動画をツイッターで公開した新聞社の人間は、公道で撮ったにもかかわらず、これから仲間が東京五輪の取材から外されると困るから、そういって動画を消した

 けれど、菅政権やどうしても東京五輪を開催したい一派が、「もう考えたって仕方ない。今を楽しめ!」とあたしたちにいっている事実は変わらない。

 「ワクチンがみんなに普及するから安全」といっていたが、そのワクチンがまったく間に合わないのに祭りは決行。1年以上経っても感染対策はまだあたしたちの意識に頼るばかりなのに、人が集まるイベントの強行。

 あたしたちの健康や命より大事とされた祭りは、もう完全な形での開催は無理である。賛成派がはじめにいっていた、経済効果や日本のすごさを世界に発信などということは、もはや起こりそうもない。

 逆じゃないか。あたしたちの子や孫に、世界から白い目で見られるこの国を残すことになるだろう。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2021年4月23日号
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104150000085.html

コラム
政界地獄耳
2021年4月15日7時52分
世界から五輪は「最悪のタイミング」とまで言われ始めた

★コロナ禍は国民の安全を守るだけでなく東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの実現という国内の国民の声のみならず、世界のメディアから「『最悪のタイミング』であり、日本と世界にとって『一大感染イベント』」(12日付、米ニューヨーク・タイムズ)とまで言われ始めた。半年以内に衆院の任期満了が迫る首相・菅義偉は前首相・安倍晋三の自民党総裁任期満了となる今年9月までの暫定任期でもあり、何としてでも衆院選で勝利して続投、安定政権につなげたい。

★そのためには五輪成功は必須だったものの、ここにきて世界世論もコロナ禍に無理してやるべきではないという風潮だ。何よりも各国メディアが東京五輪是非を問うたびに、各国五輪組織委員会や、その下部にいる各競技団体が、東京五輪に参加すべきか否かを議論することになり、北朝鮮以外の国も不参加表明をすることにでもなれば不参加ドミノは避けられないところだろう。無論、そのためにさまざまな工作がさまざまなチャンネルを通じて行われているだろうが、菅政権を守るためならば無理してでも参加しましょうという理屈にならないところがつらいところだ。

★また各国メディアはこれだけのカネをつぎ込んで採算は取れるのかという東京都や国の財政とともに東京マーケットの行方まで不安視する。13日、東京都医師会会長・尾崎治夫は都内の状況を「第4波に既に入っている」と指摘した上で、「これ以上感染が広がることがあれば現実的には従来通りのいろんな国から選手が来て開催される五輪というのは、例え無観客であってもなかなか難しい」と開催自体が危ういとの認識を示した。一方首相は14日の参院本会議で「専門家によれば、緊急事態宣言の解除後に人出が増えたことや変異株による感染者数が増加していることが指摘される」と説明し現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていないと楽観論だ。そもそも今日から18日までの日米首脳会談のための外遊に行っている場合か、その時期なのかも問われている。(K)※敬称略
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