Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●東電核発電人災から13年: 汚染水海洋投棄を強行し、柏崎刈羽核発電所を再稼働したい東電…3.11の教訓は? 能登半島地震の「警告」を無視…

2024年03月11日 00時00分32秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年02月27日[火])
処理水という名の、廃炉作業に全く関係のない汚染水の海洋投棄を強行し、さらには、なにやらアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働したいという東京電力や自公お維コミ、原子力「寄生」委員会委員ら…3.11の教訓は忘れ去られ、能登半島地震の「警告」を無視。キシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」「不明」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この13年間、着々と《原発復権》してきた。ホントに正気なのかね? さらには、《1号機の土台損傷》(ペデスタル)〝耐震性〟問題も顕在化した。《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本ではそれができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなキシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」「不明」党。

   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》
   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかった
     のか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…
   『●《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本では
     それができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなニッポン
   『●ドイツは《脱原発を完了…原発の危険性を踏まえた政策を貫いた賢明な
     判断》…ニッポンはGXの名の下に核発電を進めて「フクシマ忘却法案」
   『●耐震性? 《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周に
     わたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》?
   『●《「支持機能は維持されている」…小野明・最高責任者はそう強調…圧力
     容器を支えるのに問題はないという意味だ》…次も幸運に恵まれるの?
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)
   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
       と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所
   『●原発マネーに群がる核発電「麻薬」中毒者の意地汚さ…《辛うじて難を逃れ
     たにすぎ》ない、《辛うじて事なきを得たにすぎない》女川原発を再稼働
   『●NUMO「文献調査」の巨額な《原発マネー》に蝟集しても、空虚な《地域
     振興》に終わるだけで、何の解決策にもならずに地域が分断されるだけ

 3.11東京電力核発電人災から13年目、デタラメな汚染水投棄をまだ続ける東京電力。この先何十年も…。年間何万トンもの汚染水を…。《3月16日の終了を予定》…3.11など全くお構いなしに。さっさと《原状回復》して見せてくれ、東京電力。無責任極まる、こんなゾンビ企業・東京電力を生き永らえさせてしまったことも大問題だ。
 小野沢健太記者による、東京新聞の記事【福島第1原発、28日に4回目の処理水海洋放出を開始 東日本大震災から13年迎える3月中旬まで】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/311563)、《東京電力は26日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水について、28日に4回目の海洋放出を始めると発表した。3月16日の終了を予定している》。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
       復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
     もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/311563

福島第1原発、28日に4回目の処理水海洋放出を開始 東日本大震災から13年迎える3月中旬まで
2024年2月26日 19時39分

 東京電力は26日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水について、28日に4回目の海洋放出を始めると発表した。3月16日の終了を予定している。

     (福島第1原発)

 東電によると、17日間で7800トンを放出する。処理水の放射能濃度測定では、多核種除去設備(ALPS)で取り除けない放射性物質トリチウムの濃度が1リットル当たり17万ベクレル。トリチウム以外で測定対象の29種類は放出基準未満だった。

 放出の際は処理水に大量の海水を混ぜ、トリチウム濃度を国の排水基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満にした上で、沖合約1キロの海底から流す。

 処理水の放出は昨年8月24日に始まった。23年度は4回で計約3万1200トンを放出し、24年度は7回で計約5万4600トンを放出する計画。(小野沢健太


【関連記事】福島第1原発で汚染水トラブル連発、経済産業相が東京電力を指導 「覚悟が見えない」地元もバッサリ
【関連記事】福島第1原発、3回目の処理水海洋放出を始める 被ばく事故から8日、東京電力はまだ詳しい説明できず
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●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

2023年10月11日 00時00分00秒 | Weblog

[『放射線を浴びたX年後』(http://x311.info/part1.html)↑]


(2023年09月16日[日])
経済的実害を《招いたのはそもそも》汚染水を放出したから。汚染水を海に捨てたから。#自民党に投票するからこうなる金(カネ)色の五つの輪を強行…適菜収さん《人間は同じ間違いを何度も繰り返す。新聞には「日本が快進撃」と戦意高揚の見出しが並び、反対しているのは「反日」(安倍晋三)と非国民扱い。「もうはじまってしまったのだから、批判の声をあげても仕方がないそれよりも頑張って戦っている兵隊さんを応援しよう」というわけだ。日本が再び焦土と化す日も近い。結局、歴史に学ばない人間が国を滅ぼすのだ》。
 曽田晋太郎安藤恭子両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/276715?rct=tokuhou)。《東京電力福島第1原発事故に伴う処理水の放出開始後、中国の禁輸の影響で、日本産水産物の売り上げ減が懸念されている。国内の消費拡大に躍起になるのが岸田政権。閣僚が試食し、「食べて応援」をアピールするだけではない。市井の人々を取り込む「国民運動」も進める。これには釈然としない思いが湧く。水産業界の苦境を招いたのは岸田政権なのに、国民が駆り出されるのか。応じないと非国民扱いされないか。(曽田晋太郎安藤恭子)》、《福島原発事故の問題を取材しているフリーライターの吉田千亜さんは「海洋放出も、『食べて応援』されるのも、福島の人たちからすれば勝手に決められたこと理不尽だという思いが募っている。でも政府のキャンペーンに疑問を呈せば非国民』『風評加害者とみなされるので、被害者は黙るしかない物言えぬ福島の空気を憂える》。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
        …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》
   『●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続ける
     ことにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》
   『●《万が一にも大事故が起きれば…。そのようないたってシンプルな理由
     から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》
   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/276715?rct=tokuhou

こちら特報部
応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも
2023年9月12日 12時00分

 東京電力福島第1原発事故に伴う処理水の放出開始後、中国の禁輸の影響で、日本産水産物の売り上げ減が懸念されている。国内の消費拡大に躍起になるのが岸田政権。閣僚が試食し、「食べて応援」をアピールするだけではない。市井の人々を取り込む「国民運動」も進める。これには釈然としない思いが湧く。水産業界の苦境を招いたのは岸田政権なのに、国民が駆り出されるのか。応じないと非国民扱いされないか。(曽田晋太郎安藤恭子

     (野村哲郎農相=8日)


◆自衛隊で食材利用、自ら試食、自民党ではホタテカレー

 「政府全体として日本産水産物の国内消費拡大に取り組んでいきたいと思っており、わが国の水産物の消費拡大にご協力願いたい」

 野村哲郎農相は8日の記者会見でこう述べ、省庁の食堂で日本産ホタテなどを使用したメニューを追加するよう閣議で協力を求めたと明らかにした。

 浜田靖一防衛相も同日に記者会見。全国の自衛隊の駐屯地や基地で提供する食事に日本産水産物を積極活用する考えを示した。

 消費拡大に躍起になるのは他の面々もだ。

     (豊洲市場で常磐ものを扱う仲卸の店舗で海産物を
      試食する岸田首相(左)=東京都江東区で)

 岸田文雄首相や西村康稔経済産業相、渡辺博道復興相らは東京・豊洲市場や被災地を訪れるなどし、主に福島県産の魚を試食して安全性をアピール。経産省福島復興推進グループ総合調整室の担当者は「日本産水産物の消費を全国に広げる活動の一つ。首相や大臣が発信することに意味がある」と強調する。

 小泉進次郎元環境相は、福島県南相馬市の海岸で子どもたちとサーフィンをした後、地元で水揚げされた魚を試食と報じられた。5日にあった自民党の水産部会・水産総合調査会合同会議では、北海道産ホタテを使ったカレーが昼食として提供されている。


◆さらにCMなど予定「現時点で具体的な費用をはじくのは難しい」

 そもそも岸田政権は、海洋放出前から国内消費拡大の方策をまとめていた。

 8月22日の関係閣僚会議では行動計画を改定。テレビCMやネット動画などを活用したPR、学校現場で文部科学省の「放射線副読本」を使った理解醸成、インフルエンサーや著名人、日本サーフィン連盟に協力を依頼しての情報発信などを盛り込む。

 それぞれの費用が気になるところだが、経産省資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室の担当者は「各省庁が今後こんなことをやるという計画段階の方針。予算から逆算しているものでもない。現時点で具体的な費用をはじくのは難しい」と話す。


◆対策1番目が「国民運動」…担当者は「あくまで協力要請」と説明

 水産物の輸出額のうち、中国と香港の合計で4割を占める年額でいえば1600億円。海洋放出に伴う全面禁輸の打撃は甚大だ。そんな中で岸田政権は今月4日、「『水産業を守る』政策パッケージ」を発表。その最初の項目には、国内消費拡大に向けた「国民運動」の展開が掲げられた。

 国民運動とは果たして何を意味するのか

 経産省福島復興推進グループ総合調整室の担当者は、ふるさと納税の返礼メニューの活用などを挙げた上で「国内での消費拡大の機運を高め、その流れを全国に広めるのが狙い」と説明する。「特定の国への輸出に依存していた部分が大きい日本産水産物を国内で消費し、水産業を守る取り組みの一環。あくまで協力要請」と述べる。

 国民運動については、5日の自民党部会でも盛り上げるべきだとの声が上がった。出席した議員の一人は「風評被害が起きないように皆で正しく理解しようとする方策だ」と語る。

 別の議員は「日本は正しいことをしていると世界にアピールする活動の一つだ」と説明する。


◆「海洋放出も『食べて応援』されるのも勝手に決められたこと」

 水産業の苦境を考えれば、日本産水産物を食べて応援したい気持ちが生まれるのも分かるが、政府が強く旗を振り、国民を駆り出すのは釈然としない。

     (東京電力福島第1原発の敷地に並ぶ処理水の
      保管タンク=福島県大熊町)

 福島原発事故の問題を取材しているフリーライターの吉田千亜さんは「海洋放出も、『食べて応援』されるのも、福島の人たちからすれば勝手に決められたこと理不尽だという思いが募っている。でも政府のキャンペーンに疑問を呈せば非国民』『風評加害者とみなされるので、被害者は黙るしかない物言えぬ福島の空気を憂える

 日本政府は今月5日、日本の水産関係者を支援する経費として本年度の予備費から207億円を支出すると閣議決定した。風評被害対策300億円、漁業継続支援500億円の基金と合わせ1007億円の対策となる。


◆被害も負担も国民が引き受ける? 識者「東京電力に求償すべき」

 大島堅一・龍谷大教授(環境経済学)は「中国の禁輸で、全国の漁業者が被害を受け、その支援を税金でまかなうことになる。さらに国民全体で被害も負担も引き受けるというのは筋違い」と指摘し、事業者の責任を定める原子力損害賠償法に基づき、国は事故を起こした東電に求償すべきだと述べる。

 さらに「環境の影響を受ける他国などとの協議は国際原子力機関(IAEA)の国際安全基準でも定めている」と述べ、7月に公表された包括報告書でもその旨が記されていると解説。「中国の反発を『想定外』としながら、『食べて応援』を呼びかけるのは不誠実だ」と話す。


◆日本の魚を食べて中国に勝つ?

 協議の乏しさが露呈する中、複数の全国紙の今月6、7日付朝刊では「保守派の論客」とされるジャーナリスト、桜井よしこさんが理事長を務める公益財団法人の意見広告が掲載された。

 「日本の魚を食べて中国に勝とう

     (「日本の魚を食べて中国に勝とう」と訴える意見広告)

 そんな大見出しに続き、中国の禁輸を「科学的根拠の一切ないひどい言いがかり」「不条理に屈しない」と強調。「安全で美味。沢山食べて、栄養をつけて、明るい笑顔で中国に打ち勝つ。早速今日からでも始めましょう」と訴えた。

 「『日本スゴイ』のディストピア」の著書がある編集者、早川タダノリさんは「『食べて応援』の行き着くところはこんな地点」と受け止める。中国の理解を得られなかった外交の失政を「被害を受けるかわいそうな日本にすり替え中国に勝つという言葉で排外主義とナショナリズムをあおっていると懸念する。


◆「意見を調整できないまま、陳腐なキャンペーンで社会を分断」

 そもそも物価高で、国内の消費は厳しい。総務省が発表した7月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は28万1736円。物価変動の影響を除く実質で前年同月を5.0%下回った。支出の3割ほどを占める「食料」の支出も切り詰められ、魚介類は前年同月比11.9%減と落ち込んだ。「国内で魚の消費を増やすのは現実的でない。勝者なんてどこにもいない」(早川さん)

 食の思想を研究している藤原辰史・京都大准教授(歴史学)は「食べる行為は個人の感情を揺り動かすとともに、社会とつながるパブリックな行為」と語る。

 今回の処理水放出と中国の禁輸も「食の問題」と捉えられる。「社会的な文脈が深く関わる問題。食べることは個人の自由として済ませられる問題でもないし、科学的に安全だから了解、というのも単純すぎる」

 国内外の関係者間で討議をして決めるべき重大な課題だったが「意見を調整できないまま、これまでの原発政策と同様に、陳腐なキャンペーンと税金の投入で社会を分断した」と嘆く。

 「処理水放出は解決済みの問題ではないと認識した上で、放出する日本の側が、意見を交わす国際的な場を設定することが大切だ」


◆デスクメモ

 関係者の理解を得ずに話が進む唐突に国民運動が始まる政府の非は棚上げされたまま運動の目的として他国に勝つが掲げられる。私たちは何に巻き込まれているのか。わけが分からぬ状況。こうして戦時動員されるのか。まだ歯止めはかけられる。国民が良識を示さねば。(榊)

【関連記事】漁師みんな泣いている 食の安全浸透したのに
【関連記事】原発処理水の海洋放出が「二重の加害」と言われる理由 東京電力に今問わなければならないこととは
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●この東京新聞の《こちら特報部》の記事を見て最初に頭に浮かんだ問い ――― お維のデタラメに対して、在阪メディアは何やってんの?

2023年10月04日 00時00分02秒 | Weblog

【↑ 『適菜収 それでもバカとは戦え真相究明と責任追及を“大阪ノーサイド”なんて冗談じゃない』 (2020年11月14日、日刊ゲンダイ)】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281280


(20230907[])
この東京新聞の《こちら特報部》の記事を見て最初に頭に浮かんだ問い ――― お維のデタラメに対して、在阪メディアは何やってんの? (こちら特報部)《開き直りや自己保身…。この期に及んで国頼みをあらわにするのは、ご都合主義が過ぎないか。》
 お維…《政治家の前に倫理観の欠如といえる》《「改革」を看板に掲げる維新のこうしたゲスの極みというべき本質をこそ、有権者は知るべき》。

   『●在阪メディアのお維《追従は相変わらず。性懲りもなくヨイショ報道ばかり
       が繰り広げられている》そんな中、「カジノ用地賃料疑惑」を追及…
   『●お維の《「身内に甘い」体質のもと、維新議員の不祥事は繰り返されて
     きた》…お維の笹川府議団長、東京都港区議、大阪市議、江戸川区議…
   『●お維…《政治家の前に倫理観の欠如といえる》《「改革」を看板に掲げる
      維新のこうしたゲスの極みというべき本質をこそ、有権者は知るべき》
   『●お維が「野党」というデマ…《「野党の一部も賛成」という形が作られた
       ため、自民党は安心してゴリ押しの国会運営を行うことができた》
   『●#パワハラ体質 #恫喝体質 #デマ体質 なお維に何故に投票、何故に
     支持できるのか…?  大阪から遠く離れた我が街にもお維が浸食…
   『●《大量のデマで有権者を騙し、学者や市民団体からそれを指摘されても、
       選挙が終わるまでしらばくれるという手法を維新は繰り返してきた》
   『●《施設全体の年間売り上げ5200億円の8割、4100億円を稼ぎ出す
     算段という。そんなうまい話があるのか。捕らぬカジノの皮算用…》
   『●《カジノありきだった大阪万博 “カジノ用地不当鑑定疑惑”をめぐり「公
     文書隠蔽」》《大阪市港湾局がサーバーからメールを削除…組織的隠蔽》
   『●東京「ト」知事や大阪「ト」知事らはビッグモーターを批判できるのかね?
         こんな「ト」知事らに投票するから、こんなことになってしまう
   『●あぁ、お維に投票できる人の気が知れない…《所属議員の不祥事が止む

     ことがなく、最近は「政界のビッグモーター」などと揶揄される始末だ》

 曽田晋太郎宮畑譲両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「大阪万博は国家事業」って維新のご都合主義では? 整備費は倍以上、建設遅れも…責任はどこへ?】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/275070?rct=tokuhou)。《パビリオン建設が遅れる2025年大阪・関西万博。そもそも開催できるのか、日に日に疑問の声が高まる中、強力に旗振りしてきた日本維新の会から、首をかしげたくなる発言が相次いで出た。「万博は大阪の責任ではない」「国家事業だ」。開き直りや自己保身にも聞こえる言葉。この期に及んで国頼みをあらわにするのは、ご都合主義が過ぎないか。(曽田晋太郎宮畑譲)》。

   『●お維の大阪府と包括連携協定の下足番広報紙…《メディアの役割は
     府政の監視をし、その政策を客観的・批判的な視点から報じること》
   『●大阪「ト」知事三代の重大な責任 ——— 大阪市廃止大阪「ト」構想、
     カジノ、万博、お維関係者の数多の問題、そして、リコール不正署名
   『●五輪ボランティアを派遣するのは…偶然にも? 
        パソナや竹中平蔵氏へのウラアリなオ・モ・テ・ナ・シ
    《知らんかった! ボランティアを派遣するのは竹中平蔵さんとこの
     パソナだって。怪しい。なんで金額がいえないの? まさか、ただで
     国民使うのに、中抜きで大儲けを企んでいるんじゃあるまいな

   『●《サミット首脳宣言(要旨)…この中に「五輪」という項目は含まれて
       いない。世界はすでに「東京五輪」に興味を失っているのである》
   『●《大会経費の赤字の尻拭いを背負わされるのは国民だ》 ―――  
     どこまでも醜悪なバカの祭典、パソナ五輪。一体どちらが《反日的》か?
    「もはや、狂気を感じる ――《まるで戦時中の「学徒動員」ではないか》」

   『●汚れた金(カネ)色の五つの輪…《自由競争なき利権分け合い》《汚れ
      の祭典》《反省なく「もう一度」 札幌招致叫ぶ厚顔無恥》(長周新聞)

 この記事には既視感…金(カネ)色の五つの輪
 日刊ゲンダイの記事【大阪万博協会こそ「身を切る改革」を…学徒動員は半年間タダ働きなのに、役員報酬は最高月額200万円】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328390)。《2025年の大阪・関西万博の運営主体「日本国際博覧会協会」が、大阪府内の40大学でつくる「大学コンソーシアム大阪」と連携協定を結んだ。多くの学生に万博のボランティアへの積極的な参加を呼び掛け、その活動を学業の単位として認定することも検討。大阪府以外の各地の大学とも同じ協定を結ぶ方針だ》、《吉村知事も役員に名を連ねる以上、学徒動員の前に得意の「身を切る改革」を万博協会に迫るべきだ》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/275070?rct=tokuhou

こちら特報部
「大阪万博は国家事業」って維新のご都合主義では? 整備費は倍以上、建設遅れも…責任はどこへ?
2023年9月6日 12時00分

 パビリオン建設が遅れる2025年大阪・関西万博。そもそも開催できるのか、日に日に疑問の声が高まる中、強力に旗振りしてきた日本維新の会から、首をかしげたくなる発言が相次いで出た。「万博は大阪の責任ではない」「国家事業だ」。開き直りや自己保身にも聞こえる言葉。この期に及んで国頼みをあらわにするのは、ご都合主義が過ぎないか。(曽田晋太郎宮畑譲


◆「大阪の責任ではなく…」

 「国のイベントなので、大阪の責任ではなく、国を挙げてやっている」

 発言の主は日本維新の会の馬場伸幸代表。万博の海外パビリオン建設が遅れている問題を巡り、8月30日の党役員会でこう述べた。

 同じ日に記者会見に臨んだのが藤田文武幹事長。馬場氏と歩調を合わすように「(万博は)国家事業」と主張。さらに「与野党の別なく一丸となって結束し、成功に向けて取り組むべきだ」と強調した。

 万博に関して「国」を前面に押し出す維新幹部の2人。ただ万博といえば、大阪府と大阪市が深く関与してきたのではないか。

     (記者会見する日本維新の会の馬場代表)

 さかのぼること9年前。大阪府の万博推進局によると、大阪維新の会の府議団などが2014年8月、にぎわいづくりの一環として万博の誘致を提案した。

 15年には、府が設立した検討会が誘致の可能性検討状況について報告書をまとめ、16年に府の別の会議が基本構想を策定。17年に府市、地元経済界などが主体となって「日本万国博覧会誘致委員会」を設立すると、25年万博への立候補を経て、18年11月に大阪が開催地に決まった。

 19年1月には、開催準備に当たる「日本国際博覧会協会万博協会)」が国主導で発足した一方、協会は府の咲洲庁舎内に事務所があり、府市の職員が派遣されているほか、幹部の副会長には府知事と大阪市長が名を連ねる。費用負担の面でも府市は深く関与しており、協会によると、万博の会場建設費1850億円のうち、府市、経済界で3分の1ずつを負担する。


◆維新は選挙公約に「万博の成功に向け」

 大阪が地盤の日本維新の会も万博推しだ。

 そもそも府市のトップは維新の幹部が務めてきた。昨年の参院選の選挙公約でも「万博の成功に向け、国と開催都市、官民が強力に連携して国内機運の醸成に努めます」「関連事業は会場周辺のみならず大阪府全域を始め、関西や全国へと拡大・展開します」とうたっている。

 大阪在住のジャーナリストの吉富有治氏は「もともと万博の誘致で一生懸命旗を振ってきたのは府市であり、維新だ。大阪開催が決まってから最近の選挙まで誘致に成功したのは維新の功績だと大々的に宣伝してきた。地元では万博イコール維新という認識に揺るぎはない」と説く。

     (万博開催の決定を伝える誘致PRボード
      =JR大阪駅で(2018年11月撮影))

 その万博を巡っては、最近になってパビリオン建設の遅れが顕在化した。労働規制の緩和を画策しているとも報じられ、強い批判の声が上がっている。

 逆風下で維新幹部から出てきたのが冒頭の発言だ。

 吉富氏は「もともと旗を振り、会場として夢洲(ゆめしま)を選んだなど『舞台装置』を整えたのに、今になって責任を逃れようとする姿勢はひきょうだし、つじつまが合わない」と批判する。

 神戸大の小笠原博毅教授(社会学)も「国政でさらに上を目指す維新にとって浮動票の確保は生命線。市民から支持されないと思ったら、頭の向きを変える政党の体質が現れている」と述べ、開き直りを想起させる姿勢を非難する。


◆高速道路も液状化対策も

 維新幹部の発言で気になるのは「万博は国家事業」という部分もだ。この言葉を聞くと、費用面の懸念が浮かんでくる。

 会場建設費は先に触れた通り、府市、経済界が3分の1ずつ負担する。当初は計1250億円だったが、1850億円に。既に1.5倍だが、資材高騰は高止まりしており、さらに上振れするリスクもある。

     (大阪・関西万博のカウントダウンボード)

 万博関連費を巡る問題はこれだけではない。

 万博へのアクセスとして使う高速道路の整備では、工法の見直しなどによって2度、工費が増額され、当初1162億円だった整備費は2957億円と倍以上に。この整備は国が55%市が45%を負担する。

 万博開催地の夢洲の跡地にはカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)が予定されているが、用地の土壌汚染と液状化への対策で、市は約790億円の負担を決定している。

 そんな中で飛び出したのが「万博は国家事業」という言葉だった。


◆なぜ夢洲でなければいけなかったのか

 前出の小笠原氏は「ポピュリズム政党として短期的には無責任だと批判されても、国からの支持と援助を最大限に引き出し、大阪・関西圏の傷を最小限に食い止めて成功にこぎつけたとシナリオを描く維新関係者はいるだろう」とみる。

 膨らむ万博関連費を見るにつけ、「地盤に難がある夢洲をなぜ活用しようとするのか」と疑問が湧く。

 かつてごみが埋められ、「負の遺産」とも言われた人工島・夢洲を巡っては、2011年の大阪府知事・市長のダブル選後、市のトップになった橋下徹氏が夢洲へのカジノ誘致を検討していることが表沙汰に。今はIRの整備構想が進む。


◆万博はカジノをつくる大義名分にすぎない?

 帝塚山学院大の薬師院仁志教授(社会学)は「維新にとっては、もともと夢洲にカジノをつくることが目的。万博はその整備を進めるための大義名分に過ぎない。もっといえば、夢洲の開発そのものを目的にしているように見える。バブルの過剰投資と同じ。維新の理屈は当初から変わっていない」と語る。

 維新によって役割の重さが強調された国は最近、どう振る舞っているのか。

 8月31日に官邸で開かれた万博に関する会合で、岸田文雄首相は「成功に向けて政府の先頭に立って取り組む決意だ」と表明した。

     (8月31日、首相官邸で開かれた
      大阪・関西万博に関する関係者会合)

 内閣官房の万博担当者は取材に「関係者が一体となって加速化するという会合だった」と話した。しかし、新しい方策を尋ねても具体的な回答はなかった

 政治評論家の有馬晴海氏は「岸田首相は自分が万博誘致を決めたわけでもなく、思い入れはあまりないだろう。ただ、突き放すことはできないから、あくまで型通りの対応をしただけでは。岸田氏をはじめ、多くの自民党の政治家にとって、『今更泣きつかれても』というのが本音ではないか」と推察する。


◆どこまで必要なのか、議論して中身を練ったのか

 とはいえ、国が今以上の役割を担うとなると、追加費用が必要になった場合、さらなる国費が投入される可能性も否定できない。その財源は当然ながら、国民の税金ということになる。

 駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「維新は党のカラーとして対立構図をつくるのが得意だが、議論や調整は苦手な印象がある。大阪での万博開催ありきで、どこまで日本に必要なのか、議論して中身を練ったのか疑問だ」と指摘する。

 このままでは、広く国民の理解は得られないとして、山崎氏はこう提言する。

 「現実に今の予定のままの万博ができるとは思えない。計画を縮小し、お金がかからないものにして、合意を広げるしかないのではないか。それができないのなら、撤回を含めて考え直すべきだ」


◆デスクメモ

 岸田氏は処理水放出自らの非を棚上げする。「地元理解なしを顧みずにいる。維新も万博を巡って自らの責任を棚上げする。第2自民党を体現するのかと皮肉を語る場合ではない。今を放置すれば権力者がやりたい放題に。それを甘受するのか。私たちに問いが突き付けられている。(榊)

【関連記事】万博のためならルールも破る? 時間外労働の上限があるとパビリオン間に合わず
【関連記事】大阪万博 こんなんでホンマに大丈夫かいな 高い入場料、入札不調、膨らむコスト
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●《カジノありきだった大阪万博 “カジノ用地不当鑑定疑惑”をめぐり「公文書隠蔽」》《大阪市港湾局がサーバーからメールを削除…組織的隠蔽》

2023年08月05日 00時00分47秒 | Weblog

【↑ 『適菜収 それでもバカとは戦え真相究明と責任追及を“大阪ノーサイド”なんて冗談じゃない』 (2020年11月14日、日刊ゲンダイ)】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281280


 (2023年07月21日[金])
N値が5程度…。N値ゼロマヨネーズ地盤よりはホンのちょっぴりマシでしょうが、十分に軟弱地盤。関空の教訓に何も学んでいないのでは?

   『●沖縄タイムス《大浦湾…2015年4月…「土木的問題が多い地層が
     厚く堆積している」…「長期の沈下が考えられる」と施工上の懸念も》
   『●沖縄…《この島の苦悩は「本土」に届いているだろうか》…《名護市
     辺野古への移設を容認する立場》の現宜野湾市長で良いのでしょうか?

 日刊ゲンダイのコラム【金子勝の「天下の逆襲」/ “スジ悪”維新の目玉政策…2025年大阪万博高校無償化が風前の灯】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/326141)によると、《2025年の大阪万博が危機的状況に陥っている。50の国・地域が建てるパビリオンの建設申請が「ゼロ」のままで、日本のパビリオンも25施設のうち、申請を終えたのは8施設と、3だ。開幕まで2年を切っているが、建設は間に合うのだろうか。さらに、会場となる夢洲は、沖縄の辺野古》。


   『●《大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく行政
     批判を吊るし上げ!「まず吉村のイソジンをチェックしろ」と非難殺到》
   『●《4月の任期満了に伴う府知事選に出馬する意向》の大阪「ト」知事…
     お維の「ファクトチェッカー」は「吉村のイソジンをチェック」したの?
   『●《維新は何かと「大阪では高等教育まで無償化」と主張し、タダで学校に
        通えるかのように主張するが、真っ赤なウソだ》(日刊ゲンダイ)
   『●在阪メディアのお維《追従は相変わらず。性懲りもなくヨイショ報道ばかり
       が繰り広げられている》そんな中、「カジノ用地賃料疑惑」を追及…
   『●《選挙期間中だからこそ、吉村・松井両氏による維新政治がどんな結果を
      生み、さらにはいま…、しっかり伝える必要があ》ったというのに…
   『●《大量のデマで有権者を騙し、学者や市民団体からそれを指摘されても、
       選挙が終わるまでしらばくれるという手法を維新は繰り返してきた》
   『●《施設全体の年間売り上げ5200億円の8割、4100億円を稼ぎ出す
     算段という。そんなうまい話があるのか。捕らぬカジノの皮算用…》

 お維による《捕らぬカジノの皮算用》…でも、大阪の皆さんは、こぞってお維に投票するんですもの、あとの祭り。(大谷昭宏さん)《…政権が党利党略のために進めることではない。まして国が音頭をとり、旗を振ってやるべきことではない…》。
 大阪万博も、デタラメばかり。金(カネ)色の五つの輪と同様に、(リテラ)《大阪万博も同じように、吉村知事や松井一郎・前大阪市長の思惑通り、維新の党勢拡大に利用されるだけで、最終的にはその尻拭いに公費が注ぎ込まれてしまうのではないのか。》
 リテラの記事【大阪万博の建設遅れでさらなる公的負担か?「カジノ用地賃料談合」でも大阪市の組織的隠蔽が発覚! 維新行政のボロが次々と】(https://lite-ra.com/2023/07/post-6288.html)によると、《大阪の吉村洋文府知事と松井一郎・前大阪市長が血道を上げてきた2025年大阪・関西万博が、ここにきて暗礁に乗り上げている。万博の目玉でもある海外パビリオンの建設工事が一向に進んでいないからだ》、《■カジノありきだった大阪万博 “カジノ用地不当鑑定疑惑”をめぐり「公文書隠蔽」も発覚!》、《■「赤旗」の情報公開請求後に大阪市港湾局がサーバーからメールを削除していた!組織的隠蔽としか思えないが…》。

   『●お維…《政治家の前に倫理観の欠如といえる》《「改革」を看板に掲げる
      維新のこうしたゲスの極みというべき本質をこそ、有権者は知るべき》
   『●お維が「野党」というデマ…《「野党の一部も賛成」という形が作られた
       ため、自民党は安心してゴリ押しの国会運営を行うことができた》
   『●#パワハラ体質 #恫喝体質 #デマ体質 なお維に何故に投票、何故に
     支持できるのか…?  大阪から遠く離れた我が街にもお維が浸食…

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https://lite-ra.com/2023/07/post-6288.html

大阪万博の建設遅れでさらなる公的負担か?「カジノ用地賃料談合」でも大阪市の組織的隠蔽が発覚! 維新行政のボロが次々と
2023.07.16 07:25

     (expo2025公式HPより)

 大阪の吉村洋文府知事と松井一郎・前大阪市長が血道を上げてきた2025年大阪・関西万博が、ここにきて暗礁に乗り上げている。万博の目玉でもある海外パビリオンの建設工事が一向に進んでいないからだ。

 問題となっているのは、参加国・地域が費用を負担し独自にパビリオンを建設する「タイプA」。約50カ国・地域が参加する見込みだというが、建設に必要な申請をおこなった国・地域は現時点でゼロ。資材の高騰や人手不足が問題の背景にあるというが、万博を準備する日本国際博覧会協会は、準備が遅れている参加国・地域に対し建設業者への発注を協会側が担うなどの建設代行を提案しているという。

 ネットが発達したこのご時世に海外パビリオンに大衆が胸を躍らせる人がいるのかどうかも怪しいが、さらにショボくなる上に公費負担も増えかねない。その上、読売新聞の取材に対し、大手ゼネコンの幹部は「もはやいくらお金をもらっても出来ないことは出来ない」と述べている。大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、工期の遅れを取り戻すために突貫工事が強行されれば、現場作業員たちが劣悪な労働環境にさらされ、「いのちを削る」ことになりかねない。

 実際、その懸念は高まっている。というのも、大阪万博に出展するカナダのローリー・ピーターズ政府代表らが14日に大阪市の高橋徹副市長と意見交換をおこなったのだが、そのなかでピーターズ政府代表は、来年度より建設業の残業時間に罰則付きの上限規制が設けられることについて「万博の建設では(残業を)例外的に認めるなど、柔軟に対応してほしい」と要望。高橋副市長は「国もしっかり把握している」と回答したという(読売新聞15日付)。もし残業時間の緩和といった措置がとられることになれば、東京五輪で発生したような過労死や現場での事故死といった問題が再び起こる危険が高くなるだろう。

 しかも問題なのは、建設を代行した場合の支払い方法が明確になっていないこと。つまり、日本側が費用を負担する可能性が出てきているのだ。

 万博の会場建設費の上限は1850億円で、政府大阪府・市財界が3分の1ずつ負担することになっているのだが、建設代行問題を受けて吉村知事は「できるだけ1850億円の中でやるというのが今の予定で、今はその範囲に収まると聞いている」などと発言。しかし、こんな言葉が信用できるはずがない。その後建設方法の見直しなどで99億円に圧縮されたが、いずれにしろ当初の73億円から大きく膨れ上がることとなった。

 実際、会場建設費は誘致段階では1250億円だったのに、2020年には600億円も上乗せ。それだけではなく、大阪府と市などが出展する「大阪パビリオン」でも、昨年9月に建設にかかる府と市の負担額が当初の73億円から96億円程度に膨れ上がることが公表されたが、このときも吉村知事は「何とか100億円で収まると聞いている」と発言。しかし、その発言から1カ月も経たないうちに、工事費は約15億円増の115億円に上振れしたのだ。


■カジノありきだった大阪万博 “カジノ用地不当鑑定疑惑”をめぐり「公文書隠蔽」も発覚!

 東京五輪は安倍・菅政権が政権浮揚のためだけに強行開催し、大会経費は当初試算の2倍となる1兆4238億円、最終的に国と東京都による公費負担も7834億円にものぼった。大阪万博も同じように、吉村知事や松井一郎・前大阪市長の思惑通り、維新の党勢拡大に利用されるだけで、最終的にはその尻拭いに公費が注ぎ込まれてしまうのではないのか

 ネットではこうした大阪万博のとんでもない状況に対して、非難の声が広がり、「万博失敗」がトレンドワードになったほか、「万博中止」「万博返上」という声が相次いであがっている。

 だが、いま浮上している問題は、大阪万博だけではない。万博跡地に開業する予定の「大阪カジノ」でも重大な問題が起こっている。

 本サイトでは何度も言及してきたように、大阪万博はカジノありきで進められてきたものにすぎない。実際、交通アクセスの不備が指摘されていた夢洲が万博開催地に選ばれたのは、夢洲がカジノ候補地だったからであり、カジノだけでは税金投入に反対意見が出るが万博という大義名分を使えば税金でインフラ整備ができるという算段だったのである。

 だが、そうやって万博を建前にして公金を注ぎ込みながら、一方でカジノ業者を優遇しているという疑惑が発覚。それが、本サイトでもお伝えしてきた「カジノ用地賃料の大幅値引き鑑定談合疑惑だ。

 あらためてこの間の経緯を簡単に説明すると、大阪のIR構想では大阪市が所有する用地約49万平方メートルを、カジノ事業者に対し、35年間にわたって年約25億円で貸す計画になっている。これは1平方メートルあたり月額428円というべらぼうな安さなのだが、摩訶不思議なことに、賃料の根拠となった4社による不動産鑑定では、4社中3社で土地価格などの金額がぴったりと一致。さらに、鑑定時にはIRが「考慮外」にされていたことから、賃料が異常に安く叩き出されてしまったのだ。この結果、35年間で500億円以上賃料が大幅に値引きされることになったと見られている。

 カジノ業者を優遇するため、鑑定評価の際にIR計画を考慮せず、賃料を安く抑えようとしたのではないかという重大疑惑──。しかし、異常な鑑定額の一致や評価の際にIRを考慮外としたことの問題を、在阪メディアで唯一、毎日放送MBS)が報道すると、松井市長が逆ギレ。「カジノ施設は日本にまだない。どうやって日本の鑑定士が鑑定するの?」「疑惑なんていうのはありません! 我々はそれ誘導したこともありません!」などと主張。そればかりか、松井市長はMBSの記者に対し「恣意的な偏向(報道)」「君では話にならんから社長と話させてよ」などと露骨な嫌がらせや恫喝をかけ、「毎日放送の質問には答えられない」などと質問拒否までおこなうようになったのだ(詳しくは既報参照 → https://lite-ra.com/2023/02/post-6260.html)。

 だが、ここにきて、大阪市による重大な「公文書隠蔽問題が発覚。これまで大阪市が市議会答弁や情報公開請求に対して「不存在」としてきた大阪港湾局と不動産鑑定業者などとのメールを、今月3日になって、外付けハードディスクの中から「見つかった」と公表し謝罪。14日にメール198通が公開されたのだ。


■「赤旗」の情報公開請求後に大阪市港湾局がサーバーからメールを削除していた!組織的隠蔽としか思えないが…

 これは、あきらかに組織的な隠蔽がおこなわれたとしか思えないものだ。

 問題のメールについては、昨年11月2日に「しんぶん赤旗 日曜版」が情報公開請求をしていたのだが、公開期限直前の同月15・16日に大阪市港湾局の職員がサーバーから削除し、大阪市港湾局は請求に対して「該当文書は存在しない」と回答。だが、今年3月になって職員が外付けハードディスクの中からメールの一部を発見し、担当職員の人事異動がおこなわれた4月中旬になって、外付けハードディスクにメールが残っている旨の引き継ぎがおこなわれ、課長に報告されたのだという。

 ようするに、“鑑定評価額談合”疑惑をいち早く報じ、追及していた「赤旗日曜版」の情報公開請求を受けて、大阪市側はメールをサーバーから削除するという「公文書隠蔽」をはたらいたとしか考えられない。さらに、今年3月には一部が見つかっていたというのに、その情報が引き継がれたのが、松井一郎市長の退任および統一地方選直後と思われる4月中旬というのも怪しすぎる。

 この問題について、横山英幸・大阪市長は「初歩的な文書管理の認識ができていなかったのが原因」「恣意的に特定の情報を隠蔽する経緯は私は感じない」などと述べているが、そんなバカな話があるわけがない。メディアの報道に首長が恫喝を加える裏側で、組織的な公文書隠蔽がおこなわれていたのは明らかではないか。

 しかし、大阪市は職員の処分を検討しているだけで、さまざまな疑義が呈されているカジノ賃料問題について真摯に向き合おうという姿勢はまったくなしとかげの尻尾切りで済まされそうとしているのだ。

 大阪カジノをめぐっては、13日に「ギャンブル依存症問題を考える会」が、IR運営に関わる予定の米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルに「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある」として国に認定の取り消しと執行停止を求めたばかりだが、維新が一党独裁状態にある市議会の追及に期待もできそうもない。

 ネット上ではいま、「万博返上」を求める声が大きくなっているが、その大本にあるカジノを含めて、いかに維新政治によって無駄な公金が費やされているのか、その実態に目を向けるべきだろう。

(編集部)
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●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

2023年03月11日 00時00分35秒 | Weblog

※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230310[])
東電核発電人災から12年も経ってしまったのに《原状回復》することも無く、《原発回帰》へと暴走し、《原発復権》。3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

 AERAのコラム【小島慶子「東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと」】(https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html)によると、《今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました》。

   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
         なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

 ハッとした。そうだった、3.11東京電力核発電人災が起きた2011年は卯年でした…。あれから、暦が一巡りした訳です。〝年男〟のその年3月11日、初めて入院して大きな手術を受け、漸く退院して自宅のベッドで養生していました。再びの〝年男〟の今年3月末、再び入院を計画しています。
 一方、さらにその12年前の卯年、JCO臨界事故が発生した年だそうです。3.11もJCO臨界事故も「卯年」だったか…。《朽ちていった命》を想うと涙が出てしまう。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
       復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》

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https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html

小島慶子東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと
幸複のススメ!
小島慶子 2023/01/12 17:00

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *

 今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。

 その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました。金融再編で翌年にはいわゆるメガバンクが誕生。当時はよく世紀末という言葉が使われて、ノストラダムスの大予言で人類が滅亡するのではないかという漠然とした不安があったけれど、世界は終わりませんでした。27歳だった独身の私は、当時同棲していた現在の夫と、干支にちなんで外苑前の小さなスペイン料理店にウサギを食べに行きました。人生は可能性に満ちていると感じられた頃。その店ももうだいぶ前になくなってしまいました。さらにその前の卯年は、1987年。バブル景気に突入した日本で、15歳の私は思春期の鬱屈の只中にありました。みんなの共通の話題は人気のテレビ番組。好きな番組はビデオに録画したものです。VHS派とベータ派がいたけど、ベータテープはやがて消滅。そして人生初の卯年は、1975年。3歳で初めて日本の土を踏んだ年です。生まれたのは父の転勤先のオーストラリア・パースでした。今はその街で息子たちが暮らしています。今年で大3と高3、ついに二人とも成人します。私が一人で東京で働き、年に数回豪州の息子たちに会いに行く生活も10年目。人生で5回目の卯年は51歳。先のことはわかりませんから、これが最後の卯年かもしれないなあとも思います。毎日を大切に生きようと、思いを新たにする春です。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。
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●汚れた金(カネ)色の五つの輪…《自由競争なき利権分け合い》《汚れの祭典》《反省なく「もう一度」 札幌招致叫ぶ厚顔無恥》(長周新聞)

2023年01月19日 00時00分40秒 | Weblog

[※ 『国民のしつけ方』(斎藤貴男著、インターナショナル新書010)…《それは調査報道…「番犬(ウォッチ・ドッグ)」としての役割》↑]


(20230105[])
汚れた金(カネ)色の五つの輪
 カネ色の五つの輪一つとっても……核発電人災の原子力緊急事態宣言下でウラアリなオ・モ・テ・ナ・シだの、アンダーコントロールだの、果ては、復興五輪だのと嘯き、COVID19緊急事態事態宣言下でも《コロナに打ち勝った証》として五輪貴族やその取り巻きによる〝バカの祭典〟〝パソナ五輪〟を強行。一体どんな国?? 《スガさんの生命維持装置》としてのバカの祭典パソナ五輪スガ政権の祭典を強行する無為無策無能な政権。
 《メディアコントロール》から抜け出せなかった9年近くのアベ様・カースーオジサンの強権。さて、キシダメ首相の政権下ではどうだろうか? 未だ、抜け出せていないのでは? 《安倍政権の嘘を垂れ流し続けたメディアの責任・共犯関係に踏み込む『エルピス』》、《そのテレビをはじめとするマスコミの東京五輪における欺瞞性を真っ向から指摘》している。

 長周新聞の記事【電通絡みの五輪不正続々と 巨額公費を貪る汚れたビジネスの祭典 国民の苦難よそに荒稼ぎ】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25291)によると、《東京オリンピックの開催から1年が経過した今夏以後、大会組織委員会や大会のマーケティング専任代理店を担った広告最大手「電通」、組織委理事など大会の中枢にいた者たちの間で汚れた金の動きが次から次に明らかになっている。11月末には、五輪のテスト大会の「実施計画立案」事業をめぐって企業が談合をおこなって不正に業務を受託していたことが発覚。ここでも電通が大会組織委内部と繋がって談合を主導しており、関係企業に対して東京地検特捜部と公正取引委員会が家宅捜索をおこなう事態に発展している。東京五輪が「汚れの祭典」と化していたことは誰の目にもあきらかで、このさい徹底的な捜査によって膿を洗い出す必要がある》。
 なのに《反省なく「もう一度」 札幌招致叫ぶ厚顔無恥》。

   『●金(カネ)色の五つの輪の中止を! …《フタを開ければ、おぞましい
        ほどカネにまみれているのが五輪の実態なのだ》(金子勝さん)
   『●ボイコフ教授《新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、聖火
     リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している》
   『●《五輪利権をむさぼり尽くさずにはいられない豚の卑しさと…中国に
     「証し」とやらのマウントを取られたくないド腐れ猿の哀れすぎる性》
   『●金(カネ)色の五つの輪、《中止になって「万歳」でなく、3兆
     6000億円をどぶに捨てたのは誰だと責任追及しなければならない》
   『●ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、
     カネ、カネだ」…「そのカネのほとんどはアスリートではなく…」》
   『●《「パソナ」の純利益が前年の10倍以上》―― カネカネカネの金
     (カネ)色の五つの輪に便乗して、アサマシき「なんでも金、金、金」…
   『●東京五輪、金(カネ)色の五つの輪…ボイコフ教授《五輪がごり押し
     されるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》を札幌でも…
   『●《カネ、カネ キャッシュ、キャッシュ 現金、現金 キャッシュッシュ》
     (統一協会「愛唱歌」)と同じ、カネカネカネ…金(カネ)色の五つの輪
   『●《権力の横暴とそれに従属するマスコミの報道姿勢への問題意識を燃料に
       書いてきた──。脚本家がそう明言するドラマが、地上波で放送…》

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25291

電通絡みの五輪不正続々と 巨額公費を貪る汚れたビジネスの祭典 国民の苦難よそに荒稼ぎ
社会 2022年12月16日

 東京オリンピックの開催から1年が経過した今夏以後、大会組織委員会や大会のマーケティング専任代理店を担った広告最大手「電通」、組織委理事など大会の中枢にいた者たちの間で汚れた金の動きが次から次に明らかになっている。11月末には、五輪のテスト大会の「実施計画立案」事業をめぐって企業が談合をおこなって不正に業務を受託していたことが発覚。ここでも電通が大会組織委内部と繋がって談合を主導しており、関係企業に対して東京地検特捜部と公正取引委員会が家宅捜索をおこなう事態に発展している。東京五輪が「汚れの祭典」と化していたことは誰の目にもあきらかで、このさい徹底的な捜査によって膿を洗い出す必要がある。


自由競争なき利権分け合い

 11月22日に、広告会社大手の「ADKマーケティング・ソリューションズ」(旧アサツーディ・ケイ)が、東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会をめぐる入札で不正があったことを公正取引委員会に自主申告していたことが発覚した。ここから談合をめぐる本格的な捜査が始まった。

     (電通本社への捜索(11月25日、東京都港区)

 企業が関与した入札談合やカルテルの違反内容を自主的に公正取引委員会に報告した場合、課徴金が減免もしくは免除される「課徴金減免(リーニエンシー)制度」がある。この制度は他者よりも早く申告すれば減免率が大きくなることに加え、調査開始前の最初の自主申告については課徴金や刑事告発も免れる仕組みとなっている。具体的には、1位が全額免除、2位が20%、3位~5位が10%、6位以下が5%となっている。また、2位以下はこれらに加え公取委への協力度合いにより最大40%の減免が追加されるため、2位なら最大で60%の減免を受けることができる。調査開始後の申請の場合は最大3社までが10%、それ以降は5%となっており、それぞれ協力度合いで最大20%減免が追加される。

 ADKが「抜け駆け」したような格好だが、今回の自主申告以後、この談合は大会組織委員会の窓口となるマーケティング専任代理店を担った広告最大手「電通」が主導していたことが明らかになった。そして東京地検特捜部と公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、談合疑いのある事業を落札した広告代理店やイベント製作会社9社のうち8社に対して、11月末までに一気に家宅捜索に入った。

 今回の東京五輪「テスト大会」事業をめぐる談合の構図は以下のようになっている【図①】。

 組織委は2018年、各競技の警備体制などを競技会場で確認する「テスト大会」の実施計画立案を委託する業務を発注した。同年5~8月に、計26件の一般競争入札が実施され、広告大手「電通」など9社と共同企業体1団体が落札した。

 それぞれの事業の契約額は約400万~6000万円で、総額は約5・4億円にものぼる。この契約をめぐり、業者間で事前に落札者を決めるなど、受注調整がおこなわれたとみられている。

 特捜部と公取委から家宅捜索を受けたのは、広告最大手「電通」をはじめ、広告大手「博報堂」と「東急エージェンシー」、それにいずれもイベント制作会社の「セイムトゥー」と「フジクリエイティブコーポレーション」「セレスポ」「電通ライブ」「FCC・セレスポ共同企業体」の各8社だ。

 今回の談合疑惑をめぐっては、広告代理店の「大広」だけが唯一捜索を受けていない。だがその大広も、五輪スポンサー募集業務の一部を担う「協力代理店」に選ばれるよう組織委の元理事側に働きかけ資金提供をした疑いで、9月に家宅捜索を受け役員が逮捕されている。

 この談合を主導していたのが電通だといわれている。テスト大会の運営を担っていた組織委運営局は2017年ごろ、電通側に各企業が希望する競技会場などの調査を依頼していたとされる。そして組織委に出向した電通関係者らが、各企業の意向を一覧にした表を作り、企業側と共有していたという。今月7日には「博報堂」の担当者らが特捜部の任意の事情聴取に対し、電通側に自社の受注希望を伝え、単独で応札する枠を確保してもらったなどと談合を認める供述をしたことが明らかになっている。

 さらに組織委や電通側は、企業側に対して下請けに入れたい業者まで個別に確認し、表にまとめていた疑いもある。競技によっては、落札業者だけでなく下請け業者も表の通りに決まっていたという。

 実際の落札もほとんどが事前に作成された表の通りになっていたとされるが、元々みずから受注者になることを希望していた業者が、組織委側とのやりとりの末、下請けに回ったケースが複数あったという。このように、下請けに入る代わりに入札には参加しないなど、複数の企業間で競争を制限する行為もあったとみられている。

 実際に、特捜部がおこなったADKホールディングスと電通の各グループ会社に対する家宅捜索では、下請け企業に対しても強制捜査が及んでいる。このなかで、イベント制作会社の「シミズオクト」と「トレス」の2社は下請けに入ることを条件に、談合がおこなわれていた一般競争入札には参加しなかった疑いがある。この2社はいずれも電通の下請け企業で、とくにトレスは従業員がわずか7人の小規模業者だ。こうしたところまで特捜部の捜査が及んでいることで、今後も芋づる式に新たな不正が明らかになる可能性も高いとみられている。

 今回談合が指摘されているのは、あくまでテスト大会のための「実施計画立案」事業の入札だ。しかし落札したそれぞれの企業は、その後の入札をともなわない形の「随意契約」によって、最終的な本大会の会場運営までも受託している。

 つまり、この談合はテスト大会のための「実施計画立案」事業だけのためにおこなわれ、契約額の5・4億円だけを分け合ったという話ではない。結果的にその後に連なるテスト大会の運営業務や本大会の運営業務など、すべての「実施運営」業務の契約を談合によって受託したことになる。本大会の運営まで含めると1件10数億円の業務もあり、その総額は公表されているだけでも192億円にのぼる

 これだけの規模の五輪予算を、電通を頭とする一部の企業が不正に受託し、実際の運営には大量の「ボランティア」を投入して経費を浮かし暴利を貪ったという事実を公にする必要があり、特捜部や公取委は徹底して不正を追及することが求められる。

 東京五輪で談合疑惑が浮上したのは今回が初めてではない。2014年の旧国立競技場解体工事の入札でも官製談合が疑われ、再入札がおこなわれる事態になった。

 さらに2016年には、競技施設の設計・施工の入札で極めて高い落札率が問題視された。ボートやカヌーの会場となった「海の森水上競技場」の入札をめぐっては、一つのJV(共同企業体)しか入札がなく、落札率は99・99%だった。また、バレーボールなどの会場になった「有明アリーナ」は二つのJVによる入札となったが、こちらも落札率は99・82%と異常な数字をたたき出している。


犯罪の陰に電通あり 組織委牛耳り不正談合

 東京五輪をめぐっては、現在問題になっている談合事件よりも先に、贈収賄が大きな問題となっていた。大会組織委の元理事だった高橋治之氏に対し、いくつもの企業が大会スポンサー契約に有利なとり計らいを受けるために多額の賄賂渡していたことが次から次へと発覚したのだ。「スポーツビジネスのドン」と呼ばれたこの高橋氏もまた、元電通幹部であり、ここでも電通の金に汚れた実体が浮き彫りとなった【図②】。

 まず公になったのが、紳士服大手「AOKIホールディングス」の青木前会長と高橋元理事との間での贈収賄だ。青木前会長は大会スポンサー契約などで有利なとり計らいを受けるために、2017年10月~今年3月の間に当時五輪組織委の理事をしていた高橋氏に対し、50数回にわたり5100万円の賄賂を渡していたとされる。青木会長は贈賄の過程で、
①スポンサーへの選定
②契約締結の迅速化
③公式服装優先供給権の追加
④大会延期に伴う追加スポンサー料減免
⑤公式ライセンス商品販売契約の迅速化
⑥速やかな商品の承認
 を要求し、その要求通り選手らが開会式と表彰式などで着る公式服装を担当した。

 また、青木前会長は高橋元理事への賄賂5100万円以外にも、組織委へ多くの費用を投じている。招致段階でも活動資金として約2億円を拠出し、さらに大会スポンサー料として5億円を支出。選手強化費名目で2億5000万円も投じた。この強化費は配分先や手数料を定める契約書を交わさずに電通子会社を通じて支出しており、少なくとも1億6000万円を高橋元理事が得ていたとされている。この件で高橋元理事は1度目の逮捕をされている。

 出版大手「KADOKAWA」も大会スポンサーの選定などで有利になるよう高橋元理事に依頼し、選定後に謝礼として約7600万円を高橋元理事側に送金していた。KADOKAWAは東京五輪の「オフィシャル出版サービスサポーター」として計10冊の大会関連書籍を販売して恩恵を受けた。この件では、KADOKAWAの元専務と元担当室長が逮捕され、賄賂を受託したとして高橋元理事は再逮捕、さらに高橋元理事の電通時代の後輩で、同氏と共謀して送金を受けたコンサルタント会社「コモンズ2」を経営する深見和政社長も逮捕された。

 次に問題になったのが、広告代理店「大広」だ。大広は大会スポンサー募集事業を担えるよう便宜を図ってもらった謝礼として、「コモンズ2」に計約1400万円を支払っていた。スポンサー募集業務は、組織委が「マーケティング専任代理店」として委託した電通が担っており、大広は電通からの業務を再委託される「販売協力代理店」になった。大広は自社が協力店に選ばれるよう高橋元理事に電通に働きかけるよう依頼していた。この件で大広の執行役員が逮捕され、高橋元理事は3度目の逮捕となった。

 さらに高橋元理事は、大手広告会社ADKホールディングスからも「販売協力代理店」への選定を依頼され、便宜を図った謝礼などとして計約4700万円を受領。さらに大会マスコットのぬいぐるみを販売した「サン・アロー」からも便宜を図るよう依頼され、計約700万円を受領していた。これら計約5400万円のうち、約2700万円が当時休眠状態だったコンサル会社に振り込まれていた。このコンサル会社の社長だった松井譲二氏も高橋元理事の知人だった。この件で高橋元理事は4回目の逮捕となった。

 大会組織委の理事である高橋氏や電通をも巻き込んだ一連の贈収賄事件をめぐっては収賄側3人、贈賄側12人が起訴されている。


転売される選手村 都が10分の1の価格で売却

     (東京都が路線価の10分の1で売却した選手村
      (東京都中央区))

 東京オリンピック・パラリンピックの選手村建設をめぐっても問題が浮上している。

 東京都は中央区晴海に所有していた埋め立て地約13㌶(東京ドーム3個分)を、選手村の建設用地として129億6000万円で売却することを決め、2016年に大手開発業者11社(三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産、東京建物、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、大和ハウス工業、三井不動産)で作る企業グループと譲渡契約を結んだ。

 だが、この土地について、周辺の路線価などから算出した適正価格は約1339億円で、売却額はその10分の1にも満たない。この問題をめぐって、都民の財産を不当に安く処分したとし、住民グループが都に対して、当時手続きを進めた舛添前知事などに適正価格との差額を請求するよう求めている。東京地裁は「選手村としての使用を前提とした土地で、収益や処分に制限がある」「土地の価格調査として手法や内要に問題はなく、価格は適正だ」として訴えを棄却。住民グループは東京高裁に控訴し、現在意見陳述などがおこなわれている。

 選手村を建てた大手開発事業者は、五輪終了後に選手村建物を活用して手直しし、新築マンションとして販売している。今年11月には260戸が6度目の販売で売り出されたが、すべての部屋に申し込みがあり、最高倍率は191倍にのぼった。こうして開発事業者は、都から安く買い上げた土地で大きな利幅を産みだしている。ちなみに開発事業者11社のうち7社に都幹部職員12人が天下りしているという。

 他にも、大会スポンサーだった駐車場サービス会社「パーク24」に対して今年9月、東京地検特捜部が家宅捜索に入り、幹部らを任意聴取した。同社は、2018年8月に「駐車場サービス」のために東京五輪組織委と「オフィシャルパートナー」契約を結んでいた。同社の社外取締役を務めていたのが、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和元会長である。報道陣からスポンサー契約に不正はないかと問われた竹田元会長は否定せず、「今後の結果が出ればすべてがはっきりすると思う」とのべていた。そして10月末には「一身上の都合」として社外取締役を辞任している。


反省なく「もう一度」 札幌招致叫ぶ厚顔無恥

 国際オリンピック委員会(IOC)は6日に記者会見を開き、札幌市が招致を目指している2030年冬季オリンピックの開催都市決定について、当初予定していた来年9~10月の総会(インド・ムンバイ)からさらに延期することを明らかにした。結論を先送りした理由については、「冬季五輪開催で懸案になっている気候変動への対応策協議が優先される」とした。だがこれとあわせて東京五輪をめぐる汚職事件や談合などの問題についても「疑惑を注視しており、全容解明にあらゆる関心を持っている」との見解を示した。

 2013年、IOC総会で東京五輪招致のため、安倍元首相が福島原発事故の影響について世界を欺いた「アンダーコントロール」発言から、嘘と金と疑惑にまみれた「汚れたちの祭典」は始まっていた

 招致時点では「世界一コンパクト」を旗印とし、東日本大震災からの復興を世界に示すことも目的の一つとされていた。関連予算は、13年時点では約7300億円。しかし、最終的に組織委が公表した経費は1兆6440億円へと倍増。夏季オリンピック史上最高額へと膨らんだ。

 これに加え、会計検査院は2018年度までの6年間で、国が関連経費など1兆600億円を支出したと指摘。さらに都も関連経費を7770億円と発表している。これらをすべて合わせる全体の経費は3兆円をこす

 その他、エンブレムの盗作問題から国立競技場のデザイン変更など、問題続きだった。さらに大会組織委が募集し採用された8万人のボランティアスタッフは、医療スタッフや通訳などのプロであっても「無償」、交通費や滞在費も自己負担(その後、1日1000円の交通費支給を決定)、原則10日以上稼働など、あまりのブラックぶりが問題になった。

 そして、ここへ来て大会組織委や電通など大会中枢に関わっていた人物や組織、企業による汚職や談合が次から次へと発覚する始末である。東京オリンピックの開催に対しては、もともと日本国内でも反発が強かったが、開催から1年が経過してみて改めて振り返ると「ここまでひどかったとは…」と世間の想像を遙かに上回る汚れっぷりだ。ここまで醜態を晒していながら、2030年冬季オリンピックの札幌招致は厚顔無恥にもほどがあるといえる。

 これほど“電通案件”の汚れた金の動きが明るみになっているなかで、電通は2025年大阪・関西万博にも本格的に食い込んでいる。11月末には公式キャラクター「ミャクミャク」のライセンス事業について、電通などで構成する共同企業体が「日本国際博覧会協会」と契約。万博協会は公式HPで契約情報を公開しており、これを見ると電通が落札した事業の公募要領には万博のプロモーション、企業・団体の万博参加の促進、パビリオンの設計、開閉会式や期間中のコンサートの編成とあり、イベントの中枢に居座ることとなる

 大規模なイベントが開催されるたびに巨額の公費が投入され、そこに群がった汚れたちが好き放題に暴利を貪る構図が明らかになっている。二重基準で有名な東京地検特捜部や公正取引委員会も無視できないほどの腐敗が進行しており、無条件に公費を投入する「五輪」のベールの下でおこなわれてきた不公正な取引と利権山分けの汚れたお祭り騒ぎについて徹底的にメスを入れることが求められている。
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●《権力の横暴とそれに従属するマスコミの報道姿勢への問題意識を燃料に書いてきた──。脚本家がそう明言するドラマが、地上波で放送…》

2022年11月09日 00時00分25秒 | Weblog

(2022年11月08日[火])
長澤まさみさん主演のフジテレビ系ドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(制作・関西テレビ)……色々と凄い。第一話で、「なんで冤罪事件?」というのがずっと分からずに引き込まれた。色々な意味での《マスコミの報道姿勢への問題意識》がひしひしと伝わってくる。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)
   『●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、
         ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》
   『●《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》…一方、ある記者は
     《「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。橋下市長より大人だ》った
   『●『教育と愛国』《教科書は誰のものか》…「そんなふうに、教科書
     検定だけではなく学校の現場に、有形無形の圧力が押し寄せている」
   『●『教育と愛国』…《教科書採択に「政治家がタッチしてはいけない…」
     …政治家はタッチしないのが当たり前なのだ》を理解できないアベ様
   『●斉加尚代監督『教育と愛国』…JCJ賞《選考委員から「ジャーナリストが
       決意を固めて取り組めばこれだけの作品ができることを示した」》
   『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
     ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》

 リテラの記事【長澤まさみ主演『エルピス』はなぜ安倍元首相の映像を使って権力とテレビの欺瞞を描いたのか? 脚本家・渡辺あやが抱いていた危機感】(https://lite-ra.com/2022/11/post-6242.html)によると、《10月24日にスタートした長澤まさみ主演のフジテレビ系ドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(制作・関西テレビ)が、話題を呼んでいる。というのも、10月31日放送の第2話で、なんと安倍晋三・元首相の「アンダーコントロール発言の映像が批判的に使用されたからだ。『エルピス』は、民放キー局・大洋テレビを舞台にし、スキャンダルによって報道番組のサブキャスターを降板させられたアナウンサーの浅川恵那(長澤まさみ)が10代女性の連続殺害事件の冤罪疑惑を追う……という“社会派エンターテインメント”作品。本作の脚本を手掛けるのは、第49回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したNHKの連続テレビ小説『カーネーション』や、映画『ジョゼと虎と魚たち』などで知られる脚本家・渡辺あや氏で、監督は『モテキ』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』をはじめとする映画作品やテレビドラマを手掛けてきた大根仁氏。プロデューサーはドラマファンから評価が高い『カルテット』(TBS)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ・フジテレビ)の佐野亜裕美氏が務めるとあり、放送前から注目を集めていた》。

   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの
              重大事故だというのに、この国は……
   『●世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ……
   『●金(カネ)色の五つの輪…《問題点を検証できる新聞のような
           メディアが軒並みスポンサーに入ってしまっては…》
   『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。汚染水の影響は、
             港湾内で完全にブロックされている」と強調した》
   『●「アンダーコントロール」な訳がない…そもそもウソにウソを
      重ねて、金(カネ)色の五つの輪をニッポン誘致しておいて
   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
   『●《アンダーコントロール》演出でアベ様らがCOVID19人災という
     「火事場」を作り、電通やパソナが《中抜きで大儲け》な「泥棒」を働く…
   『●《日本のメディアの閉塞状況》《閉塞するメディア、政権批判に
                   対して圧力がかかる不健全な言論状況》…
    「リテラの二つの記事【横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」57/
     政権の圧力を押し返した韓国のテレビ記者と、吉田調書報道を「誤報」
     にされた元朝日新聞記者が語った“日韓ジャーナリズムの差”】…
     《ドキュメンタリー映画『共犯者たち』(2017年製作)が上映され、
     「日本の『共犯者たち』は誰だ? 権力と『マスコミ』」と題された
     シンポジウムが開かれた…一方、日本のメディアの閉塞状況を語った
     のは、福島第一原発の吉田昌郎所長(当時)の調書報道を手がけた
     元朝日新聞記者の木村英昭氏、渡辺周氏の2人だった。ちなみに、
     渡辺氏はこの上映会・シンポジウムを主催したジャーナリズムNGO
     「ワセダクロニクル」の編集長でもある》」

   『●➀《吉田調書…取り消しという虚報扱い…メディアとジャーナリズムの
     将来に禍根》(青木理さん)…アベ様による「報道統制」が可能になった今

 カネ色の五つの輪一つとっても……核発電人災の原子力緊急事態宣言下でウラアリなオ・モ・テ・ナ・シだの、アンダーコントロールだの、果ては、復興五輪だのと嘯き、COVID19緊急事態事態宣言下でも《コロナに打ち勝った証》として五輪貴族やその取り巻きによる〝バカの祭典〟〝パソナ五輪〟を強行。一体どんな国?? 《スガさんの生命維持装置》としてのバカの祭典パソナ五輪スガ政権の祭典を強行する無為無策無能な政権。
 《メディアコントロール》から抜け出せなかった9年近くのアベ様・カースーオジサンの強権。さて、キシダメ首相の政権下ではどうだろうか? 《安倍政権の嘘を垂れ流し続けたメディアの責任・共犯関係に踏み込む『エルピス』》、《そのテレビをはじめとするマスコミの東京五輪における欺瞞性を真っ向から指摘》。

 ツイッターでつぶやくと、少なからぬ罵声を頂く飯塚事件も想起しました。『エルピス』では、警察による〝酷い〟取り調べで、自白が強要されています。死刑執行されてしまった久間三千年さんは自白さえなく、一貫して、無実を主張されていました。マスコミの報道も酷ければ、検察や裁判所も酷い。久間さんの死刑執行は、足利事件の再鑑定決定直後です。足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、久間さんの死刑が執行されていました。久間さんが死刑執行に値すると主張されても結構ですが、足利事件の再鑑定決定直後の2008年10月28日に執行するのはあまりに酷すぎないか。証拠の保全もデタラメ。せめて、2009年4月20日まで執行を猶予して、一体何の問題があったのだろうか?

   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
                飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行

    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、大変に大きな疑問である」

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●(FBS)【シリーズ『飯塚事件』検証】…《死刑執行は正しかった
     のか》? 罪なき人・久間三千年さんに対しての《国家による殺人》!
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》

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https://lite-ra.com/2022/11/post-6242.html

長澤まさみ主演『エルピス』はなぜ安倍元首相の映像を使って権力とテレビの欺瞞を描いたのか? 脚本家・渡辺あやが抱いていた危機感
2022.11.06 07:30

     (番組HPより)

 10月24日にスタートした長澤まさみ主演のフジテレビ系ドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(制作・関西テレビ)が、話題を呼んでいる。

 というのも、10月31日放送の第2話で、なんと安倍晋三・元首相の「アンダーコントロール発言の映像が批判的に使用されたからだ。

 『エルピス』は、民放キー局・大洋テレビを舞台にし、スキャンダルによって報道番組のサブキャスターを降板させられたアナウンサーの浅川恵那(長澤まさみ)が10代女性の連続殺害事件の冤罪疑惑を追う……という“社会派エンターテインメント”作品。本作の脚本を手掛けるのは、第49回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したNHKの連続テレビ小説『カーネーション』や、映画『ジョゼと虎と魚たち』などで知られる脚本家・渡辺あや氏で、監督は『モテキ』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』をはじめとする映画作品やテレビドラマを手掛けてきた大根仁氏。プロデューサーはドラマファンから評価が高い『カルテット』(TBS)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ・フジテレビ)の佐野亜裕美氏が務めるとあり、放送前から注目を集めていた。

 そして、ドラマ放送開始から、さっそく視聴者をざわつかせる台詞が飛び出した。第1話では、明らかに麻生太郎を模した副総理・大門雄二(山路和弘)がニュース番組に出演するため大洋テレビを訪れるのだが、「今日、何聞かれんだ?」と尋ねる大門副総理に対し、政治部官邸キャップの記者・斎藤正一(鈴木亮平)は「森友、止めてますので」と応答するのだ。

 ほんのわずかなシーンであったものの、地上波のドラマのなかで突然ぶち込まれた森友という実名。しかし、第2話ではさらに衝撃的な展開が待っていた。

 それは、長澤まさみ演じる主人公の浅川が、冤罪を訴えている松本良夫死刑囚(片岡正二郎)の担当弁護士・木村卓(六角精児)を訪ねたシーン。かつて浅川がサブキャスターを務めていた報道番組について話題が及ぶと、浅川は“信頼されるキャスターになりたかったが、そんな夢は一生叶えられないのだと知った”と言い、当時をこのように振り返りはじめる。

「サブキャスターになったのは2010年でした。その4月から降板するまでの6年間、自分があたかも真実のように伝えたことのなかに、本当の真実がどれほどあったのかと思うと……。苦しくて、苦しくて、息が詰まりそうになります。私にはいま、バチが当たっているのだと思います」

 この台詞のあと、浅川がサブキャスターを務めていた報道番組の回想が差し込まれるのだが、その中身はなんと、実際に政権とメディアが一体になって“嘘”を垂れ流したシーンの再現だったのだ

 まず、映し出されたのは、福島第一原発事故が起きた直後のスタジオ。浅川が「爆破弁というものを使い内圧を下げる作業ということですが、危険性はどうなのですか」と問うと、解説者は「いちばん最悪なことは格納庫が破壊されることなので、それを防げたという意味では成功したんだと思います。問題ありません」と語る。そう、1号機が爆発した際にメディアで繰り広げられた“安全神話”に基づく大嘘の解説が再現されたのだ。

 だが、もっとすごかったのは、このあとだった。画面が切り変わると、突然、安倍晋三・元首相の本物の映像が流れたのである。映像は、東日本大震災から2年後、IOC総会で安倍首相が東京への五輪招致をプレゼンしたときのもので、原発事故の影響について安倍首相が例の「the situation is under control.」と言い放ったシーンがそのまま、音声付きで流された。

 そして、安倍元首相のVTRを受けて、長澤まさみ扮する浅川が「安倍総理大臣は、福島第一原発の汚染水問題に懸念が出ていることについて、『状況はコントロールされており、東京に決してダメージは与えない』と述べ……」と、ニュースを読み上げた。


■安倍政権の嘘を垂れ流し続けたメディアの責任・共犯関係に踏み込む『エルピス』

 まさか、本物の安倍元首相が登場する実際のニュース映像を使い、あの「アンダーコントロール」発言を取り上げるとは……。繰り返すが、このシーンは「あたかも真実のように伝えたことのなかに、本当の真実がどれほどあったのかと自責の念に苛まれたキャスターの台詞のあとにつづくものだ。つまり、嘘を伝えたのではないかと問う場面で、安倍元首相の映像が使用されたのである

 脚本の渡辺氏といえば、前述したNHK朝ドラ『カーネーション』でも、先の戦争における日本の加害性に言及。また、近作でも、NHKで放送された連続ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』では、安倍・菅政権下で起こった数々の事件を想起させるエピソードを織り交ぜながら、権力者に対する忖度や蔓延る隠蔽体質をコメディとして風刺した。だが、本物の権力者の映像まで使って、現実の問題に踏み込んだ作品は、日本のドラマでははじめてと言っていいだろう。

 だが、『エルピス』に驚かされたのは、安倍首相の実際の映像を使って、その言動を批判的に描いたことだけではない。『エルピス』は民放テレビ局が制作・放送するドラマであるにもかかわらず、そのテレビをはじめとするマスコミの東京五輪における欺瞞性を真っ向から指摘していた。

 前述した主人公・浅川の回想シーンでは、安倍元首相の「アンダーコントロール」発言のあと、東京五輪の開催決定のシーンへと移る。そこでは、浅川が福島から中継をおこない、子どもたちに囲まれながら、満面の笑みを浮かべて「震災復興へのさらなる弾みとなると人々も大きな期待を寄せています。みんな、オリンピック決まって良かったね!」とレポートする姿が映し出された。

 いまさら説明するまでもないが、五輪の実態は「復興のため」などという美辞麗句とはかけ離れたものだった。予算は招致時の2倍にも膨らみ、被災地は完全に置き去りにされたまま。巨額の公金がつぎ込まれたにもかかわらず、政治家やJOC幹部、巨大広告代理店だけが利益を独占する構造がつくられ、あげくは、汚職事件で逮捕者が続出する事態となった。

 しかし、この嘘と不正にまみれた国家的イベントについては、マスコミ、テレビもまた、共犯者であることを、『エルピス』はきちんと表現したのだ。

 しかも、これはこの回のこのシークエンスでだけ、たまたま描かれたものではない。物語はまだ序章に過ぎないが、ドラマのメインテーマは国家権力の犯罪である「冤罪」であり、権力の横暴それに加担するマスコミの問題の責任を追及する姿勢が、ドラマ全体に貫かれている

 忖度体質が蔓延る日本のテレビ局でこんな骨太のドラマをつくり、放送することができていることにあらためて驚かされるが、その原動力となっているのは、脚本家・渡辺あや氏とプロデューサー・佐野亜裕美氏の強い危機感だ。

 『エルピス』放送開始にあわせて、雑誌のWeb媒体に掲載された渡辺氏の複数のインタビューを読むと、そのことがよくわかる。


■安倍政権下のメディア支配、言論の萎縮…脚本家渡辺あやが抱いた危機感と恐怖

 渡辺氏とプロデューサーの佐野氏の間で、『エルピス』の企画がスタートしたのは2016年。渡辺氏は当時のことを「ちょうど安倍政権の絶頂期みたいなときですよね」と語り、こうつづけている。

「当時、政権与党の批判が言えなくなっている萎縮した空気を感じていました。昔は、総理大臣や政治家の悪口なんてみんな平気で言っていたし、新聞にもそういう風刺漫画が普通に載っていたじゃないですか。それがこの10年くらいで、誰も言わないというか言っちゃいけないような風潮になって、それがものすごく怖かったんです」(現代ビジネス10月24日付)

 たしかに、安倍政権下での言論の萎縮は異常というしかないものだった。メディア、とくにテレビは、政権のスキャンダルや不正追及はもちろん、政策批判さえもできない状況に陥っていった。渡辺氏はある時期からこうした状況に対して強い危機感を抱くようになったのだという。

「お恥ずかしい話ですが、もともと私は政治にまったく興味がなくて、ほとんど選挙にも行かないようないわゆる“意識の低い”人だったんです。だけど、2013年に特定秘密保護法が強行採決によって成立した頃から、そんな私ですらさすがにおかしいと思うようなことが増えてきて……。
 それなのに、メディアがそれを全然報道しないことが気になっていました。テレビ局の方とドラマの企画開発をしていても、どうやら表現にいろいろな規制がかかっていて、現場が萎縮しているようだ……そんな空気をヒシヒシと感じたんです」(前出・現代ビジネス)

「それまで私はまったく政治に興味を持たずにいた人間ですが、権力側の暴走や表現・言論の自由の萎縮から生まれる“危機感”を抱きました。その頃は周りも政権に対して怖がっているムードがあり、マスコミも政府が明言したことしか報じない。これはさすがになにかおかしいと思いました」(CREA WEB10月23日付)

 まさに、権力のメディア支配、言論の自由の萎縮に対する恐怖が渡辺氏を突き動かしたのだ。そして、それはタッグを組んだ佐野プロデューサーも同様だった。

 渡辺氏は2人のこうした意識が作品づくりに反映されていたことを前出のCREA WEBのインタビューではっきり認めている。

「たぶん私と佐野さんが出会ったときからずっと抱えていた共通の問題意識は、権力の横暴とそれに従属するばかりのマスコミの報道姿勢のあり方なんですよね。それを燃料にして今回の脚本は書いてきたので」(前出・CREA WEB)


■各局に拒否された『エルピス』 このまま最終回まで無事放送できるのか?

 権力の横暴とそれに従属するマスコミの報道姿勢への問題意識を燃料に書いてきた──。脚本家がそう明言するドラマが、地上波で放送されていることに喝采を送りたくなるが、しかし、『エルピス』はまさにその「権力に従属する」マスコミの体質によって、“お蔵入り”になる寸前だった

 2016年当時、佐野氏はまだTBS所属のプロデューサーで、当然、TBSに『エルピス』の企画を持ちこむのだが、TBSでは、リスクが高いと却下されてしまったのである。佐野氏は、なんとか実現しようと他局にも企画持ち込んだが、これもすべて断られていた

 渡辺氏はインタビューでその理由についても、こう分析している。

「なぜこのドラマの内容にテレビ局が難色を示したかというと、マスメディアが犯罪などの事件や出来事に対して、誤報や、事実と確認されていないことを報道したらどういうことが起こるのかということが赤裸々に描かれているからだと思うんですよ。さらにはどこからどういう横やりが入るのか、報道がどのようにひるむのか、真実がどう闇に葬られていくのかということも」(前出・CREA WEB)

 そう、『エルピス』の内容がテレビの実態を暴き出していたからこそ、テレビ局はこれをドラマ化することを拒否したのだ。しかも、佐野氏はTBSのドラマ担当から外され、一時は絶望的な状況になっていた。

 しかし、佐野氏はあきらめず、2020年にTBSから大阪の準キー局である関西テレビに転職。同局で坂元裕二氏脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』を制作する一方、『エルピス』のドラマ化をかけあい、着想から6年後、ようやく実現にこぎつけたのである。

 関西テレビは、安倍政権と一体化していた御用テレビ最右翼のフジテレビ系列であるために、意外に思われる向きがあるかもしれないが、同局は、ネットワークとしてはフジ系列であるものの、フジサンケイグループには属しておらず、フジテレビほど、自民党との距離は近くない。とくに、ドラマ制作の部門には比較的リベラルな空気があり、作家性を尊重する姿勢も持っていることで知られている。

 しかし、だとしても、『エルピス』が制作・放送できたのは、渡辺氏もインタビューで「これはもう関西テレビさんのうっかりとしか言いようがないですね(笑)」と冗談を飛ばしていたように、たまたま幸運が重なっただけにすぎない。

 マスコミ、テレビの権力忖度体質はまったく変わっておらず、今後、これまで黙っていたフジテレビや関テレの政治部が途中で『エルピス』の内容に横槍を入れてくる可能性も十分ある。もっといえば関西圏が地盤でマスコミへの圧力体質を持つ世耕弘成・自民党参院幹事長あたりが関テレに圧力をかけてくる可能性もゼロではないだろう。

 渡辺氏もインタビューで、「私は、まだなんかあるんじゃないかと半信半疑でいますが」と語っていたが(前出・現代ビジネス)、これは冗談ではないだろう。

 実際、渡辺氏がここまでさまざまなインタビューに登場して、作品に込めた意図や経緯をはっきり明らかにしているのも、圧力や途中で内容を捻じ曲げてくるような動きに対して、何かあったらいつでも情報を公開するぞと牽制する意味合いもあるのではないか。

 第3話は明日11月7日に放送されるが、挑戦的でかつ完成度の高いこのドラマを無事に完結させるためにも、そして、テレビの状況が改善されて『エルピス』の後につづく作品が生まれてくるためにも、一人でも多くの人にこの作品を見てほしい。

(編集部)
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コメント (1)
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●《カネ、カネ キャッシュ、キャッシュ 現金、現金 キャッシュッシュ》(統一協会「愛唱歌」)と同じ、カネカネカネ…金(カネ)色の五つの輪

2022年10月22日 00時00分13秒 | Weblog

[※ 筑紫哲也 NEWS23とメディアの未来 望月衣塑子が尋ね 金平茂紀が語る (週刊金曜日、2021年12月03日1356号)↑]


 (2022年10月09日[日])
カネカネカネ、金(カネ)色の五つの輪につながる統一協会の合唱歌。ボイコフ教授は《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》。

 再掲します。カネカネカネ…余談ですが…思い出される。
 dot.の記事【【朝日ジャーナル #3】統一教会「霊感商法」の巨大な被害(1986年12月5日号)】(https://dot.asahi.com/dot/2022082600075.html)によると、《■呪術地獄を演出した巫女たちの証言 「因緑」や「霊能」を説いて印鑑や壺、多宝塔を売っていた体験を持つ数人に会った。どの人も、世界基督教統一神霊協会(統一教会)のかつての会員や信者だった、と自らを語った。彼らの話した「売る側の体験」は、被害者の目には神秘的とも映った霊感商法の舞台裏をさらけ出す》、さらに、《■迷い許さぬ上部指示 中部地方の元教会員の一人は、汽車ポッポの替え歌を教えてくれた。毎朝、印鑑売りに出かける前の“出発式”などで合唱し、景気をつけたという。こんな歌詞だ。カネ、カネ キャッシュ、キャッシュ 現金、現金 キャッシュッシュ 僕らはやるぞ 現金、現金、キャッシュッシュ S展、億展、勝利するぞ 畑も売る売る 家も売る おかあさん、がんばろう、がんばろう 浄財だ、浄財だ うれしいな》。
 札幌!? 冗談でしょ。カネカネカネ、金(カネ)色の五つの輪…まさに、ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》を、再度、やろうとしている。

   『●金(カネ)色の五つの輪の中止を! …《フタを開ければ、おぞましい
        ほどカネにまみれているのが五輪の実態なのだ》(金子勝さん)
   『●ボイコフ教授《新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、聖火
     リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している》
   『●《五輪利権をむさぼり尽くさずにはいられない豚の卑しさと…中国に
     「証し」とやらのマウントを取られたくないド腐れ猿の哀れすぎる性》
   『●金(カネ)色の五つの輪、《中止になって「万歳」でなく、3兆
     6000億円をどぶに捨てたのは誰だと責任追及しなければならない》
   『●ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、
     カネ、カネだ」…「そのカネのほとんどはアスリートではなく…」》
   『●《「パソナ」の純利益が前年の10倍以上》―― カネカネカネの金
     (カネ)色の五つの輪に便乗して、アサマシき「なんでも金、金、金」…
   『●東京五輪、金(カネ)色の五つの輪…ボイコフ教授《五輪がごり押し
     されるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》を札幌でも…

 AERAの記事【誰のため、何のための東京五輪だったのか 白井聡×望月衣塑子「五輪汚職」対談】(https://dot.asahi.com/aera/2022092800088.html)によると、《昨夏の東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が波紋を広げている。何のための五輪だったのか。なぜいま、捜査が行われているのか。政治学者・白井聡さんと東京新聞記者・望月衣塑子さんが語り合った》。
 もう一つのAERAの記事【白井聡×望月衣塑子「呪われた五輪」を振り返る 中止しなかった腐敗の構図とは?】(https://dot.asahi.com/aera/2022092800108.html)によると、《東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が波紋を広げている。コロナ禍に開催前から続いた数々の不祥事。「呪われた五輪」の腐敗の構図が次々と明らかになり、掲げられた理想は遠くかすむ。いったい、こんな五輪に誰がした──。政治学者・白井聡さんと東京新聞記者・望月衣塑子さんが語り合った》。

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https://dot.asahi.com/aera/2022092800088.html

誰のため、何のための東京五輪だったのか 白井聡×望月衣塑子「五輪汚職」対談
2022/10/02 08:00

     (海上に設置された五輪マークのオブジェ。風の影響で周りは
      波立っていた=2021年2月、東京都港区、
      朝日新聞社ヘリから)

 昨夏の東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が波紋を広げている。何のための五輪だったのか。なぜいま、捜査が行われているのか。政治学者・白井聡さんと東京新聞記者・望月衣塑子さんが語り合った。AERA 2022年10月3日号の「五輪汚職」特集の記事を紹介する。

*  *  *

白井:元電通専務で東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者の逮捕に端を発した「五輪汚職事件」で、検察による捜査が進んでいますね。ただ、東京五輪をめぐって「汚いカネ」が動いているんだろうなということは、ずいぶん以前からさまざまな識者から指摘されていました。

望月:英国の通信社ロイターも五輪前の2020年3月、高橋容疑者が招致委員会から820万ドル(当時のレートで約9億円)を受け取り、ロビー活動していたと報じていました。五輪招致疑惑でIOC(国際オリンピック委員会)委員だった際の収賄容疑が持たれているラミン・ディアク世界陸連前会長(セネガル)に腕時計などの贈り物をしたと。そういう情報は日本の検察にも入っていたはず。だけど開催までは黙っていたと。これはこれで罪な話です。


■メディアの姿勢は

白井:なぜいまになって捜査が行われているのか。私には安倍晋三さんという政治家が亡くなり、疑惑にふたをする「重しが取れた」ことが大きいとも見えますが、何よりも指摘したいのはメディアの姿勢の問題です。東京五輪の招致をめぐって19年、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和前会長がフランス検察当局の捜査対象になったときも、真相はどうなのかという追及をやろうとしなかった。これって要するに「新聞社がみんな五輪のスポンサーになっちゃったからでしょ?」っていう、ものすごくわかりやすい話に見えるんです。それをいまになって疑惑が広がっている状況を「驚きだ」みたいに伝えているのを見ると、あなたたちのカマトトぶりこそ驚きだ、と言いたくなります。

望月:これまで五輪のスポンサーは「1業種1社」に限られていたところを、今回の東京五輪では複数の新聞社がスポンサーになりました。「オフィシャルパートナー」として朝日、毎日、読売、日経の4社で各60億円。「オフィシャルサポーター」に北海道新聞と産経新聞で各15億円のスポンサー料を払うことになったと言われています。2008年の北京五輪で読売がオフィシャルパートナーになったとき、すごく儲けたらしいんです。他社からすると「今回は読売1社の牙城にさせまい」みたいな横並び意識もあったと思います。大会前、コロナの感染が爆発するなか菅義偉首相が「コロナに打ち勝った証しとして」などと言っているときに、スポンサーになった新聞社で社説に「中止せよ」と書けたのは朝日のみでした。メディア全体の論調として強く中止を形成していけなかった背景には、新聞社がカネ儲かるんだから、乗っかっておくかみたいなことをやって自ら利権に入り込んでしまった点も大きい。


東京新聞社会部記者 望月衣塑子(もちづき・いそこ、左):1975年、東京都生まれ。大学卒業後、中日新聞社(東京新聞)に入社。東京地検特捜部などを担当、事件を中心に取材。経済部などを経て現在、社会部遊軍記者/思想史家、政治学者 白井聡(しらい・さとし):1977年、東京都生まれ。京都精華大学教員。3・11を基点に日本現代史を論じた『永続敗戦論──戦後日本の核心』で第35回石橋湛山賞などを受賞した[写真/望月さん(本人提供)、白井さん(朝日新聞社)]


白井:私は五輪が始まる直前に、ある新聞社にコラム執筆を依頼されたんです。テーマは任せるというので、「五輪とメディア」について書きました。メディア企業がスポンサーになっていることで五輪の是非に関する報道はまずいことになっていないか。そして札幌五輪もやろうとしているようだが、再考した方がいいのではないかと。そうしたら掲載は不可。「原稿料は払います」と。載らないのに原稿料を受け取るのは嫌なので別テーマで書き直し、その原稿は改稿して別媒体に載せました。たぶんこの原稿はボツにされるぞ、と予期した上であえて試してみたんですが、やはり案の定でしたね。


■誰のため、何のため

望月:結局「誰のための、何のための五輪なのか」と考えると、「電通利権のための五輪なのでは?」という結論にならざるを得ないんです。高橋容疑者からすると、東京五輪という巨大なイベントを成功させるために──ここで言う成功はつまり、五輪を商業ビジネス的にいかに「稼げる」ようにするかということだと思いますが、そのために、おそらくさまざまなリスクも負って体を張ってやってるんだと。カネもらうくらい当たり前だろ、という感覚もあるかもしれない。でもこれほどに腐った面々が次々と明るみに出てくると、商業主義に浸りきってしまった五輪というものがそもそも本当に必要なのかという原点を問うてしまうし、何よりも選手にとって不幸ですよね。
 組織委は、スポンサー企業の選定やライセンス商品の承認などにも関わる中枢部局「マーケティング局」など、各部局の幹部に電通社員が多く出向していると聞きます。ライセンス商品をどうしても決めたかったりする企業が、規模は小さくても接待だとか高橋容疑者にやっているのと似たようなことをやっているのは想像に難くないですよね。だから、五輪利権=電通利権であるという感じかなという気がします。

(構成/編集部・小長光哲郎)

※AERA 2022年10月3日号より抜粋
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https://dot.asahi.com/aera/2022092800108.html

白井聡×望月衣塑子「呪われた五輪」を振り返る 中止しなかった腐敗の構図とは?
2022/10/03 08:00

     (東京招致が決定=13年9月、代表撮影)

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が波紋を広げている。コロナ禍に開催前から続いた数々の不祥事。「呪われた五輪」の腐敗の構図が次々と明らかになり、掲げられた理想は遠くかすむ。いったい、こんな五輪に誰がした──。政治学者・白井聡さんと東京新聞記者・望月衣塑子さんが語り合った。AERA 2022年10月3日号の記事を紹介する。

*  *  *

白井:まず、カネと利権。そもそも五輪に、それ以外のことってあったんですか?とさえ思う(笑)。だから私は、いま、さまざまな汚職が明るみに出始めて、ある意味ようやっと東京五輪が「本当に開幕したな」と感じています。だってもう最初から、「アンダーコントロール」というウソから始まり、「(東北のための)復興五輪」という意味不明な言葉、国立競技場の建て替えをめぐるごたごた、エンブレム選び、開会式直前に楽曲担当者と演出担当者が降板に至るスキャンダル、組織委会長だった森喜朗氏の女性蔑視発言と引責降板、マラソン・競歩開催地移転にコロナ禍で強行開催──もう本当にすべてが「恥ずかしい」の一言でしたから。

望月:でもたとえば森さんの女性蔑視発言などは、明るみに出て海外にも報道され、日本の人権意識やジェンダー意識の低さが露呈したからこそ、日本で「あ、これって異常なんだ」と気づくことができた人も多いと思います。東京五輪で数少ない「良いこと」かも。今回の汚職でいろんなことが明らかになっていることも同様です。

白井:問題は、その気づきを得るために何兆円かかっているのか、ということですよ。
 なぜ、東京五輪がここまで呪われたものになっているのか。根本の動機が不純だからだと私は思います。動機とは、さかのぼれば3.11を利用したことです。
 バブル崩壊以降、日本は経済と暮らしがどんどん右肩下がりになってきて、「平和と繁栄の戦後」というイメージが維持できなくなっていた時に、東日本大震災と原発事故が起きた。本当ならそこで、「あ、戦後の肯定的なイメージをこのまま持続することはもう、絶対にできないんだ」と立ち止まり、見つめ直さないといけなかった。だけど、それは嫌だと。「日本はすごいんだ」と引き続き思い込みたくて「ここは東京でオリンピックだ!」となったわけです。大阪万博開催も同じ動機だと思います。要するに、高度成長期へのノスタルジーで、厳しい現実を否認しようとする、その「否認の欲望の塊のイベント」が東京五輪だった。


東京新聞社会部記者 望月衣塑子(もちづき・いそこ、左):1975年、東京都生まれ。大学卒業後、中日新聞社(東京新聞)に入社。東京地検特捜部などを担当、事件を中心に取材。経済部などを経て現在、社会部遊軍記者/思想史家、政治学者 白井聡(しらい・さとし):1977年、東京都生まれ。京都精華大学教員。3・11を基点に日本現代史を論じた『永続敗戦論──戦後日本の核心』で第35回石橋湛山賞などを受賞した[写真/望月さん(本人提供)、白井さん(朝日新聞社)]


■歴史も記憶も壊す

望月:本当にそうですね。

白井:で、いわばその欲望を政治的に代表していたのが、安倍晋三さんという政治家だったと思います。
 たとえば会場となった国立競技場。あれは旧国立競技場を改修して使う手もあったと思うのですが、そんな否認の欲望によるイベントの結果、本当にかけがえのない歴史や記憶も壊しましたよね。私、さんざん五輪の悪口を言っていますけど、スポーツを見るのは本来、大好きなんです。旧国立競技場ではサッカーなどの名勝負や名場面が本当にたくさんあって、私にとっては大切な記憶です。それを金儲けと、否認の欲望を持続させたいがためにぶっ壊した。その恨みは一生忘れませんよ。

望月:五輪の開催地では再開発や、樹木が伐採されるなど自然環境破壊含めて必ずトラブルが起きますよね。これを機会に、本当に五輪の開催はもうやめてほしいと思います。
 あらためて振り返っても、東京五輪は開催すべきではありませんでした。当時の首相の菅さんがなぜ「中止」という英断をできなかったか。あの夏、コロナの感染が拡大して、救急車を100回呼んでも来ないとか死者の急増とか本当に深刻な状況でした。そんな中で、児童を全国で128万人、都内で90万人、大会観戦に動員する「学校連携観戦プログラム」という話があって、それに菅さんが「私も学生時代に東洋の魔女を見て感動したから」とか言って実現にすごくこだわってました。本当は学校内での集団感染が増えているという統計が出ていたのに、それもあえて発表せずに、です。コロナ感染に対する菅さんの甘さは際立ってひどかったと思います。なぜそこまで、「盛り上げ」たかったかというと、「五輪をやったオレ」という「菅レガシー」を作りたかったのと、あとはもうIOC(国際オリンピック委員会)も含めた巨大な五輪利権──高橋容疑者どころではない規模の──にどっぷりと浸かり、「とにかくやれよ、菅」というプレッシャーの中で、彼は決して退くことはできなかった。そういう状況もあったのではと思います。
 他にも、日本看護協会に500人のスタッフ動員要請が出て、批判を受けて取り下げたものの結局1日に医者230人、看護師310人もの人が五輪のために働くことになった。感染状況を考えると医療機関は猫の手も借りたい時期に、です。本当に、人の命を軽視する国だなと思いましたね。
 かと思えばその裏では、組織委の1日当たりの単価が人によって「80万円」だという内部告発がTBSの報道特集で報じられ話題になりました。お金がなく学校進学をあきらめる人がいる一方、税金から1人1日80万の手当が出るのはなぜか。こうやって振り返っても、なんかもうめちゃくちゃでしたね。


■命を軽視する国

白井:開催費用もどんどん青天井で膨らんでいって、最終的には約3兆円。招致段階の大会経費は7340億円ですから、約5倍に膨れ上がったことになる。他の開催国と比べても桁違いに大きい金額です。2020年の年末時点で追加経費2940億円が決まり、その時点で経費が1.64兆円になる見通しになったときには、森喜朗さんが「きちんと理屈はついている」などと言って、五輪と言えばいくらでもお金が出るみたいな状況になっていった。結局、問題は現代日本人の「たかり根性」ですよね。朝日新聞を含むメディア企業も、このイベントに社会的正当性があるのか一切考えずに翼賛に走った。その落とし前をどうつけるんだということがついに問われているのです。

望月:かくいう我が東京新聞も、社説では中止をとは書けず、「コロナ禍の東京五輪、大切な命を守れるのか」しか書けなかった。スポンサーにこそなってないけど、営業や事業局などでは儲けのチャンスがあるからだと。編集の現場とは全く違う論理で動く仕事とはいえ、そういう論理が結局、社説にまで影響していると思うと……。少しでも旨味が欲しいのが企業の本音とはいえ、残念です。


■自浄作用失った社会

白井:本当に、そういう私たち社会の醜さこそ金メダル級ですね。安倍政権が超長期政権化して「体制」化した日本にふさわしい醜さですよ。「とにかく儲かりさえすればよい」ということで歯止めがまったくかからず社会全体で暴走してしまった。残念ながら、検察による捜査・勾留という、国家の暴力装置を介した「合法的な暴力」でしか解決できない状況になったということですね。これは山上徹也容疑者のしたこととある意味で同じなんですよ。暴力が合法か非合法かという違いがあるだけで。自浄作用を失った社会の末路です。
 この疑獄は、相当大きく発展していく可能性があると思います。というか、捜査が政界までいかなきゃ意味がない。

望月:先ほど、いろんな暗部が明るみに出るのは五輪で数少ない「良いこと」だと言いましたが、それによって社会にショックを与え、私たちの五輪に対する考えの目が覚めるかというと、また別の話なんですね。読者は旧統一教会に関するニュースにはすごく反応するが、AOKIやKADOKAWAの逮捕劇では反応が弱いと聞きます。世の中の人たちにとっては、まだ身に迫るものがない。菅さんが「コロナに打ち勝つために五輪を」と言う一方で多くの死人が出るなど、肌感覚で身近に危機が感じられ、名の知られた政治家がシンボリックな形で罪に問われたとなると、世の中の五輪に対する空気も変わると思います。

白井:ただ、五輪のことを追ってきた人にとっては、今回最初に逮捕されたのが高橋治之さんだったというのは、「お、いきなりこの人来たか」と感じましたよね。捜査の本気度をじゅうぶん予感させるものでした。

望月:いま捜査に入っているのが地検特捜部の主に政治家や官僚などの汚職、贈収賄事件を担当する班なので、誰かしら政治家をターゲットにしているのではと私も思います。事件の広がりが大きいのでお金のルートを絞り込み、「これは」というところで踏み切ってくると見ていますけど。ここまでの大きな疑獄事件になって、札幌五輪への「悪影響」が言われていますが、このままいけば札幌五輪でも「汚職の構図」は変わりません。ここは潔く、開催をやめるべきだと思いますね。

(構成/編集部・小長光哲郎)

※AERA 2022年10月3日号より抜粋
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●《7月に…安倍晋三元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗隊が参列…防衛相の指示で行った…。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった》

2022年09月22日 00時00分00秒 | Weblog

[※ 「「国葬」という憲法違反」(週刊金曜日 1391号、2022年09月02日) ↑]


/ (2022年09月05日[月])
実弟・岸信夫元防衛相、正気なのかね? (リテラ)《実兄である安倍晋三氏の死を受けても、いまなお統一教会との関係を断つことを明言しなかった》…統一協会問題でも、醜態をさらしたが、これも酷いな。兄の国政の私物化も酷かったが、ホントなのかね? キシダメ首相は知ってた、それとも、知らなかった??
 柚木まり記者による、東京新聞の記事【元首相の家族葬に儀仗隊派遣、戦後は安倍氏だけ 実弟・岸防衛相が指示】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198630)によると、《7月に行われた安倍晋三元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗隊(ぎじょうたい)が参列したのは、戦後の首相経験者の家族葬では初めてだった。防衛省が本紙の取材に明らかにした。防衛省・自衛隊の弔意表明の一環として、安倍氏の遺族の意向を確認し防衛相の指示で行ったと説明している。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった》。

 清水潔さんのつぶやき: 《これはすごい。ある意味これ国葬よりやばくないか? 弟が安倍元首相ために(ひと1人のために)勝手に自衛官を使ったのだ。やりたい放題の家系。》(https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1564176248833998850)、また、《自衛隊が安倍元首相の葬儀に使われていたことを岸田首相は知っていたわけですよね? 許可し、それを国民に隠していれば問題。まさかとは思うが、知らなかったならそれこそ大問題自衛隊の最高指揮官が知らぬうちに勝手に自衛隊が動いていた事になる》(https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1564190142859841538)。

   『●「我が軍」的自衛隊の「違憲」状態を「合憲」へと改めず、
            憲法を「壊憲」して「違憲」を解消する!?
   『●要《戦争絶滅受合法案》!: 憲法9条第2項抹殺…
      …戦争したくてしょうがないアベ様ら自公与党議員達
    「《戦力不保持と交戦権の否認を定めた条文》憲法9条第2項を抹殺
     …アベ様の「我が軍」を持ち、国外に進軍したいらしい。
     「軍拡」は必然だ。そんなに「人殺し」に、戦場に、子や孫を
     行かせたいのならば、まずは、アベ様ら自公議員が行けばいい。
     《戦争絶滅受合法案》をまずは、制定して下さい」

 アベ様の「我が軍」という訳だ。
 日刊ゲンダイの記事【安倍元首相の家族葬に陸自「特別儀仗隊」が参列、実弟の岸信夫前防衛相が指示】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310504)によると、《儀仗隊の家族葬への参列は、防衛省の前身である防衛庁長官経験者の家族葬で3例あり、同省は自衛隊の最高指揮官の立場を経験した安倍元首相についても同じ対応をしたと説明した。法的根拠に関しては、磯崎仁彦官房副長官が記者会見で「自衛隊の礼式は防衛省令の定めるところによる」とする自衛隊法6条を挙げている。しかし「なぜ安倍元首相だけが特別だったのか」に関する説明はなく、疑問はくすぶったままだ》。

 《やりたい放題の家系》(清水潔さん)。死してなお私物化かぁ…。
 生前、アベ様は、金(カネ)色の五つの輪・オリンピックに反対する者は《反日的》と仰っていた訳ですが、いまさらですが、反社・反日の統一協会票を差配していたアベ様やズブズブ壺壺ヅボヅボの自民党のほうこそ《反日的》ですよねぇ? 誰かに向かって《反日》などと言いたくはないし、言いませんが、あえて、皮肉の一つも言いたくなります。

   『●前川喜平さん《「暴力と言論」…言論の衰退と暴力の増長の悪循環を
     止めるには言論を立て直すしかない。だから今言論が委縮してはいけない》
   『●《メディアコントロール》という置き土産 … 《新聞・テレビはこの
      宗教団体の名前を報じていないが、ネット上では「統一教会」…》
   『●《彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争が
     できる国への道づくりだった》…それを支持する「1/4」と「2/4」
   『●《「民主主義への挑戦・冒涜」という点で言えば、それこそ安倍政権の
        8年とは、まさに民主主義への挑戦と冒涜、否定の連続であった》
   『●《元首相の死によってすべての疑惑を闇に葬り去るどころか、安倍氏を
     神格化しようとしている》…「民主主義を断固として〝破壊〟する決意」
   『●「不気味な兆候」は既に現実になっている…《まさに言論の砦たる
        メディアとメディア人の役割が問われています》(青木理さん)
   『●《少数意見を尊重し、歩調を合わせようと努めて議論を重ね、成り
     立ってきた戦後民主主義ではないか。それを「聞かない」とは。…》
   『●《メディアコントロール》は続いている…《だからといって、政治》と
     統一協会の《関係について徹底追及がおこなわれているわけではない》
   『●武田砂鉄さん《繰り返し問題視されてきた団体…付き合いが深い議員…。
      再発防止のためにも、宗教と政治の関係を洗い出すのが必要不可欠》
   『●つまり、アベ様は《堂々と、司法の場でも違法性が指摘されている》
     統一協会の《実質トップの名前を自ら挙げ、敬意を表したのである》
   『●キシダメ首相は「民主主義を断固守る」ために国葬を行うというが、
     (政界地獄耳)《よほど民主主義を逸脱し独裁的ではないのか》?
   『●統一協会名称変更問題…《実体が変わらないのに、名称を変えることは
         できない》はずなのに、《あり得ない》ことがなぜ可能になったの?
   『●元文科相からして、統一協会とズブズブだったのではないのか? 反面
      教師として、文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』に載せては?
   『●伊達忠一前参議院議長が元総理に統一協会票を依頼したと驚きの証言…
     《今回…安倍さんは…。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』…》
   『●汚染責任者アベ様という壺の蓋が割れた瞬間に、自民党“統一協会汚染”
      物質が壺から噴出…衆参院議長、防衛相、文科相、国家公安委員長…
   『●《暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または
     個人》=統一協会…《自民党が大っぴらに反社とつながっていることに》
   『●茂木敏充幹事長、統一協会と「党としては一切関係がない」…《その
     爛れた関係が岸信夫防衛相や二之湯智国家公安委員長、末松信介文科相…》
   『●《法外な寄付を集め、家庭を崩壊させるような活動が問題に…次々と関与が
       判明する自民党こそ、教団との関係を国会の場で丁寧に説明すべき》
   『●《このように安倍氏の一存で統一教会の組織票の差配が決まっていたと
     すれば…》…もはや開いた口が塞がらないよ。どこまでズブズブだったの?
   『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、
      弱きをへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》
   『●統一協会汚染議員一掃…《支持者こそが提言しなければならない善後策
      …あれだけ奉り続けた…元首相が、彼らのせいで殺されたのだから》
   『●斎藤貴男さん《安倍政治の最大の罪は、民主主義を完全に形骸化し、
     日本社会を根底から腐らせたこと…》《ネポティズム》《冷笑主義の蔓延》
   『●《〈関連団体とは存じ上げませんでした〉…「統一教会の何が問題
     なのか正確に承知していません」…しらじらしいにも程がある》お維
   『●悍ましい構図…さらには、アベ様が票の差配までするほどズブズブ
       ヅボヅボだった訳ですが、そんな自民党に投票するとはねぇ…
   『●統一協会…《自民党の政策決定や政権運営にどのような影響があった
     のか、真相を解明して再発防止策を講じる》べきなのに、全くその気無し
   『●憲法53条…《本来国会は開かなければならないが、安倍内閣では
     その要求を無視し続けていたことがある。岸田政権も応じる気がない》
   『●《自民党右派…政界の右派のみならず、それを支える日本最大の右派
     改憲団体、日本会議など》も統一協会と《「蜜月」関係を築いてきた》??
   『●統一協会が《法令に反するなどの例》は山のようにある訳で、《実体が
       変わらないのに、名称を変えることはできない》ことに何の問題?
   『●第2次キシダメ改造内閣の悲惨な船出 ―――― 統一協会非汚染者
     による組閣や役員人事もままならない、ズブズブヅボヅボな自民党…
   『●《安倍元首相の側近で、安倍派内ではポスト安倍の一番手》だった
     萩生田光一政調会長は加計学園問題等だけでなく、やはりヅボヅボだった…
   『●《保守の安倍が反日カルトとつながった》? 《保守ではなく、反日の
     エセ保守…支持してきたのは新自由主義勢力と政商とカルトの複合体》
   『●【適菜収 それでもバカとは戦え/戦後を代表する“ホラ吹き”安倍
    元首相の「思い出に残るデマと嘘」】…息吐く様にウソをつくアベ様
   『●《他人の不幸に付け込み…壺などを売りつけ、信者の家庭を破壊する
     カルト教団に「信教の自由」などないことを、メディアは自覚すべき》
   『●臨時国会どうなった? ゴルフをやってる場合だったのか? 質問したい
          「右派記者」と質問する気のない「左派記者」ももっと突っ込んでよ
   『●票の差配をするほどズブズブヅボヅボなアベ様という壺の蓋…《壺の蓋が
            吹っ飛んで…中から…熟成された汚物が出てくる、出てくる…》
   『●《この国の為政者たちが誰を見て誰のために政治をやっているのか、
     憲法改定をはじめとする諸政策が目指す方向性とも深くかかわっている》
   『●《元首相が殺害されて以降の岸田氏は権力欲の権化だ。統一教会で大揺れ
      の政局に乗じて…国民支配をもくろむ。…民意ごとき屁でもない…》
   『●《自慢の「聞く力」とはなんだったのかと思わせるほど、国民世論はまる
     で耳に入っていないし、いわんや「バカ」呼ばわりまでしてバカ》なの?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/198630

元首相の家族葬に儀仗隊派遣、戦後は安倍氏だけ 実弟・岸防衛相が指示
2022年8月29日 06時00分

     (自衛隊の儀仗隊(イメージ))

 7月に行われた安倍晋三元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗隊(ぎじょうたい)が参列したのは、戦後の首相経験者の家族葬では初めてだった。防衛省が本紙の取材に明らかにした。防衛省・自衛隊の弔意表明の一環として、安倍氏の遺族の意向を確認し防衛相の指示で行ったと説明している。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった。


◆元防衛庁長官の家族葬には3例

 政府がかかわった首相経験者の公的な葬儀は、1967年の吉田茂氏の国葬以降、2020年の中曽根康弘氏の内閣・自民党合同葬まで11回ある。すべて儀仗隊が参列した。安倍氏の家族葬のように、政府が関与しない首相経験者の私的な葬儀は個別に行われてきたが、儀仗隊参列は「確認できる範囲において、安倍氏以外はない」(同省陸上幕僚監部)という。

 一方、防衛省の前身の防衛庁長官経験者を対象にした家族葬への参列は3例あったという。同省は「元防衛庁長官等の家族葬で、遺族の意向を踏まえ儀仗を実施した」と説明した。首相として自衛隊の最高指揮官の立場を経験した安倍氏についても同じ対応をした。

 私的な葬儀に儀仗隊が参列した法的根拠について、磯崎仁彦官房副長官は記者会見で「自衛隊の礼式は、防衛省令の定めるところによる」とする自衛隊法6条を挙げた。

 安倍氏の家族葬は7月12日、妻の昭恵さんが喪主を務め、東京都港区の増上寺で営まれた。9月27日に予定される安倍氏の国葬への儀仗隊参列は「現時点で未定」(内閣府の準備事務局)という。

 防衛省ホームページによると、儀仗隊は海外からの国賓を送迎する際などに、国際儀礼に基づいた儀式を行う。国民を代表して敬意を表する意味合いを持つ。(柚木まり

【関連記事】安倍氏「家族葬」に陸自の儀仗隊を派遣 自衛隊法6条根拠と磯崎副長官 「私的な葬儀なのに」疑問の声も
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/192503

安倍氏「家族葬」に陸自の儀仗隊を派遣 自衛隊法6条根拠と磯崎副長官 「私的な葬儀なのに」疑問の声も
2022年7月29日 13時18分

     (自衛隊の儀仗隊(イメージ))
     (12日、葬儀を終え増上寺を出た安倍晋三元首相のひつぎを
      乗せた車列(右列)=東京都港区で、本社ヘリ「あさづる」から)

 参院選の街頭演説中に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の葬儀に、陸上自衛隊の特別儀仗(ぎじょう)隊が参列していた。磯崎仁彦官房副長官は28日の記者会見で、儀仗隊の参列について「自衛隊の最高指揮官だった元首相の葬儀に際し、防衛省・自衛隊としての弔意を表すため」だと説明した。

 磯崎氏は法的根拠に関し「自衛隊の礼式は、防衛省令の定めるところによる」とした自衛隊法6条を挙げた。過去にも首相や防衛相経験者らの葬儀で「遺族の意向も踏まえ、儀仗を実施している」と述べた。

 安倍氏の葬儀は今月12日、妻の昭恵氏が喪主を務める家族葬として、東京都港区の増上寺で営まれた。

 本紙には読者から「私的な葬儀なのに、どのような根拠で自衛隊の派遣を指示したのか、明らかにするべきだ」という内容の投稿があり、28日付朝刊に掲載。この投稿を受け、本紙は政府に見解をただした。(柚木まり

【関連記事】国葬、戦前は「民主主義とは相いれない儀式」 安倍元首相で実施なら国会であり方議論を 日本近代史研究者
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●《元首相が殺害されて以降の岸田氏は権力欲の権化だ。統一教会で大揺れの政局に乗じて…国民支配をもくろむ。…民意ごとき屁でもない…》

2022年09月16日 00時00分21秒 | Weblog

[※ 統一教会との関係 「わからなかった」から「答える必要はない」まで 国会議員たちの弁明 (週刊金曜日 1390号、2022年08月26日号) ↑]


(20220831[])
国葬について、キシダメ首相が閉会中審査で言い訳するそうだ (しました)。でも、憲法53条に従い、臨時国会を開催しなさいよ。なに平然と違憲をかましているのか。そして、まずは、法的根拠・見積明細書・海外要人リスト等々の提出を。国葬強行など、《よほど民主主義を逸脱し独裁的》なキシダメ首相。ましてや、〝箕部〟元幹事長からは《バカ呼ばわりまでされてしまったよ…。断固、アベ様の国葬反対!
 東京新聞の記事【首相、国葬「正面から答える」 閉会中審査に出席へ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/199115)によると、《岸田文雄首相は31日、新型コロナウイルス感染による10日間の療養期間を終えて記者会見に臨んだ。安倍晋三元首相の国葬に関する国会の閉会中審査に出席する考えを表明。「国民に弔意を強制するものではないが、説明が不十分との叱責を受けている実施を判断した首相として真摯に受け止め、正面から答える責任がある」と述べた。多数の海外要人が参列を希望しているとして「各国からの敬意と弔意に、国として礼節を持って応えることが必要だ」と説明した。閉会中審査については「国民に見える形で、私の決断について、質疑にお答えする機会をいただきたい」と語った》…国会を開きなさいよ!

 日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/岸田首相は“人格破綻”が垣間見え…安倍晋三元首相殺害以降は権力欲の権化に】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310580)によると、《安倍晋三元首相が殺害されて以降の岸田氏は権力欲の権化だ。統一教会で大揺れの政局に乗じて、己の派閥(宏池会)による国民支配をもくろむ。国政選挙のない、いわゆる黄金の3年間は、民意ごとき屁でもないらしい》、《「…国葬は彼らの違法行為を励ますためにも使われます」…。郷路弁護士の言う統一教会式のロジックに現政権もなお支配されたままでいる》。ツボの蓋は割れたというのに、ヅボヅボの関係から足を洗う気は無いらしい。

   『●ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、
     カネ、カネだ」…「そのカネのほとんどはアスリートではなく…」》

 余談ですが…カネカネカネ、金(カネ)色の五つの輪につながる統一協会の合唱歌。ボイコフ教授は《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》という指摘が思い出される。
 dot.の記事【【朝日ジャーナル #3】統一教会「霊感商法」の巨大な被害(1986年12月5日号)】(https://dot.asahi.com/dot/2022082600075.html)によると、《■呪術地獄を演出した巫女たちの証言 「因緑」や「霊能」を説いて印鑑や壺、多宝塔を売っていた体験を持つ数人に会った。どの人も、世界基督教統一神霊協会(統一教会)のかつての会員や信者だった、と自らを語った。彼らの話した「売る側の体験」は、被害者の目には神秘的とも映った霊感商法の舞台裏をさらけ出す》、さらに、《■迷い許さぬ上部指示 中部地方の元教会員の一人は、汽車ポッポの替え歌を教えてくれた。毎朝、印鑑売りに出かける前の“出発式”などで合唱し、景気をつけたという。こんな歌詞だ。カネ、カネ キャッシュ、キャッシュ 現金、現金 キャッシュッシュ 僕らはやるぞ 現金、現金、キャッシュッシュ S展、億展、勝利するぞ 畑も売る売る 家も売る おかあさん、がんばろう、がんばろう 浄財だ、浄財だ うれしいな》。

   『●「統一協会、暴力団、日本会議に神道議員連盟…どうするの」と
     ヤジり返して、アベ様にそれらの真偽を確認してもらうべきだった
   『●あとの祭り…《故人の過大評価、美化・神格化…「安倍元首相の悲願は
        憲法改正」「憲法改正が安倍元首相の夢だった」》の垂れ流し…
   『●前川喜平さん《「暴力と言論」…言論の衰退と暴力の増長の悪循環を
     止めるには言論を立て直すしかない。だから今言論が委縮してはいけない》
   『●《メディアコントロール》という置き土産 … 《新聞・テレビはこの
      宗教団体の名前を報じていないが、ネット上では「統一教会」…》
   『●《彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争が
     できる国への道づくりだった》…それを支持する「1/4」と「2/4」
   『●《「民主主義への挑戦・冒涜」という点で言えば、それこそ安倍政権の
        8年とは、まさに民主主義への挑戦と冒涜、否定の連続であった》
   『●《元首相の死によってすべての疑惑を闇に葬り去るどころか、安倍氏を
     神格化しようとしている》…「民主主義を断固として〝破壊〟する決意」
   『●「不気味な兆候」は既に現実になっている…《まさに言論の砦たる
        メディアとメディア人の役割が問われています》(青木理さん)
   『●《少数意見を尊重し、歩調を合わせようと努めて議論を重ね、成り
     立ってきた戦後民主主義ではないか。それを「聞かない」とは。…》
   『●《メディアコントロール》は続いている…《だからといって、政治》と
     統一協会の《関係について徹底追及がおこなわれているわけではない》
   『●武田砂鉄さん《繰り返し問題視されてきた団体…付き合いが深い議員…。
      再発防止のためにも、宗教と政治の関係を洗い出すのが必要不可欠》
   『●つまり、アベ様は《堂々と、司法の場でも違法性が指摘されている》
     統一協会の《実質トップの名前を自ら挙げ、敬意を表したのである》
   『●キシダメ首相は「民主主義を断固守る」ために国葬を行うというが、
     (政界地獄耳)《よほど民主主義を逸脱し独裁的ではないのか》?
   『●統一協会名称変更問題…《実体が変わらないのに、名称を変えることは
         できない》はずなのに、《あり得ない》ことがなぜ可能になったの?
   『●元文科相からして、統一協会とズブズブだったのではないのか? 反面
      教師として、文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』に載せては?
   『●伊達忠一前参議院議長が元総理に統一協会票を依頼したと驚きの証言…
     《今回…安倍さんは…。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』…》
   『●汚染責任者アベ様という壺の蓋が割れた瞬間に、自民党“統一協会汚染”
      物質が壺から噴出…衆参院議長、防衛相、文科相、国家公安委員長…
   『●《暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または
     個人》=統一協会…《自民党が大っぴらに反社とつながっていることに》
   『●茂木敏充幹事長、統一協会と「党としては一切関係がない」…《その
     爛れた関係が岸信夫防衛相や二之湯智国家公安委員長、末松信介文科相…》
   『●《法外な寄付を集め、家庭を崩壊させるような活動が問題に…次々と関与が
       判明する自民党こそ、教団との関係を国会の場で丁寧に説明すべき》
   『●《このように安倍氏の一存で統一教会の組織票の差配が決まっていたと
     すれば…》…もはや開いた口が塞がらないよ。どこまでズブズブだったの?
   『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、
      弱きをへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》
   『●統一協会汚染議員一掃…《支持者こそが提言しなければならない善後策
      …あれだけ奉り続けた…元首相が、彼らのせいで殺されたのだから》
   『●斎藤貴男さん《安倍政治の最大の罪は、民主主義を完全に形骸化し、
     日本社会を根底から腐らせたこと…》《ネポティズム》《冷笑主義の蔓延》
   『●《〈関連団体とは存じ上げませんでした〉…「統一教会の何が問題
     なのか正確に承知していません」…しらじらしいにも程がある》お維
   『●悍ましい構図…さらには、アベ様が票の差配までするほどズブズブ
       ヅボヅボだった訳ですが、そんな自民党に投票するとはねぇ…
   『●統一協会…《自民党の政策決定や政権運営にどのような影響があった
     のか、真相を解明して再発防止策を講じる》べきなのに、全くその気無し
   『●憲法53条…《本来国会は開かなければならないが、安倍内閣では
     その要求を無視し続けていたことがある。岸田政権も応じる気がない》
   『●《自民党右派…政界の右派のみならず、それを支える日本最大の右派
     改憲団体、日本会議など》も統一協会と《「蜜月」関係を築いてきた》??
   『●統一協会が《法令に反するなどの例》は山のようにある訳で、《実体が
       変わらないのに、名称を変えることはできない》ことに何の問題?
   『●第2次キシダメ改造内閣の悲惨な船出 ―――― 統一協会非汚染者
     による組閣や役員人事もままならない、ズブズブヅボヅボな自民党…
   『●《安倍元首相の側近で、安倍派内ではポスト安倍の一番手》だった
     萩生田光一政調会長は加計学園問題等だけでなく、やはりヅボヅボだった…
   『●《保守の安倍が反日カルトとつながった》? 《保守ではなく、反日の
     エセ保守…支持してきたのは新自由主義勢力と政商とカルトの複合体》
   『●【適菜収 それでもバカとは戦え/戦後を代表する“ホラ吹き”安倍

    元首相の「思い出に残るデマと嘘」】…息吐く様にウソをつくアベ様
   『●《他人の不幸に付け込み…壺などを売りつけ、信者の家庭を破壊する
     カルト教団に「信教の自由」などないことを、メディアは自覚すべき》
   『●臨時国会どうなった? ゴルフをやってる場合だったのか? 質問したい
       「右派記者」と質問する気のない「左派記者」ももっと突っ込んでよ
   『●票の差配をするほどズブズブヅボヅボなアベ様という壺の蓋…《壺の蓋が
            吹っ飛んで…中から…熟成された汚物が出てくる、出てくる…》
   『●《この国の為政者たちが誰を見て誰のために政治をやっているのか、
     憲法改定をはじめとする諸政策が目指す方向性とも深くかかわっている》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310580

斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。

二極化・格差社会の真相
岸田首相は“人格破綻”が垣間見え…安倍晋三元首相殺害以降は権力欲の権化に
公開日:2022/08/31 06:00 更新日:2022/08/31 06:00
今だけ無料

     (国会は開かず重要な決定は閣議や内閣だけで
      (GX実行会議で「原発の新増設」を打ち上げる
      岸田首相=モニター画面)/(C)共同通信社)

「この人はいったい何なのだろう。なぜ、ここにいるのだろう?」

 作家の矢作俊彦氏が首相時代の森喜朗氏に与えた形容だ(朝日新聞2000年10月29日付朝刊)。岸田文雄氏にも同じ言葉を進呈したい

 理由はちと異なる。常識と判断力の致命的欠如を指摘された森氏に対し、岸田氏は人格の破綻が垣間見えるのが問題である。安倍晋三元首相が殺害されて以降の岸田氏は権力欲の権化だ。統一教会で大揺れの政局に乗じて、己の派閥(宏池会)による国民支配をもくろむ。国政選挙のない、いわゆる黄金の3年間は、民意ごとき屁でもないらしい

 護憲をはじめ、世をたばかってきた“政治理念”モドキも次々に返上。原発の新増設まで言い出した。アベ・スガよりはマシだと思い込んでいた自分の不明が恥ずかしい

 安倍銃撃からわずか6日の「国葬」表明が、思えば岸田政治の本質だった。もはや反対派が過半数を占めるとされ、声明を出した市民団体や弁護士会も多い。26日には全国の法律家や研究者ら118人が隊列に加わった。

 基本的な主張は他の反対声明と同様だ。法的根拠の不存在事実上の弔意強制は憲法19条違反死者の政治利用でもあり、法的・道義的に許されない。記者会見では、こんな発言が注目された。

「統一教会の教義に基づけば、安倍元首相は今も霊界で生きている。サタンとの戦いを天から助けてくれる人。国葬は彼らの違法行為を励ますためにも使われます」(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の郷路征記弁護士)

「今回お墨付きを与えたのは内閣法制局佐藤栄作元首相が亡くなった1975年には、閣議決定は行政権にしか及ばない、国葬には(司法、立法も合わせた)3権の合同(の賛同が)必要だとの見解を示した組織です。あの解釈はどうなったのか?」(西川伸一明治大学教授=現代国家分析)

 反対声明を呼び掛けた「23期・弁護士ネットワーク」は1971年、裁判官を志望した司法修習生7人の任官拒否と、彼らにも発言の機会をと求めた阪口徳雄氏(後に弁護士)の罷免に直面した同期生らの集まりだ。思想・信条の統制に対する警戒心はきわめて強い。

 いざ国葬となれば、ほとんどすべての自治体や学校、主要企業などが“お上”の意向に盲従する無残が、彼らには見えてしまっている。それがわかっているからこそ、岸田氏は強行したい。郷路弁護士の言う統一教会式のロジックに現政権もなお支配されたままでいる
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●東京五輪、金(カネ)色の五つの輪…ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》を札幌でも…

2022年09月09日 00時00分00秒 | Weblog

[※《自助》大好きオジサン・元最低の官房長官と学商 (日刊ゲンダイ 2020年9月7日 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278353)↑]


(2022年08月28日[日])
カネカネカネ…金(カネ)色の五つの輪、相変わらずだ。一体どれだけの金が、どの様に使われたかも不明なままで組織委が解散し、幕引きを勝手にする。数多の問題が解決していないのに、札幌? あまりに恥ずかし過ぎるニッポン。恥さらしもいいところだ。

   『●《「パソナ」の純利益が前年の10倍以上》―― カネカネカネの金
     (カネ)色の五つの輪に便乗して、アサマシき「なんでも金、金、金」…

 東京新聞の記事【社説[東京五輪から1年]第三者による検証必要】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/996118)によると、《振り返れば「復興五輪」は掛け声倒れに終わり、「コロナに打ち勝った証し」どころか、コロナ禍の無観客開催といういびつな形の大会だった。一方で経費は大幅に膨らんだ誰のため、何のための五輪だったのか。》

 1年ほど前のブログ、『●この最悪なCOVID19禍、さらに、酷暑の中、開催強行…皆さんご帰国の折、《反日》アスリートや《反日》ジャーナリスト製造な東京五輪』。「2013年9月、世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ……以来ずっと《五輪中止を》言い続けてきたのだが…。いや、《空疎な小皇帝石原慎太郎元東京「ト」知事が五輪招致をやり始めて以来だ」。

 カナカネカネ…(少なく見積もっても)1.4兆円の巨費支出、その内訳は?
 東京新聞の【<社説>東京五輪汚職 利権の構造を解明せよ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/192449?rct=editorial)によると、《高橋氏は二〇一七〜二一年、自らが経営する会社を通じて、大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングスから計四千五百万円を受領したとされる。組織委は民間法人だが業務の公共性が高く、役員や職員らは「みなし公務員」とされていた。広告大手電通の元役員だった高橋氏は、スポーツビジネスの第一人者だが、高いコンプライアンス(法令や社会規範の順守)を求められる理事として適任だったのか疑わしい》。

   『●カースーオジサンもCOVID19人災という「火事場」を作り、さらには
        油を注ぎ、電通やパソナが《中抜きで大儲け》な「泥棒」を働く…

 カネカネカネ、醜悪な金(カネ)色の五つの輪。《そこに参加する選手たちが、競技だけでなく、社会に対する視点を持つことは必要だし、開催の是非についても意見を求められるのも当然だろう。実際、スポーツ界でも少ないながらこうした主張をしている人はいる。 有森裕子「アスリートファーストじゃなく社会ファーストであるべき》(リテラ)。また、当初から、デタラメ。《■【戦犯その2】森喜朗(前・東京オリパラ組織委会長) エンブレムや開会式への介入、女性差別、五輪買収と五輪開発利権への関与…それなのに「名誉最高顧問」就任!? ... この男が五輪を「私物化」「利権化」してきたという問題だ。そのひとつが、五輪招致の買収関与の疑惑だろう。昨年3月、ロイター通信は組織委の理事である高橋治之・電通顧問が招致委員会から約8億9000万円相当の資金を受け取り、IOC委員らにロビー活動をおこなっていたと報じたが、その際、森が代表理事・会長を務める「一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」にも招致委から約1億4500万円が支払われていたと報道。つまり、この嘉納治五郎財団を介して買収工作がおこなわれた可能性があるのだ》(リテラ)。
 毎日新聞の記事【五輪汚職「個人の問題にすり替えてはならぬ」 山口香・筑波大教授】(https://mainichi.jp/articles/20220818/k00/00m/040/164000c)によると、《昨夏の東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサー選定を巡る贈収賄事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が受託収賄容疑で逮捕された。東京大会の徹底的な検証を求めてきた日本オリンピック委員会(JOC)元理事の山口香・筑波大教授は「事件を個人の問題と矮小(わいしょう)化してはならない」と指摘する》。
 沖縄タイムスの【社説[五輪汚職事件]汚点だけが積み重なる】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1010182)によると、《準備段階から不祥事続きだった世界最大のスポーツの祭典に、さらに大きな汚点が加わった。「利権の闇」が浮き彫りになったのだ。東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定などを巡り、東京地検特捜部は大会組織委員会の高橋治之元理事を、受託収賄容疑で逮捕した。浮上したのは、スポンサーとなった紳士服大手AOKIホールディングス(HD)側から計5100万円を受け取った疑いだ。巨額の資金はスポンサー契約やライセンス商品の製造・販売で便宜を図る謝礼だったとみられている。AOKI側も創業者の青木拡憲前会長ら3人が、贈賄容疑で逮捕された。高橋容疑者は広告大手電通の元専務で運営側の中枢人物だった。組織委は専任代理店を電通に決め、スポンサー募集を一任していた》。

   『●ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、
     カネ、カネだ」…「そのカネのほとんどはアスリートではなく…」》

 カネカネカネ、金(カネ)色の五つの輪…ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つカネ、カネ、カネだ」》。
 日刊ゲンダイの記事【「汚れた五輪」知ってて大騒ぎしてきた大マスコミの身勝手】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310084)/《案の定、カネにまみれた五輪だった。東京五輪のキーマンだった、大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)が東京地検に逮捕されたことで、大会の「闇」が明らかになる可能性が高まっている。高橋は、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側から計5100万…》。

 札幌!? 冗談でしょ。カネカネカネ、金(カネ)色の五つの輪…まさに、ボイコフ教授《五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ。カネ、カネ、カネだ」》を、再度、やろうとしている。
 東京新聞の記事【「カネと利権まみれ」東京五輪・パラ汚職事件が札幌大会招致に浴びせた冷や水】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/197441)によると、《東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事高橋治之容疑者が受託収賄の疑いで逮捕された事件。スポーツの祭典を取り巻くカネと利権が浮き彫りになった。札幌市が目指す2030年冬季五輪・パラリンピック招致への機運はしぼみ、逆風が強まる。(兼村優希、森合正範)》。

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/996118

社説[東京五輪から1年]第三者による検証必要
2022年7月23日 08:06

 新型コロナウイルスまん延下で行われた東京五輪の開幕から、きょうでちょうど1年となる。

 振り返れば「復興五輪」は掛け声倒れに終わり、「コロナに打ち勝った証し」どころか、コロナ禍の無観客開催といういびつな形の大会だった。一方で経費は大幅に膨らんだ

 誰のため、何のための五輪だったのか。アスリートが紡ぎ出したドラマとは別に、第三者による評価と検証が必要だ。

 大会組織委員会は先月、五輪を総括する報告書をまとめた。困難を乗り越えて「大会を引き継ぐ責務を果たした」としたが、果たしてそうだったのか

 大会経費は総額1兆4238億円と報告された。簡素化で経費削減に努めたとするものの、招致段階の見込みの約2倍に膨らんだ関連経費を含めると3兆円超との試算もある

 無観客で盛り上がりに欠けた大会にかかった労力、経費はあまりにも大きい。人々の交流機会はほとんどなく、経済効果も乏しかった。

 エンブレムの盗用問題など大会前に噴き出した多くの不祥事についても報告書は詳述していない。

 組織委前会長の森喜朗氏が辞任するきっかけとなった「女性蔑視発言」は、「ジェンダー平等や多様性と調和の重要さを再認識する契機になった」と前向きに記述されている。本当に反省しているのか疑いたくなる記述だ

 負の側面に誠実に向き合い、原因の分析と教訓を明らかにする必要がある。

■    ■

 政府が組織委とは別に作成した報告書には、大会後に実施した東日本大震災の被災地住民らへのアンケート結果が掲載されている。「大会が復興に寄与した」との回答は3割に満たなかった復興が誘致の手段に使われたという複雑な思いが読み取れる。

 コロナ禍で賛否が割れる中での開催の強行は国民の不信を招き、社会の分断も生んだ

 五輪の肥大化も抑えられず、利権優先主義も目についた。さらに今、五輪を巡る新たな問題が浮上している。組織委の元理事が代表を務める会社が、大会のスポンサーだった紳士服大手側とコンサルタント契約を結び、多額の資金を受け取っていたという。

 莫大(ばくだい)な税金が投じられる国家的プロジェクトは、多くの人の理解や共感を得られなければいけない。お金の流れについても十分な説明と情報公開が求められる。

■    ■

 いまだにコロナの収束は見通せず、この間、スポーツ大会や各種イベントも中止や延期が相次いだ。

 五輪の余韻を感じる余裕のない人たちも多い中で、2030年冬季五輪開催地に札幌市が立候補している。地元の招致熱は盛り上がらず、最近の市民アンケートでも開催賛成は半数をわずかに超えただけだという。

 明確なレガシー(遺産)が見いだせず、露呈したさまざまな混乱やゆがみ。その検証を曖昧にしたままで招致に成功しても、新たな負担が国民にのしかかるだけだ
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/192449?rct=editorial

<社説>東京五輪汚職 利権の構造を解明せよ
2022年7月29日 07時31分

 東京五輪・パラリンピックを巡る受託収賄容疑で、大会組織委員会の高橋治之元理事(78)宅などに家宅捜索が入った。巨額のカネが動いた大会の利権構造を徹底的に解明し、過剰な商業主義の見直しにつなげるべきだ。

 高橋氏は二〇一七〜二一年、自らが経営する会社を通じて、大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングスから計四千五百万円を受領したとされる。

 組織委は民間法人だが業務の公共性が高く、役員や職員らは「みなし公務員」とされていた。

 広告大手電通の元役員だった高橋氏は、スポーツビジネスの第一人者だが、高いコンプライアンス(法令や社会規範の順守)を求められる理事として適任だったのか疑わしい。

 東京大会の招致活動は、国際オリンピック委員会(IOC)委員への贈賄の疑いで国際捜査の対象になっている。高橋氏も招致活動に関わり、招致委員会が当時、高橋氏側に約九億円を支払ったとされる。不透明なままだ。

 今回の事件の背景にはスポーツビジネスの膨張がある。東京大会の場合、スポンサー約八十社が負担した協賛金は約四千三百億円。米テレビ局がIOCに支払った放映権料は、東京までの五大会分で約四十三億ドルに上る。

 巨費を投じても、スポンサーは売り上げや広告効果で、テレビ局はCM収入で潤う仕組みだ。企業が、スポーツ支援より利益目的で協賛するなら本末転倒である。

 AOKIは日本選手団の公式ウエアなどを担当し、ライセンス商品も販売した。大会に食い込んだ経緯や高橋氏の役割など、検察には解明を期待する。

 五輪は商業主義の深刻な矛盾を抱える。暑さの厳しい真夏の開催は、ほかのプロ競技と重なることを避けたいテレビ局の意向とされる。開催経費を押し上げる巨大な競技施設の建設も、見栄えや広告効果のためだろう。企業を優先し、選手や開催国の人々に無理を強いているのではないか。

 肥大化した五輪を根本から見直さなければならない。企業のための五輪は、もう要らない。
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https://mainichi.jp/articles/20220818/k00/00m/040/164000c

五輪汚職「個人の問題にすり替えてはならぬ」 山口香・筑波大教授
毎日新聞 2022/8/18 16:30(最終更新 8/18 16:30) 1098文字

     (国立競技場の前で東京オリンピック・パラリンピック
      について語る日本オリンピック委員会理事(当時)の
      山口香・筑波大教授=東京都新宿区で2021年4月14日、
      宮間俊樹撮影拡大)

 昨夏の東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサー選定を巡る贈収賄事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が受託収賄容疑で逮捕された。東京大会の徹底的な検証を求めてきた日本オリンピック委員会(JOC)元理事の山口香・筑波大教授は「事件を個人の問題と矮小(わいしょう)化してはならない」と指摘する。

   ◇

 五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)など肥大化を続けるスポーツイベントの現状を考えれば、今回のような汚職事件が起きることも予測できたはずだ。友情、連帯感、フェアプレーの精神をうたう五輪は本来、汚職とは最も遠くなければいけない。まして、東京五輪は「多様性と調和」という高い理念を掲げた。建前であっても「きれいごと」を守ることができなければ、もはや五輪は特別な大会とは呼べない。

 招致を巡る不正工作が次々と明るみに出た2002年ソルトレークシティー冬季五輪以降、不透明な金の流れに厳しい視線が注がれるようになった。だが、今回の贈収賄容疑の構図はあまりに典型的であからさまだ。「こんな簡単に金銭授受が行われているのか?」という驚きがある。不正を防止し、歯止めを掛けるための仕組みやルール作りが求められる。

 今回の汚職事件では、スポンサー獲得を巡る高橋元理事の「剛腕」ぶりが注目された。だが、なぜ高橋元理事の暗躍を許してしまったのか。そこにスポーツ界を含めて日本社会の問題があるのではないか。「やり手」と呼ばれ、声が大きく、力を振りかざす人物を止めたり、いさめたりすることができず、アンタッチャブルな存在にしてしまうケースがあまりにも多い

 さらに今回の容疑とは別に、紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」は高橋元理事が推薦する競技団体に選手強化費として協賛金を先払いすることで合意したというが、競技団体の関知せぬまま元理事の一存で決まっていたとすれば、まさに象徴的と言える。

 何よりも許されないのは「高橋さんだったらやりかねない」として、事件を五輪ビジネスを巡る構造的な問題ではなく、個人の問題にすり替えることだ

 東京大会は組織委が6月末に解散しており、組織の問題として捉えて第三者を含めて検証することは難しい。現在、札幌市が30年冬季五輪招致を目指して活動しているが、責任の所在を明らかにするためにも大会後、数年間は組織委を存続させるべきではないか。少なくとも理事会機能は残すべきだ。

 日本が再び五輪招致に名乗りを上げるのならば、経済効果などと聞き心地のよいことではなく、構造的な問題から目をそらさず、再発防止を図るための具体策を示す必要がある。【聞き手・岩壁峻】
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●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》

2022年03月11日 00時00分35秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220226[])
マガジン9の記事【【寄稿】「おめでとう」と言えない正月(青木美希)】(https://maga9.jp/220112-5/)。

 《政府は生活できる環境がないまま、帰還政策を進めています。政府は、浪江町など帰還困難区域700世帯を含む2万世帯の避難住宅提供を打ち切りました。さらに浪江町や南相馬市などの避難者、帰還者らへの医療費無償の支援策も打ち切る方針を出しています。避難指示解除されれば固定資産税の減免もなくなっていきます。原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰めることがないように、私は被災者の声を発信し続けていきたいと思っています》。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま

 《原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める》…11年経っても何も変わらない。東電や政府、自公お維コミ議員達は、さっさと早く「原状回復」してみせて下さい。元の環境に戻してみせてよ。毎年、その事をお願いしているのですが、一向に「原状回復」する気がないようだ。そのくせ、汚染水を海洋放出したい? バッカじゃなかろうか。
 《「もともとあった肥沃な土は放射能で汚染されたため除染で取り除かれ、山砂が入れられました元の田んぼになるまでは長い年月がかかりますね」》《地産地消の豊かな暮らしが、かつて、ここにありました》《政府が「復興した姿を世界に発信する」とした復興五輪は終わりましたが、復興どころか、手付かずのまま108カ月過ぎた家々が、ありました》…さっさと元に戻してください、核発電「麻薬」中毒な皆さん。

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https://maga9.jp/220112-5/

特別企画
【寄稿】「おめでとう」と言えない正月青木美希
By マガジン9編集部 2022年1月12日

東京電力福島第一原発事故による被災者の方たちを取材し続けているジャーナリストの青木美希さんから、帰還困難区域の様子、避難指示が進められるなかでの被災者の声を映像とともに寄稿していただきました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――


避難先で迎えた11回目の正月

 2011年の福島第一原発事故から今年で11年となります。政府は今でも原子力緊急事態宣言を発令中で、数万人が避難を続けています。一方で、復興五輪が終わり、「もう復興したんでしょ」という声を聞くことが増えてきました。現地は復興しているのでしょうか。
 福島県浪江町の柴田明範(あきのり)さん(55)は今年も避難先の福島県二本松市内で正月を迎えました。二本松市内で、11回目の正月です。
 柴田さんは、これまで仮設住宅で知り合った人たちや支援者を含め100枚以上の年賀状をやり取りしてきましたが、10年を機に、年賀状を書くのをやめました。20人ほどがそれでも年賀状を送ってきてくれましたが、「迎春」と書いて返しました。
 「10年たっても戻れない。失礼とは思いますが抵抗がある。どうも、新年おめでとうという気持ちになれない。なんとなく1月1日が来た感じ。避難している人たちはおめでとうと言いたくない人が多いと思う心から言える人はいないと思います」と話しました。
 柴田さんと私は、長くフェイスブックでつながっています。
 柴田さんは毎年、正月に「おめでとうと言えない」と友達限定の投稿で書いていました。今年もまた、柴田さんにとってはおめでとうと言えない正月になりました。

     (柴田さんご夫妻)

 原発事故で、柴田さんの正月はまったく違ったものになりました。
 事故前は、柴田さんの家に親せきたち20人以上が集まり、飲んで騒いでつぶれ、泊っていっていました。家族と父母だけではなく、父の兄弟や浪江町にいる柴田さんの妹も来ていました。自宅で作った炭の炭ごたつや七輪で暖かく、臼と杵で餅をつき、七輪で焼きました。酒を飲めない柴田さんも楽しみました。
 いまは、避難先の二本松市の中古住宅で、柴田さんの家族が元日の昼に集まるだけです。酒もなく、騒ぐこともありません。自作の炭もなく、餅はオーブントースターで焼きます。柴田さんの妻が作った煮物をみんなで食べました。騒ぐことはできないと言います。「近所の人たちが自分たちを避難者とみている。バカ騒ぎはできないから」
 3歳と2歳の孫3人が走り回り、柴田さんに「じいじ」と抱っこをせがんできたのが唯一うれしかったことだと言います。それでも「子どもたちに明るい言葉はかけられなかった。かぜひくなよ、冬道気をつけろよ、ぐらいです」と話していました。

 2022年の正月を一緒に迎えた方々と喜びをわかちあいたい、という気持ちが「明けましておめでとう」なのだと思いますが、そのおめでとうですら違和感がある方々がいます原発事故被害が回復するどころか、いまも被害が生じ続けているからです
 私は、この現状を知ってほしくて、この原稿を書いています。
 現地で撮影してきた動画を掲載しました。原発事故の被災地がどのような状況にあるのか、記事と動画を交えて見ていただければと思います。


帰還困難区域にある柴田さんの自宅へ

 2カ月前の2021年11月7日、私は柴田さんと、福島県浪江町の帰還困難区域にある、柴田さんの自宅に向かいました。国道114号から津島地区の集落に入る道路は、「内閣府」と書かれた銀色のバリケードでさえぎられています。
 警備員に許可証を見せ、ゲートを越えた途端、柴田さんの線量計からピーピーというアラーム音が出ました。数値は0.7~0.8マイクロシーベルト/時。時間の経過とともに減ってきたとはいえ、まだ事故前の県内各地の大半の線量の20倍程度もあります
 東京電力福島第一原発の事故後、政府は除染を進め、少しずつ「避難指示」を解除してきましたが、原発から北西に延びる放射線量が高い地域、7市町村にわたって今も帰還困難区域があります。そのエリアの除染対象はわずか8で、そのほかの地域は、政府は2020年代に希望者が帰還できるよう一部を除染し、避難指示を解除する基本方針を決めています。柴田さんの自宅もこの地域です。これまで政府は地域一帯の除染をしてきたのに一部のみの除染になることに、住民から「まだら除染になり、放射線量が上がってしまう。ほかと同じように地域一帯を除染してほしい」と要望が出ています。

 帰還困難区域のうち、この津島地区には約1400人が住んでいましたが、放射性物質が多く飛散したため、国が道路にバリケードを張り、住民が自宅に行くためにはその都度、事前に許可手続きをしなければなりません。今も住むことができません
 ゲートを越えて草ぼうぼうになった細い道を車で進みます。線量計のアラームがピーピーと鳴り続け、放射線量は上がっていきます。車内で1.5マイクロシーベルト/時を超えました。事故前の30倍以上です
 ところどころ除染が行われている様子が見られました。この年の7月に来たときは森のようになっていたところが、除染が進められて草木が刈られ、重機で田んぼの畔(あぜ)が再建されていました。
 運転席で柴田さんが言いました。
 「もともとあった肥沃な土は放射能で汚染されたため除染で取り除かれ、山砂が入れられました元の田んぼになるまでは長い年月がかかりますね
 柴田さんの家は、私道を登っていたところにあります。町道から、柴田さんの家に入る私道に右折した途端、両側は森になりました。やぶに囲まれた細い道です。枝がところどころに落ちているため、車を何度も止めて、そのたびに車を降りて枝をよけなければ前に進めません。
 「両側にはうちの畑が広がっていました。ブルーベリーや白や紫、ピンクのリンドウを育てて、いつか奥さんとブルーベリーの観光農園をやろうと思っていました」
 柴田さんが住んでいた家と畑を切り開いたのは柴田さんの祖父母で、柴田さんで3代目。原発事故当時は父母と妻、子ども5人の計9人で暮らしていました。


止まったままの時計、イノシシの足跡……

 やぶの道をさらに進むと、瓦屋根の平屋住宅が見えました。サンルームや玄関の下部にオレンジ色のベニヤ板が張られています。
 「イノシシ除けだよ」
 ベニヤ板にはイノシシの茶色い足跡が残っていました。新しい足跡と古い足跡が混在しているように見えます。
 「汚染がひどくて、家にはもう住めないんです。新潟大学の教授に家の中の放射線量を測ってもらって『住めるレベルではない。解体しかない』って言われた。だから、もう住めない……それでも、イノシシに荒らされるのは許せない。将来は長男一家が住めるようにと思って、平屋の上に2階を建て増しできる作りにしたんですよ」
 柴田さんはカギを開けると、板をまたいで家に入りました。
 居間も子ども部屋も台所も、天井のあちこちにクモの巣がかかっています。居間の中央にはクリーム色の天板と布団のこたつがありました。
 「家の木を切って炭焼きをして木炭にして、こたつに入れてました。すごいあったかいから。足をいれると体がばーっとあったかくなる」
 柴田さんは木造の自宅の柱や鴨居を見ながら言います。
 「この家は、祖父がうちの土地で育てたスギやマツ、クリの木で建てたんだ」
 「山菜がとれると近所でお互いに交換してね。そういうのがすごく楽しみだったんだ」
 地産地消の豊かな暮らしが、かつて、ここにありました

 この場面の動画がこちらです。


https://youtu.be/b5HbqBgnPmw

 居間には黒く四角い掛け時計がかけてありましたが、地震があった2時46分で止まっています。月めくりカレンダーは2011年3月のまま。長女の部屋にはハンガーにセーラー服の夏服と冬服がかかっていました。
 柴田さんが長女の部屋で「あ」と声を上げ、紺色のファイルを手にしました。
 「311は長女の中学の卒業式だったんだよね。夜はみんなでお祝いしようねと言っていた……」
 「長女は、もう終わったことだからと言って、避難してから一度も家に足を踏み入れたことがない」
 ときが止まっていました
 客間の天井近くの高い場所に、紋付き袴の男性や着物姿の女性の写真が並んでいました。この土地を拓いた祖父や祖父の親族の写真だと言います。
 「先祖に見守っていてもらいましょう、と妻と言いあって、写真は飾ったまま、置いたままになっているんです何十年も住んだ場所。やっぱり自分の家は落ち着く。じいちゃんから親、親からおれ、本当は息子につなぎたかったけど、かなわないわね

 自宅の隣には柴田さんの両親の家がありました。ガラス戸が破られ、玄関のドアは開きっぱなし。ピンクの座布団が玄関に落ちています。中に入るとテーブルがひっくり返り、タンスが倒れ、足を踏み入れることはできません。私は思わず、「こんな風になりますか」と声を上げてしまいました。「イノシシが全部突き破って」。部屋の後ろ側、壁があるはずのところから、外のやぶが見えます。壁が外れています。「壁ぶちぬいて。……怖いね」。柴田さんは疲れ切ったように話していました。

 撮影してきた動画はこちらです。



https://youtu.be/5tSSrFkkW6o

 政府が「復興した姿を世界に発信する」とした復興五輪は終わりましたが、復興どころか、手付かずのまま108カ月過ぎた家々が、ありました
 「選手にここに来て、世界に実態を伝えてほしかった」と柴田さんは話していました。


生活環境が整わないまま、進められる帰還政策

 避難指示解除されたところでは何が起きているのでしょうか。
 私は2021年11月27日、双葉屋旅館を経営する小林友子さんに話を聞きました。
 小林さんは福島県南相馬市小高区のJR小高駅前の「双葉屋旅館」4代目。福島第一原発から20キロ圏内にあり、政府の避難指示で小高区の全員が避難しました。

 小林さんは原発事故後、長男が住む名古屋市に避難しました。ハローワークに行っても50代という年齢で仕事が見つからず、地元で旅館を再開することを決めました。政府は事故から5年4カ月たった2016年7月に小高区の避難指示を解除しましたが、小高区の原発事故時の住民登録者数は12,840人で、20211130日現在の居住者は3,800人ほど。居住者の半数が65歳以上です。
 小林さんは語りました。
 「多くの事業者が再開しておらず、家業と別の勤め先の兼業で暮らしていた人たちが多かったなかで、仕事は残念ながらやっぱりありません。3世代で住む家も多かったのですが、自分の代でいい、自分たちの代で完結するという思いの人たちが帰ってきています。建て替えの時に家を小さく、平屋にしたり」
 農業や商業を営みながら、さらに別の勤め先で働いて暮らしてきたのに、その兼業先がないため帰れないと言います。何より、小高は、南側で原発で栄えていた双葉郡と商圏の結びつきが強かったなかで、この商圏が壊れてしまいました
 「自分たちの代で完結する」という言葉が悲しく、重く響きました

     (双葉屋旅館の小林友子さん)

 「10年過ぎて見えてくることは、本来はずっと土と一緒に生きていた方が暮らせるんですよね生業なりわいがなくても生きていける土壌だったんですよね。今まではコメや野菜を自分たちで作っていました。それがみんなお金で買わないといけない。キノコだったり海のものだったり。そこで育った人たちの失ったものをちゃんと見てないよね本当にしんどいのが現実
 私は避難者の方々から「初めてコメを買った」という言葉を多く聞きました。買わなくても食べ物はほとんどまかなえる生活だったと。
 「両手にいっぱいの買い物袋を持っていると『いいな』って言われるけれども買わないと生きていけないから。『いいな』って言われましたけど、『なくなったんだよ』って。月10万円の慰謝料はあっという間になくなりました。全部買わないといけない。あんなにお金がなくなるとは」
 同じ言葉を、避難してきた多くの方から伺いました。そして、避難者を受け入れている人たちからは「避難者の人たちはものすごいたくさん買い物していくんだから」という非難めいた言葉も多く聞きました。賠償金の差、強制避難か否かの差、政府が生んだ多くの差が精神的な分断を生んでいます

 「家に帰らないでいると、隣の人から『草ぼうぼう、草刈りしろ』と言われるのが一番つらい。だから田んぼを人にまかせちゃう。そうすると太陽光発電が造られる。知らない間に虫食いのようにできていってしまう。山ががんがん切られて木も切られて里山から除染のあとを埋めるために山土がとられ、山がなくなっていく。それが災害の一つの原因になる。原発事故って放射能だけじゃない被害を起こしていると知ってほしいです。食料が不足すると言われているときに、どうしていい場所の農地をつぶしていくのか。ソーラーも都会ではなく、地権者、福島に収益や雇用を生み、経済が回るシステムを議論してほしい。帰れと言うのなら受け入れる素地をちゃんとしてほしい」

 帰れと言うのであれば、その環境を。それもその通りです。小林さんは「次に繋いでくれる人もいる事も現実」といいますが、雇用の場の整備がなければ生活できません
 小林さんに会う前に、私は50代の楢葉町の男性から話を聞いていました。
 その男性は、避難指示で避難し、政府が避難指示解除をしたから戻ってきたけれども、元々勤めていた事業所は閉まってしまった。再就職先も見つからず、結局非正規雇用しかない、と話していました。
 政府は生活できる環境がないまま、帰還政策を進めています
 政府は、浪江町など帰還困難区域700世帯を含む2万世帯の避難住宅提供を打ち切りました。さらに浪江町や南相馬市などの避難者、帰還者らへの医療費無償の支援策も打ち切る方針を出しています。避難指示解除されれば固定資産税の減免もなくなっていきます。
 原発事故は終わっていません政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰めることがないように、私は被災者の声を発信し続けていきたいと思っています。


青木美希(あおき・みき)ジャーナリスト。北海タイムス(休刊)、北海道新聞を経て全国紙。「道警裏金問題」取材班で菊池寛賞など受賞。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」、「手抜き除染」報道で各取材班で新聞協会賞を受けた。原発事故被害を描いた『地図から消される街』(講談社現代新書)は貧困ジャーナリズム大賞、日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞。8刷に。新刊『いないことにされる私たち』(朝日新聞出版)を2021年4月に出版した。日本ペンクラブ言論表現委員。
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●長周新聞【政商・竹中平蔵の利益相反ビジネス コロナ禍で純利益前年比11倍のパソナ 貧困拡大させて吸い上げる米国仕込みの荒稼ぎ】

2022年02月03日 00時00分34秒 | Weblog

[※ ↑ 闘う主張、現場の声支えに 経済評論家・内橋克人さんを悼む (金子勝さん) (朝日新聞 2021年09月08日(水))]


 (20220103[])
長周新聞の記事【政商竹中平蔵利益相反ビジネス コロナ禍で純利益前年比11倍のパソナ 貧困拡大させて吸い上げる米国仕込みの荒稼ぎ】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/22300)。

 《昨年初頭から日本を襲った未曾有のコロナ禍は、日常生活を変えるだけでなく、人々の生業にも大きな影響を与えた。多くの中小零細企業が打撃を受ける一方、業績を拡大した企業もある。小泉政権時代から顕著になった新自由主義的な構造改革や数々の規制緩和によって大企業一人勝ち状態がつくられ、公共分野の切り売りが進んだが、コロナ禍においてもその路線は継承され、窮乏化する人々の苦難を尻目に特定企業への利益横流しを優先する政治がおこなわれている。その恩恵を受けてきた代表格が小泉改革の推進者の一人である竹中平蔵であり、同氏が会長を務める人材派遣大手パソナグループは今期の純利益を前年の11倍へと飛躍的に増やした。「政商」「インサイド・ジョブ(内部犯行)」とも呼ばれるその存在と役割についてみてみたい》。

 一人PDCAサイクル佐高信さん《自分が関わったところで自分が利益を得るという構図は、まるで政商ならぬ学商だ》

   『●独裁をサポートさせるための《安倍政権の「未来投資会議」を解体し、
      菅政権が新たに始動》した「成長戦略会議」…その面子の悍ましさ
   『●一人PDCAサイクル「なんでも金、金、金」の竹中平蔵氏…
                「自分でルールを作り、自分が儲けたわけな」
   『●《「パソナ」の純利益が前年の10倍以上》―― カネカネカネの
     金(カネ)色の五つの輪に便乗して、アサマシき「なんでも金、金、金」…
   『●《竹中氏がこんなむちゃくちゃな論理を言い張ってまで、五輪を開催させ
       ようとしているのは、自分がその利権に関係しているから》(リテラ)
   『●学商・竹中平蔵氏の一人PDCAサイクルが《継承》…直接的に支持
     したり、選挙に行かない眠り猫として間接的に自公お維を支持した結果

 学商竹中平蔵氏に頼っている限り、《新しい資本主義》の中身空っぽなその本質が知れようというもの。これまた早くも虚しきカンバン倒れのカンバン「新しい資本主義」。(金子勝さん)《岸田首相は「成長と分配の好循環を実現する」と標榜しているが、どれをとっても中身は空っぽ》。
 学商竹中平蔵氏が絡んでいるのだから、「新しい資本主義」=新しくもない新自由主義、小さな政府、市場原理主義経済。水などのコモンズも売っぱらってしまえという経済。何でもかんでも商売、商売。金持ちだけが儲かる経済。ドアホノミクス(🄫浜矩子さん)の《継承》。トリクルダウンなど決して起きない、格差拡大の経済。

   『●「軽減税率か給付付き税額控除か」なんてことよりも、
       そもそも消費税を否定する経済学者はいないのか?

 長周新聞の記事【世界の上位10%が76%の富を所有 トマ・ピケティら経済学者の調査報告「世界不平等レポート」に見る】(https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/22324)によると、《『21世紀の資本』の著者として知られるトマ・ピケティをはじめ欧米諸国の経済学者らで構成し、本部をパリに置く世界不平等研究所(World Inequality Lab)が7日、世界的な格差の実態を調査した「世界不平等レポート(WORLD INEQUALITY REPORT 2022)」を公表した。新型コロナウイルスの世界的まん延のなかで、ひと握りの超富裕層が爆発的に資産を増やした一方、深刻な飢餓に苦しむ人々をはじめ大多数の貧困化が進んだことを統計からあぶり出している。筆頭著者のルカ・シャンセル(仏経済学者)は「新型コロナウイルスの感染拡大は、非常に裕福な人々とそうでない人々との間の不平等を悪化させた。貧困拡大とのたたかいにおける社会的国家の重要性を示している」とのべ、不平等の是正には新自由主義的な政治制度の変革が必要であることを訴えている》。《富裕層は租税回避 トリクルダウン起きず…「21世紀の課題を解決する新しい税制」として透明性の高い累進課税を強化するとともに、経常的な富裕税を導入し、ごく一部に集中した膨大な富を社会全体の福祉に還元することを唱えている。さらに多国籍企業への課税を強化してグローバルな再配分をおこない、地域間の富の不均衡を終わらせ、新型コロナで浮き彫りになった医療の不平等を是正する必要性を強調している》。

 一人PDCA


[※ パソナの学商・竹中平蔵氏による一人PDCAサイクル
 (https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1009649260697038848)↑]

 宇沢弘文さんや内橋克人さんは本当に偉かったなァ~。彼らの声にもっと耳を傾けてくれる人が居たならば…。

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/22300

政商・竹中平蔵の利益相反ビジネス コロナ禍で純利益前年比11倍のパソナ 貧困拡大させて吸い上げる米国仕込みの荒稼ぎ
政治経済 2021年12月16日

 昨年初頭から日本を襲った未曾有のコロナ禍は、日常生活を変えるだけでなく、人々の生業にも大きな影響を与えた。多くの中小零細企業が打撃を受ける一方、業績を拡大した企業もある。小泉政権時代から顕著になった新自由主義的な構造改革や数々の規制緩和によって大企業一人勝ち状態がつくられ、公共分野の切り売りが進んだが、コロナ禍においてもその路線は継承され、窮乏化する人々の苦難を尻目に特定企業への利益横流しを優先する政治がおこなわれている。その恩恵を受けてきた代表格が小泉改革の推進者の一人である竹中平蔵であり、同氏が会長を務める人材派遣大手パソナグループは今期の純利益を前年の11倍へと飛躍的に増やした。「政商」「インサイド・ジョブ(内部犯行)」とも呼ばれるその存在と役割についてみてみたい。


欧米で失敗実証済みの新自由主義を崇拝

 「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」を標榜する岸田政府は発足後の目玉政策として、「地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていく」という「デジタル田園都市構想」をうち出した。自治体クラウド、5G、データセンターなどのデジタル基盤を整備し、遠隔医療、GIGAスクール構想、スーパーシティ構想、スマート農業など、ICT(情報通信技術)やデジタルを基盤にした公共インフラの構築や社会・産業構造づくりを推進するもので、菅政府が進めてきたデジタル化推進構想を継承したものだ。

 同構想実現会議の民間メンバーには、日本の水道事業に参入するフランスの水メジャー・ヴェオリアの日本法人会長などと並び、竹中平蔵(慶應義塾大学名誉教授)が参画したことが物議を醸した。「自民党をぶっ壊す!」といって日本社会をぶっ壊した小泉改革で、閣僚として郵政民営化労働規制緩和など数々の新自由主義政策をおし進め、2006年に政界を引退してからも歴代自民党政権では経済政策のキーパーソンとなってきた張本人であり、今後も引き続きそれを推進するという宣言にほかならないからだ。

     (竹中平蔵)

 竹中平蔵は、一橋大学卒業後に日本開発銀行へ進んだ後、1981年、かつてキッシンジャー元米大統領補佐官らも所属し、世界中に親米派人脈を広げる役割を持つ米ハーバード大学国際問題研究所の客員教授となり、公の役割を縮小してすべてを市場経済に委ねる市場原理主義や「小さな政府」を柱とするレーガノミックスを支えた経済学者の薫陶を受けた。

 同研究所では、「双子の赤字」にあえぐ米国を凌ぎ、「ジャパンアズナンバーワン」と呼ばれるほど成長した日本経済について研究し、それを支えてきた日本特有の商習慣や、社会福祉、国内産業保護制度を切り崩し、米国の「自由貿易」の枠組みに縛り付けることを目指す米政府の意を汲んだ研究者や政治家の育成がおこなわれた。竹中はそこで日本関係プログラム初代事務局長のケント・カルダー(ブッシュ政権の特別補佐官)らと親交を深め、政策プロモーターとして日本で活動するための米国人脈とノウハウを得て帰国。

 「大規模小売店舗法(大店法)の廃止」「10年間で総額430兆円の公共投資の実施」などを日本側に約束させた日米構造協議(1989年)など、米国側から日本の経常黒字を削ぐ圧力が増すなかで、大蔵省(現・財務省)に出向した竹中は、「双子の赤字」の解決を日本の構造改革に求める米政府の意を汲み、公共投資の必要性とあわせて「公共事業をアメリカ企業に解放すれば日米貿易摩擦の緩和に繋がる」とも主張した。

 その後もコロンビア大学「日本経営研究センター」の客員研究員、東京財団理事長などに就き、日米の民・政・官・学を行き来しながら、親米路線を具現化する政策プロモーターとして活動している。

 米国政財界から日本政府への政策提言という形で出される命令書『年次改革要望書』が始まったのもこの頃で、それらの外圧が強まるなかで、小泉政権では経済財政政策担当大臣、IT担当大臣、金融担当大臣、内閣府特命大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣等の閣僚職を歴任し、それら米国側の要求実現に奔走。以前の公共投資拡大からは打ってかわって「コストカット」や財政スリム化など緊縮財政を推進して地方自治体に緊縮を迫り、不良債権問題をやり玉に挙げてゴールドマンサックスなど米メガバンクを日本に招き入れ、郵政民営化によって350兆円もの郵貯マネーを外資が口を開けて待つ金融市場に放出した。商業メディアを使って「財政危機」や公務員悪玉論を国民に刷り込む劇場型キャンペーンも、全米経済研究所(NBER)が提唱した手法を採り入れたものだった。

 議員を辞めても民間議員として登用されたり、歴代政府が経済顧問として重宝するのは、アメリカの代理人としてこのような日本の構造改革を推進してきた実績が、米国中枢に買われていることが背景にある。

 いまやその肩書きは、パソナグループ会長オリックス社外取締役、SBIホールディングス社外取締役、世界経済理事会(ダボス会議)メンバー、森ビルアカデミーヒルズ理事長、日本経済研究センター研究顧問など、官民の幅広い分野に及び、新自由主義のマインドを先取りして利益を得ようとする野心的勢力にとって欠かせない存在となっている。


地方交付税カットし 公的業務をアウトソーシング

 安倍政府のもとでは、日本経済再生本部産業競争力会議メンバー(民間議員)、内閣府に置かれた国家戦略特区特区諮問会議メンバーなどに就任し、オリックスの宮内義彦などとともに、企業の自由を拡大するための規制改革の旗振り役を担った。

 戦後日本の累進課税制度(富裕層ほど税率が高い)を「悪しき不平等」として大企業減税と逆進性の強い消費税増税をおし進め、終身雇用制度は「役に立たない労働者を増やしている」として各種労働法を改定し、企業側にとって雇用の調整弁となる非正規雇用を拡大した。

 そのなかで2007年に設立したのが人材派遣大手のパソナだ。竹中はグループ取締役会長に就任。政治の分野での公的立場を利用してみずから政策を提案し、外国人労働者の規制解禁、労働者派遣の拡大など数々の労働規制を緩和させ、それらを見越した事業経営を先行展開して政治のインセンティブ(報酬)を独占するというビジネスモデルは、アメリカにおける「回転ドア」(民間と「政・財・学・官」界の間を行き来して富を得る米国エリートの慣行)の日本版といえる。

 自由競争」でも「市場原理」でもなんでもなく、米国の威を借りた単なる官民癒着の利益相反なのだが、それがまったくの無規制でおこなわれてきた結果、一部の富裕層が富を独占する一方、日本経済は先進国で唯一のマイナス成長、実質賃金は20年以上も低迷し、雇用も不安定化するなど、社会と人々の生活が「ぶっ壊れた」ことは言を俟(ま)たない

 そのうえコロナ禍が襲って人々が苦境にあえぐなか、パソナの2021年5月期(2020年6月~2021年5月)の決算は、純利益は前年度の11倍という異次元なものとなった。とくに業務委託やアウトソーシングといったBPOサービス部門が業績を牽引している【グラフ①、②参照】。

 同グループの「2021年5月期第3四半期業績概況」によれば、営業利益145億円(前年比87億円増)、経常利益146億円(同91億円増)、当期利益56億円(同50億円増)で、減損を差し引いても過去最高益をたたき出している。

 人材派遣業では、小泉・竹中改革で進めた「三位一体」の改革で、地方自治体に対する地方交付税交付金や国庫補助金をカットし、財政危機に瀕した自治体が人件費削減に踏み込まざるを得ない状態に仕向け、職員の非正規化や公共部門の民営化を推進させるなかでみずからがその受け皿となった。先端を行っているのが「身を切る改革」を唱える維新の会が行政トップを握る大阪で、パソナは大阪における行政の窓口業務を一手に請け負って業績を拡大。派遣社員は「物品」と同じ扱いであるため、その無保障・低賃金の労働力で自治体は人件費を一定程度浮かすことができるが、その分、高度な守秘義務や経験値を必要とする公共サービスの質は劣化する。それはコロナ禍において、大阪府の人口10万人あたりの累計死者数が全国ワースト1位だった事実にもあらわれている。

 大阪府は人員不足のため協力金支給業務もパソナに43億円あまりで一括委託したが、慣れない業務を派遣社員に強いたため支給は滞り、全国の政令市のなかで支給速度は最も遅れるなど、行政機能の低下が住民の生業や生命を直撃した。その他、アクリル板支援金、雇用促進事業などもパソナに発注し、行政のパソナ依存体質が加速している。

 ちなみに竹中平蔵は橋下徹が率いた維新の会の衆院選公認候補の選考委員長に抜擢されており、その維新行政のもとで大阪では、地下鉄、バス、公営住宅管理、ゴミ収集事業、保育・幼稚園、病院、大学、公衆衛生機関、技術研究所、水道事業などありとあらゆる公共インフラを統合・民営化の対象にして次々に公共運営から切り離してきた

 コロナ禍では、保健所や公衆衛生職員が減らされたおかげで業務が逼迫し、職員の半数が過労死ラインをこえる状態が2年間にわたって続き、現場から悲痛な声が上がっている


コロナの苦境に乗じ 国の事業で税金つかみ取り

 この公共売り飛ばしのビジネスモデルが波及するに従って自治体の窓口業務の民間委託は全国に広がっており、総務省の統計によれば、2019(令和元)年5月時点で指定都市で9、東京・特別区で19、中核都市で27、その他の市町村区で195の自治体が導入している【表参照】。それもパソナを含む上位6社だけで全体の60~80%を占める寡占状態にあり、公平な競争が存在しない強者一人勝ちの構図が出来上がっている

 また、コロナ禍における国の持続化給付金事業(769億円)は、電通やパソナが設立した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が業務委託を受け、その97%を電通やその子会社、パソナなどに丸投げで再委託。パソナへの再委託費は約171億円と他社と比べて際立って多く、一斉休校要請にともなう保護者への休業助成金給付事業、中小企業庁の事業再構築補助金など、コロナ禍で窮乏する人々を出し抜くような公金つかみ取り事業がパソナのBPOサービス事業の成長を促したことは疑いない。

 また、東京五輪でもパソナは組織委と「オフィシャルサポーター」契約を結び、五輪運営関連の人材派遣サービスを独占。国会でも提示された人件費の「内訳書」によれば、大会運営ディレクターなどの日当が一人当り35万円という高額契約になっていながら、パソナ側が提示した日当は1万2000円であり中抜き率97%というえげつない手法が注目を浴びた。

 新型コロナワクチン「大規模接種センター」の予約システムでも、重大な欠陥が発見されたシステムの委託運営会社「マーソ株式会社」の経営顧問が竹中平蔵だった。

 さらにパソナの業績を押し上げたのが、コロナ禍における再就職支援事業だった。コロナで事業者が潰れたり、正社員、パート・アルバイトなどの非正規労働者が雇い止めや解雇を受けて路頭に放り出されたが、手厚い公的支援は打たれなかった。そのかわりにパソナが失業者にとって最後の「駆け込み寺」になる流れがつくられ、苦境に陥った人が増えれば増えるほどもうかるというビジネスモデルが成立した。このような露骨な我田引水を処世術にする人物が政府中枢で経済顧問を務めている以上、コロナ禍における徹底した公的支援や生活保障政策がおこなわれるはずがない

 今月、岸田政府は「コロナ禍で職を失った非正規労働者の支援策が必要」として、コロナで影響を受ける非正規労働者10万人を対象に、求人が多い業種への転職を促す新事業を経済対策に盛り込んだ。国が3年間で総額4000億円を投じ派遣会社による非正規労働者の研修事業を支え、新たな派遣先企業で試験的に働かせたうえで就職を促すというもので、これも労働者支援ではなくパソナ支援策であり、デジタル化などの産業構造の転換で新たな「雇用の調整弁」を求める大企業への支援策といえる。

 日本社会では20年来の経済政策や構造改革がもたらした弊害が露呈し、コロナ禍で貧困がより拡大し、富の一極集中が進んでいる。世界的にも失敗が明白になった新自由主義政策をアメリカから押しつけられ、それを周回遅れで「世界のトレンド」であるかのように喧伝し、日本社会を蝕み、外資に売り飛ばす役回りを担っているのが竹中平蔵のような政商であり、それを後生大事に担ぐ自民党や維新が目指す国家の姿もまた、一足先に社会崩壊を招いた欧米や南米ですでに実証されているものだ

 政治は一部のための奉仕者ではなく、全体の奉仕者でなければならず公に寄生しながら公を切り崩し、私腹を肥やしてはばからない一握りの輩から、この国を支える人々の手に政治を奪還することなしに社会の崩壊を食い止め、万人のための統治を構築することはできないことを突きつけている。
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●学商・竹中平蔵氏の一人PDCAサイクルが《継承》…直接的に支持したり、選挙に行かない眠り猫として間接的に自公お維を支持した結果

2021年11月27日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 宇沢弘文さん『人間の経済』 (https://www.shinchosha.co.jp/images_v2/book/cover/610713/610713_l.jpg)↑]


(2021年11月16日[火])
リテラの記事【岸田首相が竹中平蔵を「デジタル田園都市構想」委員に抜擢で批判殺到! どこが”新自由主義と決別”? またぞろパソナの食い物に】(https://lite-ra.com/2021/11/post-6071.html)。

 《「デジタル田園都市国家構想実現会議」のメンバーに、よりにもよって「小泉改革以降の新自由主義的政策」を政権の中枢で推進してきた竹中平蔵氏を抜擢したからだ。衆院選でも新自由主義からの脱却や格差是正を訴えていたというのに、まさか、格差拡大の要因をつくり出した張本人である竹中氏を重用する──。しかも、岸田首相は衆院選公示を控えた先月10月15日に「新しい資本主義実現会議」を設置したが、これは安倍政権がつくった「産業競争力会議」「未来投資会議」、菅政権が設置した「成長戦略会議」の流れを汲むもので、これらの会議では竹中氏がメンバーに選ばれてきた。しかし、岸田首相は「新しい資本主義実現会議」のメンバーに竹中氏を加えなかったことから、ネット上では「竹中がついに切られたのか」と話題を集めていた。ところがどっこい、衆院選が終わって岸田首相が設置を発表した「デジタル田園都市国家構想実現会議」では竹中氏がメンバーに選ばれたのだ。もし、これが衆院選前に発表されていれば、大きな反感を買ったことは間違いなく、有権者に対する裏切りと言ってもいいだろう。しかも、竹中氏がメンバー入りしたことで、岸田首相が掲げる「デジタル田園都市国家構想」が、またしても竹中氏が関係する企業の食い物になる可能性は高い》。

 《もし、これが衆院選前に発表されていれば、大きな反感を買ったことは間違いなく、有権者に対する裏切りと言ってもいいだろう》…分かりきっているでしょうに。自公お維コミに投票するから、こういうことになるのではないですか? 直接的に支持したり、選挙に行かない眠り猫として間接的に支持した結果です。あとの祭り。
 もうウンザリ。学商による一人PDCAサイクル…蛇蝎のごとく嫌われるべきなのに、一体いつまで続くの? いい加減にしてほしい。《自分の立場を利用して政権に利益相反を疑われるような提言をたびたびおこない、さらには国の公共事業に食い込み暴利を貪ってきた竹中氏。…小泉政権以降、一部の既得権益者に利益が集中し、国民が高いコストを払わされるシステムをつくってきたのは、ほかでもない竹中氏であり、そして最大の既得権益者こそが竹中氏だ。…そして、自民党政権であるかぎり、この国はこの男の食い物にされていくのである》。

 一人PDCAサイクル=《自分が関わったところで自分が利益を得るという構図》《最大の既得権益者》…学商がまだのさばっているニッポン、一体どうなってんの?

   『●竹中平蔵氏のパソナによる「自分が関わったところで 
       自分が利益を得るという構図」に乗っかって大丈夫か?
   『●必然的に「私腹を肥やしてきた」学商・竹中平蔵氏…
          大学は、利益相反の調査はしなかったのかな?

   『●「会社の奴隷」をどんどん育てよう…与党自公や
       学商竹中平蔵センセを応援するマゾな支持者・信者の皆さん
   『●一人PDCAサイクル「なんでも金、金、金」の竹中平蔵氏…
                「自分でルールを作り、自分が儲けたわけな」
   『●五輪ボランティアを派遣するのは…偶然にも? 
        パソナや竹中平蔵氏へのウラアリなオ・モ・テ・ナ・シ
    《知らんかった! ボランティアを派遣するのは竹中平蔵さんとこの
     パソナだって。怪しい。なんで金額がいえないの? まさか、ただで
     国民使うのに、中抜きで大儲けを企んでいるんじゃあるまいな

   『●移民法、水道民営化までも…カネの臭いに集る学商、
       またしても竹中平蔵センセが意地汚い政治家と共に蝟集
   『●「会社の奴隷」をどんどん育てよう…与党自公や学商
      竹中平蔵センセを応援するマゾな支持者・信者の皆さん
   『●学生に退学処分をちらつかせ、〝就職〟で恫喝…
     学商・Mr.トリクルダウン氏の利益相反こそ問題にすべき
   『●学商・Mr.トリクルダウン竹中平蔵氏《平均寿命も超える長寿者に
              対し「棺桶に片足を突っ込んでも働け」と…》
   『●《不安定な労働を拡大させた張本人》学商・竹中平蔵氏…「世界は
     これから数年、痛い目を見たあと、社会の分断解消に向けた議論が…」
   『●いつも通り《パソナもしっかり利権にありついている》…学商・
     竹中平蔵氏は「政府対応を批判する世論と、それを煽るマスコミが悪い」と…
   『●《自助》大好きオジサン・元最低の官房長官と学商は〝ベーシック
     インカム7万円〟を「トリクルダウン」だとでも思っているのでは?
    「リテラの記事【菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年も前の
     流行語だった! 竹中平蔵がバック、時代遅れの新自由主義が
     国民生活をさらに圧迫する】」

   『●スガ様の「完全オフレコ朝食懇談会」にノコノコ出掛けずに、
     《すべての取材者》による「オープンな首相記者会見を求め」たらどうか?
    《…といった番組でさえ、竹中平蔵氏やデービッド・アトキンソン氏
     といった菅首相と会食を繰り返してきた
     “菅首相の新自由主義ブレーン”を出演させ、無批判に主張を
     垂れ流させている始末だ》

   『●独裁をサポートさせるための《安倍政権の「未来投資会議」を解体し、
      菅政権が新たに始動》した「成長戦略会議」…その面子の悍ましさ
   『●一人PDCAサイクル「なんでも金、金、金」の竹中平蔵氏…
                「自分でルールを作り、自分が儲けたわけな」
   『●《「パソナ」の純利益が前年の10倍以上》―― カネカネカネの
     金(カネ)色の五つの輪に便乗して、アサマシき「なんでも金、金、金」…
   『●《竹中氏がこんなむちゃくちゃな論理を言い張ってまで、五輪を開催させ
       ようとしているのは、自分がその利権に関係しているから》(リテラ)

 一人PDCA


[※ パソナの学商・竹中平蔵氏による一人PDCAサイクル
 (https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1009649260697038848)↑]

 宇沢弘文さんや内橋克人さんは本当に偉かったなァ~。彼らの声にもっと耳を傾けてくれる人が居たならば…。

   『●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」:
        「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」
    《宇沢氏こそ、アベノミクスが推し進め、竹中平蔵慶大教授が
     旗を振っている「新自由主義」に真っ向から反対し、猛烈な批判を
     浴びせていたことだ。晩年の宇沢氏は「TPPは社会的共通資本
     破壊させる」と唱え、「TPPを考える国民会議」も立ち上げた。
     宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定になるのである》

   『●投票者自身の首を絞めてはいけない:「格差是正のための
             税制を求め、豊かな層に多く課税すべき」
    「日刊ゲンダイからの再引用「宇沢氏は40年以上前、
     ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を
     張ったことに愕然とし、「言葉に言い尽くせない衝撃を受けた
     と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく
     「稼ぐ」ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた。
     人材派遣大手・パソナの会長として、巨額の報酬を得ながら、
     産業競争力会議のメンバーにもなって、パソナが得をする
     雇用改革を推し進めている竹中氏などは、宇沢氏にしてみれば
     論外で、蛇蝎のごとく嫌う存在だったのである」(…)。東京新聞
     「経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の
     意味の経済学者だった」(…)」

   『●《TPPは社会的共通資本を破壊させる》と
      唱えた宇沢弘文さん…《宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定》
    「《宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定》。《「大切なものは決して
     お金に換えてはいけない。人生で一番大きな悲劇は、大切なものを
     国家権力に奪い取られたり、あるいは追い詰められてお金に換えなければ
     ならなくなった時です」》とも。《経済とは、経世済民。世をおさめ、
     民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった》宇沢弘文さん。」

   『●内橋克人さん ―――《今は社会問題と正面から向き合う経済ジャーナ
     リストがどんどん減る中で、また優れた知性を一人失った》(金子勝さん)
   『●内橋克人さん《「新自由主義」に代えて…F(フーズ)、E(エネルギー)、
      C(ケア) を軸にして地域で雇用を創る新しい経済政策を打ち出した》


[※ ↑ 闘う主張、現場の声支えに 経済評論家・内橋克人さんを悼む (金子勝さん) (朝日新聞 2021年09月08日(水))]

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https://lite-ra.com/2021/11/post-6071.html

岸田首相が竹中平蔵を「デジタル田園都市構想」委員に抜擢で批判殺到! どこが”新自由主義と決別”? またぞろパソナの食い物に
2021.11.10 10:40

     (パソナグループHPより)

 総裁選で「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換する」と大々的に掲げた岸田文雄首相だったが、それを真正面から裏切るような人事を発表し、ネット上で大きな怒りを買っている。明日11日、初会合が開かれる「デジタル田園都市国家構想実現会議」のメンバーに、よりにもよって「小泉改革以降の新自由主義的政策」を政権の中枢で推進してきた竹中平蔵氏を抜擢したからだ。

 衆院選でも新自由主義からの脱却や格差是正を訴えていたというのに、まさか、格差拡大の要因をつくり出した張本人である竹中氏を重用する──。しかも、岸田首相は衆院選公示を控えた先月10月15日に「新しい資本主義実現会議」を設置したが、これは安倍政権がつくった「産業競争力会議」「未来投資会議」、菅政権が設置した「成長戦略会議」の流れを汲むもので、これらの会議では竹中氏がメンバーに選ばれてきた。しかし、岸田首相は「新しい資本主義実現会議」のメンバーに竹中氏を加えなかったことから、ネット上では「竹中がついに切られたのか」と話題を集めていた。

 ところがどっこい、衆院選が終わって岸田首相が設置を発表した「デジタル田園都市国家構想実現会議」では竹中氏がメンバーに選ばれたのだ。もし、これが衆院選前に発表されていれば、大きな反感を買ったことは間違いなく、有権者に対する裏切りと言ってもいいだろう

 しかも、竹中氏がメンバー入りしたことで、岸田首相が掲げる「デジタル田園都市国家構想」が、またしても竹中氏が関係する企業の食い物になる可能性は高い。

 「デジタル田園都市国家構想」は「デジタル実装を通じて地方と都市の差を縮め、地方活性化を推進する」ものだというが、一方、竹中氏が会長を務めるパソナグループは昨年、本部機能を担う社員約1200人を兵庫県の淡路島に異動させるなど「地方創生」に注力。その背景には「人脈を使って淡路島を特区に指定させ、補助金や税優遇を手にする狙いがあるのでは」(「サンデー毎日」2020年10月4日号/毎日新聞出版)と囁かれてきたが、「デジタル田園都市国家構想」が地方創生に力を入れるパソナへの利益誘導の舞台になることは十分に考えられる。

 実際、竹中氏には利益誘導の“前科”が数々ある。たとえば、竹中氏がいまも有識者議員を務める「国家戦略特区諮問会議」では、国家戦略特区で神奈川県において実施を認めた家事支援外国人受入事業で事業者に選ばれた企業のなかにパソナがあった。また、同じく国家戦略特区に選ばれた兵庫県養父市では企業による農地の所有を認めるなどの規制緩和がおこなわれたが、そこにも竹中氏が社外取締役を務めているオリックスが100%出資する子会社のオリックス農業が参入している。

 さらに、竹中氏が会長を務めていた「未来投資会議」の分科会では、空港の民間運営事業にかんして各空港の財務状況を分析した国交省の非公表内部資料を竹中氏が開示させていたことを2020年に「週刊朝日」(朝日新聞出版)が報道。関西国際空港の運営にはオリックスが携わっており、これは明確に分科会会長という立場を利用した利益相反行為


■森ゆうこが「利益相反」を追及、ネットでは「#竹中平蔵つまみ出せ」のハッシュタグも

 昨年10月に放送された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)では、この非公表内部資料を開示させていた問題について立憲民主党の森ゆうこ・参院議員が直接、竹中氏に「利益相反と言われるような立場のまま政府の重要な会議のメンバーになっているんですか?」とぶつけたが、その際、竹中氏は口角泡を飛ばして「森さん、森さん、私はそういうことで利益相反になるようなことを何かしましたか?などとまくし立て、「国権の最高機関である国会議員が、民間議員の言論を封じるようなことは言わないでください!と発言利益相反の証拠も存在するというのに血相を変えて「言論封殺だ!」と逆ギレするという、安倍晋三・元首相とも相通ずる幼稚さをあらわにしていた。

 この醜態が映し出された動画がTwitter上で拡散されると、「#竹中平蔵つまみ出せ」というハッシュタグがトレンド入り。さらに、10月13日に参院本会議でおこなわれた代表質問では、森議員が新自由主義と決別すると言うなら竹中平蔵氏と決別することをお勧めします」と岸田首相に迫る一幕もあったのだが、結局、つまみ出すどころか、岸田首相は竹中氏を引き入れてしまった。ようするに、岸田首相も竹中氏の利益相反を是認したというわけだ。

 だが、竹中氏をめぐる問題は、こうした利益誘導にとどまらない。竹中氏が岸田政権にも食い込んだことで、今後もさらにパソナが国の公共事業を受託していくことは間違いない。

 実際、パソナはコロナ禍にあっても政府のコロナ対策事業を受託し、ボロ儲けしてきた。

 たとえば、「持続化給付金」事業では、769億円で受託したサービスデザイン推進協議会電通に749億円で再委託し、そこから電通は子会社5社に645億円で外注。さらにそこから電通子会社がパソナやトランスコスモス大日本印刷などにトータル417億円で外注していたのだが、パソナへの外注費は約170億円と際立って多かった。また、パソナは大きな問題となったサービスデザイン推進協議会の設立時から電通やトランスコスモスなどとともにかかわっており、職員21人のうち5人がパソナからの出向者だった。しかも、サービスデザイン推進協議会はそれまでトータルで14件の事業を経産省から委託され、再委託先が公開されている9件のうち7件は電通だったが、残り2件の再委託先はパソナだった。

 また、昨年4月に当時の安倍首相が場当たり的に打ち出した一斉休校要請にともなう保護者への休業助成金も、パソナに厚労省が申請手続き業務を委託していた可能性が高い(詳しくは既報参照)。


■コロナ対策でパソナの純利益は前期比約11倍! しかも421億円で受注した委託事業で重大ミス

 さらに、菅政権がコロナ支援策として打ち出した、中小企業の業種・業態変換をおこなった中小企業などに補助金を付ける「事業再構築補助金」でも、今年3月、経産省中小企業庁は事務局業務をパソナに委託。この「事業再構築補助金」事業では、要領では対象となっていない医療法人を誤って採択・通知していたことが問題になったばかりだが、この事業のパソナへの委託費は約421億円(3月25日時点)にものぼっている。

 こうした巨額のコロナ対策事業を受託してきた結果、パソナグループが7月に発表した2021年5月期連結決算は純利益が前期比で約11倍となる67億円を記録。2022年5月期の連結純利益も過去最高になりそうだとしている。

 もちろん、こうしてコロナ対策の関連事業の委託先としてパソナに巨額の血税が流されたのは、政権中枢に食い込む竹中氏の存在が大きい。実際、新型コロナワクチン「大規模接種センター」をめぐって予約システムに重大な欠陥が見つかった問題では、予約システムの運営会社と明記されていた「マーソ株式会社」の経営顧問を竹中氏が務めていた。また、「パソナは経産省に攻勢をかけている」とされ、その戦略を推し進めてきたのが竹中氏だと指摘されてきたが、パソナが受託してきた「持続化給付金」事業も「事業再構築補助金」事業も経産省マターだ。

 自分の立場を利用して政権に利益相反を疑われるような提言をたびたびおこない、さらには国の公共事業に食い込み暴利を貪ってきた竹中氏。竹中氏は今年6月に自身のYouTubeチャンネルにアップした動画のなかで、既得権益者団体と族議員と官僚を「鉄の三角形」と呼び、「それによって一部の人たち、既得権の人たちは利益を受けるけれども、国民は高いコストを払わされたりとかですね、自由に物を買えなかったりという不便に陥るということです」「なんでこの既得権益を持っている人たちを攻撃しないんですか」などと主張していたが、小泉政権以降、一部の既得権益者に利益が集中し、国民が高いコストを払わされるシステムをつくってきたのは、ほかでもない竹中氏であり、そして最大の既得権益者こそが竹中氏だ

 そんな「小泉改革以降の新自由主義的政策」を象徴する人物を岸田首相が重用したことは、もはや笑うに笑えないブラックジョークとしか言いようがない。そして、自民党政権であるかぎり、この国はこの男の食い物にされていくのである

(編集部)
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●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

2021年11月15日 00時00分29秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2021年09月23日[木])
小川慎一小野沢健太の両記者による、東京新聞の記事【東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503)。

 《東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太)》

   『●東京電力に資格無し…さらには《なめている》そういったデタラメな
     東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である

 シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 金(カネ)色の五つの輪等に絡めて、アベ様らはさんざん《テロ対策》云々と言っておきながら、ナニコレ?
 《東電のずさんな態勢》《問題が次々と発覚》―――万事この有様。3.11人災に対する責任の自覚も無く、10年前の人災から何の教訓も得ていない。東電に核発電所の運転や再稼働の資格なし。さらには、《なめている…》《ずさん》、そういったデタラメな東電を〝育てた〟のは更田豊志委員長ら原子力「寄生」委員会や国、(デタラメな関西電力九州電力も含めて)自公お維なのではないか。その〝育成〟は、東京電力核発電人災前だけではなく、人災後も同様に継続されてきた。皆、核発電「麻薬」中毒者。
 本年3月、《更田豊志委員長は、追加検査に1年以上かかる見通しを示し、検査が終わるまでは「運転に向けた次のステップはない」と明言。柏崎刈羽の早期再稼働は不可能となった》…《早期》じゃないでしょ? 永遠に再稼働など許されない。その後も、まだ、不祥事が続いていた訳です。東電には、核発電所を運転する資格など無い。そもそも、ニッポンには核発電所を運転できる場所も無いし、人災で世界に迷惑をおかけした訳であり、誰にもその資格も無い。同時に、《更田委員長は「…委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」》など時間の無駄だった。そのように〝育てた〟更田委員長自身の責任が問われるべき。自称・詐称《「世界一厳しい」とされる規制基準》に《これほどの不正や不備を抱えた原発が、3・11の教訓を踏まえたはずの新規制基準「適合」すると判断したのは、当の規制委だ》。
 《東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという》…《人や金の投入を惜しまない》先は新潟ではないと思いますよ。柏崎刈羽核発電所の再稼働などせず、福島の「原状回復」に《人や金の投入を惜しまない》べきです。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 東京電力に
         柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
      救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
    《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
     柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
     「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
    《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
     福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
     メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
     現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
     原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
     東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
          無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
     不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で
     東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)
   『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた
     東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
    「伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし!
     柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽
      原子力規制庁も共犯か】」
    《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて
     原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。
     …だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつ
     ある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった
     「ID不正使用問題だろう》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503

東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ
2021年9月23日 06時00分

     (柏崎刈羽原発)

 東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太

【関連記事】テロ不備問題で東電社長減給、原発責任者らトップを処分
【関連記事】「もうあきらめて出て行ってくれないか」柏崎刈羽原発、地に落ちた東電への信頼


◆原子力部門の膿、想像以上

 「他(福島第一、第二原発)でできたことが、なぜ柏崎刈羽でできなかったのか。組織の風通しの悪さは気になるところです」

 東電の小林喜光会長=前三菱ケミカルホールディングス会長=は22日の記者会見で、厳しい表情を見せた。テロ対策不備の調査まっただ中の今年6月に就任して改革の必要性を強調してきたが、原子力部門の膿は想像以上だった。

 発端は、2011年3月の福島原発事故だった。全原発の運転ができず、事故収束費用と被災者への賠償が重くのし掛かり、経営が悪化。その一方で柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた事故対策工事に前のめりとなったことで、テロ対策への金と人の投入がおろそかになっていく。


◆経営再建の名でおろそかになったもの

 報告書によると、福島事故直後、東電はテロ対策設備の保守管理を委託していた日本原子力防護システム(東京)との契約見直しを進めた。事故前は、外部からの侵入検知装置を新しくする費用も含めた契約だったが、これを止めたことで装置の老朽化が進んだ。

 装置のリース契約も解除し、16年以降は東電自らによる装置の設置や保守管理に切り替えた。15年度に約13億円だったリース料は、20年度に約1.3億円と十分の一に減った

 費用削減のあおり装置の故障が増えていく。福島第一、第二原発よりも5~8年古いためだ。東電側は「故障しても(カメラなどによる)代替措置を取っていれば問題ない」と考え、19年度からは原発内に常駐する委託会社の社員も6人から3人に半減した。

 「保守管理がうまくいかなくなる」と委託会社は繰り返し懸念を示したが、東電は応じなかったという。その後、20年3月~21年2月に装置が16カ所で故障うち10カ所は代わりの措置も不十分だったと原子力規制委員会に指摘される事態となり、一部は復旧に300日以上かかった。


◆実態、幹部に共有されず

 「契約変更の実態が発電所幹部に共有されなかった。さまざまな指摘があったのにもかかわらず、生かせなかったことに驚いた」と、小林会長はうつむいた。

 原子力部門には、内外の指摘を軽視する姿勢があった。17、18年度の内部監査では、故障した検知装置の復旧に長時間かかっていることが指摘されたが、是正につながらなかった

 規制委事務局の原子力規制庁や他の電力会社との定期的な意見交換では、テロ対策設備の保守管理について経営層が注意を払うように指摘が続いたが、発電所長や本社の原子力部門トップに報告されなかった

 「社員は内部脅威になり得ない」―。社員らがそう思い込んでいたことが危機管理のずさんさにつながった、と報告書は強調する。


◆「資格ないとの烙印押される」

 東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという。

 「是正措置をやり遂げなければ、原子力事業をやる資格がないとの烙印を押されるととらえ、最後の機会を与えられたものとして取り組む」。小林会長は決意を語ったが、いばらの道が続く。

【関連記事】柏崎刈羽原発、テロ対策不備で「運転禁止」命令 東電、早期再稼働不可能に
【関連記事】迷走する東京電力は「16兆円」を払えるのか? 原発事故の後始末と義務
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