ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

虚人の星  島田雅彦

2015-12-12 22:41:17 | Book


今日の日本の独裁的な政治に対する痛烈な皮肉を込めた小説ではある。
その一方では、史上最年少の総理大臣(前&前々総理と続く三代目の総理)と、
その秘書(前総理の愛人の息子&中国側のスパイ)とのやりとりは、
ファンタジー小説とも言えるかもしれない。

さらに、この二人の心を支配する精神科医(彼もスパイ仲間)によって、
多重人格に育てあげられ、二人は様々な窮地を乗り切ってゆく。
総理は「のび太」の人格を、秘書は「星新一」の人格を、
内面の先住民たる病人としていた。

最後は、まさかの展開に驚くが、小説のなかにおいてはこれでいい。
これがこの小説のなかで実現したのだ。
若き総理大臣は「戦争放棄」を宣言したのだ。

島田雅彦の、小説の展開に振り回される数日であったが、
彼の政治批判の鋭さに乾杯!!!


 (2015-9-24第一刷 講談社刊)

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