ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

スピンク日記  町田康

2011-08-05 22:19:48 | Book


作家島田雅彦と町田康(顔で選んでいるのか?)をこよなく愛読する愛娘からのお薦めの本であった。
「犬好きのお母さんなら、絶対にはまる。」という娘の予測通り速読であった。楽しい読書だった。時々クスクス&爆笑♪

これは、平成版「吾輩は猫である」であり、さらに「犬版」でもある。ご主人が「文豪」になるかどうかについては100年待つことにしよう(^^)。

「スピンク日記」を書いているのは、スタンダードプードル(ご先祖は水猟犬)の「ラブリー・スピンク」というちょっと不細工(ブサカワイイ)な犬である。
キーボードをポチポチと叩く、自称「文学の鬼」が主人の「ポチ」、奥様の「美徴」さん、兄弟犬「キューティー・セバスチャン」との日々が綴られている。

犬の人間との共同生活における哲学には、きちんちした主従制度があって、「主人」は最も偉いのだが、どうも違うようだ。
その上、彼には人間の前世を見抜く力があるようで、「スピンク」から見ると、主人の前世は犬だったと……。
「ポチ」は間違いなく人間で作家で、この本の著者であるのだが、見事に「スピンク」の代筆をしているという奇妙で愉快な展開となる。

「スピンク」は、写真の向かって左側の犬です。右側が「キューティー・セバスチャン」…さまざまな事情があって、「スピンク」より遅れて家族になりました。
後列にこわい顔をして立っているのが「ポチ」です。

日記の合間にはたくさんの写真があります。それで2頭の犬の成長と、「ポチ」との日常がよくわかります。
この3匹(?)の犬に君臨しているのは、もしかしたら「「美徴」さんかもしれない。

犬の寿命は10年と想定している「スピンク」は3歳になって考える。
48歳になった「ポチ」が、より一層「変コ」になっているようですので、残りの人(犬)生を、
「忠犬ハチ公」や「名犬ラッシー」を目指すことを捨てました。

「まあ、仕方ありません。私たちはそのことを受けとめてみんなで暮らしていくより仕方ないのです。ルルルルル」というわけで…。
生きていること。弱者を守ること。家族のそれぞれの「変コ」ぶりを認めあって生きること。
根底に流れている「やさしさ」に読者は抱かれるのであった。


(2011年・講談社刊)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。