ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

母から託されたノート・満州からの逃避行   梓陽子

2021-05-09 12:50:14 | Book

かつての戦時下に生まれたが、筆者は記憶にないあの時代を記した母親のノートから、

その満州での足跡を辿る。こうして「敗戦国」の困難な時代の波を生き抜いた家族を確認する。

筆者はその時4歳。その弟は新京から葫蘆島に辿り着く前に亡くなった。

父親は別の困難(ソ連抑留)のなかにいた。

そして語り継ぐ。それが人間の本当の歴史となるのだ。

 

藤原てい氏の自伝小説「流れる星は生きている」もその一冊だろう。

「新京」から「葫蘆島」への困難な移動は、多分同じだったろう。

我が家族も、敗戦から一年後に同じコースを辿っているが、その時期には

「引揚団」という組織的な動きが具体化された時期に入っていたようだ。

ほとんど、海路はアメリカのお世話になったようだが……。

 

私が「戦争」をテーマに書いた詩を合評会に提出した時、「またか……」と

言われたことがある。

私は沈黙した。仲間も沈黙した。こうした状況はどこにでもある。

それでも、託された者は書き続け、語り続けるのだ。

 

梓陽子さんの母上が残されたノートは、どんな歴史書よりも尊い。

そして、偽りのない歴史証言となるのだ。

 

このご本を送って下さった友人K・Aさんに深く深く感謝いたします。

 

2021年4月16日(九条の会中原区連絡会発行)


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