△中高年男性にとどまらない痛風
10、20代で初めての発作、「まれではない」
名古屋膠原病リウマチ痛風クリニックの玉置繁憲医師は、初めて痛風発作を起こす患者は若年化し「ピークは30代。10代、20代での初回発作もまれではない」とする。医療法人IROの田中郁子医師も「男性痛風患者940人を対象にした調査研究で、20歳代以下の初回発作が全体の14%」と話す。
△女性患者も増加傾向
女性は女性ホルモンであるエストロゲンに尿酸を排せつする作用があるため、高尿酸血症の女性患者は少ないとされきた。しかし食の欧米化や生活習慣の乱れによって、近年では女性患者も増加傾向にある。また閉経後には、急速に増えていく。
△突然の激痛から始まる「痛風」とは尿酸値が高い状態で起きる関節炎、痛風の「発作」とも
「痛風」は、血液中の尿酸値が高い状態で、足の指や足首、膝などに起こる急性の関節炎。この痛風関節炎は痛風の「発作」ともいわれる。
△尿酸はプリン体を分解する際にできる“排出ガス”
尿酸は、体の新陳代謝やエネルギー消費によってできる老廃物の一種で、尿酸になる前のもとの姿は、遺伝子(DNA)などの一部である「プリン体」という物質。つまり尿酸はプリン体を分解する際にできる排気ガスともいえる。
尿酸の産出・排出バランスが崩れた状態が続くと起きる
普通の人の体内では一日約0.6gの尿酸が作られ、腎臓から排出される。プリン体のとり過ぎや、尿酸の産生量の増加、尿酸の排せつ量の減少が起こると、血液中の尿酸値が上がり、痛風が引き起こされる。
産生された尿酸は血液中に溶け、腎臓でろ過される。そして、ほかの老廃物と一緒に尿に混ざって体外に排泄されていく。
高尿酸血症は、尿酸値が高くなる原因によって「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」、その両方が関係する「混合型」の3つにタイプに分類される
尿酸は7.0mg/dLを超えると結晶化し体内に蓄積
痛風が引き起こされるような、尿酸値の高い状態を「高尿酸血症」といい、尿酸値が7.0mg/dL(血液1dLあたりに尿酸が7mg)を超えた状態をさす。この値を超えると、尿酸は血中で溶け切らず結晶として体内に蓄積する。
△白血球が結晶を異物と判断し排除しようとするため炎症
手足の関節にできた尿酸の結晶は衝撃などではがれると異物だと認識した白血球が排除しようとして炎症反応を起こし激痛が走る。
発作は足の親指の付け根に起きやすい
足の親指で起きやすいが、まれに足の甲や手首などでも。
足の親指の付け根に発作が起こりやすい理由は(1)心臓から遠い位置にあって血流が乏しいため冷えやすい(2)運動量が多く酸性化しやすい-ためといわれる。
△血中の尿酸値が高くなる要因…遺伝性の場合も
プリン体のとりすぎ…すべての食物に含まれる
尿酸の原料であるプリン体は細胞の核の中に含まれ、動植物を問わず食物にはすべてプリン体が含まれている。細胞の豊富な肝臓などの内臓や肉、魚などはたくさん含み、また肉や魚などで出汁を取ったスープにも多く含まれ、焼肉やとんこつスープのラーメンなどは高プリン食ということになる。
△アルコールのとりすぎ…すべての酒が尿酸の素に
アルコールにはそれ自体に尿酸値を上げる作用がある。「肝臓で分解される時にエネルギーを使うためATP(高エネルギー化合物)が分解されて尿酸を上げるうえ、アルコールには尿酸の排出を抑える働きもある」(東京女子医科大学の山中寿教授)という。
△高カロリーや糖分の多い食事…ブドウ糖も尿酸を排出
実際には血中尿酸値の約2割が食事中のプリン体からつくられ、残り8割は体内でブドウ糖などから合成されるため、高カロリーの食事や、糖分(果糖も含めて)の多い食事内容も高尿酸血症の原因となる。
△メタボリックシンドロームや内臓脂肪…脂肪酸がプリン体の代謝を過剰にする
内臓脂肪が蓄積されると脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌される。それが血流によって肝臓に運ばれると、プリン体の代謝が過剰になり、老廃物である尿酸がたくさんつくられるようになる。
△多忙や重要な仕事などによるストレス
以前から仕事が忙しかったり重要なイベントや旅行、出張などの際に痛風発作を起きることは知られていたが、これらがストレスによる尿酸値の上昇とも関連している事実がわかってきた。
△脱水や筋トレなどの激しい無酸素運動
脱水すると、「尿細管での尿酸の再吸収が増加し、尿酸の排泄が低下して尿酸値が上昇する」(両国東口クリニック・大山博司理事長)。また、短距離走や筋トレなどの激しい無酸素性運動を行うと、細胞内のATP(高エネルギー化合物)が分解・消費が促進され、エネルギーが産出されるとともに尿酸が合成される。
△温度の低い環境や血液の酸性化
温度の低い環境・血液の酸性化などが原因で尿酸が血液中に溶けにくかったりすると、尿酸の結晶化が起こりやすくなる。
△健康的な生活をしていても…なりやすい体質が遺伝
帝京大学医学部付属病院病の藤森新氏は「最近になって、痛風になりやすい体質が遺伝することがわかってきた。身内に痛風患者がいれば自分も必ず痛風になる、というわけではないが痛風になりやすい素質を持っている可能性は高いといえる」と話す。
遺伝子が変異し、尿酸の排泄機能が低下
防衛医科大学校分子生体制御学講座の松尾洋孝医師らは遺伝子と痛風の関係を研究しているが、4人に3人の割合で、尿酸を排泄する機能にかかわる遺伝子に特定の変異があることを突き止めている。変異があると、尿酸が正常に排泄されなくなるという。
10、20代で初めての発作、「まれではない」
名古屋膠原病リウマチ痛風クリニックの玉置繁憲医師は、初めて痛風発作を起こす患者は若年化し「ピークは30代。10代、20代での初回発作もまれではない」とする。医療法人IROの田中郁子医師も「男性痛風患者940人を対象にした調査研究で、20歳代以下の初回発作が全体の14%」と話す。
△女性患者も増加傾向
女性は女性ホルモンであるエストロゲンに尿酸を排せつする作用があるため、高尿酸血症の女性患者は少ないとされきた。しかし食の欧米化や生活習慣の乱れによって、近年では女性患者も増加傾向にある。また閉経後には、急速に増えていく。
△突然の激痛から始まる「痛風」とは尿酸値が高い状態で起きる関節炎、痛風の「発作」とも
「痛風」は、血液中の尿酸値が高い状態で、足の指や足首、膝などに起こる急性の関節炎。この痛風関節炎は痛風の「発作」ともいわれる。
△尿酸はプリン体を分解する際にできる“排出ガス”
尿酸は、体の新陳代謝やエネルギー消費によってできる老廃物の一種で、尿酸になる前のもとの姿は、遺伝子(DNA)などの一部である「プリン体」という物質。つまり尿酸はプリン体を分解する際にできる排気ガスともいえる。
尿酸の産出・排出バランスが崩れた状態が続くと起きる
普通の人の体内では一日約0.6gの尿酸が作られ、腎臓から排出される。プリン体のとり過ぎや、尿酸の産生量の増加、尿酸の排せつ量の減少が起こると、血液中の尿酸値が上がり、痛風が引き起こされる。
産生された尿酸は血液中に溶け、腎臓でろ過される。そして、ほかの老廃物と一緒に尿に混ざって体外に排泄されていく。
高尿酸血症は、尿酸値が高くなる原因によって「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」、その両方が関係する「混合型」の3つにタイプに分類される
尿酸は7.0mg/dLを超えると結晶化し体内に蓄積
痛風が引き起こされるような、尿酸値の高い状態を「高尿酸血症」といい、尿酸値が7.0mg/dL(血液1dLあたりに尿酸が7mg)を超えた状態をさす。この値を超えると、尿酸は血中で溶け切らず結晶として体内に蓄積する。
△白血球が結晶を異物と判断し排除しようとするため炎症
手足の関節にできた尿酸の結晶は衝撃などではがれると異物だと認識した白血球が排除しようとして炎症反応を起こし激痛が走る。
発作は足の親指の付け根に起きやすい
足の親指で起きやすいが、まれに足の甲や手首などでも。
足の親指の付け根に発作が起こりやすい理由は(1)心臓から遠い位置にあって血流が乏しいため冷えやすい(2)運動量が多く酸性化しやすい-ためといわれる。
△血中の尿酸値が高くなる要因…遺伝性の場合も
プリン体のとりすぎ…すべての食物に含まれる
尿酸の原料であるプリン体は細胞の核の中に含まれ、動植物を問わず食物にはすべてプリン体が含まれている。細胞の豊富な肝臓などの内臓や肉、魚などはたくさん含み、また肉や魚などで出汁を取ったスープにも多く含まれ、焼肉やとんこつスープのラーメンなどは高プリン食ということになる。
△アルコールのとりすぎ…すべての酒が尿酸の素に
アルコールにはそれ自体に尿酸値を上げる作用がある。「肝臓で分解される時にエネルギーを使うためATP(高エネルギー化合物)が分解されて尿酸を上げるうえ、アルコールには尿酸の排出を抑える働きもある」(東京女子医科大学の山中寿教授)という。
△高カロリーや糖分の多い食事…ブドウ糖も尿酸を排出
実際には血中尿酸値の約2割が食事中のプリン体からつくられ、残り8割は体内でブドウ糖などから合成されるため、高カロリーの食事や、糖分(果糖も含めて)の多い食事内容も高尿酸血症の原因となる。
△メタボリックシンドロームや内臓脂肪…脂肪酸がプリン体の代謝を過剰にする
内臓脂肪が蓄積されると脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌される。それが血流によって肝臓に運ばれると、プリン体の代謝が過剰になり、老廃物である尿酸がたくさんつくられるようになる。
△多忙や重要な仕事などによるストレス
以前から仕事が忙しかったり重要なイベントや旅行、出張などの際に痛風発作を起きることは知られていたが、これらがストレスによる尿酸値の上昇とも関連している事実がわかってきた。
△脱水や筋トレなどの激しい無酸素運動
脱水すると、「尿細管での尿酸の再吸収が増加し、尿酸の排泄が低下して尿酸値が上昇する」(両国東口クリニック・大山博司理事長)。また、短距離走や筋トレなどの激しい無酸素性運動を行うと、細胞内のATP(高エネルギー化合物)が分解・消費が促進され、エネルギーが産出されるとともに尿酸が合成される。
△温度の低い環境や血液の酸性化
温度の低い環境・血液の酸性化などが原因で尿酸が血液中に溶けにくかったりすると、尿酸の結晶化が起こりやすくなる。
△健康的な生活をしていても…なりやすい体質が遺伝
帝京大学医学部付属病院病の藤森新氏は「最近になって、痛風になりやすい体質が遺伝することがわかってきた。身内に痛風患者がいれば自分も必ず痛風になる、というわけではないが痛風になりやすい素質を持っている可能性は高いといえる」と話す。
遺伝子が変異し、尿酸の排泄機能が低下
防衛医科大学校分子生体制御学講座の松尾洋孝医師らは遺伝子と痛風の関係を研究しているが、4人に3人の割合で、尿酸を排泄する機能にかかわる遺伝子に特定の変異があることを突き止めている。変異があると、尿酸が正常に排泄されなくなるという。