心の免疫力~書とことばから

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求めて~ by 沙於里

木簡千字文

2007-09-07 | 書の話


千字文(せんじもん)は、中国で子供たちに漢字を教えるために用いられた、
1000の違う漢字が使われた長詩で、武帝が当時の文官に作らせた文章。
「天地玄黄 宇宙洪荒・・」と四文字熟語で続く。中には「夫唱婦随」の語もある。

今日、台風9号の影響は各地でかなり深刻のようだ。
多摩川も氾濫の危険、神奈川県松田市では橋が折れ、首都圏も直撃。
まさに宇宙洪荒、宇宙(自然)は広大無辺で際限が知れない。

ところで千字文は、王義之(おうぎし)の文字を模倣して書道の手本としたとされ、
その後、懐素(かいそ)、智永(ちえい)、趙子昴(ちょうすごう)、
文徴明(ぶんちょうめい)などの作品が有名。

木簡の千字文は珍しく、これはあちこちから集めて千字とした集字千字文。
私の師が所蔵する本を、許可を得てコピーさせて頂いて、勉強している。
一応釈文は: 我藝黍稷 税熟貢新 勸賞黜陟
意味は、我々は黍稷(きびやあわ)等の五穀を植え農事にいそしむ。
その穀物が熟したら一部を税とし一部を貢物とする、その成績によって賞したり、
勧め励ましたり、官を授けたり退けたりする。というもの。

集字であっても、木簡はどの字をみてもつい微笑んじゃう。
どこ吹く風ぞとばかりに、力まず飄々としているところがいい。
右側下から二番目の「税」という字の終筆の粘っこさ、それに対して次の「熟」
という字の、れっかの部分のチョンチョンチョンってところが、なんとも愛嬌がある。
臨書しているうちにだんだん興じて、私の「賞」の字は五画目が大きく腕を回している。

この木簡のような人に出会ったら、小さなことなんか気にしないで、
歌でも歌いながら歩き出したくなるだろうなあ。。

そんな人に会いたくて、日々臨書している。

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