心の免疫力~書とことばから

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求めて~ by 沙於里

中平南谿先生の「天衣無縫」

2014-04-24 | 蘭秀会書展

今日は母の師であられた、中平南谿先生の作品をご紹介します。

中平先生のお人柄そのもののようなことば「天衣無縫」。

これは、昭和58年12月銀座鳩居堂での傘寿記念展での作品。
明治36年(1903年)生まれでいらっしゃるので、83歳。

当時門下生だった母と、中平先生の作品に惚れ込んでいた父が
会場でビビビと来た作品だったそうで、 

とても80前後とは思えない、唯我独尊、自由闊達、天馬行空のような爽やかさ。

以前ある方より、南谿先生のお名前の谿の文字は、お若い頃は下が揃っていたけれど、
ある頃から谷が右下がりの造形になったと。
なので、名前を見るといつの時代の作品かがわかる、と。

こちらが揃っている頃。「梨花雪飛」


こちらは右下がり。「白首相対」


なるほど、作品の気配も少し違っていますね。
今回の「天衣無縫」は右下がりですが、作品は揃っている頃の雰囲気のような気がします。

作品を拝見すると、その人の人となりや歴史が見えてくるというのは、
鑑賞者の秘かな悦びでもあります。

中平先生は、書海社設立者のお一人 松本芳翠の一門でいらっしゃり、
母もその頃書海社で書を学ばせて頂いていたのでして。

作家のルーツを探すと意外な顔を見つけられたり、惹きつけられる世界を探っていくと
不思議と繋がるご縁があったりするのでして。

ふと南谿先生のご子息、写真家の中平卓馬氏を検索していたらこんな記事が。
そうか・・卓馬氏は寺山修司とも親交があったようで。

若かりし頃、父は寺山修司とラジオ番組を作っていたそうで。

そして私がいつか白塗りで舞台に立つことを恐れた父は、当時父の会社の目の前にあった
天井桟敷の芝居小屋から私を遠ざけていたようですが、
私というと、大学生の頃、父の知らぬところで寺山修司の世界にはまっていたのでして。

人は、どこかで自分と繋がるものを、魂の部分で探しているのかもしれないなぁと、ふと


今回、20代位の若い青年が、中平先生の書を求めて蘭秀会書展にお越し下さり、
改めて、中平先生の書の魅力を掘り起こしてみますと、また新しい発見もたくさんありました。

書は人なり。
書の魅力の神髄はそこにあるのかもしれませんね 

次回は皆さまの作品と、花々をご紹介します。




コメント (2)
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