扇子と手拭い

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意欲のなさにビックリ

2012-08-21 20:20:39 | 日記
▼盛り立てる落語協会
 住吉踊りの前に高座に上がった落語協会前会長の鈴々舎馬風は、「落語界にもスターが必要」と言って、若手3人の名前を挙げた。この春、一足先に真打襲名披露した春風亭一之輔と、今秋、真打昇進が決まっている古今亭朝太、古今亭菊六の3人である。(敬称略)

 「芸に厳しい(現会長の)小三治が認めた者たちだ。間違いなく伸びる」と馬風。他の寄席の席でも幹部たちが3人の襲名に触れるなど、協会挙げて後進を盛り立てている。

▼主役が自ら司会役
 それに比べ、19日の桂平治改め十一代目桂文治襲名披露のお練りにはビックリした。「桂文治」といえば、東西落語界の「桂の宗家」。文字通り、大名跡の襲名である。当然、協会幹部が羽織、袴で勢ぞろいし、豪華に繰り広げるのかと思いきや、さにあらず。会長の桂歌丸は浴衣姿であいさつし、周囲を驚かせた。しかも、司会をこの日の主役である羽織、袴姿の平治自らが務める始末。

 芸協には、他に司会進行を務める者はいないのか。所轄署への道路使用許可の申請も、多忙な中、本人が何度も足を運んだという。主役は何もせず神輿に乗っているだけで、周りの者が神輿を担ぐのが普通ではないか。これでは、あまりにも平治が気の毒だ。

▼意気込み、結束力
 会長の歌丸は6月に3度目の腰部脊柱管狭窄症の手術を受け、入院していたので無理は出来ない。だが、芸協には「笑点」で名を知られた三遊亭小遊三、春風亭昇太ら人気落語家もいる。それらのメンバーが平治と伴に人力車に乗ってお練りの列に加われば、観客動員も違った形になったかも知れない。今回のお練りは、低迷続きの芸協にとって、またとないPRの機会だったハズ。生かさない手はない。大名跡の襲名は協会が総力を挙げて取り組むべきイベントではないのか。


 お練りは初めてと芸協はいうが、分からなければ、調べればいい。経験者に聞けばいい。落語界でも数年前に、落語協会の林家正蔵が浅草で盛大に繰り広げた。歌舞伎の世界では恒例。こちらは、元締め松竹が総力を挙げて取り組むので、襲名披露もお練りも手慣れたものである。

▼格差縮小など夢物語
 物事は取り組む姿勢で結果が大きく変わる。今回の一件で、芸協と落語協会の意気込み、結束力の違いを見た思いがした。それにしても芸協の感性の鈍さ、意欲のなさにはガッカリさせられた。この分では、落語協会との格差縮小など当分ありえない。

納涼住吉踊り

2012-08-21 13:34:25 | 日記
▼吉例 納涼住吉踊り
 東京の夏の風物詩としてすっかり定着した浅草の「納涼住吉踊り」を観に行った。折しもこの日(20日)は千秋楽とあって盛り上がりも最高潮。そろいの浴衣に赤いたすき掛け姿の落語家ら総勢40人が、次々に繰り出し、洒脱で粋な踊りを披露した。(敬称略)

 会場の浅草演芸ホールは、この日朝6時に静岡からバスでやって来たという団体客などで満席、立ち見が出る始末。この住吉踊りは古今亭志ん朝がファンサービスとして始めたもので、8月の中席(11日ー20日)に限り、毎年、同ホールで開催している。

▼両協会の混成チーム
 主催は落語協会だが、志ん朝が踊りの指導を仰いだ雷門助六(八代目)が落語芸術協会(芸協)所属だったため、桂小文治ら芸協所属の噺家も多数、顔付けしている。定席での両協会による混成出演はここだけ。出演メンバーは1年を通して稽古しているとあって、「奴さん」「伊勢音頭」「かっぽれ」などで息の合った見事な踊りを見せた。

 この後、住吉踊りの座長を務めている金原亭駒三の音頭で出演者、観客全員で景気よく三本締め。駒三の話によると、2001年のこの日、8月20日が志ん朝最後の高座だったそうで、その年の10月1日、惜しまれながら63歳の若さで彼岸へ旅立った。