扇子と手拭い

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200人の観客前に

2015-02-22 21:32:07 | 落語
▼1時間45分、1人で担当
 ご贔屓さまというものは誠に有難いものだ。今年もイベントに呼んでくださった。午後の部を一手に任された。約200人の観客を前に、落語3席を披露した。聴き終わった客が異口同音に「楽しかった」「面白かった」と言ってくれた。お世辞にしてもうれしい言葉である。

 駅前のビル6階にあるホール。午後の部の開演は午後1時15分。席はすでに埋まっている。これから3時までがあたくしの受け持ち時間である。1時間45分、1人で担当するには、正直言ってチョイトきつい。

▼あたくしの独演会
 4年前の1回目と次の年は落語仲間と2人で行った。ところがその後、主催者からあたくしだけでいいと言われ、昨年からはあたくし1人となった。今年も1人でお邪魔し、3席話した。独演会である。

 お客さまは会社勤めを終え、今は悠々自適の時を過ごす方たちだ。4対6で女性が多い。ナマで落語を聴くのは初めてだろうから、落語の歴史を簡単に説明しようか、それとも、楽屋話がいいか、とあれこれ事前に準備した。

▼聴いていただくのが一番
 半月ほどかかってまとめた資料を持参したが、結局使わなかった。講演会でもあるまい、と考え直し、「落語を聴いていただくのが一番」と決めた。

 その日朝のニュースで「この冬一番の寒さ」とやっていたので、この話題を拝借。「寒いですね。けさ、家を出てくる時、公園の芝生に霜柱が立っていましてね」と客席に語り掛け、冬の演目である「時そば」に入っていった。

▼それ、かけそば専用です
 まるで打ち合わせたかのように、ココ、というところで笑ってくれる。いい客だ。こう来なくちゃあ。客に引き寄せられ話が流れに乗った。ホール落語なのでしぐさも普段より大きめに演じた。

 「おやじ、このどんぶりダメ。ここ、欠けてる」とどんぶりを指さす。そば屋のおやじが「それ、かけそば専用です」と応じると、客席がドッと沸いた。いい流れになって来た。

▼出囃子で再び登場
 不思議なもので、乗っている時は時間が過ぎるのが早く感じる。1席終えたところでひとまず退場。楽屋で「おーい、お茶」でのどを潤した後、出囃子に乗って再び登場。

 直前まで稽古してきた「宮戸川」をやろうと思っていたが、笑いの多い「粗忽長屋」に切り替えた。この噺なら初心者でも知っていると考えたからだ。思ったところで笑いが入る。本当にいい客だ。

▼「唐山の着物」に着替え
 15分の中入り。トイレ休憩だ。この間に、急いで衣装を着替えた。次は粋な郭噺なので、それに合わせて「唐山の着物」に着替えた。手拭いも、えんじから紺に持ち替えた。堅物の若旦那、時次郎が初めて吉原でオコモリ(女郎買い)をする噺である。

 この落語「明烏」は登場人物が多い。大旦那に若旦那。町内の遊び人の源兵衛と太助。それに茶屋のおかみ、若い花魁。これをどう使い分けるかがポイントだ。聴いている側が、はっきり違いが分かるように演じなければならない。

▼不思議なくらい順調に
 散々、稽古を重ねてきたのでそれなりの自信はあったが、本番は別ものだ。ところが、この日の高座は不思議なくらい順調に話せた。3席とも淀みなく演じることが出来た。こんなことは珍しい。

 余程、体調? がよかったのかも知れない。事前にたっぷり稽古したのがよかったようだ。「明烏」を終えたのが午後3時5分前だった。その後、主催者の閉会の挨拶があり、3時過ぎにイベントはすべての幕を閉じた。

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