扇子と手拭い

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突然、「熊にご注意!」の立て看板

2016-06-08 10:44:09 | 落語
▼信州は長野の硯川温泉
梅雨入り前に、信州長野の硯川温泉に行った。建物は古い硯川ホテル。客は私たちツアーの15人のほか3、4人。「大変なところに来たな」と当初は思った。が、後になって、この宿にリピーター客が多いわけが分かった。

会社人間を卒業して初めて一人旅をした。夫婦連れは1組で、残りは単独。ツアー客に聞くと、あたしは4回目。オレは5回だよ、と返事が返ってきた。「ほとんどの宿が1人客は相部屋、もしくは割高な料金を請求されるが、ここは1人部屋。気楽でいいから好きなんだ」とベテランが言った。

1人部屋と言っても、ビジネスホテルのような狭い部屋ではない。10条の畳敷きに、床の間付きだ。窓際には2畳ほどの板の間がありテーブルとイス2客。しかもリニューアル済みだからきれいだ。

何 よりうれしいのは温泉の泉質。温泉通には答えられない硫黄泉ときている。時間帯によって緑色に代わり、夜は白濁。しかも沸かし湯ではない。源泉かけ流し。内湯にはほのかに硫黄のにおいが漂う。

食事はどうか。から揚げなど、こってりした揚げ物はない。若者は不満だろうが、あたしにはおあつらえ向きの健康食だ。味噌汁が絶品だった。山菜の細いタケノコにカツオの缶詰の身が入ったもので、美味しくてお代わりをした。

次に日は前山を散策。5分も登ると「ハア、ハア」息切れがした。背後からウグイスの鳴き声。「だらしないぞ、ガンバレ」と背中を押されているようで、足に力が入った。葉の緑が美しい。

しばらく歩くとクマザサが生い茂っている。突然、「熊にご注意!」の立て看板。そう言えば、北海道で山菜取りに行った人がクマに襲われて3人亡くなった、とニュースで言っていた。

行き交うハイカーはみんな腰にクマ除けの鈴を付けている。鈴など持参してこなかった。熊は「人の気配がすると近づいてこない」と言っていたのを思い出し、落語の稽古をしながら歩くことにした。

「ハっつあん、どうしたい?」「誰かと思ったら何だい、熊さんじゃないか。茶でも飲んできな」―。こんな噺をしている最中に、「誰かオレを呼んだか?」と本物のクマが出てきたらどうしよう!

ここは一番、死んだふり、寝たふりでもするか。
なに?悪党・甘利のマネだけはするな、って?

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